INTERVIEW

シェルミィ「うずまき」

2018.07.17
予測不可能なストーリー展開で常にリスナーを翻弄し続けるシェルミィがNEWミニアルバム『うずまき』を7月18日(水)にリリースする。
現在のSNS社会ならではの心の弱さや闇を真正面から表現する彼らこそが、次世代のメッセンジャーに相応しい存在と言えるだろう。
謎めいた『うずまき』の世界観を紐解くインタビューをご覧頂きたい。

インタビュー・文:二階堂晃
『復讐とか恨みとかってあくまで自分の中だけのもの』
――前作『少女地獄』ぶりのご登場となるシェルミィの皆さんです。まずは、先日行われた、『少女地獄』の世界を締めくくるワンマン『ぼくらが死んだ日。』で何かが起きたとのことなのですか?
:ライヴ冒頭の映像で僕たちが死んだ姿を流したんです。その後に、死後の姿となって僕らが登場するというストーリーのワンマンだったんですよ。
――前回のインタビューの際に『少女地獄』のMusic Videoで衝撃の結末が待っていると仰っていましたが、それは殺し屋の皆さんが交通事故で死を迎えた後、妖(あやかし)になるという物語だった訳ですね。
:その通りです。最初から全部決めていました。
――この展開は驚愕でした。そんな一連のストーリーの中で今回リリースされる『うずまき』はどんな位置づけの作品になるのでしょうか?
:まさしく、“死後の姿”というものをテーマに置いた作品です。『うずまき』というタイトルも、死と生を繰り返す「輪廻の渦」というイメージから来ています。
――このタイトルに、一部に熱烈なファンを持つカルト漫画家である伊藤潤二氏の代表作『うずまき』との関連性はありますか?
:もちろん大好きな作品ですね。でも、あくまでイメージであって、今回の作品に関してはそこから辿っても紐解かれはしないですね。
――そんな独自の世界観を持つシェルミィの『うずまき』について是非詳しく伺っていきましょう。まず和風のテイストが新鮮な1曲目の「御礼参り」ですが、シェルミィの作品としては歌詞の表現が良い意味でこれまでに比べて抽象的ですね。
:たしかにこれまでのシェルミィは入りやすい表現が多かったので、僕としても新しい挑戦でしたね。
――“御礼参り”とは「復讐」という意味ですか?
:これは母親を殺された娘がその仇を打つという物語です。犯人の男のバックグランドについてもチラホラ散りばめていますが、実はここで描いている男は「狐憑き」なんです。狐に取りつかれて気が狂った男が殺人を犯してしまうっていう伝説をこの歌詞では切り取りました。
――その物語がとても映像的に表現されていますよね。
:やはりこの曲も過去のシェルミィのリード曲と同じくMusic Videoありきなんですよ。映像と一緒に観てもらえたらやっと少しストーリーが分かるかな? くらいの。
――想像力が掻き立てられる曲ですよね。
:そうですね。復讐とか恨みとかってあくまで自分の中だけのものであって、人に理解されないものだと思うんですよね。そういう伝えづらい感情に対して物語を付け足したのがこの「御礼参り」という曲なんだと自分では思いますね。
――作曲は凌央さんによるものですが、楽曲制作の経緯はどんなものでしたか?
凌央:イントロのベースだけどベースらしくないフレーズから発展させていきました。デモの段階から和風ではありたいという話は豹くんとしていたんですが、想像を超える歌詞とメロディーが豹くんから返ってきて驚いたのを覚えています。
――爻さんと友我さんは「御礼参り」の第一印象はいかがでしたか?
:おどろおどろしい雰囲気の曲が上がってきたなと思いましたね。ドラムとしては展開も多いですし、この曲の独特の雰囲気を作るのはなかなか大変でした。
友我:僕もレコーディングには時間がかかったかな。この曲は特に繊細だから。
――2曲目の「今日も後悔の血が垂れる」は大きくテイストが異なりますね。
:『少女地獄』は収録曲すべてが分かりやすく紐づいている方針でしたけど、『うずまき』に関してはそうではないものにしようという話は最初からありましたね。この曲に関しては、太宰治の小説に影響を受けた部分が大きくて。“「道化として生きてきました」”というフレーズとかは、わざとそのまま使ったりもしてます。
――太宰治の描く「生きづらさ」や「生きることへの不安」のようなものを豹さん自身も日々感じているということでしょうか?
:そうですね。歌詞がいつもそうなっちゃうので、自分でもどうしたらいいのかなってたまに思いますけど。
――この曲は作詞曲共に豹さんによるものですが、どのように皆さんでアレンジして行かれましたか?
:僕らは全員でスタジオで合わせながらアレンジしていくんですけど、この曲が一番元々のデモに近い状態で完成したんじゃないかと思いますね。
――タイトルに関してはどういう思いを込めましたか?
:血って言うと痛いイメージがありますよね。リストカットとか。直接的な単語を使わずに、例えばリストカットについて思い浮かぶような言葉にしたかったんです。この曲は僕にしては珍しくて、タイトルが一番最後に決まりました。“後悔”っていうワードだけはずっと頭にある中でAメロBメロと順番に歌詞を付けていって、なんとなくこの“今日も後悔の血が垂れる”って言葉が浮かんだんですよね。
――皆さんは何か“後悔”してることはありますか?
