2020.01.22 RELEASE
ベル / MINI ALBUM 『解体新書』 - SPECIAL INTERVIEW
新体制となり、心機一転のベルが1stミニアルバム『解体新書』をリリースする。

ハロ、明弥、正人の3人が熱烈コールを送ったギタリスト、ルミナが加入し、昨年の10月に現在の4人となった彼らだが、メンバー脱退の危機と葛藤を乗り超えた果てに生まれたのは新しいバンドを始動させるときに匹敵するぐらいの熱い気持ちだった。

リリースに先駆けてお正月の1月3日に開催されたプロモーション企画(東京オリンピックのマラソンに予定されていたコース、42.195kmを4人がファンの応援リツイートに支えられ走りきる)もいまのベルのやる気スイッチを物語る。
彼らはどんな過程を経て、いまに至ったのか?

2019年を振り返り、いまの心境を語ってもらった。

取材・文:山本弘子

『ルミナに絶対、入ってほしかった』

——まず最初にベルが新体制になるまでの出来事をお聞きしたいのですが、ギターのルミナさんが加入されたのが2019年の10月ですよね。
ハロ:ええ。いきさつとしては前のギタリストが2019年の2月に脱退の申し入れがあったんですが、僕たち3人はまだまだベルを続けていきたいという意思があったんです。当初はサポートギタリストを迎えて3人で活動していたんですが、メンバーと話し合ってギターを入れようということになり、けっこう長い期間、探していたんですけど、あるとき僕が以前所属していたレーベルの後輩で7年ぐらい前から知っているルミナはどうだろう?ってピンときて。そのあと3月に対バンする機会があったんですよ。
明弥:その頃、ルミナは前のバンドをやっていたんです。
ハロ:対バンしたときに軽く話をして、のちにメンバーにも彼のバンドのライブを見てもらったら「いいギターだね」っていうことになったんです。ただ、バンドに所属しているのでガンガン誘うわけにも行かず、連絡だけはコンスタントにとっていたら、ルミナから“バンドが解散することになりました”という連絡が来たので「これは運命だ!」って。
明弥:「もう行くしかない!」って。それまでは女のコに告白するような気持ちでラブコールを送り続けていたんです。バンドが解散していなくても引き抜きたいぐらいのギタリストだったんですけど、それもなかなか難しいので導かれるように。またルミナが曖昧なそぶりを見せる罪な男なので(笑)。
ハロ:「曲は大好きです」って言うんだけどね。「曲だけ?」みたいな(笑)。
明弥:真面目な性格なので「いったんバンドが終わってから冷静になって考えたい」って言われて。
正人:僕らも人生賭けてやっているので、何としてもルミナに入ってほしいと思っていたんですよね。
——そんな熱烈な誘いを受けてルミナさんはどんな返事をしたんですか?
ルミナ:それまで美味しいゴハンとか食べさせてくれて。
明弥:まず胃袋をつかまないとって(笑)。
ルミナ:お通しがオシャレな居酒屋さんとか。最終的に返事をしたのは8月で、そのときはお寿司をごちそうになったんです。だけど、なかなか切り出してこなかったので。
