2020.06
gives / 1st Album『帝王切開』INTERVIEW
さまざまな予定調和を打ち破りながら、ここに生を受けたgivesというアーティストが描き出していこうとしているもの。
それは、上質なドキュメンタリティに裏打ちされた新鮮味あふれるロックそのもの、であるようだ。

昨年末の両国国技館公演をもって凍結されたR指定のベーシスト・七星がこのたび起ち上げたソロプロジェクトであるgivesは、なんと3ピース・3ヴォーカルという大胆な編成となる。

ここではギターヴォーカルに那緒(exてんさい。)と、ドラムヴォーカルに伊織(ex悪者)というメンツを迎えた経緯も踏まえながら、初のアルバムとなる『帝王切開』が完成へと至るまでの難局や、このコロナ禍の最中をいかに凌いできたのか、ということを彼らには克明に“リモートインタヴュー”にして語ってもらうこととなった。

取材・文:杉江由紀

仮に今もR指定が続いてようが、そうでなかろうが、ソロは始めようって以前から考えてはいたんです(七星)

——このたびViSULOG初登場となるgivesですが、初のアルバム『帝王切開』が6月10日より発売になるということで、今作品がどのような過程を経て完成していくことになったのか、ということをいろいろとうかがって参りたいと思います。そもそも、このプロジェクト自体は今年1月から始動したものだったそうですけれど、昨年末の両国国技館公演をもってR指定が凍結となったことを踏まえると、2019年中もしくはそのもっと前から、七星さんの中ではソロプジェクトを起ち上げるヴィジョンを持っていらした、と考えてもよろしいのでしょうか。
七星:えぇ、そうです。R指定を続けていく中で、ある時期からバンドの可能性を拡げていく為にも、自分自身のやれることの幅を拡げていく為にも、「このままひたすら突き進むだけじゃダメだろうな」という思いを持つようになりまして。だから、仮に今もR指定が続いてようが、そうでなかろうが、ソロとしての新しい動きは始めようって以前から考えてはいたんです。
——なるほど、話としてはそのような流れだったのですね。
七星:ちょうどタイミング的に凍結になったこともあって、より後押しされたところもありました。

普通だったらあんまりしないよね、っていうことをやってみたい気持ちがあったというか(七星)

——だとすると、ソロプジェクトにおいて何をしたいかという中味の部分について言うと、七星さんがもともと考えていらしたのはどんなことだったのでしょうね。
七星:時期的に言うと、凍結が決まったのが去年末のツアー中でしたからね。そこで始めるなら早い方がいいなとなって、ソロとしての具体的な動き方については初めて考え出したんですよ。ソロプロジェクトと銘打って、まずはメンバーのオーディションをしようって決めました。
——なんでも、2月から一般公募を開始されていたそうですね。人脈は広くお持ちであろう七星さんが、わざわざ“一般公募”をされた理由についても教えてください。
七星:まぁ、知人の紹介とかでも良かったっちゃ良かったのかもしれないんですけどね。ただ、なんかそれだと普通だなと思う自分もいたんですよ。普通だったらあんまりしないよね、っていうことをやってみたい気持ちがあったというか。あとはやっぱり、音楽的にジャンルとかも特に限定しないで一般公募にした方が、よりいろんな人との出会いがありそうだなっていう期待もありました。

成長日記をつけていくようなことが出来たら良いかな、っていう感覚ですね(七星)

——随分とフレキシブルなスタンスでいらしたのですね。
七星:もちろん、音楽的にやりたいことっていうのはその時点で自分の中にあったんですけど、単にそれだけを表現するのは面白くないなとも思ってたんです。一緒にやっていくメンバーたちの持っている個性も、活かせるようなプロジェクトにしていきたくて。
——人と人の出会いによって、今までにない新しいものが生まれていくミラクルも求めていらしたのですね。
七星:そういうところも多少あったし、それ以上にやっていきたいなと意識してたのは、成長日記をつけていくようなことが出来たら良いかな、っていう感覚ですね。

まずは与えることからでしょ、与えないことには何も生まれませんよね(七星)

