2020.01.07
Ricky / NEW ALBUM『R☆LITERACY』
- SPECIAL INTERVIEW
10年という歳月を経てなお、RickyはいまだにHYPER NEO SOLOISTとしての在り方を追求し続けているのだという。

前作『R☆MY WORLD』から実に5年半。そして、ソロデビューからは10年。また、今年はアーティストとしての20周年も迎える彼が、DASEINとしての活動などとも並行しながらここに完成させたのは『R☆LITERACY』というタイトルを冠した大作だ。

2017年には声帯手術という難関も乗り越えたうえで、Rickyが得た“気付き”の数々が歌や歌詞に集約されている今作は実に深く、それでいてたくさんの楽しさにも満ちあふれている。

2月から始まるソロツアー[THE.☆CON-10-PORARI☆CKY」~我がため 誰がため 君がため~]においても、きっとHYPER NEO SOLOIST・Rickyならではの異次元世界がビビッドな色彩で具現化されていくに違いない。

取材・文:杉江由紀

今回のアルバムは、僕が情報をまとめた
“まとめサイト”みたいな内容になってるんじゃないかな

――今回のソロアルバム『R☆LITERACY』は、音の面はもちろんのこと、アートワークの面でもスペイシーで近未来感の溢れるものに仕上がっている印象がありますね。
Ricky:ある意味、今回は原点に還った感じがあるかもしれないです。もともと、僕はDASEINのヴォーカリストとしてデビューした当時から宇宙人でしたしね(笑)。ただ、ソロの場合はこれまでわりとナチュラルな雰囲気を意識してやって来ていたところがあったんですけど、今回のソロアルバムに関してはテーマとして“地球のいろんな情報を集める宇宙人”というのをイメージしていたので、ジャケットとか写真もこういう感じになりました。
――その“地球のいろんな情報を集める宇宙人”というテーマ自体を、このたびソロで追求していくことになった理由や切っ掛けとは、そもそも何だったのでしょうか。
Ricky:単純に、ソロとして活動してきたこの10年の様々な経験の中で学んだり気づいた事がすごく多かったので、このアルバムのタイミングでできる限りアウトプットしてしまおうと思ったんですよね。今回のアートワークに関しても、そのテーマを表現していくうえでWING WORKSのRYO:SUKEくんに協力してもらっていて、この写真で光っているレーザーとかも最近レーザークリエイターとしての活動も始めた彼にお願いしてやってもらいました。2019年にやったソロライヴの時のレーザー演出も、RYO:SUKEくんがやってくれたんですよね。
――その点ではRYO:SUKEさんとのコラボ作品でもあるのですね、今回のアルバムは。
Ricky:アートワークの面でいえばそうですね。彼とは昨年リリースした先行シングル(2019年8月発売『O.1.O~Only One Ocean~』)の時から、タッグを組ませてもらってます。
――そうした視覚的なイメージもさることながら、今回のアルバムではリードチューンである「キミリテラシー」をはじめとして、EDM的な要素などデジタル色が色濃く取り入れられているように聴こえます。
Ricky:ソロを僕ひとりでミニマルにやっていた頃は、EDMみたいなアゲアゲな感じはほとんどなくて、むしろデビューシングル(2009年4月発売『唯我独SONG』)なんかはヒーリングミュージックに近いようなものだったりもしたんです。でも、そこからだんだんとアッパーな曲も増えてきていた中で、特に今回はアレンジャーをやってくれている巧くんがデジタル的なアプローチを好む人なのもあって、わりとビビッドなニュアンスが強くなったところはあるのかな。まぁ、でもいわゆるEDMとはちょっと違うのかなと僕は思ってます。
――確かに、ベタなEDMとは明らかに一線を画しているのは間違いありません。アルバムの中にはさまざまなタイプの楽曲が収録されていることもあり、それぞれに方向性は違えど、全てが良質なデジ寄りポップロックミュージックとして仕上がっていますものね。
Ricky:1枚を通して、そこはトータリティを出したかったので意識してました。全曲一貫してエレクトロサウンドが土台となり、曲によっては手弾きのギターやピアノが入ったりと、どちらの良さも引き立て合う感じになっていると思います。
――今作はRickyさんにとってソロ活動10周年を記念する作品にもなっているわけですが、アルバムに入れる楽曲たちを揃えていく段階で、Rickyさんがほかにも留意されていたことはあったのでしょうか。
