FEATURE

emmuree「lightless.」

2018.06.12
2018年6月27日(水)に発売されるemmureeのニューアルバム『lightless.』は、ひとつの幻想絵画のような芸術作品だ。
聴けば聴くほど夢とうつつの境界線が曖昧になってゆくこの作品について、言葉では決して語りつくせない彼らの独自の感覚を感じて欲しい。

インタビュー・文:二階堂晃
『目が覚めた時に「夢」はどこに行くんだろうか』
――今年、活動開始から19周年を迎えたemmureeの皆さんに本日はお話を伺っていこうと思います。まずは、改めてViSULOG読者にバンド紹介をお願い致します。
:活動開始から19周年を迎えたemmureeです。宜しくお願い致します。
――皆さんの音楽的なルーツはどういったあたりなのでしょうか?
:自分はD'ERLANGERやZI:KILLが原点で。D'ERLANGERも、ZI:KILLのメンバーの皆さんも、現在も活動していらっしゃって、今でも刺激を頂けて幸せな人生です。
:最初にXを知って衝撃を受けて、そこからかまいたちや黒夢を好きになったことで今に至ります。もちろん今でも好きですよ。
ハルカ:僕は映画『ロッキー4』のサウンドトラックですね。
――ボクシング映画の『ロッキー』ですか?
ハルカ:素晴らしい音楽ですから。『4』のサントラですからね。
:要するに今名前が挙がった音楽すべてをミックスしたものがemmureeです(笑)。
――大変興味深いです(笑)。そんなemmureeの皆さんが2018年6月27日(水)にNEWアルバム『lightless.』をリリースします。今作のコンセプトや狙いはどういったものだったのでしょうか?
:まず原点があって、そこから派生した広がりの中で今があると思ってるんですけど、そんな中でメンバーの脱退もあって。で、現在の体制で初めてのアルバムを作るにあたって、まぁ自然と、核の部分、原点に立ち返ったものをという話にはなって。emmureeはダーク、暗黒なバンドというイメージを持たれがちではあるんですが、実はいつも本人達はあんまり意識してなかったりするんですけど(笑)、今回は意識してみようかなという感じで。
ハルカ:結成当時に近い作品だよね。
――バンドの初心に返ったということでしょうか?
ハルカ:枝分かれしていったものではなく、最初からやりたかったことを意識して、改めて引き締めて作ったということですね。
――それでは早速1曲ずつ伺わせてください。まず、1曲目の「lightless -僕の夢-」はどういった経緯で生まれたのでしょうか?
:歌詞的には、まず最初に「夢」というものがあって。目が覚めた時にその「夢」はどこに行くんだろうか?という、悶々とした妄想を膨らませた感じですかね。「夢の墓場」というようなイメージで。
――原曲は想さんが書かれたとのことですが、お二人はまず想さんからのデモを聴いての印象はいかがでしたか?
ハルカ:カッコいいな、と思いましたね。僕はギターのプレイスタイルとしては出来るだけ弦を抑えずにどれだけ開放弦のコードの響きを大切に出来るか心がけているんですが、この曲はどう弾こうかな? と思いながら最初は聴きました。
:まだ曲タイトルが付く前からライヴでもやっていたんですけど、後に「lightless -僕の夢-」というタイトルを聴いて、ねじ曲がってるなと思いましたね。
――ねじ曲がっている?
:“僕の夢”っていう言葉からは楽観的というか、陽のイメージのほうが強いと思うんですけど、曲調とのギャップを感じたんですよ。
:最初は“lightless”がなくて、「ぼくのゆめ」だけだったんだよね。平仮名で。
――『lightless』というタイトルは、そのまま「光が無い」という意味と解釈していいのでしょうか?
:そうですね。ダークとは言いつつ、全く救いのない絶望的な感じというのはあまり好きではなくて。光が無い、じゃあつけようみたいなニュアンスを“lightless”という言葉に感じて。明かりをつけようと思えばつくけど、あえて暗闇に佇んでいたい時もある。自力では無理だけど誰かが火を灯してくれる事もあるだろうし。そういう広がりも感じられて。
――なるほど。続く2曲目の「lightless -鈍い、闇。-」もアルバムタイトルを冠していますね。
:同時期に作ってた曲で、どちらも表題曲に相応しいなと思っていたんですよ。どちらかを“lightless”にしようと思ってたんですけど、アルバム全体の仕上がりもコンセプチュアルな感じになってきてたんで、両方“lightless”でもありだなと思って。
――弦楽器隊のお二人は演奏のアプローチに関してはいかがでしたか?
ハルカ:「lightless」と名の付く2曲に関してはどちらも、「lightless」という名前のナイフで切り付けていくイメージで弾きました。
:久しぶりに直球な曲が出てきたなと、思いましたね。
:活動を開始した頃は、こんな曲演りたてぇなと思っても、スキル的に形に出来なかったりすることも良くあって。この曲は、当時やりたかったこんな曲を形に出来たかなと思ってます。シンプルにカッコいい、これがなかなか出せなかった。
『生まれて死ぬという現実』
――一転して3曲目の「八月の雨」は優しい印象を感じました。
