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2018.07.11 11:30

【ライヴレポ】怪人二十面奏 三周年記念単独公演「明日」-めいにち-@7/8(日) 東京キネマ倶楽部


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怪人二十面相と言えば、かの有名な江戸川乱歩の小説を思い出す人も多いはず。エログロと呼ばれる世界観や昭和ならではのレトロな空気感は、これだけ情報が溢れる現代でも、なかなか味わえない独特の魅力がある。


そんな個性をロックバンドという形に昇華させているのが、その名も怪人二十面奏。結成三周年を迎えた彼らが、7月8日に東京キネマ倶楽部でおこなったワンマンライヴ『明日-めいにち-』では、その力を余すことなく発揮した。

会場が暗転すると、ファンの手に赤い光が点滅する。光もののグッズは珍しくないけれど、彼らのそれはとっても個性的。なんと包丁の形をしているのだから。そういった細部へのこだわりは衣装にも。サブステージから階段を下りて登場したKENとマコトは、真っ白な新しい衣装に身を包んでいた。

KENは、マントのような上着に、ゆったりとした乗馬ズボンのようなパンツに黒いロングブーツ。一方、マコトは丈の長い軍服。けれど左袖は着物のように長いたもとがついている独特なデザイン。そして足もとには下駄。サポートの三人も白いシャツで統一し、5人が並ぶと決して派手ではないのに主張のある光景が広がった。

「愛憎悪」からライヴの幕は開く。大きなアクションで気合いの入ったところを見せるKENに、地に足の着いた様子で丁寧にスタートを切ったマコト。そのまま「可不可」へ。スピードの速いシャッフルに合わせ、辺りの空気が狂騒に満ちていく。

昭和歌謡を彷彿させる哀愁に満ちた歌が軽快なリズムに乗せて届けられると、一曲一曲くっきりとした世界観が広がった。それを引っ張るのがマコトの歌であり、KENが弾く耳に残るフレーズ。さらに、龍、IORI、Shinsakuが繰り出すサウンドが、曲の輪郭を際立たせていたことも特筆しておきたい。それは彼ら3人がサポートであることと無関係ではないだろう。

ヴォーカルとギターというスタイルは、ロックバンドとしては一般的ではないが、この日のライヴを見て感じたのは、メンバーを二人にすることで、表現をクリアにし、世界観を伝えることに成功しているということだった。怪人二十面奏にとって、メンバーが二人ということが強力な武器になっているのである。それは長く活動を共にしてきたマコトとKENゆえだ。

そんな二人のただならぬ世界観が特に凝縮されていたのが、ライヴ中盤の聴かせどころだった。真っ赤に染め上げられたステージに鳴り響くサイレンで始まった「一銭五厘ノ命ノ価値ハ」。戦いへ挑む兵士の想いを凛々しく歌い上げるマコトの姿は、軍服を模した衣装ともあいまって、演劇や映画のワンシーンを見ているかのような、どっしりとした感情を心に残した。

一転、「答え」では、白い光の中で白い衣装が輝く。高い集中力でステージに向かうメンバーが持つ、ひとつの世界を構築する力に思わず圧倒される。ギリギリまで高まった感情は、続く「命日」で溢れ、広がると、静かに会場を満たしていく。亡き人への想いを切々と歌い上げるマコトに対し、淡々としたリズムでその背景を彩るサウンドとのコントラストが、曲をより印象深いものにした。

一言も発さずに耳を傾け、じっと曲の世界に入り込んでいたファンは、曲が終わっても声を上げることができない。はからずも沈黙が漂うところにマコトのMCが始まり、空気がゆるみ出すと、いよいよ後半戦。

拡声器を手にしたマコトがアジテートするように、猛々しく吠える「NUMBER TWENTY」から、ファンも元気いっぱいに体ぜんたいで応えていく。そのまま、手拍子を打ち鳴らしたり、声をあげてこぶしを振り上げたり、ジャンプしたりと、ファンは大忙し。たっぷりと怪人二十面奏の世界を味わわせた次は、サウンドが持つ気持ちよさを一緒に体感させてくれるように展開していく。

そのまま勢いよく突っ走ると、本編最後を飾ったのは、「消心叫奏シネマ」。心に抱えられた切ない感情が、スピードを上げて全力で駆け抜けていく。怪人二十面奏が作り出す世界はどこまでもドラマチックで、その音楽は人の心を興奮させるような作用があるのかもしれない。夢中になっている間に17曲の演奏が終わり、すっかり熱い空気が広がった会場を目にして、彼らの持つ底力の大きさを改めて実感した。

アンコールに登場したマコトとKENは、本編とはうって変わってリラックスした様子。ファンへの感謝を口にしつつ、KENからは「満足してないのでもっとやります」と、頼もしい言葉もこぼれた。この日、最後を締めくくった「其の証」では、ファンの歌声が響き渡り、温かい空気に包み込まれた。

自分たちの色をはっきりと持ち、そのサウンドと歌、ヴィジュアルでもって、その世界を具現化している怪人二十面奏。毒もはらんでいそうだが、だからこそ魅力的であることに間違いない。結成三周年にして完成度の高いワンマンを終えた彼らの、これからの活動にますます期待が高まる。

TEXT:村山 幸


◆ライヴ情報
【怪人二十面奏 東名阪単独公演二〇一八秋「無能丿人、廻ル秒針」】
2018年11月23日(金祝) 名古屋UNLIMITS
OPEN 17:00 / START 17:30
前売 ¥3,800 / 当日 ¥4,800 (D別途)

2018年11月24日(土) 大阪LIVE HOUSE Rumio ※旧LIVEHOUSE D'(8/1より名称変更)
OPEN 17:00 / START 17:30
前売 ¥3,800 / 当日 ¥4,800 (D別途)

2018年11月28日(水) 渋谷Star lounge
OPEN 18:30 / START 19:00
前売 ¥3,800 / 当日 ¥4,800 (D別途)


◆リリース情報
各会場にて限定音源「噫無情/ヲルガン坂に見る夢は」発売
各会場ジャケット違い/2曲入 / ¥1,200


◆怪人二十面奏 オフィシャルサイト
http://k20.jp/


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