INTERVIEW

LIRAIZO 「LIBERI / PARAIZO」

2017.09.01
修羅場をかいくぐり、地獄のような熾烈なるシチュエーションを経ながら、今まさにLIRAIZOがたどりつこうとしている境地には何があるのだろうか。
今年は修業巡礼・地獄巡りの名のもと、[八大地獄]を遂行中の彼らが、このたびは“その5・大叫喚地獄”としてアルバム『LIBERI』と『PARAIZO』を2枚同時にリリースすることとあいなった。
11月18日には[八大地獄]の最後を締めくくる高田馬場AERAにての3周年ワンマンも控えている中、LIRAIZOの面々はかく語りき。

取材・文:杉江由紀
『ただ普通にアルバムを出すだけではちょっと面白くないかな、と思ったんですよ』(キリ)

――今年は修業巡礼・地獄巡りの名のもと、[八大地獄]を遂行中となるLIRAIZOですが、このたびは“その5・大叫喚地獄”としてアルバム『LIBERI』と『PARAIZO』が2枚同時のリリースとなるそうですね。 キリ:今年の[八大地獄]をやっていくうえでは、ただ普通にアルバムを出すだけではちよっと面白くないかなと思ったんですよ。それと、去年はマンスリーで12回のライヴをやったのと同時に、毎月会場限定でシングルを1枚出すということもやって来ていたので、そこで作ってきた12曲や、それとは別に流通を通して出したシングルも2枚あったので、その曲たちも含めて今回の2枚のアルバムに関しては、それらを総括するようなベスト盤的なものとして僕ら自身は考えているところがあるんです。