友我:「あの時もっと相手の気持ちを考えて発言をしておけば傷付けなかったのにな」って思うことはメッチャありますよね。
:僕は子供の頃からピアノを習っておけばよかったなって後悔しています。
凌央:昨日のライヴの後の打ち上げで飲みすぎたことですかね……。
一同:(爆笑)
:僕は逆に昨日の打ち上げの途中で寝ちゃったことですね。
友我:爻くん、飲むとすぐに寝ちゃうからみんなでイタズラするんですよ(笑)。爻くんの携帯で勝手にムービー撮ったり。
:起きたらメンバーの動画がフォルダに入ってるんです(笑)。
『あの事件がニュースになったのはこの曲が完成した後のこと』
――仲良しですね(笑)。続く「赤い部屋」も抽象的な表現が想像力を掻き立てられる曲です。
:昔、「赤い部屋」っていうオカルトなムービーがネットで流行っていて、そこから着想を得ました。ストレートに言うと犯されて殺された女の子について書いたつもりだったんですが、後からサビの歌詞だけ読むと、いじめについてのこととも取れるよなと思って、自分の中で徐々に解釈の変わっていた歌詞ですね。
――どのように変化していったのですか?
:ここで題材にしているような事件や出来事って、実際は身近なことではないじゃないですか。でもこういうことが現実に起きているからこそ、そういうことについて書かないのも違うなと思っていて。そういう思いで書き始めたんですけど、完成してみると、意外にも自分の身近な出来事に置き換えられる内容になったと思っています。
――楽器隊の皆さんはこの曲のアレンジに関してどんなことを心がけましたか?
:V系らしさを一番に意識しました。キメにはこだわりましたし、疾走感のあるプレイが出来たんじゃないかと思いますね。
凌央:サビのベースラインが気に入ってますね。V系っぽくて。
友我:(小声で)それなりに。
凌央:アウトロのギターソロは音源ではフェイドアウトしてるんですけど、ライヴでは最後まで演奏していますし、その部分の豹くんの台詞も最後まで聴けますから、是非ライヴで完全版を確かめて欲しいですね。
――“斉藤さんの趣味”が何なのかどうしても考えてしまいます。
:書いている時の設定としてイメージしていたのは、めっちゃソフトに言うと「縄」とか。斉藤さんが何をしている人かもまったく分からないようにしたつもりです。クラスメイトかもしれないし、知らないサラリーマンかもしれない。そこのところは自由に解釈して欲しいです。
――ありがとうございます。「絶望生まれのセルロイド」は、シェルミィにしては珍しいジャズ・ナンバーですね。
:もともとはこんなにジャジーではなかったよね。
凌央:この曲もベースから作っていったんですが、ギターが入ることでこのジャズ感が出たように思います。
友我:こんなオシャレなフレーズが自分から出てくるとは思いませんでした。
――考えたというよりかは、感覚的に生まれたフレーズだったのですか?
友我:そうですね。スタジオでアレンジをしていく中で降ってきました。曲に呼ばれたっていう感じかな。
――歌詞に関してはいかがですか?
:これは虐待について書きました。昔、友我くんに薦められて読んだ丸尾末広の「アメリカうまれのセルロイド」っていう漫画がすごい衝撃的で。これもストーリーが直接繋がってる訳ではないんですけど、インスパイアされていますね。わざと平仮名を多用しているのも、発達が遅れているっていう雰囲気を感じさせたくて。“夏休みが終わらない”っていうフレーズも、自分だけが学校に行けないっていう場面をイメージしながら書きました。
――あえて聞きますが、どうして学校に行けないのでしょうか?
:お父さんとお母さんが家から出してくれないんですよ。そういうことです。
――ちょうど先日、世間でも似たような事件が大きく報道されていましたが、まさしく「絶望生まれのセルロイド」で描いた出来事が世相を表すことになってしまいましたね。
:あの事件がニュースになったのはこの曲が完成した後のことなので、結果としてそういうことになりますね。
『憧れているものに裏切られたというか、手が届かないと分かってしまった時』
――そして、5曲目の「メイデイメイデイ」は珠玉のバラードです。
:まず土台となる曲の雰囲気を固めた後に、何も考えずに歌詞をバーッと書いて。多分、この歌詞を書いた時期すごくしんどかったんですよね。バンドマンでもなんでも、夢を追ってる人ならきっとこの歌詞は共感出来るんじゃないかなって。憧れているものに裏切られたというか、手が届かないと分かってしまった時に、それでも諦められない時の苦しさについて書いて。叶えられなかったことに対して、言い訳もしたくないじゃないですか。でも本当は助けて欲しい。だけど、それを言ってしまったら本当に終わってしまうんじゃないかっていう気持ちとか。色んな気持ちがこんがらがってはいるものの、そのことを歌詞として上手くまとめられたと思いますね。
――ということは、シェルミィとして活動していて目指すものに届かなかったと感じることがあるのでしょうか?
:全然あります。子供の頃に描いていた今の自分って、本当はもっと成功していると信じていたし。今のシェルミィの立ち位置って、自分のバンド人生の中で一番良いところまで来れているともちろん感じていますけど、本音を言うともっとすごい世界を想像していた自分もいたし。
――結果を出すために、もっと世の中に受け入れられやすい作品を作るという手段もあるかと思います。一般大衆からの評価と、シェルミィとして表現していくべきものとの狭間で揺れてしまうこともありますか?
