INTERVIEW

ラッコ「虫入りチョコレート」

2017.02.14
2月15日に2ヶ月連続シングルの第一弾『虫入りチョコレート』をリリースするラッコ。
“虫”をテーマにしたという本作は5人の個性がぶつかり、バラエティに富んだ1枚になっている。
ヴィジュアル系シーンという海を順調に泳ぎ始めた5人に話を伺った。

取材・文:藤谷千明
「やりたいことがあるけどできないみたいなクズな時期をいかに乗り越えるか」

――昨年11月にミニアルバム『怪しい眼鏡屋さん』をリリースしたラッコですが、早くも2ヶ月連続でシングルがリリースされますね。『虫入りチョコレート』はその第一弾になりますが、なかなかのハイペースですね。 Ivy:早くシングルを出したかったんですよね。
てんてん:伝えたいことが溢れていて。
――『虫入りチョコレート』というタイトルの由来は? てんてん:発売時期がバレンタインなので“チョコレート”というのがあって、3月にリリース予定のシングル『粘着型クレイジーソルトクッキー』をホワイトデーに出して「白盤・黒盤」みたいな感じにしたかったんです。でもそんなに甘いバンドじゃねえなと思って“虫”を入れました。だから今回収録されている曲は全部“虫”を題材にしていて、眼鏡屋さんから虫屋さんになりました。歌詞については「(眼鏡から虫になっても)俺いろんなことを例えたりできるんだな」と、自分の意外な引き出しの多さにびっくりしてます(笑)。

