INTERVIEW

ラッコ「溝鼠讃歌」

2017.06.20
6月28日に3rd MAXI SINGLE『溝鼠讃歌』をリリースするラッコ。本作は通常盤に関しては500円というワンコインで購入できるものになっている。
そして夏から始まる怒涛のライヴ攻勢も様々な試みが満載。挑戦することをやめない彼らの現在を知るためのロングインタビュー。

取材・文:藤谷千明
『今まで持ってたものを捨てることもあれば得るものもある』

――5月20日の新宿ReNYワンマン公演を終えたばかりのラッコですが(※取材時)、まずはその感想から伺いたいと思います。 てんてん:う~ん……。
Ivy:ツアーで狭い箱に慣れすぎて、急に広い場所に飛び出しちゃったので、どうしていいかわからなかったですね。不慣れな感じがありました。
――ラッコにとってはこれまでで一番大きな会場でのワンマンでしたね。

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Ivy:いきなり大きなところに飛び出して「ワー!? どうしたらいいんだろう」みたいな。僕はですけど、SANさんは違うはずです。「ちっちぇーなー」って思ってたはずです(笑)。
SAN:僕はいいテンションで、ライヴで経験したものを出せたんじゃないかなとは思います。
Ivy:本当に?
SAN:ちょっと新衣装だから勝手が違ったのはあって。そこは観せ方が変わったかな?
Ivy:衣装のせいかな? 僕もそういうことにしよう。「新衣装のせいです」(笑)。
――そこで意見ゆらいでいいんですか。milkさんは? milk:良くも悪くもいろんな部分が見えたライヴでしたね。ラッコの初ライヴから約半年、その半年間で色々考えてきたことが、良かったことも悪かったことも、いろんなことが見えたなと思います。
higiri:大きい箱は大きいところは気持ち良かったし「俺たち輝いてるな」って思いました(笑)。率直に言えばそんな感じ。もっとつめていえば、「なんで俺たちはここにいるんだろう」って。
てんてん:ROUAGEの歌詞(『Queen』)みたいになってるぞ!
higiri:なんで自分がここにいるのか、そういう意味を改めて知るためのライヴだったと思います。
てんてん:アーティストみたいでカッコいいね! 今回のツアーはいっぱい本数を回ったんだけど。ラッコって最初からイメージを煮詰めて固めてやっているバンドというよりは、集まってすぐ駆け抜けてきちゃったから、ライヴを重ねながら答え合わせがが出来た感じ。
――なるほど。 てんてん:自分の中でも自問自答じゃないですけどライヴのスタイルについて考えていて。今までやってきたバンドと勝手が違う……という、か、お客さんの層が違う感じもあるし、このバンドでどうしたら正解なんだろうという、まあ正解なんて無いんですけど。まだ全部見つかってはないけど、ちょっとは答えみたいなものも自分の中で見えたなあというか。いい流れではあるな、うん。
――手応えはあったと。 てんてん:それで、ワンマンの後に1周年にむけて色々なことが発表されたじゃないですか。そこに向けての課題もたくさん見つかった。「俺こうしなきゃいけないな」というのがたくさんあって、どこから手を付けていいかわからない状態というか(笑)。良い意味で削ぎ落とされた感じはします。今まで持ってたものを捨てることもあれば得るものもある。
Ivy:カッコいいっすね!
milk:今俺も「捨てることもあれば~」っていう言葉にぐっときましたね!
『「これ苦手かも?」と思っても3回きいたら馴染みます』
――そして3rd MAXI SINGLE『溝鼠讃歌』のリリースも発表されました。通常盤はワンコイン500円とのことで。一般的にはワンコインシングルというのはバンドの間口を広げるためのものだと思うのですが、かなりハードな曲調ですし、歌詞もパンク精神にあふれているというか。 てんてん:普通はシングルでキャッチーなものを出すところを、パンクな精神、激しめな曲を出すということがラッコらしいというのもあるけど。「間口を広げよう」といって歌ものを出すって皆やってるんじゃないかな。だから俺らはマイノリティでいたいし。……そうでもないかも? 普通に激しい曲を出すバンドもあるのかな。まあ、でも、なるべく意思を持ってバンドをやりたいなと。
――歌詞にも“だって音楽なんてもう どうでもいいどうでもいい そういうことにしている”というくだりがあります。そういう人は本当にそう思っているわけではないでしょう? てんてん:そうです。
――ということは、ラッコやてんてんさんが今の風潮に対して思うことがあるのかな、と。 てんてん:やっぱりしょうがないことなんですけど、CDを買う、売る形が世の中変わってきちゃったんで、アイドルのみならず1人が何枚も買うのがあたりまえになっているじゃないですか。
――複数の種類を購入することがイベント参加の条件みたいなところもありますしね。 てんてん:良いことでもあるとは思うんです。お客さんが広めてくれるような、お客さんが好きなバンドを育ててくれるような部分もあるじゃないですか。でもどこかでそれに対するアンチテーゼみたいな気持ちもあるんです。「音楽なんてどうでもいいと」は思ってないけど、そういうふうに思われても頑張るぞっていうか……。「頑張るぞ」って言い方、すごいカッコ悪いね(笑)。