Ricky:これまでにシングル曲として出したものと、カップリングとして出したものが計5曲入っちゃってる半分ベストみたいなところもあるんで(笑)、未発表曲は7曲になるんですけどね。でも、今回はその中に提供曲がいろいろあったりもするので、それを1枚のアルバムとしてまとめていくにはどうしたらいいのか、ということはまず考えました。あとは、やっぱり歌詞ですね。歌詞については、この10年で培った多くの経験を活かしながら、僕なりのメッセージを込めていくようにしました。そこはこのアルバムを作っていくうえで、ひとつの軸になっていると思います。
――『R☆LITERACY』というこのアルバムタイトルが、いかにして冠されることになったのかというお話は、その詞を書くうえで大事にされていたというメッセージ性の部分と、かなり密接につながっていそうですね。
Ricky:えぇ、そうですね。それに、“リテラシー”ってなんか今っぽいじゃないですか(笑)。最近、ネットリテラシーとか情報リテラシーっていう言葉は良く聞くし。
――既に2000年前後から一部では注目されていた言葉ではありますが、このSNS全盛時代の今となってはネットや情報に触れる機会のある全ての人々にとって、非常に重要となって来ている言葉であるのではないかと思います。
Ricky:僕もなんとなくは知ってたんですけど、今回はあらためて言葉の意味をちゃんと調べたんですよ。これは僕なりの解釈にはなりますが、リテラシーとは、自分自身が既存の様々な情報と向き合った際に、どんな角度から分析して取捨選択をして、最終的に自分に必要な情報だけをインプットする。そしてその中で誰かに伝えたいと思った情報を自分なりの正しい言葉で発信する、そういった一連の情報処理能力のことなんだと。そして、歌詞を作るということ自体も実に“それ”だなって思ったんです。
――なるほど、言い得て妙ですね。
Ricky:アーティストって、自分なりに情報や経験を得るところから始まって、それに対して自分がどう感じたのか、どう思ったのかということを作品にして、外に向けて伝えていく立場にあるわけなんですよ。そういう意味では、今回のアルバムは僕がこの10年で収集した情報の“まとめサイト”みたいな内容になってるんじゃないかなと思います。「キミリテラシー」なんかはまさにそれを歌ってますね。
――この曲は〈僕は生きるキュレーションサイト〉ですとか、〈僕は歌うキュレーションサイト〉といった歌詞が実に印象的です。
Ricky:そうそう。独自のルートで情報を獲得して、皆におすすめしたいものを自分のセンスで提供しています、っていう(笑)。自分にとっては、それが音楽というか作品そのものなんですよ。もともとスタンスとしてはずっとそうではあったんだけど、敢えて今回はそこをさらに強調してみました。
――ところで。Rickyさんは現在ソロ活動と並行しながらDASEINでも動かれていらしゃいますし、さらにはRIDER CHIPSのフロントマンでもあられます。過去にはR*A*Pや、THE MICRO HEAD 4N’Sでもヴォーカリストをつとめられていたことがありましたけれど、今さらながらにあらためてうかがいたいことがあるのです。今現在ご自身にとってのソロ活動とは、どのような場であるとの定義をお持ちなのでしょうか。
Ricky:んー。どういう場なんでしょう…「ソロでは一番やりたいことをやってる」と言っている一方で、時間的な配分としてはDASEINの方の割合の方が多かったりもするし。それに、僕の根源がどこにあるのかと言ったらそれはやっぱりDASEINだなとも思うんですよね。RIDER CHIPSはヒーロー物、っていう縛りもありますし(笑)。DASEINはDASEINで、コンセプト性が強いバンドなので、ソロに関しては言葉にするなら“自分を浄化する場”かなぁ。自由にやりたいことや、言いたいことを形にすることで、ある種のカタルシスを得ることが出来る特別な場になっているような気がします。特に、歌詞を書くうえで言葉の使い方が凄く自由です。
――言葉が自由であるということは、それを歌として表現していく際にもソロならではの感覚がある、ということになりますか。
Ricky:確かにRIDER CHIPSとは明らかに違う感覚はありますけど、距離感的にはDASEINとそんなに遠いわけでもないんですよ。大ざっぱに言うと、JOEがいるか・いないかの差ですかね(笑)。あとは、バンドじゃないっていうところでソロではソロでしか出来ないことをやれる面白み、というのを感じながら歌うこともあります。けっこうね、自分にとってはソロが良いお試しの場になっているところもあるんです。
――実験的なことが出来るわけですね。
Ricky:物理的なことだけで言っても、DASEINではそもそもドラムを打ち込みにすることは出来ませんからね。それが出来るっていうだけでも、大きな違いだったりしますよ。