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Ivy:自分の才能に……。
てんてん:惚れてますね!
――先程てんてんさんが「甘くないバンド」とおっしゃってましたが。 Ivy:僕ら外見は甘くないですけど中身は甘々です。じゃないとてんてんさんと組めないですもん。
一同:(笑)。
てんてん:えっ、そうなの(笑)。
Ivy:そうですよ。
てんてん:えーっ!たしかにレコーディングの時も迎えに来てくれたし、甘やかしてもらってる気はしてるけど、結構スキルアップしようと頑張ってたのに……。
Ivy:てんてんさんの才能を見込んでの甘やかしです。
milk:俺はレコーディングでも、てんてんさんにいかに甘みを足して、てんてんさんのボーカルを引き立てられるかを考えています。
てんてん:名前もmilkだしね?
milk:そのためのmilkなんで(笑)。全力で、自分がてんてんさんと交わっていかにプラスになるかということを考えてやっています。
――『虫入りチョコレート』にはタイトルの曲名は収録されておらず、虫にちなんだタイトルが並んでいます。リード曲「幽囚谷のバッタ」はmilkさん作曲です。 milk:これは全力で甘くしにかかってますね。
――それはシングルのリードトラックということを意識してのことですか? milk:いえ、毎回曲を作るときはリードトラックのつもりで書いています。
――アレンジも含めて大人っぽい雰囲気に感じました。 milk:そこにてんてんさんが「熱さ」や「初々しさ」をいれてくれてちょうどいいのかなと。
Ivy:それは「ガキっぽい」ってことかな?
てんてん:あはは!
milk:でもそこが良いところだと思ってますんで。
――タイトルの「幽囚谷」というのは?「幽囚」というのは、簡単にまとめると「閉じ込められている状態」という意味ですよね。 てんてん:そうです、牢屋みたいな。なんつーっすんかね?誰もが人生でハマるところってあると思うんです。やりたいことがあるけどできないみたいなクズな時期をいかに乗り越えるか、そんな歌詞です。
――てんてんさんにも「幽囚谷」にいるような時期があったと。 てんてん:ありましたね。そういう過去を振り返って今感じていることが「幽囚谷のバッタ」で、そのときのことしか書いてないのが「雨の怪虫」だったりします。「幽囚谷のバッタ」にはバンドをやりながら、理想になんとか追いつきたいという気持ちが一番出てるんじゃないかな。対象的に「雨の怪虫」はその時期をあえて書いたりとか。
――たしかに「雨の怪虫」の歌詞はひたすら内省的ですね。今はその時期を乗り越えられたのでしょうか。 てんてん:バンドとしてここからどこまでいけるか、そんな決意も入っています。「このバンドで絶対に飛び越えていくぞ」という気持ちが。
――「幽囚谷のバッタ」のサビにも“誰かを蹴り落としても飛び越えたい”と歌われていますね。 てんてん:今の時代、生き急いだ方がいいと思うんです。周りを見渡しても皆バタバタ倒れていくような時代というか。バンドも続けるの大変な時代じゃないですか。だから周りを置いていけるようなスピードで行きたいという気持ちがあります。
「誰かのオマージュじゃなくて、俺なりに今の現状を声に出して言いたかった」
――時代……、「百足」の歌詞にも“この日本で何を信じて正しい選択をすれば”というような、いまの時代を歌うようなメッセージ性の強い歌詞も出てきますね。この曲、「身の回りのこと」として「日本」という言葉が出てくるのが印象に残ったんです。近年のヴィジュアル系の歌詞で「日本」といいますと、過去の明治・大正・昭和初期のエッセンスとして出してくることが多いので、逆に新鮮でした。 てんてん:ヴィジュアル系だと、そういう感じで日の丸とか使うことも多いですね。でも変な話ですけど、今の時代の空気感が戦前ぽいという人もいるじゃないですか。だから昔の日本じゃなくて、「今でしょ」みたいな。いや、今でしょっていうのはギャグじゃなくて……(笑)。
――わかってます(笑)。歌詞の“足音がうるさい百足の大行進”というのは今の次代の空気感を歌っているのでしょうか。 てんてん:そうです。ヴィジュアル系を好きでやってますし、表現手段として衣装やメイクやってますけど、やっぱりヴィジュアル系ロックバンドでいたい。「ヴィジュアル系はこうだから」ってやってるんじゃなくて、今の時代を必死に生きているということを歌いたいし、伝えたい。誰かのオマージュじゃなくて、俺なりに今の現状を声に出して言いたかった。
――そんなメッセージ性の強い「百足」のイントロは情熱的なフラメンコに始まり、めまぐるしい展開の曲ですね。作曲は? milk:僕です。基本的に曲が先なので、歌詞とリンクさせるというよりは、常に新しいアプローチを、ということでフラメンコを最初に持ってきました。
てんてん:この曲の良さって、セクションが全部違うところですよね。イントロのフラメンコからずっと同じメロじゃないんです。そういう部分は歌詞ともつながってますね。
milk:歌の入っているところは全部違いますし、どこがサビかっていうのも聴く人次第なところがあります。
てんてん:歌詞書きやすかったもん。「どこまでもいける」って感じで。「百足」っていうテーマからここまで広げた俺、「才能あるな」って思ってました(笑)。
milk:ほんとっすか。
Ivy:こっちは大変でしたけどね。「同じフレーズ弾けない!」と思って(笑)。
higiri:めちゃくちゃ複雑ですよね、構成覚えるのも大変ですし。ドラムソロっぽいアプローチが最後の方に入ってるんですけど、いろんな要素がすごく詰め込まれている曲です。
――それはライヴでの披露が楽しみですね。 Ivy:この曲はちょっとワンマン向きになっちゃうかな?
てんてん:じっくり聴いてもらってからやりたいね。
