INTERVIEW

シェルミィ「失楽園」

2018.12.25
常に独自の物語を展開し続け、現代社会の若者の心に深く切り込み続けるシェルミィが2018年を締めくくるミニアルバム『失楽園』を12月26日(水)にリリースした。来年はTSUTAYA O-WESTワンマンも決定し、バンドとして音楽面も精神面もこの一年で大きく成長した彼らがいよいよ次の時代の先端に躍り出る日は近い。
その波に乗り遅れないためにも、是非最新のシェルミィの声をキャッチして欲しい。

インタビュー・文:二階堂晃
『僕は生まれ変わらずに一回休憩したい』
――2018年のシェルミィの三部作を締めくくるミニアルバム『失楽園』ではどんなストーリーを展開しているのでしょうか?
:前作『少女地獄』では最後にメンバーが死んで、続く『うずまき』ではそのメンバーが妖怪に変化する、というストーリーを描いてきました。そこから今回の『失楽園』では表題曲の「ヒューマンゲート」をキーとして、“転生”をテーマに物語が繋がっていくという形になっています。曲ごとに「どう生まれ変わったか」ということを表現するために、曲のナンバリングを“Case~.”という形にしている点にも注目して欲しいです。
――『失楽園』リリースと同時に発表された、スーツ、ヒップホップ、メイド、パンクの4種類の衣装がそれぞれ生まれ変わる姿、という意味合いなのでしょうか?
凌央:あれは嘘です。「もしかしたら、こうなっていたかもしれない」っていう可能性を表現しているだけで、実際生まれ変わる姿は違うんですよ。
――そうだったのですね。何故、あの4種類だったのでしょうか?
:単純に今のシェルミィと違うものを見せてやろうと思って。あの写真を発表した時は「どうした、シェルミィ?」ってなりましたね。
凌央:「ついに衣装にお金かけなくなったか?」みたいな(笑)。
――さらに、リリースと同時に公開された本来の新アー写は、これまでのシェルミィを別の意味で裏切る新機軸と言っていいのではないでしょうか?
:シェルミィの中に「軍服」っていうテイストは昔からあって。ただ、軍服ってそのままだと見たことあるものだなとも思って「地球以外の別の世界に制服があったら?」っていうイメージで今回この形で打ち出すことに決めました。
――シェルミィの新展開と呼ぶにふさわしいテイストです。
:生まれ変わったんでね。
――「生まれ変わり」というものを表現する上で、何故表題曲のタイトルを「ヒューマンゲート」としたのでしょうか?
:僕の中で「門をくぐる」っていうイメージがあって。人として転生するための扉、というか。
――メンバーの皆さんは実際に生まれ変わるとしたら何に生まれたいか、是非伺いたいです。
:僕、猫がいいです。それも自由に駆け回れる野良猫がよくて。猫になったらチヤホヤしてもらえるじゃないですか。
:でもさ爻くん、猫ってみんな可愛いやん?
:んん?それどういう意味や?
一同:(笑)
凌央:僕は記憶も経験も持ったままでもう一度自分がいいです。これまでの人生の選択肢は全部一緒で。
――仮に今の自分でもう一度過去の分岐点に出会ったとしたら、違う選択をしていただろうなと思うことはありますか?
凌央:学生の時にバットを持って野球をするんじゃなくて、最初からベースを持ちましたね。その時間はもったいなかったなって。
友我:僕は、将来自分が好きになった人の息子がいいです。何の苦労もなく好きな人に愛してもらえるじゃないですか。
:病んでるなあ(笑)。
:これ、色んなところで言ってるんですけど、僕は生まれ変わらずに一回休憩したいですね。死んだらすぐに「お前の前世はこうだったぞ」みたいな風にあの世で言われそうなのがイヤで。一回休んでまっさらになった状態で、もっと頭悪い人に生まれたいですね。感情だけで何に対しても動ける、みたいな。
『純粋に僕たちと一緒に感動しようとしてくれてる』
――「ヒューマンゲート」の楽曲面に関してはどんなテーマで制作していきましたか?
:これまでのシェルミィを崩さないということは意識しました。ただ、メロディの感じが今までよりは古い印象になることは心掛けましたね。個人的に好みな曲調なんで、作ってる当初からバシっときてましたね。
――『失楽園』全体に関しては楽曲面やサウンド面でどんなことを心掛けたましたか?
凌央:曲に関しては、「ヒューマンゲート」を2018年3部作の最後の代表曲にすることは最初から決めていたんで、後はそれぞれのデモを持ち寄った中でバランスを見ながら決めていって。ベースのサウンド的には、新しいベースでレコ―ディングをしたんでサウンド的にレベルが上がったと思いますね。
友我:僕はギター弾く上でのスタンスが変わりました。これまではちょっと神経質になりすぎていた部分があったと思うんですけど、今回は生感を一番意識したというか。
――確かに、今までのシェルミィの作品と比較すると、ギターのダビングの本数が減った印象がありますね。