――昨今は、なんならバンドであってもレコーディングではドラムは生録りせずに打ち込みでまかなってしまう、というケースもそこそこあるようですしねぇ。
Ricky:まぁ、打ち込んで切り貼りしちゃった方がラクはラクですし(笑)。昨今はそういうテクノロジーを駆使して音楽を作るケースも多いとは思うんですけど、僕としてもそういう生では出来ない音楽っていうのもやってみたい気持ちがあるので、今回のソロアルバムではそこも思い切りやることが出来ました。
――生ドラムを背にして歌う時と、そうではない時の歌。この2点を比べた時の大きな差とは、Rickyさんにとってどのようなものになるのでしょうね。
Ricky:DASEINの場合はJOEのドラムがとにかくハンパじゃないんで、生ドラムじゃない時は相当スッキリしてますよね(笑)。とはいえ、打ち込みだからといって物足りない感じが出てしまうのはどうかと思うので、そこはバランスを考えなきゃいけないところでもあるんです。そして、アルバム自体はほぼ打ち込みで作ってありますけど、ライブではこの曲たちをバンドで表現することもあって、実際に2月からのツアーではギターの刻くん(ex.BFN)、ベースのYUCHIくん(sukekiyo)、ドラムのばるくん(DuelJewel)に入ってもらうことになってますし、曲によっては打ち込み+生楽器というスタイルで演奏する事になるので、きっとまた音源とは違ったアンサンブルが生まれていくことになるでしょうね。僕にとってはそういう違いをそれぞれで楽しむのも、面白いことなんです。
――だとすると、ことレコーディングに関しては当たり前の話ではありますけれども、相当に歌そのもので勝負をしていく必要があったわけなのですね。
Ricky:はい。ソロでは生楽器が少ないぶん特にそういう気持ちで臨んでいます。もちろん今回のアルバムでもコーラスワークだったり声のエディットだったり、場面によって声色を変えたりなど、歌で魅せるという部分はかなり意識していますね。
――しかも、今作は曲調の方もかなり多岐に渡りますものね。ひとつには、先ほども少し話題に出た提供曲が数曲入っているということも影響しているのではないかと思われますが、個人的にはTHE MICRO HEAD 4N’Sのkazuyaさんが「闇の世界 ~Light to Light~」を書かれているという点に、非常に胸熱なものを感じてしまいました。
Ricky:いやー、これは僕にとっても凄く感慨深いことでしたねぇ。ほんと感謝ですよ。
――経緯としては、Rickyさんの方からkazuyaさんにお願いをされたのですか?
Ricky:今回のアルバムを作ることになった時に、僕がこれまでリスペクトしてきたアーティストや、お世話になってきたアーティストの方たちに声をかけさせてもらったんですよ。ただ、kazuyaとはTHE MICRO HEAD 4N’Sを僕が脱退した時に一回は別れてるわけですからね。その彼にこうして曲を提供してもらえたというのは、僕も我ながら凄いことだなと思いましたね。僕は彼の書く泣きのメロディ、中でも特にバラードのメロディが当時から好きだったので、今回は「バラードをお願いします」と指定させてもらいました。そして、僕はその曲に歌詞で応えさせてもらったんです。
――ということは、これはもしや…
Ricky:THE MICRO HEAD 4N’Sには、「光の世界」っていう曲があるじゃないですか。この曲ではその逆で、「闇の世界 ~Light to Light~」っていうタイトルにしたんです。
――〈ふたつに 分かれた未来 違う場所で 同じ夢を見てる〉というこの曲の歌詞には、そのような意味があったのですね。
Ricky:「光の世界」、引いてはTHE MICRO HEAD 4N'Sそのものに対するアンサーソング的な感覚で書きました。〈終わりの始まり〉っていうフレーズも、マイフォを象徴するフレーズですし。凄く思い入れの強い曲になったので、可能性としてはこれが今回のアルバムのリード曲になることも充分にあり得たくらいです。
――闇の世界、というメインタイトルだけに注目しているうちは「もっとダークな曲なのかな?」とも予測していたのですが、この曲の中で響くRickyさんの歌声と、ここに込められている歌詞の内容にふれたときには、何故ここに“~Light to Light~”というサブタイトルが付けられることになったのか、という理由がよくわかりました。
Ricky:闇を強調することで、見えてくる光があるというか。そういう雰囲気を、この曲では皆に伝えたかったんです。それにね、今って皆わりと病んでません?僕もそういうところが多少あるなと思うんですけど(笑)