明弥:僕らも緊張してたんですよ。お店に入ってすぐに「今回は見送らせていただきます」って言われたらイヤじゃないですか?
ハロ:そしたらもう食べられなくなるから(笑)。
正人:まずは夢中になって食べて「サーモン美味しいね」とか。
ハロ:ホントに返事を聞くのが怖かったんですよ。お寿司食べに行く前に練習スタジオに入ったんですけど、顔に出ないので「そのときに言ってくれよ」って思いました(笑)。
正人:言わなくてもだいたい空気でわかるじゃないですか?ホントにわからなかったんですよ。
ハロ:もともとルミナは実のお兄ちゃんとバンドをやっていたんです。お兄ちゃんはバンド人生最後にするって決めてやっていたから、引退したのも大きな出来事だったんじゃないかな。兄弟同じギタリストっていう安心感もあっただろうし、ベルに入るとギター1人なので重責があったんじゃないかと。
——加えて途中加入する重責もありますよね。
ハロ:そういうのもあって悩んでいたんだと思います。
ルミナ:僕も解散したらバンド人生は終わりにしようと思っていたんですが、誘ってもらって……。最初は「とりあえずスタジオに入ってみよう」ぐらいな気持ちだったんです。
正人:5回ぐらい入ったよね。
ルミナ:はい。そしたら、だんだん楽しくなってきて「ここでやめるのもったいないな」って。明弥さんにも「やめられないよ」って言われて。
明弥:(笑)そんなこと言ったっけ?
ルミナ:「確かにやめられないな」って。
明弥:年齢的にも若いし、全部やりきっての解散ではなく、まだ心残りがあるって言っていたので「やれるところまでやってみればいいし、まだ全然できると思うよ」って。ギタリストとしてもアーティストとしてもまだまだ伸びしろがあると思っていたので。
——一緒に音を出して楽しかったのとベルの楽曲に惹かれていたのが加入の決め手だったんですか?
ルミナ:そうですね。
明弥:お寿司食べ終わって「今日のスタジオで今後のヴィジョンとか見えた?」って聞いたら、「入ります」って(笑)。
ハロ:めっちゃ、あっさり答えたんですよ。
明弥:嬉しかったですね。
——そんなルミナさんのギタリストとしての魅力は?
ハロ:僕は単純に華があるギターだとずっと思っていて。
明弥:華もあるし、なんかガツガツしてるんですよ。いろいろやりたいことがあるんだろうし、未完成なのがいいなって。
正人:「こういうギタリスト目指してるんだろうな」っていうのが見ていてわかるんですよね。ライブでギターなのにいちばん前にいるような印象を受けて、そういう派手なギターってウチにない部分だったので、より入ってほしいという気持ちが強くなりましたね。
ハロ:ルミナの前のバンドのワンマンを明弥と見に行ったことがあったんですが、明弥はライブを見て「絶対に入れよう!曲、書くわ」って。
明弥:その日の夜にすぐ曲を書きました。
——その曲、今回のアルバム『解体新書』に入っているんですか?
明弥:残念ながら、入ってないです(笑)。
ハロ:いつか形になると思います。

