FEATURE

LM.C「VEDA」

2016.12.20
時は来たれり。
LM.Cがこの10年という歳月をかけ、その都度ごとに張り巡らせて来た伏線が、ここに来ていよいよ『VEDA』という作品へと繋がったということだろう。
昨秋に結成10周年を迎えたLM.Cが、このたび発表するフルアルバム『VEDA』には、もともと彼らのことを知る者ならば「やはりそういうことだったのか……!」と唸らせられるような、説得力と輝きに満ちた楽曲たちであふれ返っているのである。
古代インドのサンスクリット語で、知識・聖典・天啓などの意味を持つ『VEDA』というこの言葉を、LM.Cが今ここに掲げる意味と意義。それをここでは、あらためて深く探っていこうではないか。

取材・文:杉江由紀
「自分の思っていることが仏教の元とされている、原始仏教に近いんだな、ということがあるとき分かった」(maya)
「トータルで“ちゃんとエンタメしてる”っていうところが、LM.Cとしての最も理想的な在り方」(Aiji)

――遂にこの時がやって来ましたね。これまでのLM.Cの流れを知っている方々の多くは、きっと「来るべきものが来たのか」と感じていらっしゃるのではないでしょうか。 maya:なんか凄いなぁ。来るべきものが来ただなんて、まるでハレー彗星でも来たみたいな言い方じゃないですか(笑)。
――まず、LM.Cがこのたび発表するアルバム『VEDA』は、その独特な音世界といい、ジャケット写真といい、キーヴィジュアルにおけるおふたりのポージングといい、そして何より『VEDA』なる明確なタイトルといい、今度の作品が古代インド仏教のエッセンスを取り入れたものであることは明白であると思うのです。しかも、LM.Cはその部分についてこれまで幾つものフラグを立てて来ていたことになりませんか。 maya:そう言われてみると、まぁ確かに。
Aiji:伏線はいろいろとあったからね。