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――つまり、去年コンスタントに発表されてきた14曲+あらたな書き下ろし分6曲によって、この2枚のアルバムは構成されているわけですね。 キリ:そうなんですよ。もちろん、同時に2枚を出すからには内容的にも違う雰囲気のものにしたかったので、『LIBERI』の方は比較的わりと歌モノの楽曲が多く収録されていて、『PARAIZO』の方は逆にライヴ感を重視した楽曲たちを中心に収録しました。それぞれに、LIRAIZOっていうバンドの持っている二面性を感じてもらうことが出来る作品になっていると思いますね。ちなみに、録りおろしの新曲たちは3曲ずつ入っているかたちになります。 ――だとすると、やはり『LIBERI』と『PARAIZO』に収録されている新曲郡たちは、いずれもそれぞれのアルバムのカラーを意識しながら作っていったもの、ということになるのでしょうか。 キリ:いや、そこは結果的にそうしたというところがありました。というのが、最初に新曲たちを作っていた時点では、まだ具体的にバンド内で2枚をそこまで色分けすることは決まっていなくて、個人的に僕の中で多少そこを意識していたくらいだったんですよ。そして、僕らは今年の3月に『鬼修業』というミニアルバムを出しているんですけど、実はそこからLIRAIZOの音というのがけっこうガラっと変わったんですね。チューニングも下げて、よりヘヴィでアグレッシヴな方向に傾いたんですよ。だから、当初は新曲も激しいものが多くなっていたんです。 ――なるほど。ということは……。 キリ:あとから追加の曲出しをした段階で、『LIBERI』の方に入れられるようなものを足して、曲たちを振り分けていきました。 ――では、メンバー個々からすると新曲たちを作って行くうえでは、どんなことに留意する場面が多かったのでしょうか。 鈴音:ここまでLIRAIZOとしてやってきたことを、新曲たちも含めたアルバム全体に集大成的な感じで詰め込んでいければ良いなというのはありました。 ――弦楽器隊の音はチューニングを下げたということですが、ドラマーである鈴音さんにもその影響があったことになりますか。 鈴音:ドラムの音は、むしろ上げたんですよ。そうすることで、音が抜けるようになったんです。そこは大きな変化でしたね。 ――チューニングを下げることにより生まれる変化を、うまく活用したわけですね。 ゼクス:今回、僕は『LIBERI』に入っている「LUNA」の作曲をさせてもらっているんですけど、前作のミニアルバムからバンドとしての音が重い方向に変わったというのもあって、疾走感やノリを出すというよりは、暗く落とすようなラウドっぽい雰囲気を出すようにしていきました。その分、LIRAIZOとしては今までにあまりなかったタイプの曲を作ることが出来たんじゃないかと思います。 冬摩:全体的な方向性に関しては、キリくんが何時もほぼほぼ提示してくれているので、僕も曲作りの面とプレイの両面でそれに沿っていったかたちですね。作曲の面では、基本的に歌モノの方が得意なので『LIBERI』の中に入っている「period」を初めて作らせてもらいました。そして、激しい曲が多くなっている『PARAIZO』の方に関しては、ここ最近のLIRAIZOがライヴで得意としている要素をプレイの中に活かしていくようにしていきました。当然、ヴォーカルのYUKIさんの歌がこうしたらもっと映えるんじゃないかな、ということは基本的なところでは共通して考えながら作ってもいましたね。 『前よりも、“LIRAIZOはこうでなくてはいけない”みたいな先入観が良い意味で取り払われた』(YUKI)
――ここまで各メンバーからのお話があったとおり、春あたりからLIRAIZOのバンドサウンドに変化が生じて来ている中で、YUKIさんの場合ことヴォーカリストとしては、今作2枚についてどのようなアプローチをしていこうとお考えでしたか。 YUKI:音の変化については、メンバー皆でよく話しあったうえで「より良い方向を目指していこう」ということで変化してきていることなので、その実感は僕も感じているんですよ。前よりも、“LIRAIZOはこうでなくてはいけない”みたいな先入観が良い意味で取り払われたところもあって、今回のアルバムでは自分たちが本当に得意なことだとか、好きなことをしっかりと形に出来ているんじゃないかと思います。そういう意識の変化は歌詞を書いたり、歌ったりする時にも出て来ていて、今回は“自分はもっとこういうことが伝えたかったんだよな”ということを、今までよりもさらにちゃんと表すことが出来た気がします。 ――具体的に、歌詞の面で顕著にこれまでとの違いが出た楽曲を挙げていただくことは出来ますか。 YUKI:今回は、1曲ごとに作曲者からテーマやイメージについての話を聞いてから詞は書いたんですよ。中でも、キリちゃんの「絶対病的希求」とか「孤独の理由」は、わりとコンセプトっぽいものになりましたね。特に孤独の理由」は、最初に犯罪とか耐えるっていうキーワードをもらったんです。そこから、いじめとかいじめられている人のことを題材にして書いて行ったんですよ。そして、この詞の中には犯罪という部分についても実は織り込んであって、さらっと聴いたり読んだりしただけやとわかりにくいかもしれないですけど、最後までよくみていくと(登場人物が)犯罪も犯してしまっている内容になっています。ぜひ、細かいところまで歌詞を読んでみてください。 ――なお、YUKIさんの書かれる詞は女性を思わせる一人称が使われていることが多い印象です。これは、何故なのでしょうか。 YUKI:僕は、いわゆる男の女々しさとか、その感情がどういうものなのかがよくわからないんですよ。何かあっても、全てキッパリと捨ててしまう方なので(笑)。 ――世間話のひとつとして、女の記憶は上書き保存、男の記憶は別名をつけて保存である、という表現が使われることがありますけれども、YUKIさんは極めて潔くていらっしゃるのですね。 YUKI:完全に僕は上書き派です。名前さえ忘れちゃいますよ(笑)。だから自分の個人的な感覚では「おまえをずっと愛しているぜ」みたいなことは、絶対言えないんです。