INTERVIEW

キズ「おしまい」

2017.05.23
今年2月に奇妙なフライヤーが話題になった。そこには「キズのボーカル」と名乗る者から「アナタノ傷キカセテクダサイ」という文言と電話番号が記されていた。
謎に包まれたバンドの正体は来夢(ex.LEZARD)、reiki(ex.LOUD GRAPE)を中心に結成された4人組ということが発表され大きな注目を集めた。
5月17日にシングル『おしまい』をリリースする彼ら初のロングインタビュー。

取材・文:藤谷千明
『今の業界って「いい人」ばかりに見えません?』

――まずはキズの結成のいきさつから教えてください。 reiki:発端という意味では僕かな?僕がまず、きょうのすけとユエを捕まえたんです。
ユエ:「捕まえた」って、そんな虫みたいな。
reiki:じゃあ、2人を「誘って」(笑)。

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来夢:その後、当時フラフラしていた俺にreikiが声をかけてきたんです。でも最初は何度か断ってるんですけど。
――なぜ断ったんですか? 来夢:その頃はなんていうか、「そんな気にならなかった」というか、まだ自分はステージに立つべき人間ではないと思ってたし、自分自身が迷子になっていた時期でもあったので。それでもしつこく誘ってきたので……。
――根負けしたということですか。 来夢:そうですね。
――お話を聞いていると、キズは「こういう音楽がしたい」という動機の元に結成されたバンドではなさそうですね。 reiki:ないですね。とりあえず「モンスターバンド」を組みたかったんです。
――この4人で「モンスターバンド」のヴィジョンが見えたということですか? reiki:見えます!むしろ今の時点でモンスターバンドですから。
――ちなみにreikiさんにとってのモンスターバンドの条件は? reiki:まず、スキルが高くて、どの面でも勝てる人が現れない集団です。
来夢:そういう楽器隊が集まっていたところに、俺が入ったことによって、俺のやりたいことや言いたいことを汲んでくれて、それを表現しようという形になったというか。
ユエ:来夢のやりたいことを聞いたときに、僕が言いたいことを代弁してくれていると言っていいほど近いものを感じたので、そこはすんなりと受け入れることができました。
reiki:「僕らがいて、来夢がいたらもう”カッコいい”んだよ」って誘いました。
――来夢さんの「やりたいこと」というのは? 来夢:思ったことを「本当に言う」ことです。「言いたいことを言ってる人」って実は「口では言ってるつもりでも言えてない人」ばかりだと思うんです。なにかに遠慮している、自分の何かを守ろうとしているような人間ばかりじゃないですか。今の業界って「いい人」ばかりに見えません?
――ここで指す「業界」というのは、ヴィジュアル系シーンですか?あるいは音楽業界全体に対して? 来夢:ボーカリストに対してですね。ジャンル関係なくステージに立ってる人ってみんな「いい人」に見えるというか、言ってることも大体似てるし、歌っていることも似ている。人間ってそんなに一種類しかいないかなあと疑問があって。俺がおかしいのかな?
――そこに対して来夢さん自身にフラストレーションがあったということでしょうか。 来夢:なんとかしてやらんといけないなと。だから思ってることをズバッと言う。そこで嫌われようが好かれようがどっちでもいい。それが「やりたいこと」ですね。
――バンドの「やりたいこと」はわかりました。ではバンド名の「キズ」は何を意味しているのでしょうか。 一同:言えません。
――おおっ? 来夢:よく聞かれますよね、バンド名の由来とかコンセプトとか。皆さんは「キズつける」や「キズを舐め合う」とか思ってるかもしれませんけど、違います。それを言葉で説明しちゃったら、楽器を持つ意味も俺が歌う意味もなくなってくるんじゃないかな。答えを先に出してしまうと、先入観を持たれてしまうし、これからの活動を知って感じてほしいことかな。その由来を知る頃には、俺たちはいないと思います。何年後になるかはわからないけど。
――ひとつのイメージに限定されたくないということでしょうか。 来夢:やりたいことはいっぱいあるんで、ひとつのことに執着してずっとやり続けようとは思わないですね。
reiki:僕らはそういうバンドですからね。
来夢:時代や環境とともに自分の気持ちも変化していくんで、変わっていくのは当たり前だと思います。やりたくないことを無理やり破って人を喜ばせるのは悲しいことだと思いませんか。
――これは私自身の固定観念かもしれませんが、白塗りで学ランだと楽曲が和風やアングラ・サブカル系なのでは、と予想していたんですけど。曲を聴いたら予想と全然違いました。 来夢:今回はたまたま……なんだろうなあ。俺らのこれまでのイメージを崩したかった。誰もが想像するようなことをやりたくなくて。多分僕とreikiがいる時点で、皆ある程度の想像をすると思うんです。それを裏切りたかったし、「キズ」ってきれいなイメージじゃないじゃないですか、もっと不格好にしたかったくらいです。
――きょうのすけさんのメイクはかなりインパクトがありますね。 きょうのすけ:パンチが欲しかった。能面メイクなんて他にやってる人はいないし。
reiki:ルックスとか正直どうでもよかったんです。大事なのは中身じゃないですか。
――2月にメンバーの正体を明かさずに「キズのボーカル」という情報だけを出して、「アナタノ傷キカセテクダサイ」という電話相談の告知を出していましたね。 来夢:それで3月1日から3日間、3時間ずつやったんですけど、毎日電話が鳴り止まなくて。Twitterとかの反応をみると何度かけても繋がらなかったっていう人もいたみたい。本当に1秒も鳴り止まなかったです。
reiki:電話に出たのは来夢だけだったんですけど、4人で聞いてました。
――どんな内容の電話が来たのですか? reiki:軽いのから重いものまで色々ありましたが、それは僕らと電話をかけてくれた人の“秘密”なので……。
来夢:匿名同士だったから話せることってあると思うんですよね。これで俺が「来夢」という名前を出していたら、皆の本音は聞くことができなかったと思う。今って「バンドとファンの距離感が近い」って言われるじゃないですか。でも全然そうじゃないなって思いました。だって皆が何を考えて、何を悩んで生きているかこれまで全然知らなかったですもん。単に握手ができるとかみたいな意味での距離が近い、ではなくて。心での距離が近いことをやりたかった。すごく貴重な経験でした。
