FEATURE

DEZERT パーソナルインタビュー

2017.06.12
「わざわざ自分らの今の心境をこういう形で発信するのは初めてというか、ライヴ以外ではしたことないけど、言った方が伝わるんじゃないかと思って」

――まず、このインタビューを出そうと思った経緯についてですが。 「ぶっちゃけると、次のツアー前にレコーディングして、新曲を持って回ろうと思ってたんですよ、もともとは。そういう予定を前から組んでいて、それこそ3曲ぐらいは新曲をツアーで披露してもいいんじゃないかと。でもこないだのツアーに出てやっぱりやれないなって」
――どうして? 「今のバンドの雰囲気とか在り方がちょっと違うなって」
――作った新曲と? 「そうです。僕的にはニュー千秋だったんです。曲調は変わんないですけど」
――音楽との向き合いがニュー千秋ってことで。 「間違いなくそうです。けど、全然ダメだったんですね、ツアー出てみたら『違うな』って。だから次のツアーってもともとリリースありきで組んでたから、ハコの選び方もそれを意識した上のハコで。福岡で1,000人キャパとか今の僕らには厳しいですからね。だからって無理やり作って8月までにリリースすることもできたけど、無理やり作ってもしゃあないから、じゃあもう『千秋を救うツアー2』をやろうと。で、普通人からすれば“2”ってことは……」
――おかわりってことで。