――「液体」は全体的にメロディアスというか。 SAN:泣きのメロディというよりはクセのある感じ。それが引っかかりになるかなと思って押してたんです。それを踏まえた上での大サビのメロディ。
――これは曲間にメンバーごとの見せ場がありますね。 SAN:ライヴでこういう曲が欲しいなと思って作ったというのはありますね。
てんてん:ギターも2人が掛け合ったりするしいいよね。個性のぶつかり合い感があるよね。
――歌詞は“傷物になった君を僕に頂戴”みたいな色々想像できそうな内容ですね。 てんてん:ヴィジュアル系にありがちな“手首を切ります”みたいな。
――最近また流行ってきてる感じの。 てんてん:その「流行り」を自分なりに昇華したというか。
――この「液体」というのは? てんてん:血液だったり体液だったり……。これも「蛍」って虫も入ってるんですけど。
――なるほど。 てんてん:higiriくん、今日の(インタビュー)取れ高が少ないよ!
higiri:会話の流れを聞きながら、いろいろ思い浮かんでるですんけど、出す勇気がなくて。
てんてん:ダジャレでもいいんだよ!
higiri:今回の楽曲、白盤も含めて、既存の曲を混ぜることで他の曲の見え方も変わってくるのかな。ライヴが変わるっていう意味では僕らも楽しみです。
てんてん:曲も育ってくるしね。最近『怪しい眼鏡屋さん』の曲が育ってきて、この曲はこういう立ち位置なんだとか見えてきて。
「ラッコって寝るときに仲間とはぐれないようにワカメ巻くらしいよ」
――3月にもシングル『粘着型クレイジーソルトクッキー』リリース、今後もワンマンツアーが控えてますし。ラッコが目指すバンド像に近づいてますか? てんてん:そうっすねえ……。なれてる気はするんですよね。なんかこれまでのバンド人生で一番忙しい気がするんですよ。昔に比べてヴィジュアル系ってやること多いじゃないですか。ライヴからインスト、Twitter、ブログ。そういう慌ただしさも含めて、「こうやって階段登っていくんだ」って実感してるっていうか。それも昔だったら、すぐ嫌がってたけど今は向き合えているのがいいなって思います。あれ?なんだろう。何が言いたいのかわからなくなってきた(笑)。
Ivy:大人になったんだね、と。
――まとめてくださってありがとうございます。 てんてん:でもワンマンツアーのタイトルは「シドヴィシャス」なんで、そこはパンクに生きたいなって思います。
――ファイナルは「ナンシー」ですしね。 てんてん:死ぬつもりでツアーをまわってやろうかなって思っています。
Ivy:僕たちライヴバンドなので、やっぱり本質的なものはライヴを観てほしいというのがあります。インタビューとかですべては言わないし、僕が言ったからと言って、その人の聞き方によってそうは捉えないかもしれない。歌詞同様に、音も個人個人に思うように感じてくれたらいいんじゃないかな。聴いた人、君たちが思う理由が正解なんだよっていう。
てんてん:『怪しい眼鏡屋さん』は最初集まって、あるものをやってきたんですけど、今回は「この曲はこうだから」ってスタジオで殴り合っうくらい喧々諤々して、うまく溶け合った。ロックバンドらしい、成長の仕方をしてるなって。
SAN:前作『怪しい眼鏡屋さん』の時点では実験的というか試行錯誤して作ったので、中にはラップしてくれっていう曲もあったりしたんですけど。
Ivy:てんてんさんはなんでも歌えるなって思いました。
SAN:てんてんさんはよく「こんなのできないよ〜」っていうんですけど、歌ったらてんてんさんスタイルの曲になるというか。僕はてんてんさんにこういうのを歌ってほしいって作る曲が多いんですけど、milkくんとは作り方が違うので、いいバランスかなって思います。
てんてん:昔よりも録音環境も進化してスタジオに入って作るケースも減ったんですけど、スタジオでも作れるし、データのやり取りでもちゃんと作れるようになったし、話し合って妥協せず納得できる。だからウキウキするレコーディングでした。デモが送られると聴くたびにワクワクする。たまに「まじか」ってなるけど(笑)、それも個々の持ち味だし、それをぶつけあって最終的に5人で納得できるような形が自然に増えると、「ジャンル」になれるのかな。バンドとして良い進み方してると俺は思うんだけど、どうすか?(Ivyに向かって)
Ivy:えっ?う、うん!
――すぐIvyさんにまとめてもらおうとしますね(笑)。「ex.XXX」というイメージの強かった部分もあると思うんです。ライヴを重ねていくことによって新しく「ラッコ」というイメージが更新されていってるのでしょうか。 てんてん:良く聞く言葉だと思うんですけど、「とらえどころがない」「白にも黒にも染まらない」的な、かの有名なGLAYのキャッチフレーズじゃないですけど。ライヴを見てもらえるとわかると思うんですが、個々の好きなものも違うし普通こんなにバラバラだとまとまらないんですけど、奇跡的なバランスでまとまってて、どこにでも行けるようなバンドなんです。音源でも毎回違った色も出せる。だから「●●っぽい」じゃなくて、ジャンルを作りたい。ライヴでも曲でも……、なんかすげえ壮大な話になってる(笑)。
Ivy:世界狙ってこ?
てんてん:ラッコというジャンルを作れるバンドだと思えてます、俺は。水にも陸にも染まらない……ラッコ。海でも陸でも、もしかしたら羽もはえるかもしれない……。
――「ラッコっぽさ」のようなものを追求していきたいと。 てんてん:そうそう、ラッコって寝るときに仲間とはぐれないようにワカメ巻くらしいよ。めまぐるしいヴィジュアル系シーンという海に流されないように……。
Ivy:ワカメ巻いてこ?
higiri:それはわけワカメだね。
てんてん:お前〜、ドヤ顔で〜、殺すぞ!
一同:(笑)。
――ここにきてダジャレが決まりましたね(笑)。