良くも悪くも自分から動き出さなければ、何も変わらない

――SNSが発達しすぎたせいか、承認欲求をこじらせ過ぎてしまった人をはじめとして、その逆に人目や人の意見がやたらと気になってしまう過敏な人や、ついつい誰かのキラキラ系なインスタと比べて自己嫌悪になってしまう人など、メンタルを刺激されやすい環境が誰でも手にすることが出来るスマホの中にある、というのもひとつにはあるのでしょうけれどね。
Ricky:よく「闇を抱えてる」とか「あいつは闇が深い」とか言いますけど、そもそも【この世で生きる=闇で生きる】なんだと思うんですよね。抱えるも何も最初から包まれてるっていう(笑)。一歩間違えたら誰でもすぐに死ねるし殺されるし、成功も失敗も幸福も絶望も紙一重だったり。一寸先は闇ってよく言ったもんで、僕も含めてみんなギリギリのところで誰かから与えられてる光を感じて、それを頼りに生きていて、どうにか前に進めてるっていうことなんだろうな、って思ったことがあって。その時の気持ちもこの詞には込められています。
――かと思うと、一方ではパリピと呼ばれる人々もいたりして。世の中というのは、つくづく複雑怪奇なものですね。
Ricky:僕が思うに、病んでる人ほどパリピになりたがる気がする(笑)。ああいう人ほど、家に帰ってひとりになるとふさぎ込んでたりするんじゃないのかな…だってライブ中の僕らも相当パリピだし、ライブ後の自分なんて本当に寂しいもんですから(苦笑) 。
――Rickyさん、鋭いですね。そのパターンも確かにありそうです。
Ricky:人って表面だけでは判断しきれないものなんだろうな、ということを近年はよく感じるんですよ。街で楽しくやってそうな人たちが、ずっとそのまま楽しく生きてるわけじゃないんだろうし。あるいは、孤独そうに見える人が毎日孤独なだけなのかといったら、決してそうじゃないんだろうなとも思うし。
――Rickyさんの場合は、時にスポットライトを浴びられる立場でもあられます。
Ricky:人によって楽しむ順番、楽しむ場面は違うっていうことなんだと思いますよ。夜、淡々とマラソンしてるとたまにふと考えるんです。今あそこの居酒屋にいる人は楽しそうだけど、俺はライヴの時に凄く楽しくなれるんだから今はこれでいいんだよな、とかね。でもなー、自分のことで言えばスポットライトを浴びてない時のダメさとか、そういうのってほんとヤバいですよ。ヘタしたら、このままダラダラして終わっちゃうかもっていう危機感をたまに感じますもん。
――これだけいろいろなことをされているのに、ですか??第三者からは、人生をフル活用していらっしゃるように見えますよ。
Ricky:いやいや、もっとやれるはずなのにやれてない自分がいるんです。忙しそうに見えるかもしれないですけど、僕はソロだしフリーだから会社にも行かないし、家にいようと思えばいくらでもいられますからね。その時に何をやっているかっていったら、1日ほぼベッドにいることとかあるんです(苦笑)
――えっ、それはちょっと意外です。
Ricky:メール作業をちょこっとしたりくらいはあったとしてもね。気が付いたら、1日が終わってたりとか。なんか、ムダに日々を生きてるなって自己嫌悪に陥る時もあるんですよ。それがイヤで、1回とある転職サイトにメール送ったことがあったくらいですから(苦笑)
――転職サイトに??Rickyさんが???
Ricky:空いてるちょっとした時間に何か仕事を入れられないかな?と思って、コピーライターみたいな仕事っていうんですかね。広告の文章とか考える仕事だったら、普段から詞も書くし、ツアータイトルとか自分で決めてるので、なんとなく出来そうかなと思って。まーでも、応募したはいいけど一切何も返ってこなかったです(笑)
――RickyさんはMCなどでの面白いトークにも定評がありますし、キャラとしては宇宙人という個性の強さもお持ちの方ですが、それでいてミャージシャンなのに転職サイトに応募してしまうというのは、根がとても真面目な方であるということがよくうかがえるエピソードだと感じます。
Ricky:何かしなくちゃいけないような気がする!って思い立つ時期がたまに来るんですよ。前にいた事務所をやめた時にも、いろんな偉人の本とかを読んだりしたし、その話は「キミリテラシー」の詞にも入れたんですけどね。あの時期は、人生初の自己啓発にも挑戦したりして。幸いそれに傾倒することはなかったものの、ネットビジネスのセミナーっていうのも行ったことありましたから。
――それは…よくある怪しげなセミナーの類いではなかったのですか??
Ricky:ヤバい雰囲気はありましたよ。めちゃくちゃ胡散臭かった(笑)。でも、事務所をやめて完全にひとりになって、何も足場がなくなってしまった時に「独りで生きて行く」っていうことについて考えたら、とりあえず「何か新しいことを学ばなきゃ」ってなっちゃったんですよね。周りにも、千聖さんやkazuyaとかアーティストをやりながら会社をやっている人もいたりするし。自分も単なるアーティストのままではダメだ、って思ったんです。中には、「Rickyだったら、うちで面倒みてもいいよ」って声をかけてくれた方もいましたけどね。それでもまずは、独りで何とかしなきゃ!って当時は思ってましたね。そして、そこからひとつずつ積み重ねてきたものや経験が、今回の『R☆LITERACY』の中にはたくさん詰まってるんです。
――表現方法の面ではキャッチーな言葉選びが徹底されていますし、どこか飄々とした作風もRickyさんらしさに溢れていますが、端々に含蓄のある言葉がちりばめられているのはそのせいだったのですね。
Ricky:深さはないんだけど(笑)、広く浅くいろんなことを書いてます。