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「ツアーのおかわりみたいな感じだと思うかもしれないけど、僕からしたらけっこう違うから、じゃあ何がどう違うのかっていうのも含め、自分から発信してみようってことになって。わざわざ自分らの今の心境をこういう形で発信するのは初めてというか、ライヴ以外ではしたことないけど、言った方が伝わるんじゃないかと思って」
――で、今ここにいると。 「イエス」
――まずは「千秋を救うツアー」を振り返しますけど、ツアーはタイトル通りのものになったんですか? 「前に『PHY』のインタビューとか見た人は知ってると思うけど、『千秋を救うツアー』っていうのは僕を救うツアーじゃなくて、僕みたいなやつがフロアにいるんだとしたら、そいつを救いたいって気持ちで歌うことを決めたツアーで。つまり目の前にいる人が全部自分だと思ってやるツアー。詳しいことは『PHY』をアマゾンで買って読んでね(笑)」
――もういいです(笑)。 「で、そういうつもりでツアーに出たけど……無理でした(笑)。いや、愛せねぇっす。ていうか、そもそも自分のこと好きじゃないのに」
――ははははは! 「自分のこと好きじゃないのにそこにいるのが全員自分ってことは、俺が嫌いなヤツばっかりじゃんっていう結論に達して。あと超イラついた日もあったりして。初めて行く土地とかもあったんですけど、記憶にあるのは宮崎とか。もし僕が宮崎に住んでて初めてDEZERT観てたら、もう一生観に行かないと思う」
――ははははははは! 「それぐらいヤバかったんですよ。高崎もそうだったし。高崎にいたっては途中からムカついて本編歌モノだけやって帰ったんですよ。何にムカついたか覚えてないけど。それぐらいツアーに出る前の気持ちを貫けなかったですね。『全部俺やん……ウザァーッ! 無理無理無理!』みたいな」
――そうなることはツアーに出る前に想像つかなかったんですか? 「つかなかった。今回ほど詰めてライヴをやったことがなかったんですよ。ずっと毎日のようにライヴがある状況っていうのは。イベントで30分とかじゃなくて、ワンマンであんな日程と本数を詰めたツアーはなかったんで、まさかこうなるとは。行く前にリーダー(Sacchan)は『けっこう厳しくなるぞと。狭いハコもあるし、客見えへんとこもあるし』とか言ってたけど、俺は『今のテンションやったら全然いける』って。でも無理でした」
――それに気づいたのはいつ頃から? 「初日かな」
――ははははははは! 「で、これは修正しないといかんと思ったんですけど、どこの地方に行ってもいろんな“千秋”がいて。そういう人の感情の波に飲み込まれたって感じですね」
――いろんな“千秋”が全国にいて、嫌いな自分と向き合っているようで辛かったと。 「それでも逃げなかったのは単純に家に帰れなかったからですよ。SORAくんがインフルエンザになった時に1回家帰ったんですけど、その時はもう心折れかけたから。『浦和ナルシス行きたくねぇ』って(笑)」
――確かにツアー前の千秋くんに取材した時はとても前向きで。「バンドの空気もいいし、券売状況もいいし。俺たち行ってくるぜ!」みたいな感じで。しかも「武道館に行きたい」とまで言ってて。 「言ってましたね。懐かしいっすね(笑)」
――ちょっと前向きすぎて、『逆に大丈夫かな?』って思うぐらい。 「大丈夫じゃなかったっすね(笑)」
「フロアのことはどうでもいいから、とりあえず自分のことを好きになりたいなって」
――で、そこからはどういうモチベーションでツアーを回ったんですか? 「メンバーとの相談ですね。自分じゃわからなくなっちゃったんで、メンバー全員と話し合って。『観にくる人たちにこういう気持ちを持って帰ってもらうようなライヴがしたいよね』とか『そのきっかけを作るためのセトリはこうしよう、曲間はこうしよう』とか話し合いを重ねて。それでセトリを日によって変えてみたり『なんでこの日は良くてこの日はダメだったのか』とか、細かい作業の積み重ねをして。だからあんまり気分は晴れないツアーだったけど、バンドとしての能力は上がったと思う。でも正直そこに関してはどうでも良くて」
――どうでもいいんですか(笑)。 「うん。だって能力くらい上がれよって。そりゃ上がるっしょ、下がったらマズいっしょ」
――千本ノックみたいなツアーでしたからね。 「そうそう。それより大変なのは、俺にとってバンドをやることが日常になってしまったことですよ。毎日ライヴしかやってないんですよ? あとはホテル帰って寝るか酒呑むぐらい。それって普通の生活の中にバンドが組み込まれてしまう感覚というか」
――まさに日常、ですね。 「ずっとバンドのことを考えたり悩んだりするのが俺の日常なんだけど、もはや明日どうやろう、どう生きよう、みたいなレベルになっちゃって。それってバンドとしては建設的でないというか。単なる生活じゃないですか」
――それまで千秋くんにとってバンドというのは非日常的な場所というか。 「日常が嫌でしたから」
――でもそれが日常になってしまったと。 「うん、そうですね。で、『なんで俺だけやねん』と思って。例えば一回の動員が200人だとしたら、その全員が俺らと一緒に全国回ってくれるなら文句はなかったんです。この意味わかります?」
――わかりません(笑)。 「毎日同じ人たちの前だったらいいけど、今日と明日では違う人たちじゃないですか。そしたら『明日はどんなんやろう』って思いながら明日を迎えなきゃいけない。それって心がすり減るっていうか、それがすげぇ嫌だった。だからツアー中はめちゃくちゃ早く寝てました。明日が近づいてくるのイヤなんで早く寝て。俺、すっげぇ勘違い野郎だなって思った。そんなに人間って難しくねえんだなって。要は『楽しければいいのに』っていうお客さんの感情にぶち当たったんですよ。こっちはもっと難しく考えてたけど、『普通にやったら楽しいやん、なんでいちいち曲がりくねったことすんの?』みたいな(笑)」