:「八月の雨」はアレンジが終わって楽器隊が音を全部録り終わった段階で、歌詞もメロディも全部書き直して歌のレコーディングをしまして。当初は全然違うメロディだったんですよ。
――ハルカさんと朋さんも、当初把握していたメロディとまったく違うもので完成したことに驚かれたのではないでしょうか?
ハルカ:大変いいことだと思いますよ。もっとやってしまえ、といった感じです。
:どうしても歌詞のイメージが纏まらなかったんで、あぁ!もうメロごと変えてしまえ!!!と(笑)。ライヴでもやってたんで、レコーディング前の状態を知っているファンの方は、あぁ~と思って頂ければ。
――歌詞に関しては、透明感やまっすぐな印象がありますよね。
:内容としては、蝉が生まれて死んでいくと、ただそれだけの歌です。
――何故、そこをテーマとしたのでしょうか?
:生きる期間が違うと言うだけで、人間も含めて全ての生き物が一緒だと思うんですよ。蝉は地上に出てから、ひと夏の命みたいな感じで儚さをフィーチャーされがちですけど、全ての生き物に生まれて死ぬという現実があって。大きな目で見れば、どの命も儚いですよね。そういうところに重ね合わせて聴いてもらってもいいですし、単純にひとつの夏の風景を描写した歌と捉えてもらってもいいし。
ハルカ:歩くのが遅い、蝉の幼虫のような曲ですよね。
――4曲目の「brand new world」はタイトルからして前向きな曲かな? と思っていたら、決してそういう訳ではないですよね。
:今の体制になってから最初に作った曲なんで前向きは前向きだと思いますよ(笑)。単純に、突き抜けたロックな曲を、って感じで作った曲ですね。この曲はアルバム以前からあって、ライヴで無料配布もしてますね。
――“さぁ選べ 灰か 血か”という歌詞のワードが大変印象的だと感じたのですが、この部分にはどんな意味を込められたのでしょうか?
:死んで灰になるか、生きて血を流すか、ということですね。
――ギターに関してはいかがですか?
ハルカ:重いイメージです。ただ、この曲に関して言うと、ギターの前に歌が限界を突き抜けたなという印象ですね。
:実際にキー的にも限界を抜き抜けましたね(笑)。
――朋さんはベースのアプローチに関してはいかがですか?
:前向きな気持ちで。この曲に対して暗さとか後ろ向きなイメージは、俺は感じていないですね。
『無駄だとは分かっていても、愛する気持ち』
――5曲目の「Red.」からアルバムの内容はさらに深い方向に進んでいきます。この曲は特にダークでソリッドな印象が強いですね。
ハルカ:曲は僕が書きました。3拍子でストレートに聴けて、なおかつ激しくて静と動がはっきりしている曲を作りたくて。
:この曲もアルバム制作の前からあって、maxi singleとしてリリースしてる曲ですね。今のバンドの状態で再録して、当時とはまた違った、今のグルーヴ的なものを感じて貰えるんじゃないかなと思います。
――“愛では救われないだろう 然れども愛だけがすべて”という部分ですが、生きていく上での真理を突き付けられたような気がしました。
:不確かだけど、決して不必要なものではないじゃないですか、愛というのは。無駄だと分かっていたとしても愛するみたいな、そういう気持ち?
――前向きですね。
:まぁ結成当初からemmureeは前向きですから(笑)。
――朋さんはいかがですか?
:ライヴでも多くやっている曲なので、メンバーの結びつきを一番感じる曲だなと思います。
ハルカ:一体感を感じて気持ちいい曲ですよね。
――続く「tonight-星降る月夜に-」は包み込まれるようなミディアムナンバーです。
:今回のアルバムの、自分の曲の中では、一番最後に作った曲ですね。「後はこういう曲があればこのアルバムは完璧だ」というイメージを形にした曲です。どのアルバムでも、最後のほうに作る曲はそういう意識で作ってますね。今回は、明るいというか、優しい光のような曲が欲しいな、と思いながら。
――この曲にも「夢」というワードが出てきますね。
:アルバムの流れとしては9曲目の「無色透明」で夢から覚めて、1曲目の「lightless-僕の夢-」に戻るというイメージなんですね。この曲は「夢の途中」です。
――この曲はとにかく朋さんのベースのオクターブ奏法が気持ちよく印象的だったのですが、このアプローチは想さんの原曲の段階からあったのでしょうか?
:そうですね。ニューロマンティック(1970年にイギリスから発祥したロックのジャンル)的な感じで。
:こういう弾き方って、最近では珍しい奏法ですよね。集中力が問われる楽曲でした。
――ここまでお話を伺っていて、ハルカさんの楽曲に対するギターアプローチのイメージがとてもユニークだと感じているのですが、この曲のハルカさんのギターのイメージも是非聞かせて下さい。
ハルカ:でっかい船の錨ですね。刃物ではなく、錨の形をした鈍器を振り回しているというイメージです。
――これもまた独特の解釈ですね。
ハルカ:どうも曲を聴くと武器のイメージが湧くことが多いんですよね。刃物とか、鈍器とか、ピストルとか。ギターとは人を殺す道具というイメージです。
――7曲目の「circus」はその名の通りサーカスを題材にしているとあって、まるで1本の映画のような世界観ですね。
:実際にこういうことがあったかどうかは知る由もないですが、貧しさからサーカスに売られてしまった子供の物語という設定で。哀しいというよりは、力強さを描いていて、自分的には新しいアプローチが出来たかなと思ってます。