――いやいや(笑)。 てんてん:そもそもヴィジュアル系というジャンルが「俺は他のやつらとは違うぜ」っていうジャンルだったはずなんです。でもイメージとしては今は変わってきてる気がして。だから他の人たちが地上にいるんだったら、俺は潜りたいんだよ、奥深く潜って表現したいというか。……ねえSANちゃん?
――作曲はSANさんですね。 SAN:僕はワンコインっぽい曲というか、受けを狙った曲ではないかもしれないけど、2分半くらいの曲、500円ならこの長さかなというイメージで作りました。
一同:(笑)。
Ivy:30秒100円ですからね?
SAN:削ぎ落とそして、500円感、お手頃感を出したかったんです。通常盤は1曲入りで2分半で終わって、それで何回も再生したくなるような曲にしたかった。たとえば500円で壮大なバラードがきたとしても、印象に残らないかもしれない。だから、おかわりできるような曲を。なんだろう、「ラーメン二郎」みたいな?
Ivy:普通おかわりしないよ二郎は! お手頃だけどボリュームたっぷりみたいな?
――ガツンとくる、クセになるみたいな? SAN:だからこれを聴いて、ラッコもクセになってほしいなって。
Ivy:「これ苦手かも?」と思っても3回きいたら馴染みます。二郎と一緒です。
てんてん:俺はイントロからカッコいいと思ってますよ。
SAN:ラッコの側面氷山の一角じゃないですけど。この曲から『人間博覧会』『camaro69'』だったり、色んな曲に耳を傾けてほしいな。色んな発見があるかも。そういう戦略も……。
てんてん:そうなの?
SAN:いや今考えました。
――ライヴに来て「こんな曲もやるんだ!」みたいな。 SAN:そういう発見も楽しいと思うんですよ。
――初回限定盤に収録されているカップリングの「蟻とキリギリス」の話も伺いたいです。このタイトルからイメージされるのは、童話のそれなのですが。 てんてん:はい、絵本からとったんですけど、お話の中ではキリギリスが最終的に死んじゃうんですよね
――はい、夏に遊んでいたキリギリスが冬に死んでしまい、コツコツ働いていた蟻は冬を越せるという話ですよね。 てんてん:でも、平成は蟻とキリギリス、どっちも死ぬんじゃないかなあみたいなイメージです。
―― 歌詞にも“童話の蟻とキリギリスにはなれない”とありますね 。コツコツやってても生き残れないということでしょうか。それはなぜそう思うのですか? てんてん:真面目の努力したヤツも、センスよく音楽を奏でてたヤツも、結局食い物にされるようなイメージです。今って、風潮的に諦めがすごいなと感じる世の中だなあと。
――「世の中こんなもんでしょ?」みたいな。 てんてん:皆そうやって世の中のせいにしているというか。そういう風に考えてると、結局強いヤツに食われちゃうよっていう歌詞です。元々『虫入りチョコレート』に入れる話だったんですけど、「百足」のスピンオフみたいな歌詞です。
――『百足』の歌詞も大衆に対しての皮肉のような内容ですね。 てんてん:だから歌詞にもあるけど、妬み辛み恨みを好物にしていっちゃだめだよ、「許す精神」で自分も成長していける人間にならないと。
――不寛容な社会に対するアンチテーゼというか。 てんてん:芸能人の不祥事にしたって、すぐ大多数で「こいつは悪い!」ってなるじゃないですか。そういうのが、良くないなと、わたくし、僭越ながら思っております。「僭越」って意味あってる?
――あってます。曲はmilkさん。 milk:この曲はライヴを意識して考えた曲です。またライヴではやってないんですけど。
――打ち込みがガンガンに入ってる曲はラッコでは珍しいですね。 milk:そういう曲もあってもいいかなというくらいの意図。深い意味はないです。実際やってみないとわからない感じもあって。ノリやすいだろうなと考えてやった曲も伝わらなかったり。どうなるかわからないですけど、うまいことお客さんを先導していけたら。
『来れなかった人も悔しいと思えるような。裏切りをみせるようなバンドに成長したい』
――そして夏からは1周年にむけて「ラッコ初めての武者修行采配 遊泳特区拡大の陣」として色々な試みが行われますね。イベントライヴ参加もたくさんありますし。それに「夏の陣 一騎打ち変 」として、SCAPEGOAT、シビレバシル、MORRIGAN、リライゾとのツーマンライヴが控えています。 てんてん:ツーマンしてえって話はメンバー内でずっとしていて。俺的に、仲いいバンドを誘った感じ。SCAPEGOATの春くんは、昔から俺のことをすごく褒めてくれる人なんですけど、最初はずっと疑ってたんです(笑)。だって単純にこっちがカッコいいなと思ってる人に褒められると「本当かな?」って思うじゃないですか。俺はカッコいいと思うヤツは全員倒したいと思ってるんで。相手にとって不足はないです。そして、すげえ歌がうまいのはリライゾ。どうしていいかわかんないくらい上手い。そこは羨ましい部分。シビレバシルは技術では拾えないところを代弁してくれるようなボーカルだよね。ひとことでいうとキ■ガイ。この言葉NG?