他にもアーティストはたくさんいるけど、
そんな中で自分が歌い続ける理由はそこでいいのかなって思えた

――なお、今作には「My name is…」という楽曲も収録されていますが、これはもしや2017年の長期療養中のことを描かれたものになりますか。
Ricky:これはもう、そのまんま感じたことを書いた詞ですね。ほんとリアルに思ったんですよ、「このまま自分が活動しなくなっても、世界は変わらずに賑やかなんだろうな」って。病室でtwitterを見てても、皆なんだか楽しそうにやってるし、知ってる人たちもあちこちツアー行ってるし。「俺がいなくても、他の音楽でまかなえるよな」って思っちゃって。その時の気持ちが、サビの〈忘れられてしまう事が 孤独だと思う日があれば 気楽だと思う日もあれば 無力だと knock knock down〜〉っていうあたりですね。
――入院している時はやることが限られる分、よけいに考え込んでしまいがちだったのかもしれません。
Ricky:でも、結果としてはこの詞が書けて良かったです。これは経験したからこそ、初めて書けたものですからね。
――転んでもただでは起きない、というのは大事なところでしょうね。
Ricky:アーティストって、そういう意味では自分の身に起こったことを作品にぶつけられる、っていうのは良いところだなとあらためて思いました。そうすることで自分は救われてる気がします。
――〈それでも自分の 名前を呼ぶ声が 聞こえる場所にひとつ 明かり灯すよ〉という一節が、とても素敵です。
Ricky:歌えないという虚無感や焦りと同時に、僕には待ってくれているファンやホームがあるという事も強く感じたんですよね。僕なんかは、世間一般からみたら名も知れないアーティストでしかないわけですが、そんな自分がそれでも音楽をやる意味があるとしたら、それは僕の人生や未来に光を届けてくれる人達にとっての光になる、っていうところに尽きるような気がして。仮にヤメたって他にもアーティストはたくさんいるけど、そんな中でも僕の名前を呼び続ける声があるならばできる限り応えたいし応えなきゃ!って思えたんです。
――あの療養時期を経て、Rickyさんはあらたなる自己肯定とアイデンティティの再獲得を成し遂げられたのですね。
Ricky:あぁ、そういうことになるのかな。良くも悪くも自分から動き出さなければ何も変わらないっていうことが、本当の意味でわかったっていうのはありますね。HYPER NEO SOLOISTとしてもっと強くなりたい!っていうことは改めて感じました。そういえば、さっきのセミナーでも言ってましたよ。「これからは個人の時代だ!」って。その時も、半信半疑ではありましたが、事務所を辞めて間もない頃だったのでかなり背中を押されましたし、今やほんとにYouTuberしかりライバーしかりで個人が力を発揮出来る時代になりましたもんね。あの時もう少し本気で信じていたら今頃僕も何かしらでバズっていたかも!?なんて思ったりもしますけど、まだまだ行動力が足りないって事ですね(苦笑)。