――続く「消滅、崩壊、自我、支離滅裂。」はアルバムの中でもひときわ異彩を放つカオスなナンバーです。
:あとから振り返った時に、どうやって作ったんだろうこの曲…と自分達の曲に対して思う曲が何曲かあるんですけど、すでにそんな曲の一つですね(笑)。詩的には、鏡に向かって毎日「お前は誰だ?」と問い続けると発狂するという話があって。その辺から膨らませて、漫画に出来そうな感じのイメージで。自分の詩は現実的にありそうな出来事に絡んだ感情を描くことの方が多いんですけど、この曲に関しては完全なフィクションしかないなと。
――この曲は場面展開が特に目まぐるしいですが、ハルカさんと朋さんはいかがでしたか?
:最初全然掴めなくて。これはもう、ひたすら繰り返し演奏して覚えるしかないなと思いましたね。
ハルカ:弾いていて楽しいですね。ギターのイメージは、昔プレイステーションで流行った「IQ」というパズルゲームです。調べてもらえれば意味が分かると思います。
:そうね、そういう非現実的なイメージです。
ハルカ:追い詰められていく感じですね。
『生きているうちに目に映るものは透明な夢のようなもの、だけど』
――そして、アルバムもいよいよクライマックスへ突入します。先程もおっしゃっていた「無色透明」はやはり“透明な世界”という言葉がキーワードかと思われますが。
:生きてる間に見聞きして、知れる物事って限られていて。世界のほとんどのことを知らずに死んでいく訳じゃないですか。今日、道で擦れ違った人のことなんて顔も覚えてないし、当然名前も知らない。何してる人とかも当然わからないし。まぁでもそれが普通で。そう思うと、生きて目にしてるものって透明な夢のようなものだなと思って。透明で見えないわけではなくて、透明を見ているって感じ?悪い意味ではなくて。自分も他人から見たらそうで。そんな世界の中で、自分にとって大切と思える人達と出会って。小さい世界だけど、それだけでいいな、幸せだなと思って。そして夢から覚めるようにしていつか死んでいく。それも悪くないよねって。
――そんな夢のように儚い人生の中で、皆さんが生きて行く上で大切にしているものについて聞かせて下さい。
ハルカ:ギターを弾く上でのイメージとは真逆ですが、どんな小さな虫であろうとも「何も殺さない」ことですね。蚊も殺せないですし、それは絶対守っています。後は、亡くなったペットも今でも頭の中で飼い続けていますし。自分が死んだ時にまたあの頃のペットに天国で会いたいという思いがあるから、どんな生き物であろうと殺せないんですよ。
:自分について考え続けていくことが大切かなと思ってますね。それが結果的に人を大切に思うってことにも繋がるんじゃないかなと最近すごい思っていて。振り返ると、まわりの人に嫌な思いをさせちゃったなと思うこともたくさんありますし、それは結局自分が未熟だからそうなってるわけで。自分については考え続けたいなと思ってます。
:同じような話になりますけど、自分は業が深い人間だと思っていて。自己犠牲とは違うんですけど、何事もまずはまわりの人がいい気持ちになったりとか物事が上手く運んだらいいなと思いながら生きていようとは思っています。
――ありがとうございます。そして最後の「朧げに、猶予う。」でこのアルバムは締め括られます。
:「朧げに、猶予う。」は、このアルバム全体の余韻みたいな感じですね。ここまでに描かれた全てはただそこにあるみたいな。流れとしては一曲目に持ってくるのもいいなと思ってたんですけど、リピートして聴くことを前提としたら頭に持って来ても、最後に持ってきても一緒だし、やはり余韻として最後におきたいなと。
:リピートして聴いていても「朧げに、猶予う。」で一回終わる感じがするし、「朧げに、猶予う。」からの「lightless-僕の夢-」の流れも絶妙なんで、いい位置に置けたなと思いますね。
――9曲目の「無色透明」から、1曲目の「lightless-僕の夢-」に繋がると言われてましたが、10曲目の「朧げに、猶予う。」は“余韻”という位置づけだからですか?
:そうですね。「朧げに、猶予う。」は全ての曲の上で、朧げに猶予ってる感じというか。デカい曲だなと思います。
――“どこまでも闇 闇のまたその先も闇”という歌詞と、アルバムタイトルを『lightless.』とした思いに深みを感じます。
:言葉だけでは救いのないようにも感じられるかもしれないけど、曲調、メロディ、曲の流れとかで、違った響きを感じて貰えるんじゃないかなと思います。
――『lightless.』というアルバムはひとつの芸術作品であると、お話を伺っていて強く感じます。19年の活動というものは決して誰しもが出来ることではないと思うのですが、改めてこれからのemmureeについてどんなことをお考えですか?
:まぁ原点である「集まって音楽をやる」ってことに集中するだけですね。『lightless.』に続くアルバムもいいタイミングで作りたいなと思うし。常に創作意欲を持ち続けて活動をしていきたいなと改めて思ってます。それだけ『lightless.』は良いものが出来たと思っているし、メラメラ燃えてる感がありますね、今。『lightless.』、堪能して頂いて、ライヴに足を運んで頂けたら嬉しいですね。