——七星さんとしては、このソロプロジェクトをひとつの育成ゲームのようなものとして捉えていたところもあったわけですね。
七星:なんとなくですけどね。自分たちで育てていきながら、その過程を楽しんでいけたら良いなっていう風には思ってました。
——それから、これまた基礎的な質問とはなってしまいますが。このgivesなる名前に七星さんが込めた想いについても、ぜひお聞かせくださいますか。こちらはメンバーが集まる前から、既に公式発表されていたものでもありましたね。
七星:あぁ、これは座右の銘的なものです。まずは与えることからでしょ、与えないことには何も生まれませんよね、という。
——その思いは、音楽を始めてから七星さんが意識するようになったものになります?それとも、音楽を始める以前から?
七星:始めてからです。バンド活動を始めて以降いろんな人間関係を体験してきた中で、いつのまにか大事になっていた言葉です。

伊織に関しては、器用な子だなと思いました(七星)

——わかりました。かくして、一般公募および“厳正なる審査”のうえでこのたびgivesのギタリストとして選ばれたのが那緒さん(exてんさい。)で、ドラマーとして選ばれたのは伊織さん(ex悪者)となるわけですが、ここではその審査のプロセスについても具体的にうかがってよろしいですか?
七星:まずは、メールでデモというか映像なり何なりを添付してくれっていう、わりとフワっとした募集の仕方をしたんですよ(笑)。要は、それぞれのアピールポイントを見せて欲しいっていうことだったんですけど、それに対して何も添付して来ない人から、凄く面白い動画を送ってきた人まで、けっこういろんな人がいましたねぇ。それが1次審査で、そのあとは2次で面接をやりまして、最後は6人を残して実際にスタジオでプレイの審査というかたちをとりました。
——ちなみに、1次審査でのアピールポイントとして那緒さんと伊織さんが提出されたのが、どのような内容だったのです?
伊織:僕は、2年くらい前に撮ったライヴ映像を送らせていただきました。ドラマーとしてサポートをした時のものだったんですけど、そこのヴォーカルさんが上手くて全体的にも音がちょうど聴こえやすく撮れていたので、その当時やっていたバンドの映像ではないものを敢えて選びました。「2年前はこうでしたけど、今はもっと上手くなってると思います。もし、興味を持たれたらTwitterにも動画をあげてます」っていうメッセージと、「# いおりどらむす」っていうハッシュタグも添えさせていただきましたね。
——七星さんの、伊織さんに対するファーストインプレッションはいかがでした?
七星:器用な子だなと思いましたね。送ってきた映像よりも、Twitterにあがってた動画の方が本当に全然上手くなってたし。
——つまり、七星さんとしては伊織さんの“伸びしろ”を感じられたところに惹かれたわけですか。
七星:それは意外とデカかったかも。
——となると、これは伊織さんの作戦勝ちとみることも出来そうな?
伊織:えへへ(笑)。まぁ、うまくいったっていうことですかね。

那緒は凄いナメてるのか、凄い面白いヤツなのか。最初はどっちかわかんなかった(七星)