『歌謡ロックを軸にもっと熱いライブをやりたいって。』

——では新体制になって変化したことと変わらないことは?
ハロ:僕たちは“歌謡ロック”を軸にずっとやってきたんですが、その根本は変えるつもりはなく、ライブを変えようと思ったんですよ。ルミナが加入する前にサポートギターでツアーを廻っていたときから、熱いライブをお客さんと作っていきたいと思っていたので、ルミナが入って「もっとガツガツした泥くささをライブで出していきたい」って。新体制になってから「ベル、すごく変わったね」って言われるようになりましたね。
——結成5年でギターが脱退という節目があったことで3人の中にも危機感だったり、違う意識が生まれたのでは?
ハロ:危機感は全員にあったと思います。4年続けた時点で、楽曲的にもやりたいことを表現できるようになったし、なんとなくこのまま続いていくんだろうなっていう意識が各自にあったと思うんです。でも、ひとつピースがなくなったときに「なんで俺はバンドを続けるんだろう」、「なぜベルなんだろう?」ってみんな考えたと思うんですね。そういう意味でよりバンドに対する想いだったり危機感は強くなりましたね。
——ミニアルバムを『解体新書』と命名したのはなぜですか?
ハロ:いろいろな解釈があって俺はいいと思っているんですが、お客さんを不安な気持ちにさせて、新たな体制になって僕からしたら新しいバンドのような気持ちもあるので、1枚で新体制のベルが伝わるものにしたいなって。それゆえにミニアルバムなのに8曲というヴォリュームになってしまったんです。
——これまでのベルとの違い、挑戦したことについて教えてください。
明弥:メロディのキャッチーさ、サビにフックがあるのは今までのベルと変わってないと思うんですが、曲の構成やテンポチェンジはひとクセもふたクセもあると思います。ベルってJ—POPの王道というか、Aメロ、Bメロ、サビみたいな構成の曲が多かったんですけど、そういう法則をとっぱらってみた曲があったり。中でも「メーデー」はメロディも少ないし、ダークな曲で。
ハロ:いまの時代ってSNSひとつとってもコミュニティや世界がいくつもあるじゃないですか?年々、居場所の定義が難しくなっている気がするんですよね。心のバランスがとりにくくなっているというか。そういうことを前から書きたかったんですが、今回、明弥からドンズバな曲が来たので歌詞は楽しみながら書けました。
明弥:「こういう曲がベルだよね」っていうイメージを壊してみたかったんです。それが『解体新書』というタイトルにも繋がっているし、楽曲の特色でもあるのかなと思います。
——例えば「fake show」のようなテンポの速い曲はどうですか?
明弥:アッパーな曲はありましたけど、途中でテンポが変わる部分はいままでにないアプローチですね。
ハロ:ヴィジュアル系のバンドって“ここはお客さんをノセるゾーン”みたいなセクションを作ったりしますけど、ベルの間奏はサビを際立たせるため。物語を作るような作風だったので、そういう意味では挑戦ですね。歌詞には“ノアの方舟”とか聖書の引用が出てくるんですけど、“7日で世界の姿を変えてしまおう”っていうのは、結局、自分の世界を変えないと何も変わらないっていう想いを込めてます。この曲は叱咤激励のメッセージですね。
明弥:ベルの歌詞はいままで男女の恋愛ものが多かったんですが、今作は少ないのでそれも挑戦ですね。ルミナが入ったことがいちばんデカいと思うんですけど、出来上がった曲たちを聴くと「これもベルだな」って。
正人:選曲会のときに「この曲はないだろう」っていう意見が全く出なかったんですよ。ベルをより良くするために「こういう曲も選んだほうがいい」っていう意見が一致したアルバムだと思います。攻撃的な曲や暗い曲もこれからのベルに必要だったので。
——それも今後のベルのライブを想定してのことですか?
正人:そうですね。今作をそのままライブのセトリにしても成立する曲順で、楽曲の幅があると思っています。
——「花一匁」は正人さんが作曲していて、ドラムがフィーチャリングされていますが、どんなイメージで書いた曲ですか?
正人:冬だけど、ちょっと暑苦しいのもアリかなと思って書いた曲ですね。明弥が作る曲にはないドラムのパターンにしたいなと思ったんですけど、お客さんにとっては聴きなじみのあるリズムだと思うので、ライブのノリを想像しながら聴いてもらえたら嬉しいですね。
——「平行線」は明弥さんのベースが際立っていますが、リズムセクションとしても1度3人になったことで変化が生まれたのでは?
明弥:「平行線」はAダッシュのリズムがベースとキックがピッタリ合っていて気持ちいいですよね。
正人:ルミナが加入する前はずっと3人で音を合わせていたので、毎日、一緒にいたんです。「これから頑張らなきゃいけない」っていう共通した想いは表情や行動でも伝わるので、そういうところが音に出ているのかなと思います。サポートを迎えてのツアーでもリズム隊だけのセッションをしていたので。
——より結束が強くなったんでしょうね。ルミナさんは初参加のアルバムをどんなふうに捉えていますか?
ルミナ:純粋に全曲カッコいいし、自信があります。僕が作曲した「透明。」という曲も収録(左脳盤)されているんですが、前のバンドではライブでやる曲を作っていたぐらいだったので自分の曲がCDに入るのは初めてなんですよ。僕的にも思い入れがあります。
——オリジナル曲が初めてCDになるって嬉しいですよね。
ルミナ:そうですね。ギターに関してはいままでのベルにはスタイリッシュなイメージがあったので明弥さんと相談しながらベルっぽさをなくさずに自分なりのギターを弾こうって。
——明弥さんとやりとりしてギターを考えていったという話が出ましたがリード曲の「愛と免罪符」はイントロのギターのフレーズからして哀愁があって、ベルらしい歌謡なメロディの曲ですよね。
ルミナ:「愛と免罪符」は明弥さんのデモに入っていたフレーズを弾いたんです。
明弥:自分はデモにギターも全部入れちゃうんですが、イントロの泣きのオブリ、チョーキングも歌謡っぽいなって。ただ楽曲的には疾走感があってハードな部分もある曲なので、基本はルミナの弾きたいようにって。