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――近年、mayaくんが表現してきた歌詞の内容や、インタビューやMCでの発言、それらの中にちりばめられていたことが、ここでさらに具現化したような印象があります。 maya:でもね、これって結果的にそうなっただけなんですよ。こういう順を追いながら袋小路に追い詰められている状態だと、話としては非常に斬り出しにくいところがあるんですけど(笑)、実はそこまで深く考えていたわけではないんです。
――ぇええ? maya:もちろん、客観的にみたらこのアルバムタイトル、曼荼羅になっているジャケ写、ヴィジュアルイメージとかも、これだけやっておいて「特にそういうことでもないです」だなんて、なかなか言い逃れ出来ないよな、とは思いますけど(笑)。
――ただし、mayaくんが仏教に興味を持っていること自体は事実ですよね? maya:興味か……。あれは、3年か4年くらい前のことだったかなぁ。ふとしたときに、自分の書いて来ている歌詞の内容と、いわゆる古代仏教っていうものが中味の部分でちょっと似ているような気がするな、と思うようになったのは事実ですね。
――なるほど。ここで大事なポイントは、もともとmayaくんが仏教に関して宗教としての興味を持ったわけではなかった、という点にあるように感じます。 maya:そうかもしれない。結局、自分が普段から思っていることだったり、LM.Cを始めてから変わらずに発信してきたことがあるとするならば何だろうとか、歌詞の中で描いていることの本質みたいな部分を掘り下げていったときに、もしかしたら世の中には自分とおんなじようなことか、それに近いことを考えている人が他にもどこかにいて、それを言葉にしている人がいるんじゃないだろうか?と思い立って、いろいろと調べてみたことがあったんですよ。その頃たまたま行き着いたのが、古代インド仏教と呼ばれているものだったということになりますね。
――mayaくんが仏教からの教えを直接的に受けたわけではなく、自らの内に在る真理と仏教が偶然にもリンクした、というこの事実は今作『VEDA』をひも解いていく上で相当に重要なファクターだと言えるでしょう。 maya:ほんと、そこなんですよ。そういう流れがあるからこそ、はっきり「仏教をモチーフにして作りました」とは言えないというか(笑)。あくまでも、結果的にそこがモチーフとして繋がっていきました、というのがこの『VEDA』ですから。だから、自分の思っていることが仏教の元とされている原始仏教っていうものに近いんだな、ということが分かってからは、もう必要以上にそこを掘り下げることはなくなっちゃいました。その時点で、自分の中では完全に“腑に落ちて”しまったんです。日本人として生きてきて、それなりに身近にあった仏教にはそういう意味があったのか、という風に。
――だとすると、このたびアルバム『VEDA』を作って行く上でのきっかけ自体は、どんなところにあったのですか? maya:アルバム制作ということでいけば、既に2014年から始まってはいたんですよ。ただ、今に至るきっかけという意味では2015年の夏に「THE BUDDHA」というタイトルで曲を作りたいな、と思ったところから『VEDA』としての世界が拡がっていくことになりました。
――当時のAijiくんは、mayaくんからあらかじめ「「THE BUDDHA」というタイトルで曲を作りたい」ということは聞かされていたのですか? Aiji:全然。とはいえ、上がってきたデモを聴いた時に、これはすごく良い曲になるなっていう風に感じたのはよく覚えてます。その時点ではまだシンプルなロックだったんだけど、完成形をmayaがどうしたいのかっていうことは、その時点で全てクリアに見えるようなデモだったんですよ。「これ、アルバムの1曲目にしようよ」っていう話も、その時にしましたね。「ジャケットも曼荼羅にしたいね」っていう話も、その時に出たのかな。
――なお、その曼荼羅についてもLM.Cとしてはいわくがあるそうではないですか。 Aiji:実は、LM.Cでは過去にも曼荼羅をジャケットにしたいっていう話は出たことがあったんですよ。その時には残念ながらまとめきるところまではたどりつけなかたものの、今回はこの曲を起点にして、ヴィジュアルまわりも含めた方向性やムード感を、しっかりとつかむことが出来たことになりますね。
――絶妙なかたちでインド音階を用いながら繰り出されるこの神秘的な空気感には、なんとも不思議な牽引力がこもっています。「THE BUDDHA」の音像は、どのようにして具現化していったものでしたか。 Aiji:頭の中で鳴っている音を、まずはそのままかたちにしていった感じですかね。民族音楽の類いは昔から好きだったし、前バンド時代にもそういうアプローチをしていたことはあったので、わりとすんなり出来ました。
maya:最近はあまり脳内でアイディアを固め過ぎない、ということを意識しているのもあるんですけど、「THE BUDDHA」に関してもこの完成形は自分の想像を超えてきたところがありました。特に、あのパーカッションが入ってくる前のコーラス部分とかね。そこは自分が全く想定していなかったものだったんですよ。
Aiji:そういえば、あのアレンジを初めて聴かせたとき、「ライオンキングみたいですね」とか言ってたよね?(笑)
maya:あれ、そうでしったけ?(笑)
――インドではなく、mayaくんがアフリカを感じてしまったのはなぜだったのでしょうね。スケール感を漂わせたコーラスワーク、という意味では近い……のでしょうけれど(笑)。 Aiji:ほんとは、全部がちゃんと完成してから聴かせたかったんですけど、途中で機材がトラブってどうしてもmayaと電話でやりとりしなくちゃいけなくなって、電話越しに仕方なく未完成な状態のものを聴かせたら「ライオンキングみたい」って言われちゃったんです(苦笑)。でも、そこからさらなる作業を経て今回はこういう音になりました。
