INTERVIEW

メガマソ「天使崩壊」

2017.06.24
冬眠からの覚醒を経て、メガマソが今また大きな動きをみせはじめた。メガマソにとっての10th Anniversary作品でもあり、2年ぶりにして10作目のアルバムにもあたる今作『天使崩壊』。
この中で、彼らが表現しているのは元来メガマソが持っている強烈な個性と、この10年という日々の中でアップデートしてきたバンドとしての進化の過程。その両方であると言えるだろう。メガマソの過去と現在を堪能したいなら、今度のツアー[天使崩壊サマーデイズ]ともども、このタイミングだからこそ彼らが表現しようとしているものたち全てを、素直に受け取ってみるべきである。
そして、その先にはきっとメガマソの描く未来までもが見えてくるはずだ。

取材・文:杉江由紀
『個々の曲がより際立つような面白い作品に仕上げることが出来た』(Gou)

――メガマソにとっての10th Anniversary作品でもあり、2年ぶりにして10作目のアルバムにもあたる今作『天使崩壊』は、バンド側からしてみると、どのような意識のもとで制作していったものになるのでしょうか。 涼平:まず、“10年目だからこそ出来ること”というのは、当然ながらこの作品の中で表現していきたいなと思っていました。それと同時に、僕らは2006年に『涙猫』というファーストミニアルバムを出しているんですが、そのまさに10年くらい前の自分たちの気持ちというものも、あらためてここで思い返してみたかったところがあるんですよ。つまり、今現在のメガマソと10年前のメガマソ、その両方の要素というものをこのアルバムには詰め込んでみたかったんです。だから、敢えてというか狙って粗削りな雰囲気に仕上げた曲なんかも今回はあるんですよ。