――そう言われたと? 「言われてはないけど、わかるじゃないですか。お客さんの目とか見たら。で、いろんな人がいるんだな、しかもそれ全部背負うなんて無理やし。棒立ちのヤツもいれば変な暴れ方してるヤツもいて、それをこの2時間で1個ずつ対処していこうとしてた俺はバカか? と思って。で、後半、それをスパッとなくして。『そもそも自分のこと嫌いやわ』って。で、どうしようって思ったかっていうと、フロアのことはどうでもいいから、とりあえず自分のことを好きになりたいなって」
――あははははは! 「『自分のこと嫌いだったの忘れてた』って。いや、千秋っていう存在が嫌いなんじゃなくて。素の自分が嫌いなんですよ。日常の自分。でもこのツアーでバンドが日常になった時、バンドマン千秋と素の自分が合体したわけですよ。例えば2週間に1回のライヴならいいの。13日間素の自分が嫌いでも1日好きな千秋がいるなら、別々でいられるし。でもそこが合体しちゃったんで。バンドと日常が」
――だったら素の自分を好きになるしかないと。 「そうです。で、もう最後の方だったんだけど、長野あたりで『次のツアーは千秋を救うツアー2』にしようってなったんです」
――今の話をまとめると、自分的に大きな何かが得られたツアーではなかったと? 「ないです。どっちかっていうと死にたくなったというか、『消えてぇ』って思いました。『どうせいつか死ぬじゃん』みたいな境地。今年『This is the “FACT”』に出てもらったLM.Cのmayaさんともその話になったんですけど、『どうせ死ぬんだから今を楽しもうよ』っていう宗教的な観念。で、それを思ったんですよ、今回のツアーで。『あぁ、どうせ死ぬんだ』って。宮崎で俺が感情をぶちまけたお客さんだって、俺が死んだらもう会われへんし、あの人が死んだら会うこともないし。したら『え、何? 今俺がやってることって無意味じゃね?』って」
『どうせ死ぬし。だから自分のための曲を作る』
――それってバンドとか音楽以前の、ものすごく根本的な話ですけどね。 「1度きりの人生、どうせ死ぬんだからって。もしかしたら何かのきっかけ――誰かとの出会いとかで考えが変わるかもしれないけど、今は無理だなって。ツアー出るまでは前向きだったのに、俺にとって前向きとか無意味やわって。どうせ悩みながら死ぬわって。で、どうしようかっていうと、今まで嫌いだった自分とかも全部受け入れて。つまり自分のこと好きになって、なおかつ世界を嫌いになろうと」
――そこまで本気で思ってるなら、むしろ今回のツアーは大きな転機になってるんじゃないですか? 「あ、そうですね。今年で6年目か7年目で、やっと自分の人生とバンドがリンクしたってことなのかな。だってみんな死ぬじゃないですか。ツアーに来た人たちも死ぬし、そいつらの子供だって死ぬ。世界だっていつか終わるし、地球だって終わるでしょ? じゃあなんのために生きてんねんやろうって」
――その悩みって10代の頃にぶち当たる壁ですけどね。 「や、たぶんずっとぶち当たってはいたんですよ。でも自分を誤魔化すのに必死でしたから。思い通りの自分――『こうありたい』っていうのに向かうことで、自分を誤魔化すというか。バンドだってその延長というか」
――そうやって考えることから逃げてきた。 「だって死ぬことについて考えるよりも今の自分のことで精一杯だもん」
――じゃあ聞くけど、どうして理想の自分をそこまで追い求めようとしたと思います? 「そりゃあもちろん自分が嫌いだったからですよ」
――何がそんなに嫌い? 「いっぱいありますよ。顔、体型、声、存在。だから嫌いっていうか、醜いって思った。ツアーで。『醜いくせに何ステージに立ってんの?』とか『醜いくせに偉そうなこと言うなよ』とか『醜いくせに煽るなよ』とか『醜いくせにマイク持つなよ』とか」
――もういいです(笑)。 「でも、なぜか今晴れやかな気持ちなんですよ。それはなんでかっていうと、ツアーから帰ってきてずっと曲を作ってて、今言ったようなことだったり気持ちを歌詞にできてるから。ツアー終わったら出すつもりでいた曲が3つあって、1曲はまだライヴでやってないんですけど、残り2曲はライヴでもちょいちょいやってて。で、その2曲っていうのはやっぱりフロアにいる人をゴリゴリ意識して作ったものというか」
――つまりフロアにいる“千秋”を救いたいというか。 「それができたら一番いいと思うんです、アーティストとして。『俺自身もそうなりたいと思って音楽やってるつもりだったけど、無理。なれねえもんはしょうがねえ。やっぱ俺は醜いヤツだ。だったらその醜さをどう愛するか?』っていうのが今の俺。で、そのための曲を書いてます。だから完全に自分のための曲です。いろんな人の希望ってあるじゃないですか。こうなって欲しいとかこういう曲聴きたい、このセトリがいい。『いや、知るかいな』と。どうせ死ぬし。だから自分のための曲を作る。メンバーにも悪いけど『俺は自分主義でやらせて頂きますスミマセン』っていうのが今のテンションです」
――こんな自分のモードを自らインタビューで発信するっていうのもすごいことだ思いますけど。 「そうですか?『曲を出す、俺が聴く、俺はいい、俺は高評価、っていうかありがてぇ』、これでいいやって」
――つまり、醜くて後ろ向きである自分を前向きに受け止めるってことですね。 「そうっすね。今いいこと言いましたね」
――で、最終的にはそんな自分をみんなにも受け入れてほしいと。 「そっか。自分だけじゃなく、みんなにも受け入れてもらうことは必要かもしれない」
――とどのつまり、極めて普通の欲求が千秋くんの心の奥底にはあるってことで、インタビューを終わりにしたいと思います。 「……うわっ、キモ!! めっちゃ普通や、俺!!(笑)」