reiki:答えは1つではなかったというか、軽くアドバイスできるようなことではなかった。
ユエ:自分が学生の頃は同世代の女の子のことは知らなかったからかもしれませんが、女の子の悩みが知れた気がします。
きょうのすけ:悩みや出来事自体はネットなどで知っていても、「そういうこともあるんだな~」くらい気持ちでした。でも、いざそういう悩みを持つ本人から電話がかかってきて、その人の声を聴くと、身近というとおかしいけど、自分の考え方が変わりました。
――その電話のやり取りを反映して作られたのが『おしまい』に収録されている楽曲なのでしょうか。 来夢:そうです。当初は皆の背中を押せるような万能薬のような曲を作れたらと思っていたんですが……、そんな夢のような曲は作れないと気づいたんです。何百件という相談にのっているうちに、「どうして皆こんなに苦しんでまで生きようとするのか?」という本質的なところを考えるようになりました。それを歌うことにしたんです。
reiki:だって気軽に背中を押すのも「無責任」じゃないですか。
――「天誅」の歌詞にもありますね。 来夢:なんか最近そういう歌詞多いじゃないですか、“君ならできる”みたいな。できないやつもできなかったやつも居るんですよ。俺自身、頑張ってできなかったことはたくさんあるし。でも皆「出来る」しか言わないのはおかしくないですか。それは電話相談をして思ったことでもあります。だからひとつの答えを叩きつけるのもおかしな話かなと、感じてほしいんです。こっちがひとつの答えを教えてあげるより、考えてほしい。本当に考えてほしいんです。
――模範解答を提示するのではないと。 来夢:自分なりに考えてほしいですね。その考えが俺と違ったとしていても、自分が導き出した答えは正しいと思うんです。だから本当に考えてほしいです。最近考えさせられる歌詞って無いじゃないですか。だから皆には考えて、気づいてほしい。
――気づくというと? 来夢:「気づくこと」に気づいてほしいです。
――『おしまい』は初めての4人でレコーディングされた作品になります。モンスターバンドゆえに起きたエピソードはありますか? 来夢:俺は言いたいことがあって曲を作って……というスタイルなんですけど、「こんな感じ!」とメンバーに渡したら、もうモンスターバンドなんで、それぞれがブワーッとやってくれて!
――ブワーッと。 reiki:僕も腐るほど頑張りました。死にたくなった(笑)。
来夢:「これ終わるんかな?」って想いましたね。3年くらいかかるんじゃないかって。
reiki:ユエはすごくテクニシャンなんですよ。
ユエ:言葉足らずすぎるよ。
reiki:ベースが、ね。
来夢:僕が口ベースで「“ドゥルルル”みたいな」と言ったら、それをすぐベースで忠実に再現してくれるんですよ。
reiki:覚えてきたのを完璧に弾くんですよ。でも、その場で「こうして」というと、わかんなくなって止まっちゃうんですよ。腕に特化しすぎて、こっちが(頭を指す)……。
――感性の人ということですか? reiki:1度頭にインプットしちゃうと動けなくなるんですよ。
ユエ:普段あんまり表に出さないんですけど、結構我が強いというか、負けず嫌いというか。デモの段階で構築した自分のベースをその場で変えるとなると、僕の中では嫌なんですよね。もう完結されているから、「こうしよう」って言ってくれるんですけど、話があんまり入ってこないんです(笑)。
来夢:このメンバー全員に共通してるんですけど、「自分」を持ちすぎててヤバいんですよ。いつ解散してもおかしくないくらいの我を持っているんで、それがギリギリ保って楽曲が生まれているんです。だから常に危険なところにいます。
――ではきょうのすけさんも我か強かったりするのでしょうか。 来夢:ライヴを見てもらうとわかると思うんですが、すげえ派手なんです。一番最初に彼のライヴを観たとき、すごくオーラを持ってたんで、ボーカルかな?と思ったらドラムだ!ってなって。案の定、ドラムにも華があって、一目惚れでした。
きょうのすけ:(笑)。
来夢:だから楽曲を常に派手にしたがるんです。なんでも入れたがる。だからグチャグチャになっちゃうんですよ。やりすぎるやつばかりだからもう大喧嘩ですよ。
――最終的に誰が譲るんですか? きょうのすけ:僕ですね。
来夢:彼は本格的なバンドは初めてなんです。これから成長すると考えたら怖いですね。一瞬でも気を抜いたらボーカルが食われるようなドラムなんです。俺は自分のステージに自信を持っている人間なので、普段はそういうこと思わないんですけど。正直俺は怯えてますね(笑)。
――8月には1stワンマン「失敗」が控えていますが、それまではイベントを重ねていくというのでしょうか? 来夢:着実な一歩を踏み出したいんです。行き急ぐ必要はないというか、慌ててワンマンする意味もないかなと。
――それでは最後に、活動していく上での抱負などを聞かせてください。 来夢:抱負……ねえ。
きょうのすけ:どのドラマーよりもカッコよく1番目立ちたいです。
ユエ:月並みな言い方ですけど、枠にとらわれないバンド、やりたいときにやりたいことをやれるバンドになりたいですね。今回のシングルは激しい曲が多いんですけど、今後ガラッと変わったこともするかもしれない。カッコいいバンドにしていきたいです。
reiki:もし中学生時代の自分がいたら、僕らを観て音楽を始めたくなるようなバンドになりたいですね。
来夢:彼はバンドに救われたから、恩返しがしたいんだよね。
reiki:言っちゃあ悪いですけど、今のシーンがぬるいんですよ。バンドじゃなくても出来ることばかりじゃないですか。バンドっていう初めてライヴハウスに行く緊張感だったり、そこに行かないと体験できないことのはずです。
来夢:俺は個人的なことになってしまうんですが……、このバンドで“トドメ”を刺してほしいんです。俺のバンド人生に。僕中学校からライヴハウスデビューして、その中で解散したりだの色々ありましたけど、「もういいや」って思えないんですよね。「バンドやってよかったな」って心から思えたことがない。人生の殆どをバンドに費やして、一瞬でもいいんです、「ああバンドやってよかったな」って思えるような終わりを迎えたい。それが1番の野望です。だから数字とか音楽で飯を食いたいとかじゃないんです。これはそれよりも難しいことだと思うので。