——一方、那緒さんはどのようなものを1次審査の段階で提出されたのでしょう。
那緒:動画ですね。僕の場合、応募したのが最終日やったんでギリギリ滑り込みだったんですよ。内容的には、前にやってたバンドのライヴ映像とその合間・合間にアニメを混ぜて編集したものを送りました。
——ライヴ映像に、アニメを挿し込んで編集された理由は何だったのでしょう?
那緒:目につきやすいかな、っていうくらいの気持ちで入れただけですね。
七星:でも、那緒のが届いたのは実を言うと応募を締め切った後なんですよ。
——どういうことです?ギリギリ滑り込みではなかったということなのですか??
七星:締め切りの期間としては、その範囲内だったんです。だけど、始めのうちから「ある程度集まったらそこで締め切ります」とも告知してあったんですよね。それで、もう今日あたりで締め切りでいいかってなった後に来たのが那緒ので。一応、送ってきたんだからとりあえず見てみるかって動画を再生してみたら、凄いナメてるのか凄い面白いヤツなのかのどっちか、的な内容でした。
——どちらにもとれるというのは、選ぶ側からするとなかなかの悩みどころだったのではありません?
七星:適当にふざけて応募してきたのか、それともこんな風に面白いことが出来ますよ、っていうアピールなのかは、正直その段階では良くわかんなかったんですよ。だから、こっちとしてはとにかく会ってみて確かめようってなりましたね。
——ならば、ここからは2次審査となった面接でのお話をうかがって参りましょう。それは、一対一でのものだったのですか?
七星:いや。それぞれスタッフも含めての3対1でやりました。
——では、ここでも伊織さんについてのエピソードから先にうかがいましょう。伊織さんとしては、面接をすると連絡があった際にはどのような心境になられていました?
伊織:きっと倍率はけっこう高いんだろうなと思ってましたし、これまでには俳優とか声優のオーディションも受けた経験があって、1次の書類審査を通ったあと2次の面接では落とされるっていうことが多かったので、スタンス的には自信を持って臨むというよりは、純粋にお話をしに行ってみようっていう気持ちでしたね(笑)
——行ってみた先では、最初にどんな会話を交わされたのでしょうか。
七星:どんな話から始まったっけ?(笑)
伊織:なんかその場に来ている人が多かったのあって、プレッシャーを感じながらガチガチになっていたので、あの日のことは僕もあんまり良く覚えてないんですよね(苦笑)。なんやったかな??そうだ、こちらからはまず最初に応募した切っ掛けとかは普通にお話をしました。
七星:基本的に、こっちからあれこれ訊くというよりは自由にアピールしてくれ、という感覚だったんですよね。それでより緊張したっていうのは、あったのかな(笑)
伊織:確かにそれはありました(笑)
七星:これからどんなことしたいの?っていうのを最初に訊いて、そこから今まではどんなことしてたの?とか大体そんな流れで、最後にこっちのやりたいことを説明する、みたいな感じだったのかな。
——伊織さんは、七星さんとどんなことがしたいと訴えられたのです?
伊織:あのー。もともやっていたバンドが予期せぬ解散した後でもあったので、僕としては素直に「今は人生に迷っています。このまま引退してもいいんじゃないかと思ってたんですけど、悩みに悩んだうえでまた新しいことをやってみようと思って応募しました」っていう風に言いました。
——そんな伊織さんとのファーストミーティングで、七星さんは彼に対してどのような印象を持たれたのでしょう。
七星:真面目な子だな、っていう感じがしました。細かい言い回しとかは覚えてませんけど、凄く熱い考えを持ってるんだなっていうことが、彼の話からはよく伝わってきたんで、これは実際に音も合わせてみたいなってなったんですよ。
——かたや、さきほどのお話ですと「ふざけて応募してきたのか、それともこんな風に面白いことが出来ますよ、っていうアピールなのかは正直その段階では良くわかんなかった」という那緒さんの場合、七星さんは面接の場でどちらに近い印象を持たれることになったのでしょうね。
七星:これが、会ってみたら完全に後者で真面目な子だったんですよ。というか、めちゃめちゃ真面目な子で驚きました(笑)
那緒:ふふふ(照笑)
七星:そうか、あの動画はセンスみたいなものを感じて欲しいっていうことだったんだな、って僕としてはその時にちょっと納得したんですよ。でも、どうなんだろう?本人的にはあれってどういう意図だったの?
那緒:わかりきってはいたんですよ。絶対、面接ってなったら「何あれ?」って訊かれるんだろうなっていうことは。案の定、行ったらまず最初に開口一番で「何あれ?」って言われたんですよね(苦笑)。まぁ、なにしろ僕が出したのは締め切りのほんとギリギリでしたから。ある程度集まったらその段階でも締め切る可能性があるっていう話でもあったんで、なんとか目につくことをせんと受からないと思ったというか。あとはもうひとつ、選考作業でお疲れやろうなというのもあったので、この動画でも観てくださいっていう気持ちも込めて送ったものだったんです。だから、ほんとに面接をしますっていう連絡をいただいた時は「あぁ、通ったんや」っていうびっくりした気持ちと、「まぁでも、こんなヤツも他にはおらんやろうかろな」っていうような“どうしても選んでもらいたい!”っていう気持ちが半々やったんで、これは自分の作戦勝ちかもしれないとも思いました。そこは、いおりんと一緒かもしれないですね。
伊織:あははは(笑)
——おふたりとも、そのくらいの高いモチベーションと良い意味での野心を持っていらしたということなのですね。
那緒:はい、それはありました。

