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2018.03.25 11:48

【ライヴレポ】怪人二十面奏 2018.3.21 新宿ReNY単独公演


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2018年3月21日新宿ReNY。怪人二十面奏は、この日、単独で初めてこのステージに立った。

彼らの登場を待つフロアは、オーディエンスが照らす赤く光る怪人二十面奏のペンライトで埋め尽くされていた。18時を少しまわったあたりのこと。ゆっくりと赤いヴェルヴェットの幕が上がり、活動写真のようなノイズの入った映像でスクリーンに映し出された数字が3、2、1とカウントを刻むと、お待ちかねのライヴは始まった。そして。レトロなSEに包まれた会場は一気に時代を遡り、怪人二十面奏が誘う独自な世界へと誘った。

始まりはニューシングル「可不可」。怪人二十面奏の代名詞と言っても過言ではないだろう粋なシャッフルが、一瞬にしてフロアを乱舞させた。

一聴しただけで、記憶に深く刻みこまれる印象的なループフレーズ。シャッフルをはじめとする体が自然と突き動かされるダンスなリズム。独特なマイナーコードを用いて構成された哀愁をおびた歌メロ。間髪入れずに畳み掛けられていく楽曲たちはどれも、彼ら怪人二十面奏の真髄を極めたとも言うべき作風。もはや、彼らに変化球など必要ないのだろう。そんな窮極の連発だった。

これまでも同じバンドの中で音を創り、歌詞を綴ってきたKENとマコトであるが、その個性はさらに深みを増し、どれもがシングルでいうところの表題曲、アルバムでいうところのリード曲を担う光を放つものであると感じた。この日のライヴは、“これこそが怪人二十面奏である”ということを証明するためにあったのではないかと感じ取れた、いままで以上に彼らの個性が際立ったものであったと言っても過言ではないだろう。

人間の業や愛憎や無情にはびこる世の中の闇を赤裸々に描くマコトの映像的な歌詞と、KENが生み出す廃退的なメロディとサウンド感の相性の良さは、他にない魅力を放つ絶対的な個性である。結成からわずか2年と、怪人二十面奏としての活動の歴史はまだまだ浅く、始まったばかりであるが、ここまで色濃く揺ぎない、誰にも真似することの出来ない個性を既に築き上げられているのは実に素晴しいことである。

昭和を感じさせるいなたいダンスナンバー「デカダンス16」、どこまでもアンダーグラウンドな世界に引きずり込んでくれる「儚儚」、3拍子と4拍子を交差させながら畳み掛けられていく「答え」。そのどれもに、ヒリヒリとするような感情が宿り、体温を感じるドラマが存在する。1つ1つのドラマが、マコトという語り手によって感情的に伝えられていくといった印象だ。

しかし、それは単なる“見世物”ではなく、リアルなSHOWなのである。彼らがこれまで生きてきて感じたことや、経験してきたことのすべてが音と言葉に置き換えられているからこそ聴き手の心を打つのだ。

人生とは、人の数だけ存在するドラマである。マコトが描く歌詞には、自らのドラマを通して、聴き手それぞれのドラマに体温と感情を吹き込み、そっと寄り添う力があると思うのだ。ライヴでは、1曲1曲スクリーンに歌詞が映し出される演出が施されていたこともあり、マコトの歌だけでなく視覚的にも歌詞を感じられることから、より深くそこに込められた感情を読み取ることができた。

この日、とても印象的だったのは「命日」。
綴られた手紙を読む様に歌われるこの歌が届けられると、オーディエンスはピタリと動きを止め、その歌を真っ直ぐ聴き入った。今はもう会えなくなってしまった相手に、読んではもらえぬ手紙を一生懸命に綴っている主人公。。オーディエンスはそこに自分のドラマを重ねると同時に、主人公の想いを切々と歌うマコトの心に、そっと寄り添っていた様に見えた。

また、この日、重心を低く置いたシャッフルナンバー「アヴストラクト シニシズム」をはじめとする激しい選曲でく盛り上げていった後半戦では、KENと共にサウンドを作り上げていた下手ギターの龍とベースのIORI、ドラムのShinsaku達ともさらに息の合ったプレイを見せつけてくれる場面もあった。サポートメンバーである龍、IORI、Shinsakuは、怪人二十面奏という色を深く理解したプレイで、“怪人二十面奏”を演出していたと感じた。きっと彼らは、マコトとKENがこのライヴにかけた想いの深さを知っていたのだろう。

彼らは、本編のラストに怪人二十面奏の初音源「愛憎悪」を選んでいた。単独公演をしたいと望んでいたこの場所に立てたライヴの本編は、始まりの曲で締めくくりたかったのだろう。