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――確かに、今作にはメロディラインや曲調の部分で、少し懐かしい匂いや空気感を漂わせている楽曲が幾つかありますものね。 涼平:あ、だったら良かったです(笑)。特に、「いきはよいよい、かえりはこわい」とか「フラワリング ピッツィカート」なんかは特にそこを意識しているので、それを感じていただけたのはとても嬉しいですね。
――Gouさんからすると、ベーシストとしてはアルバム『天使崩壊』に対して、どのようなスタンスで向きあっていくことになったのでしょうか。 Gou:とにかく久しぶりのアルバム制作だったので、やっていて楽しかったというのが1番大きかったです。自分自身でも「どんな作品になるんだろう?」っていう期待が凄くあったんですよ(笑)。
――その多大なる期待は、結果として『天使崩壊』のクオリティというところにしっかりと結びついたようですね。 Gou:うん、まさにそうなんですよ。このアルバムにはかなりいろいろなタイプの曲が入っていて、気分的にはそれぞれの曲に対して全く違うモードで取り組めていたところがあったので、個々の曲がより際立つような面白い作品に仕上げることが出来たんじゃないかと思います。
――では、ヴォーカリストとしてのインザーギさんはこのアルバムの制作に向け、当初どのようなヴィジョンや指針をお持ちだったのでしょうか。 インザーギ:今回のアルバムに関しては、それぞれの曲を独立したものとして考えていたので、一貫したテーマを持つようなコンセプトアルバムとは全く違う作り方をしていったんですよ。それもあって、今回は曲ごとに歌い方もいろいろと変えていたりしますね。それぞれに表情の違う歌というものを、表現するようにしていきました。
――実際、ここに収録されている楽曲たちはそれぞれに異なる面持ちになっている印象がとても強いです。ちなみに、これらの楽曲たちはこれまで2年の間にストックされてきたものになりますか? それとも、アルバムの制作が始まってから生み出されたものが多いのでしょうか? 涼平:ほぼ書き下ろし曲ばかりです。昔から原曲があったのは、「ウィウィ」くらいですかね。これはもう3〜4年前からあった曲で、「何時出そうか」とずっと思っていたものだったので、ようやくここに入れることが出来て良かったです。
――かくして、今回は皆さんにとって2年ぶりのアルバムレコーディングとなったわけですけれども、以前と比べたときに何かしらの変化を感じた点はありましたか。 涼平:メンバーそれぞれ、メガマソが冬眠している間にはまた別の活動をしていたりもしましたから、結果的にそこでの経験が無意識的なかたちでもフィードバックされたところはあったかもしれないですね。あとは、レコーディングという意味でいけば、このアルバムの前に僕らは復活シングルとして『ふとん史』という作品を作っているんですよね。それが良い意味で、今回のアルバム・レコーディングに向けた第一ステップになったところがあったと思います。そのせいか、今回は本当に全ての行程がとてもスムーズでしたよ。
――今さらではありますが、つくづくメガマソというのは独特な言語感覚を持ったバンドなのだな、とこのたびは再確認してしまいました。「ふとん史」を筆頭に、今作でも曲タイトルや歌詞だけをとっても独特で強い個性を放っている楽曲が目白押しです。 インザーギ:といっても、そこの部分で独特なのはひとりなんですよ(笑)。
Gou:俺らは普通だもんね(笑)。
涼平:いやいや! そこは、お互い影響されているところだってあるでしょ。僕も、インザーギの書いている歌詞を読んで「なるほどな」ってなることもあるし。それに、もはや“これ”にも慣れたんじゃない?
インザーギ:うん、今はもう別に驚かない。
Gou:面白いとは思っても、驚くっていうのは確かにないかもね。
インザーギ:だから、そこが凄いなって思います。既にメガマソとしてはこれが普通、となっているところが(笑)。「へぇー、「ふとん史」かー。タイトルは面白いけど、中味は凄くイイこと言ってるなぁ」ってなっちゃいますからね。
Gou:うん、むしろそこは分かりやすい。
――ただ、ライヴなどで曲紹介をすることになるのはインザーギさんですよね。言葉として発しようとした時に、ある種の違和感を感じることはないのですか? インザーギ:あー、そこは……(苦笑)。
Gou:ちょっとした問題だよね(笑)。
涼平:10年経っても、そこはいまだに問題みたいです(笑)。
インザーギ:そこはほんと、難しいところもありますよ。とりあえず、曲紹介の時は絶対笑っちゃいけないですから。ある意味、そこは修業みたいなものですね(笑)。
『10年経っても、そこはいまだに問題みたいです(笑)』(涼平)
――それだけ、メガマソの楽曲たちは際立ったオリジナリティに溢れているということかと思います。なお、今作にはボーナストラックを入れて全11曲が収録されておりますが、メンバーの皆さんが個人的に「特にこの曲に対しての思い入れがある」または、「中でもこれは自分の中での推し曲である」と認識されているのが、どのあたりの曲なのかも教えてくださいませ。 Gou:僕は、「ウィウィ」と「HOOPS」ですね。「ウィウィ」の方は、まずノリが今までにない感じで新鮮だったんですよ。ダンスチューン自体はこれまでにもあったんですけど、それらともまた違う感覚で弾いていて楽しめました。そして、「HOOPS」の方はね。これはちょっと大変だったかも(笑)。
――手がかかったにあった曲だけに、やり甲斐がそこに生まれたわけですね。 Gou:そう。この曲は、フレージングの面でかなり難しかったんですよ。普通にパっと聴きをした感じだと、そこまで複雑な曲には感じないと思うんですけど、中味は意外と濃いんです。そこが、自分としては苦労したのもあって好きですね。
インザーギ:僕はどれだろうなぁ。自分で曲と詞を書いた「Juice」は当日まで1回も歌わずにレコーディングに臨んだ感じでしたけど(笑)、「ichigoサマーデイズ楽しみさい。」なんかは1曲の中に相当いろんな要素が詰め込まれているし、リズムも譜割も歌の面でのグルーヴの出し方も、全てが一筋縄では行かない感じだったのでそこは少し歌っていく時に悩みましたね。でも、その分ほかにはない存在感を持った曲になったと思います。そして、今回の楽曲はどれもキーが高いよね。
涼平:そうかも(笑)。
インザーギ:最初に「このくらいなら余裕でしょ」ってちょっと油断していたら、曲の最後の方で「これは……!」となったパターンが幾つかありましたもん(苦笑)。
涼平:それは「フラワリング ピッツィカート」とか、「削り氷にあまづら入れて」のこと?
インザーギ:そうだね(笑)。
――そのようなキー設定にしたのは、もしやギリギリのテンション感を引き出すための“敢えての方策”だったりしますか? 涼平:それはありますよ。もちろん、これだけ付き合いは長いので、インザーギの音域については分かっていますからね。だから、「HOOPS」なんかも「実はここまで行けるでしょ?」という気持ちで曲を作っているんです。もはや、これなんて女の子でも中には出ないっていう人もいるんじゃないか、っていうくらいのキー設定ではあるんですけど。
――それを高らかに歌いこなしてしまう、インザーギさんの鮮やかなヴォーカリゼイションには惚れ惚れしますね。 涼平:やっぱり、インザーギはとてもテクニックがあるヴォーカリストですからね。僕の方からギリギリを引き出していかないと、余裕がある歌い方になってしまいがちなんですよ。だけど、メガマソには基本的にそういう余裕は要らないんです。だから、今回も彼にはちょっと挑戦をしてもらいました。ね?