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千秋 パーソナルインタビュー

Miyako パーソナルインタビュー

Sacchan パーソナルインタビュー

SORA パーソナルインタビュー

RELEASE

「完売音源集-暫定的オカルト週刊誌②-」
2016年11月23日 Release!!
【変態盤】
CD+DVD
SFG-004 / ¥8,640(税込)
[CD]
01.「変態」
02.「切断」
03. 遮光事実
04. MONSTER
05.「不透明人間」
06.「絶蘭」
07. 脳みそくん。
08. さくらの詩
09. ストロベリー・シンドローム
10.「死刑宣告」
11. リリィさんの整形美容術
12.「告白」
13. 肋骨少女
14.「遺書。」
15. Ghost

[DVD]
2016年6月5日 【楽しい食卓ツアー】FINAL
at. Zepp Tokyo
01. opening
02.「あー。」
03.「君の子宮を触る」
04. 大塚ヘッドロック
05.「殺意」
06.「宗教」
07.「秘密」
08.「擬死」

【凡人盤】
SFG-005 / ¥3,780(税込)
[CD]
※収録曲は「変態盤」と共通です。

LIVE INFORMATION

"千秋を救うツアー"振替公演

2017年06月21日(水)名古屋 CLUB UP SET
2017年06月22日(木) 浜松FORCE

DEZERT LIVE TOUR 2017"千秋を救うツアー2"

2017年08月19日(土) 恵比寿 LIQUIDROOM
2017年08月26日(土) 長野 CLUB JUNK BOX
2017年08月27日(日) 金沢 EIGHT HALL
2017年08月29日(土) 高松 オリーブホール
2017年09月02日(土) 福岡 DRUM LOGOS
2017年09月03日(日) 岡山 CRAZYMAMA KINGDOM
2017年09月09日(土) 札幌 ペニーレーン24
2017年09月16日(日) 仙台 Darwin
2017年09月30日(土) 大阪 なんばHatch
2017年10月01日(日) 名古屋 ダイアモンドホール
2017年10月08日(日) 東京 中野サンプラザ
[チケット]
前売り ¥4,000 ※税込み、D代別
※中野サンプラザ公演は全席指定、他公演はオールスタンディング
一般発売:7月15日
※プレイガイド情報は後日オフィシャルホームページにて
・一般発売に先駆けてオフィシャルホームページ先行実施
受付URL http://eplus.jp/dezert17hp/
※枚数制限:お1人様各公演4枚まで
受付期間:5/01(月)12:00~6/19(月)21:00
結果確認:6/22(木)12:00~6/29(木)18:00
入金期間:6/22(木)12:00~6/30(金)21:00
※08月19日恵比寿公演~10月01日名古屋公演まで受付
※10月08日中野サンプラザ公演は後日受付情報を解禁

TOUR FINAL

2017年10月08日(日) 中野サンプラザホール

DEZERT PROFILE

※画像クリックで大きい画像が表示されます。

  • Vocal:
    千秋
    Birth:
    03.02

  • Guitar:
    Miyako
    Birth:
    03.29

  • Bass:
    Sacchan
    Birth:
    10.28

  • Drums:
    SORA
    Birth:
    06.22



DISCOGRAPHY

アーティストタグ

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