雰囲気は…ヤバかったっすよ(笑)(七星)

——そこからはさらに第3選考として、スタジオでの実地オーディションとなったそうですけれど、その現場ではどのようなことが繰り広げられたのかも教えてください。
七星:1曲デモで作っていたものをあらかじめ公表していたんで、それをやってもらうことにしました。
——それは、今回のアルバム『帝王切開』の中でいうと…?
七星:1曲目として入れた「Theme song」です。デモの時は、俺ひとりで歌っているかたちだったんですよ。それぞれこれを好きに弾いていいよ、叩いていいよ、っていうかたちにしたんです。
——アルバム自体についてはまた後ほどうかがいますが、その第3次選考でのスタジオの内の空気感や雰囲気を、なにしからの言葉で表すことは出来ますか。
七星:雰囲気は…ヤバかったっすよ(笑)。3次まで残った人たちを全員並べて、っていうやり方だったんです。
那緒:あれにはビビりました、マジで。スタジオに入った瞬間、「これ、ガチなやつやん」って(苦笑)
伊織:いやもう本当に凄かったです。技術とかをこの場で比べられるんだろうなぁ、ってプレッシャーでした(苦笑)
七星:ドラマー3人と、ギタリスト3人を残してたんで、全パターンをその場で試してみたんですよ。
——個々の能力や個性だけではなく、ひとつのユニットとして動いていくうえでの音楽的な相性までその場で考査されたわけですか。それは時間がかかりそうですねぇ。
七星:あれはかかったよね、けっこう(笑)
伊織:かかりましたねぇ(笑)
——単純計算で、9パターンあったことになりますか?
七星:とりあえず、俺は9パターンずっと弾きっぱなしでした。計5時間くらい(苦笑)
——七星さんとしては、全9パターンを試してみての手応えはいかがでした?オーディションやコンテストの場合、実施する順番が微妙に関与したりするケースもあると思うのですが、結果的に今回の場合は何が決め手と那緒さんと伊織さんを選出することになられたのでしょうか。
七星:実は、那緒も伊織も1番目で最初だったんですよね。全部やったんだけど、結局は最初にこの3人で合わせたパターンが俺としては最もしっくり来たんです。
——それは、ある種の運命を感じるエピソードですね。
七星:インスピレーション的にこれだな、って感じたんですよ。他のパターンだと、上手いんだけどこれだとアダルト過ぎるのかな?とか、新しいユニットならではのフレッシュさはないかも?って感じたケースなんかもあったというか。そして、結局のところ俺は根がヴィジュアル系なんだな、っていうことも今回あらためてわかりましたね。
——それはつまり…
七星:広く人材を募集したいっていうことで、ノージャンルでいろんな人を対象にはしたんですけど、最終的には那緒にしても伊織にしてもそれぞれヴィジュアル系をやってた人間を採ったわけですから。根本的なところでの感覚が合った、っていうことなんだろうなと思うんです。それと、これは他でも言ってることなんですけど、ふたりとも前までやってたバンドが解散したばっかりだった、っていう状況的なこともわりと大きかった気がします。
——七星さんも含め、お三方ともひとつの区切りを経たうえであらたなるスタートに向かっている、という状況が相通ずるものであったということなのでしょうね。
七星:それぞれがハングリーになってる状態で、そこが3人ともシンクロしたんですかね。なんかそんな気がする。
——メンタル面でのモードも合致しているというのは、とても大事かもしれません。
七星:そうなんですよ。新しいことを始めたい・始めようという姿勢とかベクトルが、同じだなっていうことは感じてました。
——そこから、この3人でやっていくという決定事項は、その日その場で那緒さんと伊織さんに伝えられることになったのですか? それとも、後日の連絡だったのでしょうか?
七星:後日にしようと思ってたんですけどね。その場で、いいなと思うヤツを呑みに誘うかたちになりました。
——3次選考終了後に、そのままなだれこんだのですね?
七星:いや。3次選考が終了した段階ではまだ決定までは至ってなくて、そのあとgivesのプロデューサーで俺の友だちの憂也(ex.inc.RIBON)も入れて選考がてら呑んでたんですよ。で、その場のノリもあって「じゃあ、また何人か呼んじゃう?呼んで来んのやったら、そもそも今後もムリっしょ」みたいな(笑)
——とはいえ、皆さん一旦帰られていたわけですよね??
伊織:帰ってました。
那緒:家で呑みだしてましたよ(笑)
伊織:僕は「よし、疲れたし寝よう」ってなってたところでした。でも、呼んでいただけたのが嬉しくて行きましたね。
那緒:僕も、気付いたら行ってました。
七星:結局、その場ではたわいもない話ばっかりしてたんですけど、最後まで居続けたのがこのふたりだったんですよね。で、そこが最終的に「君たちとやろう!」って決めた瞬間だったんですよ。
——なんだかんだで、実質的な4次選考がそれだったのですね。
七星:そうなっちゃいました(笑)