:それはないですね。“売れればなんでもいい”という考えでバンドをやっていたとしたらもっとプライドでもなんでも捨てられるじゃないですか。でも、僕らはそんな諦めは付けられないですね。
――是非解説して頂きたい歌詞のワードがあるのですが、“未遂の空”とはどういう意味なのでしょうか?
:そのまんまの意味ですよ。
――まだ成し遂げられていない自分、という意味ですか?
友我:違います。自殺未遂した自分が見た空って意味です。
:なんでお前が言うねん(笑)!
――友我さんありがとうございます(笑)。それほどまでに追い詰められていた心境を描いたものであると。
:そうですね。みんな普通にそう思うことあるんかなと僕は思ってるんですけど、違うんですかね(苦笑)。
『自分が人に注目して欲しくて世の中の悪い部分をわざと発信する人ってすごく多い』
――そして今後のライヴでのキラー・チューンになること間違いなしの「噂」でミニアルバムが締めくくられます。
:『うずまき』のここまでの曲は、どちらかと言えば自分の内側に向かっていくような歌詞の内容だったりするんですが、「噂」に関しては完全に外にぶちまけてますね。
――何故「噂」というものを題材にしようとしたのですか?
:心無い噂に踊らされる人があまりにも多い世の中だと思って。心の弱い人って、軽々しく「自分は人間不信だから、誰のことも信じられない」とか言ってるわりには、誰かが流した噂のことはコロっと信じちゃうんです。そういう人のことを皮肉っぽく書いたのがこの曲ですね。
友我:めっちゃ思うわ。自分、全然人間不信ちゃうやん! って。
一同:(爆笑)。
――SNS社会やV系シーンに対してもあてはまりそうですよね。
:そうれもそうですし、ライヴに来てくれるファン同士でもこういうことであるんかなって。別に僕はファン同士って友達じゃなくてもいいと思うんです。むしろ、礼儀とかマナーとかなってなくていいと思うし。ライヴハウスでの座り込みがどうとかTwitterで最近話題になりましたけど、僕もライヴがつまらんかったら座ったり携帯触ったりするやろうし。ただ、自分が人に注目して欲しくて世の中の悪い部分をわざと発信する人ってすごく多いと思うんですよ。そういうのってどうなんやろうなって思うし。
――その通りですよね。
:ファン同士でいがみ合ったりとかも、誰も得しないばかりか結局はバンドが損をするだけなのになって。どんなに叩き合ったって誰も一番にはなれへんのに。誰かが一番なんじゃなくて、「ファンが一番」なんですよ。
――「ファンが一番」、良い言葉ですね。爻さんは何か世の中やV系シーンに物申したいことはありますか?
:バンギャにはもっとブレイズやドレッドを受け入れて欲しいよな。
:向こうにどう思われようと僕は僕のやりたいことをやるだけですけどね。「これがモテるだろう!」って。
豹&友我:モテたい!
:ただモテたいがために自分のスタイルを変えはしないですよ。自分のありのままで、モテたい(笑)!
友我:爻くんにはどんどんやって欲しいと思う。バンドマンで時々「守りに入った」とか言ってメイクとかが普通になっていく人いますけど、僕それに対して「何も守ってへんやん、ただダサくなってるだけやん」って思いますね。
――凌央さんはいかがですか?
凌央:言っても言わんでも変わらんし、知らん! って感じですね。僕らはただカッコよくなっていくしかないんかなって思いますね。小さいコミュニティが増えれば増えるほどそういうのも増えると思いますし。
:今だと言い訳みたいに取られても嫌ですし、自分らが大きくなってからそういうことは堂々と言いたいっていうのがあるんですよね。
――そんな『うずまき』を引っ提げてのツアー「大日本御礼参り百鬼夜行」も決定しており、ファイナルは8月30日(木)にシェルミィ最大キャパのワンマンとなる高田馬場AREAで開催されますね。
凌央:これまでは小さな会場でじわじわと活動していたんですけど、「もうそろそろやるか!」ということになりました。
:今年はそういう1年にしていきたいという思いが当初からあったので。
――ファイナルでは未発表音源「口裂け女」が来場者全員に配布されることも発表していますね。
:口裂け女って美容整形に失敗した女性なんです。そこからヒントを得て、美容整形について書いた曲になります。もちろんツアー各所で演奏するんで、きっとCDが欲しくなると思いますね。
――それでは最後に、ツアーへの意気込みをお一人ずつお願いいたします。
:『うずまき』をリリースしてのツアーとなりますが、耳で聴くのと目で観るのとではまた違うと思うので、しっかりCDを聴き込んでライヴに足を運んでもらえたら嬉しいですね。
凌央:作品を出すたびに自分らの色を塗り替えられていると思うので、是非今のシェルミィに会いに来てください。
友我:(沈黙の後)……頑張ります(笑)!
:シェルミィの大事にしてきた「和」の要素を『うずまき』では最大限引き出せたんじゃないかと思っていて。ツアーの規模やファイナルが高田馬場AREAであることなど、今自分の理想通りにバンドが動かせていると思いますし、「口裂け女」もすごい好きな曲なんですよ。僕が好きなものはきっとファンの子も好きになってくれるものだと思っているんで、これからもシェルミィを信じてついて来てくれれば後悔はさせないと思います。