ただ、女性目線だとそういうことも書けるし歌えるので、自分個人の中にはないものを表現したいとなったときには、主人公を敢えて女性にして描くことが多いですね。そういう風にして書いた方が、想像力で物語が広がって行くことも多いです。 ――ご自身にとってリアルな内容と、想像力を駆使したもの。それらは、歌っていくときにも視点が変わるわけですか。 YUKI:違いますね、やっぱり。バンドのことや、自分のことを歌っているときは、パフォーマンスや声の出し方も素の自分に近いと思いますし。逆に、フィクション要素の多いものはちょっと演技じゃないですけど、普段とはまた別の感情移入の仕方をしているんだと思いますよ。 ――フィクション要素という点でいけば、「LUNA」も興味深い内容ですね。 YUKI:これはまず、ゼクスくんから「恋愛系の内容でサビのアタマに女性の名前を入れて欲しい」という要望があったんですね。それで、どうしようかなぁと思いながら曲を聴いているうちに、曲調的に少しあやしい雰囲気が漂っていたこともあり、吸血鬼のお話を書いて行くことにしたんですよ。そこから、月夜のイメージが浮かんで出て来たのが、このLUNAという名前でした。 ゼクス:僕としても、なんとなくこの曲に対しては頽廃的な空気とか月夜のイメージは感じながら作っていたところがあったので、この歌詞が出来上ってきた時はまさにぴったりだなと思いましたね。あと、女性の名前がキミエとかヨシコみたいな昭和っぽい名前じゃなくて良かったです(笑)。 ――冬摩さん作曲の「period」については、詞の面でどのようなオーダーがあったのでしょうか。 冬摩:絶望を書いてくれ、って頼みました。それも、絶望の中に一筋の光が~みたいなのではなくて、真っ暗なのを。僕、希望とかないと思っている人間なので(苦笑)。 ――なんとまぁ。しかしですよ。全く希望が持てない中でも、バンド活動というのは出来るものなのでしょうか? 冬摩:バンドは、自分にとっての希望じゃなくて目標ですからね。こうなりたいから、それに向かって頑張っていこうというものなんですよ。でも、人生そのものはまた違うじゃないですか。恋愛ひとつをとっても、この人と何時まで一緒にいられるのかな、とか不安は何時でもつきまとうわけですよ。そして、不安の先にあるのはあんまり明るい未来じゃないと思っちゃうんですよね。とにかく、俺としてはひたすら絶望を書いて欲しかったんですよ。 ――とはいえ、「period」はそこまでダークな曲ではありませんし、メロディ自体はむしろキャッチーさも含んでいる曲だとも感じるのですが。 YUKI:僕からすると、絶望ということはそこまで意識していなかったんですよ。自分にとって一番イヤなものというのは、“止まること”とか“何もなくなってしまうこと”なんですけど、この詞の中ではそれをふまえた上で、僕がバンドについて今思っていることを書きました。でもきっとこれは、受け取る側の学生さんや、社会人の方にも当てはまるようなことだと思うんですよね。というか、当てはめて聴いて欲しいなと思いながら書いた詞でもありました。なんだかんだ、冬摩も言っていたみたいに人生って大変なことの方が多かったりしますからね(苦笑)。 ――確かに、極端に恵まれている人をのぞけばそう感じることが多いとは思いますよ。 YUKI:しかも、ヴィジュアル系を好きな人たちというのは、やっている側も含めて病みがちな人が多いだろうし(苦笑)、別にポップでハッピーなものはそんなに求めていないところがあると思うんですよ。「period」は、そういう中でいろいろなことがあったとしても「しがみつきたい」っていう人の思いを、リアルに表現したものになりました。そして、数年後とかに状況がいろいろ引っ繰り返ったタイミングで、この曲に対するアンサーソングみたいなものを書けたら、またそれはそれでちょっと面白いんじゃないかなと思っていたりします(笑)。 『皆で音を出してYUKIさんが歌えば、何をやってもLIRAIZOになる』(冬摩)
――こうした新曲たちを含む『LIBERI』と『PARAIZO』は、実に大充実の内容になったと言えそうですね。 キリ:新曲たちはもちろんなんですけど、この2枚のアルバムでは去年出した曲たちについても、ライヴを通して成長してきた部分を付け加えたり、リアレンジしている曲もあるので、過去に出した曲たちからもそれぞれ“今のLIRAIZO”というものを感じてもらえると思います。 冬摩:ここまでいろんなタイプの曲があるバンドって、俺は意外と少なかったりするんじゃないかと思うんですよ。LIRAIZOの持っているその幅の広さを、2枚合わせた計20曲の中でぜひ聴いて楽しんで欲しいですね。自分たち自身も、このアルバムを作ることで「皆で音を出してYUKIさんが歌えば、何をやってもLIRAIZOになるんだな!」という自信をあらためて持つことが出来ました。そもそも、『LIBERI』と『PARAIZO』ってバンド名のLIRAIZOの語源になっている言葉たちでもあるので、ほんとこれがLIRAIZOそのものだと言っていいんじゃないかな。 YUKI:この2枚の中だと、「忘れないと誓う」が最も古い曲になるんですけど、この20曲の中にはLIRAIZOのここ1年半の歩みが全て詰まっているだけに、かなり濃い2枚になりましたねぇ。 ゼクス:新曲がどんどん難しくなっていってるので、ライヴでどんな感じになっていくのか不安もあり、楽しみでもあります(笑)。 鈴音:基本、ドラムも今回はどれも難しくなっちゃいました(苦笑)。個人的には「やりすぎてみよう」っていうのがテーマだったアルバムだし、どれも自分で考えてやったことなんで自分のせいではあるんですけど(笑)。このタイミングで、こういう経験が出来たのは良かったです。あとは、ライヴでこれをどうやっていくかですね。 ――ライヴといえば、11月18日には[八大地獄]の最後を締めくくる高田馬場AERAにて行われる3周年ワンマンも決定しておりますね。 YUKI:去年の11月くらいから、ずっと今度の3周年ワンマンを念頭において活動してきたし、その延長線上で今回のアルバムを作ったというところもあるので、ここはまずそのライヴをしっかりとやりきりたいと思います。それが終わった時に、その先がまた見えてくるのが理想ですね。