友我:4人バンドなんで、そのことは意識しましたね。
:今までは出てこなかった、やれなかったフレーズを形にすることが出来たと思っていますね。具体的には、凌央くんが作曲した「ぐさり。」とか。
――今回も楽曲のアレンジはスタジオでセッションする形で固めていったのでしょうか?
凌央:そうですね。今回もこれまでと変わらず、4人でスタジオに入って作っていきました。
――どちらが良し悪しという話ではなく、データのやりとりだけで制作を完結させるバンドも増えた中でシェルミィの制作スタンスだからこそ生まれる楽曲たちには是非一度触れて欲しいですね。
:そうですね。このやり方ならではの味ってどうしてもありますからね。
――「「苺状自己顕示欲」は、生まれ変わりを表した4つのアー写のうちの「メイド」についての曲ということでしょうか?
:いえ、そことは直接の関係はなくて、この曲は『少女地獄』の時からリンクしてるんですよ。
――というと?
:『少女地獄』の収録曲に「白百合呼吸困難」というのがあって、さらに遡ると『ぼくらの残酷激情』時には「心理的瑕疵少女」という曲があって、「あ、全部漢字7文字だ」ってことに気づいたんですよ。で、漢字7文字縛りのタイトルで曲を作ってみるのも面白そうだなと思って。
――そうだったのですね。
:で、この7文字縛りのタイトルに対して書く歌詞の内容は、こういう頭のおかしい女の子についての内容にしようって最初から決めてて。完全に、僕の中の「バンギャ」についての内容なんですけど。
――この歌詞の主人公の女性の職業は、やはり夜の世界の……?
:そのまんまですよ。読めばすぐにわかると思うんで、その辺は想像を巡らせてもらえれば。
――シェルミィのファンの方々はこのシーンの中でも特に若い年齢層の方が多いかと思うのですが、ファンを目の前にして何か感じることはありますか?
:純粋に僕たちと一緒に感動しようとしてくれてるな、と思うことは多いですね。楽曲ひとつひとつに対して、理解しようと一生懸命努力してくれてると思うんですよ。反面、バンドを私物化したがるというか、「お金さえ使えばいいんでしょ?」とか、「私の方が昔から応援しているから」みたいな子達も中にはいますね。そういう子らのことを皮肉ってやりたいなと思う気持ちも同時にあります。
――続く「ぐさり。」はモダンなサウンドの楽曲と猟奇的な歌詞の対比が印象的です。
:凌央くんの書いた曲を聴いて、すぐに暴力的なイメージが沸いてきて猟奇殺人犯について書きたいと思いました。ああいう人間って、動機が頭おかしいんですよ。単純に、犯罪の理由を自分のせいに出来ない奴らばっかりなんです。
――「ぐさり。」では具体的にはどんな動機を持った人物として描いたのでしょうか?
:「人間の中身を見てみたい」っていう変な好奇心を持った人間、を書きました。外側は可愛くて綺麗な女の子でも、内側は醜い人間であって、自分はそれを開けて見てみたい、みたいな。“赤色を求めている”っていうイメージで書いていきましたね。
――皆さん、「ぐさり。」で描かれている人物の特殊な趣味というか、「これは自分だけだなあ」と思うような趣味や嗜好はありますか?
友我:豹くん、昔はあったやねんな。(エナジードリングの)モンスターのプルタブをめっちゃ集めてた。
一同:(爆笑)
:特殊な趣味とはちゃうねん(笑)! 色んな色のプルタブだったのが面白くてついつい取っておきたかったんですよね。
友我:爻くんは自分のおばあちゃんの写真をいつも家に飾ってる。
:なんでそれが特殊な趣味やねん(笑)。僕も好きになったものはめっちゃ集めたくなりますね。
友我:「くら寿司」とストラップとか。
:一度集めだすとなんか捨てられないんですよ。
『音楽をやっていない時は、自分の人生は無い』
――4曲目の「アダルトクイーンの狡猾」はEDM調のエッセンスもあり、意外な曲調ですよね。
凌央:今までのシェルミィに無い曲を作りたいなと思って。ライヴでもどういう空気になるかまだ読めてないんで、そのへんのこれから楽しみですね。
――この曲の歌詞は今作の中で一番断片的というか、掴みどころの無い印象を受けました。
:僕の中では「エロい女」というか。自分の価値というものを履き違えてる女性のことを、わざと変な言葉をめっちゃ使って書きました。最終的には“寂しい人生をスター気取りの猿山で踊れ”っていう歌詞の最後の一行に落とし込んでるんですけど、需要と共有を履き違えてる人間を皮肉りたくて。
――「地下アイドル」という存在について書いたのかな? と個人的には感じました。
:あー、なるほど。自分としては「AV女優」っていうイメージの元で書きましたね。
――続く「片付けられない女」も、シェルミィらしく現代に生きる女性の生々しい部分をえぐり取るような内容の楽曲です。