RELEASE

1st Maxi Single「虫入りチョコレート」
2017年02月15日 Release!!
【初回盤】
CD+DVD
GLK-038 / ¥1900(税抜)
[CD]
01. 幽囚谷のバッタ
02. 液体
03. 百足
[DVD]
幽囚谷のバッタ(MV)+オフショット

【通常盤】
CD
GLK-039 / ¥1500(税抜)
[CD]
01. 幽囚谷のバッタ
02. 液体
03. 雨の怪虫




2nd Maxi Single「粘着型クレイジーソルト入りクッキー」
2017年03月15日 Release!!
【初回盤】
CD+DVD
GLK-042 / ¥1900(税抜)
[CD]
01. 人間博覧会
02. Camaro69'
03. 滅亡のブルース
[DVD]
滅亡のブルース(MV)+オフショット

【通常盤】
CD
GLK-043 / ¥1500(税抜)
[CD]
01.幸甚に存じます。
02.Camaro69'
03.滅亡のブルース

LIVE INFORMATION

ラッコ主催『幽囚谷の虫達』

2017年02月15日(水) 高田馬場CLUB PHASE

『滅亡毒宴会』

2017年03月15日(水) 高田馬場CLUB PHASE

ラッコ oneman TOUR2017『シドヴィシャス』

2017年04月08日(土) 大阪RUIDO
2017年04月15日(土) 岡山CRAZYMAMA 2ndRoom
2017年04月16日(日) 博多DRUM SON
2017年04月23日(日) 新横浜NEW SIDE BEACH!!
2017年04月30日(日) 新潟GOLDEN PIGS BLACK STAGE
2017年05月01日(月) 仙台spaceZero
2017年05月06日(土) HOLIDAY NEXT NAGOYA

シドヴィシャスTOUR FINAL 『ナンシー』

2017年05月20日(土) 新宿ReNY

SAN birthday EVENT 『SANバ!2017』

2017年04月25日(火)池袋EDGE


2017年02月17日(金)高田馬場AREA
2017年03月02日(木)大須UNLIMITS
2017年03月04日(土)池袋BlackHole
2017年03月11日(土)SHIBUYA REX
2017年03月25日(土)新横浜NEW SIDE BEACH! !
2017年03月27日(月)心斎橋paradigm
2017年03月28日(火)心斎橋paradigm

2017年04月01日(土)下北沢ReG
2017年04月17日(月)福岡DRUM Be-1
2017年04月22日(土)新宿ReNY
2017年05月05日(金)名古屋ElectricLadyLand

ラッコ PROFILE


  • Vocal:
    てんてん
    Birth:
    07.20
    Blood:
    A

  • Guitar:
    SAN
    Birth:
    04.25
    Blood:
    A

  • Guitar:
    milk
    Birth:
    11.10
    Blood:
    B

  • Bass:
    Ivy
    Birth:
    07.05
    Blood:
    A

  • Drums:
    higiri
    Birth:
    -
    Blood:
    -



DISCOGRAPHY

アーティストタグ