RELEASE

emmuree 5th Album「lightless.」
2018年06月27日(水) Release!!
YDE-002 / ¥3,000(税抜)
01. lightless -僕の夢-
02. lightless -鈍い、闇。-
03. 八月の雨
04. brand new world
05.Red.
06. tonight -星降る月夜に-
07. circus
08. 消滅、崩壊、自我、支離滅裂。
09. 無色透明
10. 朧げに、猶予う。

発売元:幽閉DISC
販売元:ONG DISTRIBUTION

LIVE INFORMATION

emmuree monthly “oneman” tour

[lightless in NAGOYA]
2018年07月14日(土) 名古屋 MUSIC FARM
[lightless in OSAKA]
2018年08月25日(土) 西九条 BRANDNEW
[lightless in SENDAI]
2018年09月23日(日) 仙台 HOOK
[lightless in NIGATA]
2018年10月08日(月・祝) 新潟 GOLDEN PIGS BLACK STAGE

emmuree Special “Oneman” Freak Show『暗黒祭』

2018年07月15日(日) 名古屋 MUSIC FARM

emmuree monthly “oneman” tour final『lightless ~朧げに、猶予う。~』

2018年11月24日(土) 目黒 鹿鳴館


2018年08月12日(日) 下北沢 MOSAiC
2018年10月20日(土) 梅田 amHALL

emmuree PROFILE

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