:これ、「目の前の問題を片付けられない女」のことなんです。赤ちゃんの鳴き声で曲が終わるんですけど、これは自分が妊娠していることに気付いたのにも関わらず、その問題を先延ばしにし続けた結果、子供を生んでしまったってことを表現してるんです。で、それを幸せと取るか不幸と取るか、っていうことを言いたくて。
――「命はすべて尊い」といったようなステレオタイプな世の中に溢れるメッセージとは逆のことを言っている、と。
:そうですね。それでも幸せになる人もいるし、完全に否定している訳ではないですけど。
――そしてミニアルバムを締めくくる「ハピネス」ですが、これはやはり豹さん自身の生き様について書いたものですか?
:「幸せってなんやろうな」って考えることが多くて。これまでずっと自分の人生の不幸な部分を切り取って歌詞は書いてきたんですけど、それを聴いたファンの子達が「救われた」って言ってくれるんですね。自分の不幸が誰かの幸せに繋がるなら、って気持ちを込めてタイトルを「ハピネス」にしました。
――前回の『うずまき』のインタビューで「シェルミィの現状には満足しない」とおっしゃっていましたが、そこから考えると豹さんの心が前進したようにも感じます。
:あの頃よりは今のシェルミィや自分自身に胸を張れるという気持ちはありますね。でも、同時にあの頃にはなかった投げやり感もあります。
――それは自分の音楽人生に対して、でしょうか?
:それ以外無いですね。音楽をやっていない時は、自分の人生は無いものと考えてるんで。
凌央:歌詞の一番最後の部分、豹くんのデモには入ってなくてスタジオで全員で合わせてた時に新しく作ったんです。ここのフレーズ、すごく好きです。
――“誰かが僕をまだ望むなら この歌に愛を込めよう”という部分ですね。
:そうですね。それが今の自分なりの答えだと思っています。
――改めて、メンバーの皆さんは今のシェルミィを取り巻く環境のことをどう思っていますか?
友我:幸せな空間。他のバンドの人たちよりも僕らは楽しくバンドやれてると思う。昔はあったかもしれんけど、負の感情みたいなものがメンバーみんな取っ払われて、シェルミィに集中できてるなって。
凌央:ずっと自主で活動してきたし、これからも自主で活動していこうと思っていて。事務所の力があってこそ活動出来ているバンドも多い中で、「自分たちで動いてどうにかしていかないと何も変わらないよ」ってことをシェルミィでの活動を通じて伝えていきたいですね。
:やりやすし、やりがいがある、の一言に尽きますね。
:「どうしていいか分からない」とか「もう死にたい」みたいな時にシェルミィを聴いてくれてる子がすごく多いんだなと思って。俺もそういう気持ちの時に聴く曲があるし、作る曲があるんですよ。だから、同じ気持ちでシェルミィに対してファンの子と向き合えていることが今はすごく嬉しいなって。
――やはり豹さんは内面がこれまでと変わったように思います。
:そういう声を聴くと、俺自身も救われるんですよ。「単純に曲がいいよね」って言われるよりも、生々しい気持ちを感じて嬉しくなるんです。
『(シェルミィを)全員に認めさせたい』
――『少女地獄』『うずまき』『失楽園』の3作をもって、ひとまずはシェルミィの2018年三部作は完結、という解釈になりますか?
:シェルミィの作品は、これからも大きくはずっとストーリーは繋がっていきます。ただ、物語として『少女地獄』に戻るルートもあれば『うずまき』でぐるぐる同じところを回り続けるルートもあると思っていて。もちろん、『失楽園』のその先に繋がるルートというものも当然考えていますしね。
――まさしくシェルミィは先日、2019年に全国14箇所を回るワンマンツアー『14-需要-の【大罪】と【美徳】ツアー』を発表しましたね。
:『失楽園』の物語の中にある、「7つの大罪」と「7つの美徳」を合わせての合計14箇所です。
友我:基本は全箇所無料ワンマンなのに加えて、投げ銭をしてもらって一番多くお金が集まった箇所ではもう一度ワンマンをやります。
――斬新な企画ですね。そして、4月3日には待望のTSUTAYA O-WESTワンマン『最後の審判』が決定しています。最後に、14箇所ワンマンとファイナルO-WESTへの意気込みを聞かせてください。
:もっともっと行きたい土地もあったんですけど、今回は14箇所に絞って回ります。とりあえず無料なんで、どんな形でもいいんで是非一度足を運んで欲しいです。
凌央:O-WESTはずっと目標にしていた場所なんです。しっかりツアーを回って、一人でも多くの人にファイナルに来てもらいたいと思っています。
友我:がんばります。
:O-WESTワンマンのタイトルの『最後の審判』って、天国と地獄どちらに行くかの瀬戸際という意味の言葉だからこそそこから取ったんです。僕らみたいな自主で活動してるバンドを煙たがる人も中にはいるんですけど、全員に認めさせたいんで。そのためにも、14箇所のワンマンで全国に『失楽園』の世界を広めて、必ずファイナルのO-WESTを成功させたいと思っています。