そして。マコトとKENは、アンコールで自分達の想いを言葉にしてオーディエンスに届けたのだった。

「今日、3月21日という日に、怪人二十面奏とみんながここに集まったのは、偶然ではなく、居るべくして集まれたのだと思っています。今日、ここから見た景色はずっと忘れません。今日、この時間、この瞬間、ここに居てくれて本当にありがとう」(マコト)
「今日という日が待ち遠しくて、楽しくて、いいライヴがしたいなと思ってました。終ってしまうのが寂しくなるくらいです。曲とか作品は僕達だけで作れるけど、ライヴは僕等だけじゃ作れなくて……。本当に今日、一緒にライヴを作ってくれてありがとうございました。もっともっとカッコ良くなります。これからも怪人二十面奏とお付き合いして下さい。よろしくお願いします」(KEN)

この日の最後に届けられた曲は「其の証」。
イントロから激しく畳み掛けられるそのサウンドは、彼らが歌う意味そのものであると感じた。
“たった一生分の一でいい その証が欲しい”と歌うマコトの心の中には、生きたかった誰かへの想いと、ここに集まってくれた、自分達と共に歩いてくれているファンたちへの想いと、彼自身の生きる意味が詰め込まれていたに違いない。

サビのメロディに声を重ねたオーディエンスの想いと、彼ら怪人二十面奏の音と声が1つになった瞬間は、紛れもなく“一生分の一”のかけがえのない大切な証となったことだろう。

「なんも思う必要なんてない。思い出す必要なんてない! 頭の片隅、体の一部、心のどこかに大切にしまっておいてくれたらいいんです。それでいいんです! 最高の現在(いま)があるじゃないか! 最高の現在が! 最高の未来が待っているんです!」

力の限り、我武者らにギターを奏でるKENのフレーズが響く曲中で、マコトはこの日一番伝えたかった心の底から溢れ出た想いを言葉に変えて叫んだのだった。

20時10分。彼らがステージを去った後、ヴィジョンには【7月8日・キネマ倶楽部・三周年記念単独公演】の告知が映し出された。そこに記されていたライヴタイトルは『明日』。“明日”と書いて“めいにち”と読ませるそのタイトルは、昨年の7月8日にキネマ倶楽部で行われた『命日』からの一歩前進を意味するものであると受け取れた。

誰にでも忘れることのできない特別な日があるように、“亡くなった日に当たる”命日という言葉を、“命を宿した日”という意味に置き換えた1年前の7月8日の『命日』には、命名したマコトがそこに捧げる特別な想いが込められたものであったに違いない。

そう思うと、マコトがこの日のMCで言った【2018年3月21日。2年半かかってやっとReNYに立てました】という言葉の中にも、とても重要な意味が隠されていた様に思えてならない。

何故彼らは‘新宿ReNY“という場所にこだわったのか、何故“3月21日”という日にこだわっていたのか――。

よくよく考えてみると、マコトとKENが、怪人二十面奏の前に共に音と人生の年輪を重ねてきたバンドであるドレミ團は、ここ、新宿ReNYで過去2回、3月20日に復活ライヴを行っているのだ。つまり、彼らにとって3月20日という日と新宿ReNYという場所は、とても大切なものであったという訳だ。
 
しかし。一番大切なのはここからである。

【今日、3月21日という日に、怪人二十面奏とみんながここに集まったのは、偶然ではなく、ここに居るべくして集まれたのだと思っています。本当にありがとうございました! これからもずっと着いて来て下さい!】

それは、この日の最後のMCでマコトが叫んだことばである。その言葉は、この単独公演の前日に、マコトもKENもTwitterのアカウントを@doremimakoto、@doremikenから@k20_makoto、@ k20_kenに変えていたことへの答えであったのだと思う。

過去を否定する訳では決してない。彼らは今、自分達(怪人二十面奏)と共に未来へと向かって歩いてくれる人達をしっかりと愛していきたいと思っているのだろう。
だからこそ、3月21日という日に意味があったのだ。“想い出のいっぱい詰まった大切な日・3月20日”からの新たな一歩。3月21日には、20日から一歩未来へと進んだ、新たな始まりの日であり、彼ら怪人二十面奏の決意表明だったのである。

ライヴ後、フロントマンとしてライヴを率先して引っ張ったマコトは、現時点でのすべてを吐き出し、しばらく放心状態であったが、同じくKENもこの日にかけてきた想いのすべてを出し切った様子でありながら、“今、作る曲すべてにすごく自信を持ててるんです”という力強い言葉を聞かせてくれた。

生まれ変わり、更なる新たな一歩を切り開いた怪人二十面奏。7月8日にキネマ倶楽部『明日—めいにち—』には、どんな姿を魅せてくれることになるのだろう? 
これからの彼らに期待したい。

TEXT:武市尚子

◆怪人二十面奏 オフィシャルサイト
http://k20.jp/

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