――いずれにしても、Rickyさんが胡散臭い情報商材を購入されたり、セミナー沼にハマったりせずに済んで良かったですよ。今作中には、「洗脳ビリーヴァー」という楽曲も収録されておりますだけに(笑)
Ricky:一歩間違ってたら、僕もヤバかったですよねぇ。まぁ、アフィリエイトとかちょっと興味は持ちましたけど(笑)。でも、僕には音楽があったんで助かりました。
――さまざまな人生模様が描かれているという点では、「独白 ーGolden Timeー」も象徴的な楽曲となっておりますが、曲中ではRickyさんの独白を聴くことが出来るのが非常に面白いですね。
Ricky:あそこは敢えて歌詞カードには載せてないので、インストアとかでは「あれ、何て言ってるんですか?」って訊かれるとは思うんですけど、僕としては載せてないからこそじっくり聴いてもらえるかなというお試しでもあります(笑)。舞台を経験した際に、マイクを通さない台詞にお客は聞き耳を立てるというのを聞いたので、それを音源という作品で再現したところもありますね。
――かと思うと、「人の振り見て我がREFLECTION」についてはメトロノームのリウさんが曲提供をされておりますね。この曲も、このアルバムならではの仕上がりだと感じました。
Ricky:サビだけは僕がメロをつけたんですけど、あの原曲自体は僕には絶対に書けない、僕からは出てこないテイストのものですからね。そこが凄く面白い曲だと思います。リウくんの曲は過去に舞台でもよく歌っていましたし、彼のアルバムでも1曲歌ったことがあったりして、もともとつながりはあったんですけど、その縁をこのアルバムでも活かすことができて良かったです。彼らしい、ちょっと和の雰囲気のあるアッパーな曲になりましたね。

全然まだまだ目指す、っていうスタンスです。
だって、自分の周りだけでも凄い人がいっばいい過ぎるんですもん(苦笑)

――さて。さまざまな楽曲が歌われていく中で、今作『R☆LITERACY』をしめくくっているのは「ALIEN<from>TOKYO」です。
Ricky:これは遊びましたね、かなり(笑)。
――遊び心は満載ですが、歌詞には“HYPER NEO SOLOIST”というキーワードも出て来ます。このことが意味するところはそれなりに大きいのではないですか?
Ricky:宇宙人キャラを打ち出すとか、面白い三の線を強調するとか、ソロに関してはこれまで極力やらないようにしてきたところがあるんですけど、トラックがアルバムの中でも一番EDMっぽいというのもあって、これはライヴでも皆で盛り上がれそうなパーティチューンにしたいなと思ったところから、歌詞でも思いっきり遊んでみました。最後のあたりなんかは、ひたすら自分の誕生日を叫んでるだけですよ(笑)。といいつつも、10周年を記念するアルバムのラストに自己紹介ソングを持ってきたのは僕なりの演出でもあって、自分アピールの中にちゃんとこれまで応援してくれたファンのみんなに感謝も伝えてるっていうね。サンキューベリーマッチョマンという表現は、半分照れ隠しですかね(笑)