いきなり逆境で地獄だな、とは思いましたよ(笑)

——メンバーが決定した後、そこから初めてこの3人での動きとしてやったことは何だったのですか?
七星:約1ヶ月後の4月6日に池袋EDGEでライヴをやることは決まってたんで、そこからはひたすら練習と曲作りでした。その時点ではまだ5曲くらいしかなかったんで、最低でも10曲には増やしたかったんですよ。そう思ってたら那緒も何曲か作ってきてくれたし、けっこう助かりました。詞も、那緒が自分で書いてるものや、3人で一緒に書いてできたものもあるんですよ。
——ソロプジェクトというテイではあるものの、givesの実態は限りなくバンドに近いと言えそうですね。そして、そんなgivesにとっての初ライヴ[2235g(帝王切開)]は、今般の社会状況をかんがみ無観客スタイルでの実施となりました。七星さんとしては、その事実をどのように受け容れられたのでしょうか。
七星:いきなり逆境で地獄だな、とは思いましたよ(笑)。でも、逆に始まりがコレっていうのは面白いかなと解釈したところもあるんです。それに、何時何が起きるかわかんないっていうことに関して言えば、別に今の状況だけに限らずいろんな事態っていうのが起こり得る可能性はあるわけですし。だったら、なんとか今やれることをやるしかないだろうっていう気持ちでした。

だったら、SMAPや嵐みたいなスタンスの方がいいなと思って

——その見事なポジティヴシンキングをもって、初ライヴ[2235g(帝王切開)]を成功させたgivesですが、こちらのライヴにおいては3ピース・3ヴォーカルという編成の利点が初回から随分と活かされていた点も印象的でした。やはり、V系界隈でこの編成というのは相当レアだと思うのですよ。
七星:せっかく新しいことを始めるわけだし、そこでありきたりなバンドを作っても面白くないですからね。それに、俺がソロでずっと歌い続けるっていうのもなぁ。誰が観たいの、それ?っていうのはあるし(笑)。だったら、SMAPや嵐みたいなスタンスの方がいいなと思って。
——SMAPや嵐とはまた言い得て妙ですね。メンバーそれぞれが異なる魅力と個性と芸を持っていて、なかおつそれが一丸となった時にはより強い表現力を放つことが出来る、という意味でしょうか。
七星:まぁ、大体そんな感じです。ギタリスやドラマーまで歌ってて、なおかつそれがイケメンだったら面白くないですか(笑)
——確かに(笑)
伊織:いやいやそんな(笑)
那緒:あはは(笑)

現代の音楽って、フィクションだらけじゃないですか(七星)