インザーギ:頑張りましたよ(笑)。
――涼平さんご自身は、そんな今作の中で特に手応えを感じていらっしゃるのはどの曲になりますか。 涼平:このアルバムのタイトルチューンになっている「天使崩壊」を作った時に感じた、「これは絶対に今回のリード曲だな」という直感的な確信はとても強かったですね。このアルバムを代表する顔になるような曲だと思ったので、アルバムのタイトルも『天使崩壊』としたんです。
――「天使崩壊」の歌詞は、何をイメージしたものだたのでしょう? 涼平:これは、サモトラケのニケという彫刻をモチーフにした詞ですね。まさに天使が崩壊しているイメージがあって、その姿を自分に置き換えたときに「僕の頭はどこだ?」と探している内容なんです。そして、この話は3曲目の「いきはよいよい、かえりはこわい。」に繋がっていて、そこでは頭が出てくるんですよ。
Gou:そうだったんだ! 今知った(笑)。
――「天使崩壊」以外の書き下ろし曲で、涼平さんが会心の出来だと感じている楽曲はどちらになりますか。 涼平:1曲目になっている「シスタン」と初回盤だと最後になっている「ichigoサマーデイズ楽しみさい。」も、大体おなじくらいの手応えが作っていてはありました。
――その両曲がアルバムの冒頭とラストを飾っているとは、何とも象徴的です。 涼平:まず、「シスタン」に関しては“僕らの音だけ”で構成してあるんですよ。普段、僕らのライヴでは同期と呼ばれているシンセサイザーの音なんかもバンドの音と一緒に流しているんですけど、この曲にはそういう要素が一切入っていなくて、サポートドラムを入れた僕らメンバー4人の発している音だけで演奏を完結させているんです。厳密には、ところどころでギターを2本重ねているところがあったりはするものの、スタンスとしてはバンドとしての初期衝動な部分を凝縮した曲にしたくて、こういうアプローチをしました。結果、メガマソというバンドが持っている、“そのまま”なところが本当に良く出た曲になりましたね。
――アルバムの冒頭からして、バンドの核となるものが提示されているというのは、聴く側としても非常にわかりやすいです。 涼平:今回のアルバムについては、1曲目から3曲目までの流れがひとつのポイントになっているとも言えるんですよ。実は、曲の始まるキーを全て同じBマイナーにしてあるんです。ぼーっと聴き流していたら、まとまった1曲に聴こえてしまうくらいの感覚を持たせたかったんです。
――曲間が極端に短いのも、そのためだったわけですか。 涼平:えぇ。「シスタン」と「天使崩壊」はサウンド自体も、寄せていますしね。要は、10年もやってくるとだんだん器用になってくるし、オシャレな展開のアルバムとかも作れるようになってしまうので、今回は意図して昔みたいなつくりのアルバムにしたかったんですよ。言い方は悪くなっちゃいますけど、昔って技術も能力も低かったから(笑)、なんだかんだで似たような曲ばっかりの作品になっちゃうようなことがよくありましたからね。そういう「全部同じタイプの曲だけど、でも好き!」みたいな感覚を、このアルバムでは最初の3曲で醸し出したかったんです。
――アーティストとして成長してくると、誰もが避けがちなところに潔く斬り込んだというのは、つくづく素晴らしいですね。 涼平:とはいえ、これもただそのまんまやってしまうとつまらないので、「シスタン」 ならメロコアっぽい雰囲気を入れたり、「天使崩壊」にはハードコアっぽいノリを入れつつ、「いきはよいよい、かえりはこわい。」なんかは、わざと音質もこれだけやたらとローファイにして、10年前のヴィジュアル系みたいな音にしてみました。
――なお、「ichigoサマーデイズ楽しみさい。」については、インザーギさんも推していらっしゃいました。作曲者である涼平さんとしては、どんなねらいを持って作られたものだったのでしょうか。 涼平:僕はメガマソが冬眠していた1年間、別プロジェクトとしてMigimimi sleep tightというのをやっていたんですが、そちらではEDMとロックを融合させたようなことをやっていまして、そのやり方を今度はメガマソに持ち込んだ時にどうなるだろう? ということを試したかった曲が、この「ichigoサマーデイズ楽しみさい。」だったんです。
――そういうことでしたか。 涼平:とはいっても、メガマソでMigimimi sleep tightと同じことをやっても意味がないですからね。そこは変拍子や転調、そしてリズムチェンジするところを入れていったりしながら、メガマソならではの世界観を創っていくようにしていきました。特に、アウトロの変拍子については10年前に出した『涙猫』の最後に入っている「脂肪の塊」も、曲の終わり方が変拍子で同じ4分の5拍子だったので、そこは意識的に同じにしました。
――なかなか粋な仕掛けですね。 涼平:10th Anniversaryアルバムとしての意味合いを、そういうところにも持たせておきたかったんです。
『こういうアルバムを作れたことに対する感謝や、冬眠した1年でわかったことたちを、今度のツアーでは皆に伝えていきたい』(インザーギ)
――では、「ichigoサマーデイズ楽しみさい。」の歌詞については、何をテーマの核として考えていらしたのでしょうか。 涼平:これは、自分の見た夢を歌詞にしたものであると同時に、ファンの皆へのメッセージにもなっている詞ですね。書き方としては前半とか特に悪口みたいになっていますけど、最後までちゃんと聴いてもらえたら僕の気持ちは伝わってくれると思います。
インザーギ:まぁね。だとしても、これ凄くない?“いいとこなしだよ”って(笑)。
Gou:けっこうひどい(笑)。
涼平:いやー。そう思うのは、まだ浅いね。もし今まだわからなくても、10年後に聴いたらまた違って聴こえると思うよ(笑)。
――そのようなファンの皆様とメガマソの素晴らしき関係性は、今度のツアー[天使崩壊サマーデイズ]でも素敵な空間を生み出していくことになりそうですね。 涼平:『天使崩壊』の曲たち軸にしながら、今回のツアーでは文字通り夏の楽しい日々を皆と過ごせるようなライヴをつくっていきたいと思います。
インザーギ:今回は、こうして自分たち自身の10年を祝えるような作品も出来ましたからね。こういうアルバムを作れたことに対する感謝や、冬眠した1年でわかったことたちを、今度のツアーでは皆に伝えていきたいです。あと、今回のアルバムは2人のかけあいも多いから、そこも今後のライヴでは映えていきそうだなと思ってます。
Gou:中には初めてやる会場もあるし、今から凄く楽しみですよ。
――そして、8月20日に渋谷WWW Xにて行われるツアーファイナルは、サブタイトルが付け加えられた[天使崩壊サマーデイズ~きみはただしいんだよ~]となっていますが、ここには先ほどお話にあった「ichigoサマーデイズ楽しみさい。」に込めた想いと、どこか重なるものになっていそうですね。 涼平:意味合いはとても近いです。フレーズとしては「天使崩壊」の歌詞の最後の部分を抜き出したものではあるんですけど、僕ら自身もこうして10年やってきた中ではいろいろと葛藤を感じてきたことはあったし、それは皆もきっと同じだと思うんですよ。そんな時でも、僕らは皆のことを全肯定するよ! という気持ちを、今度のライヴでは直接皆に伝えていこうと思います。こんな取っつきにくいところのあるバンドのなのに(笑)、肯定して支え続けきてくれた皆に、ライヴというかたちでの恩返しをしたいですね。




