FEATURE
浅葱「斑」

徹底した“和”の世界の中で浅葱の紡ぐ物語の数々が極彩色の斑模様の如く散りばめられた本作は、まさに一つの総合芸術と言っていいだろう。
世代を超えてシーンを担う数々のゲスト・ミュージャンと共に世に放たれた今作の魅力を浅葱本人が紐解いたインタビューをご覧いただきたい。
インタビュー・文:二階堂晃
――『斑』の音楽性は徹底した「和の世界観」と、ハードかつメロディアスなロックの融合がどの楽曲からも感じられます。今作の音楽的な狙いがあれば教えてください。 浅葱:そうですね、歌詞も全編古語ですし、勿論和楽器や和音階も使っているのですが、いわゆる「和っぽさ」の雰囲気だけで「和コンセプト」とは語りたくなかったので、自分自身で新たな「和の音楽」を作っていけたらと考えました。サビでは必ず聴きやすさを大事にしていますし、ライヴ感も出したかったのでそこは意識しましたね。 ――『斑』というタイトルに込めた思いこのタイトルを名付けた理由を聞かせてください。 浅葱:「斑」に収録した楽曲は所謂、短編集のように、それぞれが主役になれる楽曲を集めたアルバムなんです。色、形、大きさ、輝き…個々によって異なる魅力を発しながら、ひとつのアルバムとして表現している様がまるで「斑」のようであるという意味からこのタイトルをつけました。 ――『斑』で描かれてる物語はどの曲も徹底した美しい世界観の中で時に悲しく、時に残酷ですらある様々な人間模様が描かれています。これらは実際の伝説や逸話をを元にしているものなのでしょうか?それとも浅葱さんご自身の作り上げたストーリーなのでしょうか? 浅葱:そうですね、わかりやすく言えば「月界の御子」であれば「竹取物語」をベースにその後の世界をオリジナルとして描いていますが、先人の描いた物語そのままをなぞるだけでは面白味が足りませんよね。ですので、自分で広げていった世界観が多いです。意外と民話や伝承って情報量が少ないので、そこは逆に空想しやすくていいですけどね。歴史上の中でも真実を知る者って生存していませんし、史実の真偽って謎じゃないですか。ですので、もし自分の立場であったらこの時、どう思うだろうか?という気持ちを当てはめている部分も大きいかもしれません。 ――色鮮やかな世界観と「かぐや姫」の物語を彷彿とさせるシチュエーションが印象的な『月界の御子』Music Video収録時のエピソードを聞かせて下さい。 浅葱:この日は朝から猛暑だったのですが、日本家屋のお屋敷をお借りしたので、空調が無かったんですよ!その中で、衣装を着込んで、一番暑かろう部屋で照明の光をたっぷり浴びながら動くという…非常に脱水状態が危ぶまれる撮影でした(笑)。勿論撮影スタッフの皆さんや、一緒に出演してくれた方々も鎧を着込んでいる上に、易々と着脱できるわけではないので、本当に大変だったと思います。でも最終的に沢山の人達の力で良い作品に仕上がってとても満足ですね! ――「ASAGI-SOLO WORKS-」のソロ・ボーカリストと「D」のボーカリストとしてご自身の中での意識の違いはありますか?あるとしたらそれはどんな部分ですか? 浅葱:Dでも孤独な曲は今までもあったのですが、やはりバンドだとメンバーがいるので、仲間の絆のようなものがあるんですよね。それに対してソロは全責任を担うので圧倒的に孤独を歌っているものが多いです。また自分の心の中の暗い部分を表現していることが多い気もします。元々常時、賑やかなことが好きな性格ではないので、自分の奥底にある心が自然と出ている部分もありますね。 ――今作にはSUGIZO氏(LUNA SEA / X JAPAN)、真矢氏(LUNA SEA)、Shinya氏(DIR EN GREY)、人時氏(黒夢 / Creature Creature)、岡野ハジメ氏をはじめとした日本のロックシーンをリードしてきた大御所が多数ゲストミュージシャンに名を連ねています。どのような狙い、思いの元にキャスティングしていったのか、その経緯を聞かせてください。 浅葱:最高のものを作りたいと思った時に、自身がリスペクトするミュージシャンにお声掛けしようと思ったんです。岡野さんとの付き合いはDのメジャーデビューからですのでもう10年くらいになるんですが、やはり培ってきた技術や知識の広さに圧倒されますし、LUNA SEAに関しては高校生の時からファンでした。様々なミュージシャンの方々にお願いした理由は、やはりその方々一人一人に尊敬の意があるからですし、楽曲を作った時に、その方々のプレイが自分の中で自然と再生されたんです。ですので是非演奏してもらいたいと思い、お願いしましたが、想像以上の仕上がりと、夢のような共演にとても興奮しましたね。 ――同時に、今作には遠海准司氏(己龍)、亜季氏(Sadie / AXESSORY)、樹威氏(GOTCHAROCKA)、yo-ka氏(DIAURA)、など、今後のV系シーンの中核を担う世代のアーティストも多く参加しています。