——しかも、givesの場合はMVにしてもアーティスト写真にしても、基本はニュートラルなテイストのヴィジュアルですものね。素材の良さがより引き立っている感じもするのですが、この見せ方の部分で七星さんが意識していらっしゃることは何かありますか。
七星:特にないんですよ。それぞれ好きなもん着て、やりたいようにやれば?っていう感じなんで。最初のうちは、それこそヴィジュアル系に見えないようなウラ張りの仕方をしようかな?と思ったりもしたんですけど、そうやってヘンに個性を殺すのもまた違うかなとなりまして。わりと全体的にカジュアルな雰囲気になってるのは、曲が曲だからっていうのが大きいんじゃないですかね。
——そもそも、givesはノークリック&フリーテンポでの生々しさあふれるライヴパフォーマンスを身上としておりますものね。音もヴィジュアルも、givesとして打ち出すものはノンフィクション的であるということになりますか。
七星:現代の音楽って、フィクションだらけじゃないですか。絶対に生では出せない音なんかも、簡単に作れちゃうし(笑)。クリックに縛られて音楽をやるっていうことに対しても、窮屈でつまんないなと思ってたところがありましたからね。俺は自由を求めてバンドやり始めたのに!って(苦笑)。そういう面で言えば、givesでやりたいのはノンフィクションな音楽なんですよ。だけど、フィクションの良さっていうのも当然あるわけで、そこの新しい境目をgivesでは見つけていきたいと思ってます。

日々givesが前に進んでいっているリアルなところも、皆に一緒に楽しんで欲しい(七星)

——たとえばノンフィクションのドキュメンタリー番組なども、編集の仕方やカメラのアングルなどよって、同じことを題材にしていても仕上がり具合は変わってくるのではないかと思います。このプロジェクトにおいては、givesという素材の持ち味をさまざまな方法論をもって引き出していこう、ということになるのでしょうね。
七星:うん、感覚としては近いです。以前にはメンバオーディションの様子とかの動画も出しちゃったりしましたし、日々givesが前に進んでいっているリアルなところも、皆に一緒に楽しんで欲しいんですよ。

こういうの聴いてみたかったな、って自分で思えるものが出来ました(七星)

——その点では、givesにとって初のアルバムとなる『帝王切開』の内容も、極めてリアルですし克明です。なんでも、このアルバムは4月6日のライヴが終わってからレコーディングをスタートされたのだとか。
七星:ちょうど緊急事態宣言が出るような中でね。スケジュール的にもそうだし、ほんといろいろヤバかったす(苦笑)
伊織:パツパツでした(笑)
——おそらく、レコーディングにおいても大事にされていたのはバンド感だったのではないかと思うのですが、録り方としてはどのような手法を選ばれたのです?
七星:もちろん、本当なら3人でスタジオに一緒に入って「せーの!」って一発録りしたかったんですよ。ただ、なんせ状況が状況でしたからねぇ。
——蜜を避けた、いわゆるフィジカルディスタンシングが必要だったと。
七星:えぇ。仕方なく一発録りは諦めました。でも、極力ドラムのテンポは伊織がライヴでやった感じを再現してくれたので、そこを活かしながら、それぞれで録っていきましたね。音数も敢えて少なくして録ってます。
——実に潔いですね。フェイクなしの体当たりなこの仕上がりは非常に新鮮です。
七星:ですよね!
那緒:ほんと新鮮だよね、っていうところに尽きると僕も思います。
伊織:(無言&笑顔で頷く)
七星:こういうの聴いてみたかったな、って自分で思えるものが出来ました。

スリーピースで、いろんな曲をやるっていうのは自分たち自身でも面白かった(七星)