編集部:伏せ字なら大丈夫です。
てんてん:ならよかった、スーパーキチ■イ野郎だなと。いい意味で頭がおかしい。MORRIGANも写真だけ見るとカッコいいじゃないですか。ライヴはすごいんです。仙台のバンドで後輩にあたりますし。とにかく、全バンド自分の中で共通するものがあるなと感じています。
――そんなツーマンツアーを経て、9月末から毎週値下がりするという4週連続のワンマンライヴがあります。1周年記念のBLAZEは前半無料、後半は有料という変わった構成になっています。チケットの価格を下げると敷居が下がるというのはあるかもしれませんね。 Ivy:値段が下がるごとに僕らのテンションが下がっていきます。最終的に何もしません。CD流してエアーバンドになります。
――嘘はやめましょう。試みとして面白いと思います。 てんてん:ラッコって色々試せば試すほど、プラスになっていることが多いと思うんで、1周年までにいろんなことを試してみようと思っています。安売りしているわけじゃないけど、できることは全部やろうかな、と。要はReNYのMCでも言ったけど、12月のZirco Tokyoワンマンを必ずソールドさせよう。ワンコインや半分無償ライヴで間口を広げた結果として、最後はそこをソールドさせて、観たいけど観れないところまで持っていきたいというのが根底にあって。それのために頑張ろうかなと思ってる感じです。はい。
――必ずソールドアウトさせたいのは何故でしょうか。 てんてん:時代と逆行してるかもしれない。「観たいけど観れない」みたいな状態にしたいんです。来れなかった人も悔しいと思えるような。裏切りをみせるようなバンドに成長したいと強く思っています。うまくいくかどうかはわからないけど、全力でやりたい。
――攻めの姿勢を崩さないんですね。 Ivy:ラッコは守ったらダメというか、攻め続けないとなんも進化はしないんじゃないですかね。まだ活動も始まったばっかりですし、ここで守りに入ってしまったらバンドとして終わるんで。休みたい気持ちはわかりますけどね!
――今のラッコに休みはない? Ivy:「休み取るのは2年後にしよう」と話しています。
てんてん:2019年か~遠いなあ~。オリンピック目前か~。
Ivy:それにシーン全体から見ても僕らだけが頑張ってるわけではない。僕ら以上に頑張ってるバンドさんはたくさんいる。そこに負けないようにするには、守っちゃだけだなって。それが正しいかわかんないですけどね!
てんてん:バンドっていろんなやり方があるじゃないですか。何が合うかわからないから試してる。「武者修行」を掲げてますし、成長したい。そうやって走り続けた1年間で見えてくるものがあるんじゃないかな。ずっと大安売りはしたくないし。
higiri:バンド全体としてももちろん、自分の成長というか、自分の限界値をどんどん超え続けたいですね。
Ivy:それはどうして?
higiri:この先、人生のためです。人生先長いんで、やっぱり成長し続けたいですね。
milk:今回、色んな形でのライヴと筆頭に、バンドとしてやったことがないことにチャレンジして、それによって何を得るのかというか、チャレンジするという「経験」をまず得ることが大事だと思っています。何事もやってみないとわからないし、結果だって人によって違うし。課題に対して、自分の中で何かを見出したら決して無駄にはならないはずなので、いろんなことをやっていきたいです。
SAN:そうですね。ライヴ本数的にもがむしゃらな感じの活動なんですけど、そこは冷静に1歩1歩大切に、1本のライヴをしっかり消化して、自分のものにできたらいいかな。この1年って変化の年でもあると思うんで、今年やったことが来年に実るというか、つながっていくと思うんで、頑張りどきだと思います。
Ivy:ウチってhigiriくん以外は過去のバンドのキャリアを積んでしまってる人間じゃないですか。今まで積んできたものを捨てきれないこともあると思うんです。ラッコにとっての自分の立ち位置をこの忙しいなかでなかなか改めて考えづらいものなんじゃないかと思います。でも、自分の経験としても前のバンドで鬼のようなライヴをしたのちに自分のキャラクターが成立したと感じているので、皆秋くらいには一皮むけるんじゃないかなと思います。結果その、12月のZirco Tokyoワンマンでは完成度の高いラッコが見れるんじゃないかな。っていうか「忙しい」って口で言える分にはまだ大丈夫です。
――Ivyさんのスパルタが。 Ivy:それを越えたらすごい経験値になる。まだラッコとしての経験値は足りてないと思うので「皆頑張ろ?」って感じです。
てんてん:この半年ライヴを重ねる中で、自分の中で答え合わせができてきたんです。でもやっぱり経験してないこともまだたくさんあるから、自分に対して肉付けを行っていきたいなと思います。変貌します。前回のワンマンツアーでも一箇所一箇所全然違ったので、昔から知っていて、久しぶりに見た人にも「あ、コイツ空気感変わったな」って思わせるような存在になりたい。そういう部分があればあるほどカッコいいボーカリストだなと自分では思うんで。