彼らの起用したことの意図と経緯も同様に聞かせてください。 浅葱:Dのメンバーにもいちミュージシャンとして参加してもらいましたが、同期や後輩にあたる彼らも、同じ時代を生き、共に戦ってきた者として敬意を払っています。諸先輩同様に、彼らにもソロの楽曲を演奏してもらってひとつの作品を作り上げることができたのは本当に嬉しいことですね。 ――収録楽曲の中で特に深い思い入れのあるものがあれば教えてください。 浅葱:全曲、それぞれに想いはあるのですが、特にということであればやはり「アサギマダラ」になりますね。自分の名である「アサギ」とアルバム名である「マダラ」が合わさった曲ですし、自身の死生観を曲に込めました。儚い人生の中で如何に自分色の空を飛ぶことができるか。そしてまた志半ば、傷つくことがあろうとも、魂が揺らぐことはありません。心はどこまでも深い空の向こうを目指すのです。 ――『斑』のアートワークやヴィジュアルイメージについて、狙いやコンセプトを聞かせてください。 浅葱:通常であれば基本のカラーはだいたい1~2色で纏めることが多いんですが、今回は「斑」ということで、多彩になっていますね。衣装もそうなんですが普通何色も色や柄が合わさるとうるさく感じると思うんですが「和」の場合は合わさることで深みが増すこともあるんですよね。ですのでアートワークも今回はカラフルです。グッズも今までになくフルカラーのものもありますね。旅をする蝶「アサギマダラ」の美しい姿も描かれています。歌詞、楽曲、映像、衣装、アートワークなどなど全て、トータルで魅せる世界観を目指しています。 ――“浅葱”全国単独公演 二〇十八「斑(まだら)」へ懸ける意気込みや思いを聞かせてください。 浅葱:今回Dではなく初のソロとしての単独公演なので、僕自身を初めて観てくださる方もいらっしゃると思うんです。勿論、ずっと応援してきてくれている方々もソロとしては初ですしね。楽曲は既に聴いてくださっている方も多いと思うのですが、ライヴは別物ですし、第一印象ってやはり大切ですよね。その中で期待して観に来てくれるわけですから、その期待は裏切れないですし、ある意味その期待を凌駕する生の浅葱を感じてもらえたらと思っています。収録された音や、撮影された画像の僕だけではなく、実際に生きて動く、生身の僕がどんな舞台を作り上げるのか、そこを観てもらいたいです。来ようか迷っている人は必ず来てください。ここでしか観られない美しくも恐ろしい、そして心に沁みる音楽を奏でる舞台でお待ちしております。
RELEASE
2018年01月31日 Release!!
![]() |
【AL+DVD】 YICQ-10401/B / ¥4,000(税抜) [CD] 全13曲 01. 天地(あめつち)行き来る小船 02. 月界の御子 03. 畏き海へ帰りゃんせ 04. 花雲の乱 05. 隠桜(おぬざくら) 06. 螢火 07. 大豺嶽(おおやまいぬだけ)~月夜(つくよ)に吠ゆ~ 08. 冬椿 ~白妙の化人~ 09. 白面金毛九尾の狐火玉 10. 鬼眼羅(きめら) 11. 雲の通ひ路 12. 物の怪草子 13. アサギマダラ [DVD] DVD-1.月界の御子 (Music Video) DVD-2.月界の御子 (Music Video with lyrics) DVD-3.月界の御子 (Music Video Making) |
![]() |
【CD】 YICQ-10402 / ¥3,000(税抜) [CD] 全14曲 01. 天地(あめつち)行き来る小船 02. 月界の御子 03. 畏き海へ帰りゃんせ 04. 花雲の乱 05. 隠桜(おぬざくら) 06. 螢火 07. 大豺嶽(おおやまいぬだけ)~月夜(つくよ)に吠ゆ~ 08. 冬椿 ~白妙の化人~ 09. 白面金毛九尾の狐火玉 10. 鬼眼羅(きめら) 11. 雲の通ひ路 12. 妖刀玉兎(※通常盤のみ収録) 13. 物の怪草子 14. アサギマダラ |
LIVE INFORMATION
2018年02月10日(土) 新横浜NEW SIDE BEACH!!
2018年02月17日(土) 新潟GOLDEN PIGS RED STAGE
2018年02月18日(日) 金沢AZ
2018年02月22日(木) 岡山IMAGE
2018年02月23日(金) 広島SECOND CRUTCH
2018年02月25日(日) 福岡DRUM SON
2018年03月03日(土) HEAVEN'S ROCK さいたま新都心 VJ-3
2018年03月08日(木) 仙台MACANA
2018年03月11日(日) 札幌colony
2018年03月17日(土) OSAKA MUSE
2018年03月18日(日) 名古屋ell.FITS ALL
2018年03月24日(土) 新宿BLAZE