『今作は男女の恋愛より自分の葛藤を表現した攻めの曲が多い』

——では、これまでのベルにいちばん近い曲というと?
明弥:「嘘」という曲はベルの真骨頂だと思います。「愛と免罪符」はイントロからギターがメインですけど、「嘘」はメインがシンセでギターはバッキングという立ち位置で4つ打ちだし、いちばんベルらしいかなって。いちばん攻めているのは「アイデンティティー」と「メーデー」かな。
ハロ:その2曲は攻めてるね。
明弥:MVを撮るときも「嘘」にするか「愛と免罪符」にするのか考えて、「嘘」ならいままでのベルのような綺麗な映像が撮れるだろうけど、「愛と免罪符」はベルにしてはハードな曲で新しさもあるし、映像のヴィジョンも見えていたので演奏シーンを倉庫で撮ったんです。
ハロ:倉庫に水を撒いて照明をたいてムービング使って回転するようにして、映像もこれまでよりハードなイメージですね。
——これまでのベルのレトロな世界観とは違いますよね。
ハロ:1年前だったら倉庫で撮るなんて言わなかっただろうし。
明弥:そうですね。ハウススタジオで撮影することが多かったし、歌詞もドラマティックだったのでエキストラさんに出てもらったりしていたんですけど、今回はメンバーのみのMVになっています。
——ハロさんに歌詞についても聞きたいんですが、最初に聴いたときは“崩壊と再生”がテーマなのかなと思ったんですよね。
ハロ:全体のテーマは意識してなくて、書き方も変えてはいないんですが、出来上がった歌詞をあらためて見ると自分の葛藤を描いた曲が多いなって。さっき明弥も言っていたようにベルは男女の恋愛を描くことが比較的多かったんですが、今作では自分と向き合ったり、誰かを励ましたいと思って書いた詞が多いんじゃないかなと思っています。
——いままでより素のハロさんが出ているということですか?
ハロ:そうですね。以前はフィクションを書くという意識が強かったんですが、結果、自分の中にあるノンフィクションが出ているなって。「透明。」や「メーデー」は特にそうですね。
——「メーデー」は内省的ですが、“誰かの所為にしてみたって何も変わらないんだろう”と歌う「透明。」には救いも感じられました。
ハロ:救いでもあるんですけど、葛藤していた時期に思っていたことをひたすら詰め込んだので、その頃のことを思い出すと辛いなって。「透明。」には3人だったときのことやルミナがバンドが解散したときの想いだったりも込められたかなと思っています。全体的にはライブ曲が多いので攻撃的な歌詞が増えたのが変化ですね。
——自分の中を掘っていく作業でもあったんですね。
ハロ:自分の中も掘ったし、いろいろなことを調べました。それで自分の世界も広がったと思っているし、早く全曲、聴いてほしいですね。

『2020年をすごい年にするための一発目のツアー』

——『解体新書』のリリースに先駆けて、東京オリンピックで選手が走る予定だったマラソンコースをアルバムの宣伝をしつつ、メンバーがペアを組んで走るという企画も開催されましたが、3月からは新生ベルとして初のワンマンツアーが行われますね。ツアータイトルを「4カウント」にした理由というのは?
ハロ:タイトルにはいろんな意味があるんですが、「愛と免罪符」がベルにしては珍しい(ドラムの)4カウントで入る曲なので、いちばんは「ここから新しいベルが始まるよ。攻めていくぞ」という想いをこめて。それと4人という意味でもありますね。
ルミナ:作品を持ってベルのメンバーとして廻るワンマンツアーは初めてなので「新生ベルはこういうライブをするんだ」っていうものを早く見せたいですね。そこでお客さんを増やして、どんどん上に行きたい。加入したからには結果を出したいですね。
——ルミナさんはポーカーフェイスだけど熱いんですね。
明弥:熱い男です(笑)。今作はライブが見えるような曲が多いので過去のベルを知っている人にとっても「こんな感じになったんだ」って新鮮に感じてもらえるんじゃないかと思います。自信を持ってやっているし、現状に満足はしていない。止まっていられないのでしっかりいまの自分たちを伝えていきたいと思っています。
正人:東名阪ツアーまではまだ時間があるのでしっかり曲を聴きこんで見に来てほしいですね。CDは完成したけれど、ライブとしての『解体新書』はまだ完成していないのでみんなで一緒に作っていきたいですね。
ハロ:いろいろな企画や次の展望も考えているし、周年のライブもソールドアウトさせたい。そのための一発目のツアーでもあるし、2020年はすごい1年にしようと思っています。
ベル
ベル

2014年9月結成。
2019年10月より、Gt.ルミナが加入。
新体制ベルがスタート。
メンバーは、ハロ(Vo)、ルミナ(G)、明弥(B)、正人(Dr)。

RELEASE
ベル 『解体新書』
2020年01月22日 RELEASE / 新体制 1ST MINI ALBUM

【右脳盤(CD +DVD)】
S.D.R-356-A / ¥2,800(+Tax)
[CD]
1.愛と免罪符
2.アイデンティティー
3.平行線
4.メーデー
5.花市匁
6.fake show
7.嘘
[DVD]
愛と免罪符 MV +メイキング

【左脳盤(CDのみ)】
S.D.R-356-B / ¥2,500(+Tax)
[CD]
1.愛と免罪符
2.アイデンティティー
3.平行線
4.メーデー
5.花市匁
6.fake show
7.嘘
8.透明。

LIVE SCHEDULE
明弥バースデーワンマン「HAPPY BOY6」
2020年02月2日(日)西川口Hearts

OPEN 17:00 / START 17:00
前売 ¥3,500 /  当日 ¥4,000

東名阪ワンマンツアー「4カウント」
2020年03月20日(祝・金) 心斎橋VARON
2020年03月22日(日) 名古屋ell.SIZE
2020年03月28日(土) 池袋EDGE

OPEN 17:00 / START 17:00
前売 ¥3,300 /  当日 ¥3,800 (各D代別)

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