RELEASE

10thアルバム「天使崩壊」
2017年06月21日 Release!!
【初回限定盤】CD+DVD
DDCB-94014 / ¥3,241(税込)
[CD]
01. シスタン
02. 天使崩壊
03. いきはよいよい、かえりはこわい。
04. フラワリングピッツィカート
05. ふとん史
06. Juice
07. ウイウイ
08. 削り氷にあまづら入れて
09. HOOPS
10. ichigo サマーデイズ楽しみさい。
[DVD]
01. 天使崩壊 Music Video
02. 天使崩壊 Off Shot

【通常盤】CD Only
DDCB-14053 / ¥2,500(税込)
[CD]
01. シスタン
02. 天使崩壊
03. いきはよいよい、かえりはこわい。
04. フラワリングピッツィカート
05. ふとん史
06. Juice
07. ウイウイ
08. 削り氷にあまづら入れて
09. HOOPS
10. ichigo サマーデイズ楽しみさい。
11. フロスチ(ボーナストラック)

LIVE INFORMATION

メガマソ2017夏ツアー「天使崩壊サマーデイズ」

2017年07月27日(木) 名古屋ell fits all
2017年07月28日(金) 大阪阿倍野ROCKTOWN
2017年07月29日(土) 福岡DRUM SON
2017年08月05日(土) 札幌COLONY

TOUR FINAL「天使崩壊サマーデイズ~きみはただしいんだよ~」

2017年08月20日(日) Shibuya WWW X


2017年08月13日(日) 新宿ロフト
2017年08月16日(水) 埼玉会館小ホール

メガマソ PROFILE

※画像クリックで大きい画像が表示されます。

  • Vocal:
    インザーギ
    Birth:
    10.17

  • Guitar:
    涼平
    Birth:
    03.27

  • Bass:
    Gou
    Birth:
    03.01



DISCOGRAPHY

アーティストタグ

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