RELEASE

シェルミィ 4thミニアルバム「失楽園」
2018年12月26日(水) Release!!
BnG-010 / ¥2,000(税抜)
[CD]
Case1. ヒューマンゲート
Case2. 苺状自己顕示欲
Case3.「ぐさり。」
Case4. アダルトクイーンの狡猾
Case5. 片付けられない女
Case6. ハピネス ¥2,000 「来世の門を開こうー。」

LIVE INFORMATION

14-需要-の【大罪】と【美徳】ツアー

シェルミィ申告制単独見世物公演
[-傲慢編-]
2019年01月25日(金)池袋EDGE

シェルミィ申告制単独見世物公演
[-謙譲編-]
2019年01月27日(日)前橋DYVER

シェルミィ申告制単独見世物公演
[-憤怒編-]
2019年02月02日(土)福岡graf

シェルミィ申告制単独見世物公演
[-慈悲編-]
2019年02月03日(日)広島・福山イノベーション

シェルミィ申告制単独見世物公演
[-嫉妬編-]
2019年02月09日(日)仙台enn 3rd

シェルミィ申告制単独見世物公演
[-忍耐編-]
2019年02月11日(月・祝)新潟GOLDEN PIGS

シェルミィ申告制単独見世物公演
[-怠惰編-]
2019年02月15日(金)大阪 アメリカ村BEYOND

シェルミィ申告制単独見世物公演
[-勤勉編-]
2019年02月17日(日)京都GROWLY

シェルミィ申告制単独見世物公演
[-強欲編-]
2019年02月24日(日)浦和ナルシス

シェルミィ申告制単独見世物公演
[-救恤編-]
2019年03月01日(金)高松TOONICE

シェルミィ申告制単独見世物公演
[-暴食編-]
2019年03月03日(日)姫路beta

シェルミィ申告制単独見世物公演
[-節制編-]
2019年03月09日(土)HOLIDAY NEXT名古屋

シェルミィ申告制単独見世物公演
[-色欲編-]
2019年03月10日(日)静岡UMBER

シェルミィ申告制単独見世物公演
[-純潔編-]
2019年03月16日(土)北海道・SUSUKINO810

※申告制単独見世物公演とは、各会場内に「需要の箱」を設置しております。
公演終了後、その公演に見合うと思った"金額"を自由に入れてください。
※もちろん0円でも構いません。
1円~でも参加頂いた方にはステッカーを配布!
※そして、一番14-需要-の高かった都市にて後日追加公演がございます。
※プレミアムチケットの枚数も14-需要-に含まれます。

シェルミィ単独見世物公演「最後の審判」

2019年04月03日(水)渋谷O-WEST


2019年01月17日(木) TSUTAYA O-WEST
2019年01月18日(金) 名古屋ell.SIZE

シェルミィ PROFILE

※画像クリックで大きい画像が表示されます。
  • Vo:

    Birth:
    03.06
    Blood:
    O

  • Gu:
    友我
    Birth:
    04.16
    Blood:
    A

  • Ba:
    凌央
    Birth:
    04.10
    Blood:
    ?

  • Dr:

    Birth:
    01.18
    Blood:
    A


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