僕は〈上から目線になる要素がないだけ〉で
低姿勢というよりは周りに対してリスペクトしかない

――しかしながら、ひとつだけ気になったのは〈目指すはHYPER NEO SOLOISTというくだりなのですよね。ソロ始動当初から長年この言葉を提唱されて来ているわけで、それでもRickyさんとしてはいまだに“目指す”というスタンスなのですか?!
Ricky:そんなの、もちろんですよ。全然まだまだ目指す、っていうスタンスです。だって、自分の周りだけでも凄い人がいっばいい過ぎるんですもん(苦笑)。kazuyaだって、リウくんだって、いろんなことをちゃんと出来る人たちじゃないですか。その点、僕には出来ないことが本当に多いので、もっともっとSOLOISTが持つべきソロ力(ソロぢから)を高めていかないと。結局、ソロって自分でやれる事プラス周りの人にどれだけ動いてもらえるかにかかっているとも思うので、可愛がられることも大事ですしね。まぁ、自分はそこはわりと出来る方だとは思ってるんですけど(笑)
――Rickyさんは、完全なる愛されキャラだと思いますよ。
Ricky:言い方を変えると、僕は百方美人なんです。あちこちにイイ顔しますから。以前、ALvino(現ALICE IN MENSWEAR)のKOJIさんからは「Rickyって、ほんとビジネス低姿勢だよねー」って言われました(苦笑)。というか、「独白 ーGolden Timeー」の中でも歌ってますけど、そもそも僕は〈上から目線になれる要素がないだけ〉で低姿勢というよりは周りに対してリスペクトする事だらけなんですよ。

わらじを何足も履いてるんで、こればっかりはしょうがないですね。

――そんなRickyさんには、アーティストとしての人徳と人間力が確実にあると思いますね。きっと、そこに根ざした温かな光はここからのソロツアー[THE.☆CON-10-PORARI☆CKY」~我がため 誰がため 君がため~]でも、集うオーディエンスを幸せに導いてくださると期待しております。
Ricky:今回「闇の世界 ~Light to Light~」の詞で、〈我がために生きて 誰がために生きて 君がために生きて 輝くLight to Lightって書いたんですけどね。ここに至るまでには自分なりの気付きも幾つかあって、昔からある言葉で「世の為、人の為」っていうのがあるじゃないですか。僕がこの曲の最後で、その前に〈我がために〜〉って付け加えたのには理由があるんです。やっぱり、人間ってまずは自分の為に生きて、それから人の為に生きて、最終的には君という大切な存在の為に生きるっていうのがひとつのかたちなのかなと思うようになったんですよね。まずは自分の為に生きないと、人の為にも生きられないんじゃないかなって感じることが多くて。だから、今度のツアーでもまずは何よりも自分の為に頑張って、その自分のために必死になってる僕を見た人が元気になってくれたりやる気になってくれたら、それはもう世の為人の為、すなわち誰がため君がためという事になるはずですから。
――素敵な志ですね。
Ricky:あとは、前回ツアーとはまた違った、10年というキャリアを活かしたアプローチのライブに出来たらいいなとも思ってますね。ただ歌うだけでなく、ライブ全体の演出もしっかり考えて、今回のアルバムのエレクトロな近未来感を軸に、DASEINやRIDER CHIPSで培ったロック感だったり、シャンソンや舞台ならではの言葉の伝え方や表情だったり、今のRickyだからこそのあらゆる表現手法を凝らしたシアトリカルなワンマンをイメージしています。とか言ってるうちに今度はDASEINのツアーも始まっちゃうんで、またそっちも大変なんですけど。わらじを何足も履いてるんで、こればっかりはしょうがないですね。ホント、贅沢な悩みです(笑) 。
Ricky
Ricky(リッキー)

Ricky名義でのソロワークを軸にDASEIN/RIDER CHIPSのメインボーカリストとしても活動中。 自ら作詞作曲もこなし、ポップス、ロック、バラード、ダンスミュージック、特撮、アニソン、シャンソンなどあらゆるジャンルを圧倒的な表現力で歌いこなす孤高のシンガーソングライター。