RELEASE

新ミニアルバム「うずまき」
2018年07月19日(水) Release!!
[CD]
01.御礼参り
02.今日も後悔の血が垂れる
03.赤い部屋
04.絶望産まれのセルロイド
05.メイデイメイデイ
06.噂

LIVE INFORMATION

大日本御礼参り百鬼夜行-魔界編-

2018年07月23日(月) 名古屋ホリデーネクスト
2018年07月24日(火) 心斎橋Fanj twice
2018年07月26日(木) 京都MOJO

大日本御礼参り百鬼夜行-人間界編-

2018年08月06日(月) 東高円寺二万電
2018年08月08日(水) 浦和ナルシス
2018年08月10日(金) 仙台space zero

大日本御礼参り百鬼夜行-霊界編-

2018年08月13日(月) 広島セカンドクラッ
2018年08月14日(火) 福岡gra
2018年08月16日(木) 高松TOONIC

大日本御礼参り百鬼夜行ファイナル「裏御伽噺」

2018年08月30日(木) 高田馬場AREA

ソニックデスモンキー×シェルミィ presents「犬猿の仲」昔はな、、今はちゃうねん

2018年09月06日(木) 心斎橋PANHEAD GROOVE


2018年07月13日(金) 新横浜NEW SIDE BEACH!!
2018年07月14日(土) 池袋EDGE
2018年07月15日(日) 新横浜NEW SIDE BEACH!!
2018年07月21日(土) HEAVEN’S ROCK さいたま新都心VJ-3
2018年07月28日(土) 仙台MACANA
2018年08月04日(土) 大阪MUSE
2018年08月05日(日) HOLIDAY NEXT名古屋
2018年08月25日(土) 高田馬場AREA
2018年09月05日(水) OSAKA MUSE
2018年09月24日(祝・月) 高田馬場AREA

シェルミィ PROFILE

※画像クリックで大きい画像が表示されます。
  • Vo:

    Birth:
    03.06
    Blood:
    O

  • Gu:
    友我
    Birth:
    04.16
    Blood:
    A

  • Ba:
    凌央
    Birth:
    04.10
    Blood:
    ?

  • Dr:

    Birth:
    01.18
    Blood:
    A


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