COMMENT MOVIE

RELEASE

1st SINGLE「おしまい」
2017年05月17日 Release!!
DMGD-001A / ¥1,500(税抜)
[CD]
01. おしまい
02. ヒトミドリ
03. 天誅
※収録曲・曲名・曲順、仕様は変更の可能性がございます。予めご了承ください。 発売元:DAMAGE

DMGD-001B / ¥1,500(税抜)
[CD]
01. おしまい
02. ヒトミドリ
03. へのへのもへじ
※収録曲・曲名・曲順、仕様は変更の可能性がございます。予めご了承ください。 発売元:DAMAGE

LIVE INFORMATION

【1st ONEMAN】「失敗」

2017年08月12日(土) 池袋EDGE


2017年05月31日(水) 新宿RUIDO K4
2017年06月03日(土) 大阪MUSE
2017年06月04日(日) 大阪MUSE
2017年06月17日(土) 仙台darwin
2017年06月18日(日) 仙台darwin
2017年07月15日(土) 名古屋E.L.L.
2017年07月17日(月・祝) 大阪BIG CAT
2017年07月23日(日) TSUTAYA O-EAST
2017年06月15日(木) 名古屋ReNY limited
2017年06月22日(木) 渋谷REX
2017年06月27日(火) 渋谷REX
2017年07月04日(火) 渋谷REX
2017年07月13日(木) 池袋EDGE
2017年07月27日(木) 渋谷REX
2017年08月3日(木) TSUTAYA O-EAST / TSUTAYA O-WEST / TSUTAYA O-nest / TSUTAYA O-Crest / clubasia / shibuya duo MUSIC EXCHANGE
2017年08月27日(日) 名村造船所跡地(STUDIO PARTITA / Black Chamber)
2017年10月06日(金)・07日(土)・8日(日) 大阪・服部緑地野外音楽堂

キズ PROFILE

※画像クリックで大きい画像が表示されます。

  • Vocal:
    来夢
    Birth:
    11.19
    Blood:
    B

  • Guitar:
    reiki
    Birth:
    01.14
    Blood:
    ?

  • Bass:
    ユエ
    Birth:
    01.25
    Blood:
    B

  • Drums:
    きょうのすけ
    Birth:
    01.20
    Blood:
    B



DISCOGRAPHY

アーティストタグ

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