時に優しく時に激しく、ハイトーンかつハートウォームなその歌声はまさしく唯一無二。 また、ソロアーティストでありながら数々のパーソナルバンドを掛け持つその独自のスタイルと、自立した新しいスタイルのソロアーティストを目指すというコンセプトのもと、自らを【HYPER NEO SOLOIST(ハイパー・ネオ・ソロイスト)】と定義づけ、新たなるソロの可能性を見出すためのプロジェクトを立ち上げる。

RELEASE
Ricky 『R☆LITERACY』
2020年01月29日 RELEASE / 4TH ALBUM

【収録曲】
01.AGITATOR of A☆my
02.キミリテラシー
03.人の振り見て我がREFLECTION
04.曖昧モラトリアム
05.Hi-Techno-Boy
06.ヨウコソサヨウナラ
07.My name is・・・
08.独白-Golden Time-
09.洗脳ビリーヴァー
10.O.1.O~Only One Ocean~
11.闇の世界~Light to Light~
12.ALIEN<from>TOKYO

LIVE SCHEDULE
『THE.☆CON-10-PORARI☆CKY』 ~我がため 誰がため 君がため~
2020年02月01日(土) 大阪FANJ twice

OPEN 17:00 / START 17:30

2020年02月02日(日) 名古屋ell.SIZE

OPEN 16:00 / START 16:30

2020年02月15日(土) 渋谷REX

OPEN 17:00 / START 17:30

[TICKET]
https://www.diskgarage.com/artist/detail/no009805
Ricky EVENT
2020年01月12日(日) 濱書房 Music.Lab
『ADAPTER。PRESENTS「テクノイド-侃侃-」』

2020年01月18日(土) 神田明神ホール
『E.D.K~DA’s Party 2020~令和賀正祭り』

2020年01月19日(日) 柏PALOOZA
『SPACE PALOOZA CAMP』

2020年01月28日(火) TSUTAYA O-EAST
『新春シャンソンショウ 2020』

2020年03月22日(火) 新宿ReNY
『Crazy Monsters~春の祭典~40min×4cylinder』

Ricky INSTORE EVENT
2020年01月29日(水) 渋谷
2020年01月31日(金) ライカエジソン大阪店
2020年02月11日(火/祝) 自主盤倶楽部 / ライカエジソン東京店 / 他
2020年02月14日(金) 渋谷
2020年02月16日(日) 渋谷
2020年03月01日(日) リトルハーツ新宿 / 他
RIDER CHIPS
2020年01月22日(日) 横浜アリーナ
『超英雄祭2020』
DASEIN TOUR 2020 『TWENTY△▽TRINITY』~夢つれて おもへば一夜 二十年~
2020年04月04日(土) 札幌CRAZY MONKY

OPEN 17:00 / START 17:30

2020年04月05日(日) 札幌CRAZY MONKY

OPEN 16:00 / START 16:30

2020年04月18日(土) 金沢AZ

OPEN 17:00 / START 17:30

2020年04月19日(日) 長野J

OPEN 16:00 / START 16:30

2020年04月25日(土) 横浜BAYSIS

OPEN 17:00 / START 17:30

2020年04月26日(日) 西川口Hearts

OPEN 16:00 / START 16:30

2020年05月16日(土) 長崎プラザおおむら

OPEN 17:00 / START 17:30

2020年05月17日(土) 長崎プラザおおむら

OPEN 16:00 / START 16:30

2020年06月06日(土) 神戸VARIT

OPEN 17:00 / START 17:30

2020年06月07日(日) 大阪RUIDO

OPEN 16:00 / START 16:30

2020年06月20日(土) AKABANE ReNy alpha

OPEN 16:45 / START 17:30

[TICKET]
前売 ¥5,500 / 当日¥ 6,000
DASEIN EVENT
2020年02月22日(土) HOLIDAY SHINJUKU
『FUSION OF ILLUSION-code 222』

2020年03月08日(日) 高田馬場CLUB PHASE
『天空闘技場其の六 天照 VS DASEIN』

2020年03月15日(日) 渋谷REX
『JOE Birthday LIVE「WELCOME TO THE FACE』

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