RELEASE

ワンコインsingle」
2017年06月28日 Release!!
【初回盤】
GLK-044 / ¥1500(税抜)
[CD]
01. 溝鼠讃歌
02. 蟻とキリギリス
[DVD]
液体MV+オフショット

【通常盤】
GLK-045 / ¥500(税込)
CD 1.溝鼠讃歌

LIVE INFORMATION

「聖☆Ivyさん」~約束の夏 IN YOKOHAMA

2017年07月05(水) 新横浜NEW SIDE BEACH!!

夏の陣 一騎打ち変

・対 SCAPEGOAT
2017年07月20日(木)池袋EDGE
・対 シビレバシル
2017年07月23日(日)名古屋R.A.D
2017年07月26日(水)巣鴨獅子王
・対 MORRIGAN
2017年08月2日(水)巣鴨獅子王
2017年08月4日(金)心斎橋paradigm
・対 LIRAIZO
2017年08月22日(火)巣鴨獅子王

冬の陣 単独武者修行 収穫変

2017年11月12日(日)大阪アメリカ村CLAPPER
2017年11月18日(土)新潟CLUB RIVERST
2017年11月23日(木・祝)仙台 BARTAKE(アコースティックLIVE)
2017年11月25日(土)26日(日)札幌colony
2017年12月15日(金)金沢vanvan V4
2017年12月17日(日)名古屋Zion

毎週値下がり単独公演

2017年09月30日(土)新宿FNV
2017年10月6日(金)下北沢MOSAiC
2017年10月13日(金)巣鴨獅子王
2017年10月22日(日)高円寺二万電圧

1周年記念単独公演

入場料無しの半公演無料!!半公演有料也
2017年11月3日(金・祝)新宿BLAZE

冬の陣 単独武者修行 最終公演

2017年12月30日(土)新宿Zirco Tokyo


2017年03月11日(土) SHIBUYA REX
2017年03月25日(土) 新横浜NEW SIDE BEACH! !
2017年03月27日(月) 心斎橋paradigm
2017年03月28日(火) 心斎橋paradigm
2017年04月01日(土) 下北沢ReG
2017年04月17日(月) 福岡DRUM Be-1
2017年04月22日(土) 新宿ReNY
2017年05月05日(金) 名古屋ElectricLadyLand
2017年05月26日(金) 高田馬場AREA
2017年05月31日(水) 高田馬場AREA

ラッコ PROFILE

※画像クリックで大きい画像が表示されます。

  • Vocal:
    てんてん
    Birth:
    07.20
    Blood:
    A

  • Guitar:
    SAN
    Birth:
    04.25
    Blood:
    A

  • Guitar:
    milk
    Birth:
    11.10
    Blood:
    B

  • Bass:
    Ivy
    Birth:
    07.05
    Blood:
    A

  • Drums:
    higiri
    Birth:
    -
    Blood:
    -



DISCOGRAPHY

アーティストタグ

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