——ただ、ここまで飾り気を削いでの実力勝負を挑むというのは、なかなかの勇気が必要だったのではありません?
七星:勇気は要ります、こういうの作ろうと思ったら。
那緒:音源とはいっても、このやり方だとゴマカシがほんまにきかないです。
——そのうえ、このアルバムは短期間での追い込み制作をしたとは思えないほど、楽曲面での品揃えも多彩です。動画が先行公開されていた「Theme song」や「 夢を見ている夢を見る」、タイトルチューンの「帝王切開」はいずれもメロコアや青春パンクの色合いを漂わせたものたちでしたけれど、まさかフォーキーな「グッバイグッバイ」や、「東京砂漠」のようなムード歌謡テイストのものまで収録されているとは、思いもしておりませんでした。
七星:意外とね、ああいうのも好きなんですよ(笑)
——かと思えば、少し懐かしいV系の香りが漂いつつ七星さんのスラップがハジける「夜戯両成敗」に、いなたいロックンロールチューン「イキり」、歌モノなメロコア曲「Rat!Rat!Rat!」、爽快感たっぷりなギターロック「星の王子」、トラディショナルパンクの面影が色濃い「punk is not dead」もアリと、このアルバムは本当に盛りだくさんです。ある意味、givesからのgiveが多過ぎるほどのアルバムですね(笑)
七星:スリーピースでいろんな曲をやるっていうのは、自分たち自身でも作ってて面白かったですね。ふたりはそこどう?
那緒:givesのメンバーになった時、既存曲としてあった5曲を聴いた段階で、僕もジャンルレスでいろんなことをやった方が面白くなるやろうなと感じましたからね。もともと自分はヴィジュアル系の前には普通のロックバンドもやってたし、ガレージロックとかも好きやったんで、3ピースでやれる曲を書ける自信はあったんです。だから、今この3人でやれそうなことをかたちにしてみたら、ほんまに枠にとらわれないものが出来たなと思ってます。先出ししている曲たちだけを聴いた時と、このアルバム全体を聴いた時では感じ方も違うと思うんで、そこもgivesの面白さやと思います。
伊織:3人の持っているカラーを、いろんなかたちで出せたアルバムに仕上げられたなという手応えは僕も感じてます。このアルバムには、個々のソロ曲も入ってますしね。

ここから成長していける余地はまだまだあるなと思ってます(七星)

——七星さんが「東京砂漠」を、那緒さんが「Stench」を、伊織さんが「星の王子」をソロで歌われていらっしゃいますので、これらも間違いなく大きな聴きどころですね。
伊織:3人で入り混じって歌ってる曲も楽しいし、個人的にはどの曲もドラムしながら歌ってるんやで、っていうところは自慢しておきたいと思います(笑)
——七星さんの場合、今回のレコーディングで歌に関してはどのくらいの手応えを感じられました?
七星:良い勉強になりました(笑)。歌って難しいんだなとやってみて感じたこともたくさんあるし、「東京砂漠」なんかに関しては、あれをかたちにしたことで、やっと歌の差し引き?を覚えだしたところもあります。デフォルメしていくことを覚えだした、とも言えるのかな。givesは3人とも、いわゆるヴォーカリストではない人間ばっかりですからね。これからどうなっていくかはわからないけど、それだけにここから成長していける余地はまだまだあるなと思ってます。
——ところで。「Thema song」については、東京都が新型コロナウィルスの感染拡大を受けて始動させたという芸術文化活動支援事業【アートにエールを!東京プロジェクト】への応募曲にもなっているそうですね。その試みをすることになった経緯は、どのようなものだったのですか。
七星:今ちょうどそれ用の動画を作ってるとこなんですけど、ファンの皆に素材を募って共同制作っていうかたちにしているので、そういうのをやてみる切っ掛けとしてこの都のプロジェクトを利用させてもらいました。これも要は、今だからこそ出来る新しい試みってことですね。

今回のアルバムに入れた言葉はどれもリアルな自分です(七星)