RELEASE

LIRAIZO 2nd FULLALBUM「LIBERI」
2017年08月30日 2枚同時release
LRIZ-009 / ¥3,000(税込)
[CD]
01. period
02. SETSUNAスリップ
03. 妄想攻略
04. 間に合うわ
05. アプローチ
06. LUNA
07. 現実逃避プレゼント
08. 真夏A
09. 命短し恋せよ~なんて
10.忘れないと誓う

LIRAIZO 2nd FULLALBUM「PARAIZO」
2017年08月30日 2枚同時release
LRIZ-010 / ¥3,000(税込)
[CD]
01. period
02. SETSUNAスリップ
03. 妄想攻略
04. 間に合うわ
05. アプローチ
06. LUNA
07. 現実逃避プレゼント
08. 真夏A
09. 命短し恋せよ~なんて
10.忘れないと誓う

LIVE INFORMATION

LIRAIZO presents キリbirthday 『地獄絵図』

2017年09月09日(土) 東高円寺二万電圧

LIRAIZOLIRAIZO3周年ワンマン

2017年11月18日(土) 高田馬場AREA




2017年09月01日(金) KYOTO MUSE
2017年09月20日(水) 心斎橋soma
2017年09月21日(木) NAGOYA HOLIDAY NEXT
2017年09月28日(木) 渋谷REX ※YUKIのみ出演
2017年09月29日(金) 仙台space Zero
2017年10月03日(火) 池袋BlackHole
2017年10月04日(水) 今池3STAR
2017年10月05日(木) OSAKA MUSE
2017年10月07日(土) 池袋RUIDO K3 ※YUKIのみ出演

LIRAIZO PROFILE

※画像クリックで大きい画像が表示されます。

  • Vocal:
    YUKI
    Birth:
    02.09
    Blood:
    B

  • Guitar:
    キリ
    Birth:
    09.08
    Blood:
    O

  • Guitar:
    冬摩
    Birth:
    01.09
    Blood:
    O

  • Bass:
    ゼクス
    Birth:
    06.07
    Blood:
    A

  • Drums:
    鈴音
    Birth:
    01.08
    Blood:
    O



DISCOGRAPHY

アーティストタグ

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