——そんな中、アルバム『帝王切開』のラストを締めくくるのはタイトルチューンである 「帝王切開」です。こちらは曲調の面でも率直な強い力を放っていますし、歌詞の面でもメッセージ性が凝縮されているように感じます。これは今、七星さんの言いたいことと伝えたいことが詰め込まれたものだと解釈しても宜しいでしょうか。
七星:この詞は3人で書いたものなので、別に俺だけの気持ちが入ってるっていうわけではないですけどね。でも、生と死みたいなテーマは常々アタマのどこかでは思ってきたことではあって、そこがこの渾沌とした時代に妙にハマってしまったというか。そういうところはあると思います。
——きっと、〈死にたくなる日もあるだろう〉〈不器用な生き方でもいいんだよ〉といった言葉たちには励ましや癒やしを感じてくださる方も多いのではないでしょうか。
七星:そうだったら嬉しいです。それ、どっちも俺が発案したフレーズだし(笑)
——これらの言葉は、外に向けているものであると同時に、ご自身に向けているところもあったりはしますか?
七星:そうですね、そういう面もあります。この曲に限らず、今回のアルバムに入れた言葉はどれもリアルな自分です。
——では、そんなこのアルバムに『帝王切開』というタイトルを冠した理由は何だったのでしょう。
七星:早さじゃないですかね。時期尚早で生まれたもの、ていう意味で。
——あぁ、そういうことだったのですね。
七星:普通だったら、もっと準備して時間かけるっしょ?っていうはずのことを、こんな状況の中で急いじゃったわけですから(苦笑)。計画出産ではないんですよ。
——そこも、まさしくドキュメントなタイトルなのですね。
七星:そういうことです。givesではカッチリと台本を固めたうえで映画を撮りたいわけじゃないし、かといってただの撮って出しをしたいわけでもないから、ドキュメント映像を素材にしながらドキュメント映画って言えるレベルのものは作ってます。そして、今回は早く生まれそうだったから帝王切開しちゃいましたよ、ということですね。

普通にライヴがしたい。どんなかたちでもいいから、やれるならやりたいですよ(七星)

——さて。アルバム『帝王切開』の完成をもって、ここからgivesはあらたな日々を迎えていくことにもなりますが、最後に皆さまから読者の方々へのメッセージもお聞かせいただけると幸いです。
七星:とにかく、早くライヴがしたいです。普通にライヴがしたい。どんなかたちでもいいから、やれるならやりたいですよ。いっそ、アコースティックとかアンプラグドみたいにやるとかでもいいんじゃないですかね。あとは、ネットを使ってやれることがあるならそれもどんどんやっていけばいいし。まだ何時になるとか明確なことは言えないですけど、それでも必ずライヴはするので。その日を待ってて欲しいです。
伊織:まずは、アルバムを聴き込んでもらえると嬉しいなぁと思います。ライヴはまだ今すぐは出来ないですけど、そのぶん家で楽しんでください。
那緒:絶対これ、聴いてたらライヴに行きたくなると思うんですよ。こっちもしたいのはやまやまなので、なんとか生でやれる環境を作っていくように僕らも頑張るので、もうちょっとだけ待っててもらいたいです。
七星:あとそうだ。時間あるんだから、聴きながらコールを練習しとけ!って書いといてください(笑)
ベル
gives

- 2020年1月
R指定 Ba.七星ソロプロジェクト『gives』発表。

- 2020年2月
 メンバーを一般公募にて募集
 オーディションを開始

- 2020年3月
 厳正なる審査の上メンバー決定
 Gu.那緒(exてんさい。) / Dr.伊織(ex悪者)となる

- 2020年4月
 SOLDOUT公演ファーストワンマンライブ
 池袋EDGE、コロナウイルスの影響にて無観客ライブ(配信)となる
 同時に3ピース3ボーカルバンドであることを発表。

- 2020年5月
 ファーストアルバム【帝王切開】リリース

RELEASE
gives 1st ALBUM『帝王切開』
2020年06月10日(水) RELEASE!!

BAKA-001 / ¥3,300 (Tax in)
[CD]
1. Theme song
2. 夢を見ている夢を見る
3. 夜戯両成敗
4. イキり
5. Rat!Rat!Rat!
6. グッバイグッバイ
7. 東京砂漠
8. 星の王子
9. Stench
10. punk is not dead
11. 帝王切開

LIVE SCHEDULE
1st LIVE -2235g(帝王切開)-
2020年06月05日(金) 池袋EDGE

<2020年4月6日(月) 振替公演>
OPEN 17:30 / START 18:00
詳細後日解禁

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