――よって、「THE BUDDHA」は音の面でも実に濃密な楽曲となっていますが、一方で歌詞から得られる情報量もこれは相当なものだと感じます。 maya:そうですか?そういう観点で、歌詞について考えたことはなかったな。でも、言われてみるとそうか(笑)。
――もっと言えば、何もこの曲に限らず『VEDA』は全般的に歌詞の文字量が多い印象なのですけれど。 Aiji:そうだね。たしかにそうかも。
maya:今までも、1曲に対する文字数や言葉数が多くなりがちなところはあったんですよ。というのも、サビをそのまま※で繰り返すみたいな歌詞は、自分的にあまり好きじゃないなと思って生きてきたところがあるんですよね。今作の場合は、よりその傾向が強くなったということだと思います。
――つまり、それだけmayaくんの中では伝えたいことが明確であり、しかもそれがたくさんあった、ということなのでしょう。 maya:より伝わりやすい詞になるように意識していたというか、そこを認識しながら歌詞を書いていたところはありましたね。
――と同時に、「THE BUDDHA」は深い意味性を持った楽曲であるだけでなく、ライヴの場に持っていった際にも強い威力を発揮するであろうことが、この音源からもひしひしと伝わってくるかたちになっています。ロックバンドの掲げるリードチューン然としているところにも、かなり痺れます。 maya:そうなんです。LM.Cって、そういうバランス感覚に長けているところがまた素敵なんですよ(笑)。
Aiji:LM.Cは、マニアックなことをやりたいみたいな思考はそもそも無いですからね。メッセージや歌詞にしたって、誰にも分かんないような小難しいことを並べているわけではないし(笑)、音の面も含めてトータルで“ちゃんとエンタメしてる”っていうところが、LM.Cとしての最も理想的な在り方なんだと思います。
「アルバムの収録曲名を発表したとき、一番反響が大きかったのはこの曲についてだったんですよね」(maya)
――かくして、今作『VEDA』には「阿修羅」だったり「CHAKRA」といった、“ソレっぽい”楽曲が他にも収録されていますので、これらについても成り立ちを解説していただきたいと思います。 maya:やっぱり、“ソレっぽい”って思いますよね?ところが「阿修羅」なんかは、もう「THE BUDDHA」が生まれるはるか前からあった曲なんです(笑)。
Aiji:デモとしては、5年前くらいからあったよね。
――となると、当時は別の仮タイトルがついていたわけですか? maya&Aiji:いや、「阿修羅」でした。(ほほぼ同時にシンクロしての回答……!)
――なんとまぁ。5年前ということは、先ほどのお話を踏まえると、mayaくんが仏教というものを意識するよりも以前のお話ではないですか。なんだか、妙に因縁めいたものを感じてしまいます。 maya:表記的には、漢字の阿修羅じゃなくてアルファベットでの「ASHURA」でしたけどね。そういうこと以前に、曲調的な面で「今LM.Cとしてやるものではないかな」という時期を長く過ごして来ていた曲なので、ここで満を持してアルバムに入ったことに意味があるというか。といっても、テンション的には「そういえば、アシュラっていう曲あったよね」っていう感じだったので、「やった。これ、今回のアルバムにピッタリじゃん!」的なところは一切無かったです(笑)。
――参考までに。5年前に「ASHURA」とタイトルを付けた際、どんなことを思っていたかは覚えていらっしゃいますか。 maya:語感ですね。意味としてどうこうというよりは、単純に響きで付けました。言葉としてのキャッチーさがあってカッコいいなと思っていたので、それを今回は漢字の表記にしたんです。
Aiji:歌詞もこれは、当時からほぼ出来ていたんだっけ?
maya:当時からほぼこの形でした。この歌詞は、そこから途中の一部を変えたくらいですね。基本的に、LM.Cの歌詞ってわりと何時も分かりやすくて親切なものが多いと思うんですけど、この「阿修羅」に関しては意図して抽象的にしたかったし、自分自身も聴いている側も“なんだかよくわかんないまま”終わってしまうような、カオスなものにしたかったんですよ(笑)。だからこそ、以前のLM.Cには似合わなかったということなんでしょうね。でも、別に「ここまで大事にとっておいた」というのともまた違うんだよなぁ。とりあえず放置してはあったものの、今回はなんとなく「そろそろLM.Cとして、こういう楽曲をやってみても良いかもね」という風になったんです。
――確かに、このちょっとルーズな感じのロックンロールのテイストは、これまでのLM.Cにはなかったものですね。 maya:そうなんですよ(笑)。
Aiji:でも、意外とハマったよな。自分たち自身でも、このアルバムの中でかなり収まりの良い曲になったと思いますね。
――抽象的という意味では、今作の中でいうと「Avocado」も、考えさせられるところが多い楽曲に仕上がっている印象です。 maya:あれ?これ意味分かりません?
Aiji:いや、これは説明しないと誰も分かんないでしょ(笑)。
――内容的なことで言えば、mayaくんの言わんとするところは分かるのですよ。ただ、何故そこに「Avocado」というタイトルがついたのかが、ちょっと謎でして(苦笑)。 maya:やっぱりそうなんだ。アルバムの収録曲名を発表したとき、一番反響が大きかったのはこの曲についてだったんですよね。
Aiji:そりゃそうだよ。いきなりアボカドって言われても、『VEDA』っていうアルバムタイトルとは全く関連無さそうだもん(笑)。
――解答をお願い出来ますか。 maya:きっかけとしては、2015年の冬くらいから個人的にアボカドにハマりだしたのが始まりでしたね。それまで全く食べたことが無かったし、日本で最初にブームになった頃とかも興味無かったんですけど、いざ食べてみたら凄く美味しくて(笑)。その時から、iPhoneの中に入れてある“何時か歌詞で使いたい言葉のリスト”にAvocadoという単語を入れてあったんです。それで、今回出来たこの曲にどんな詞をつけようかなと思った時、直感的に「あ、ここで使える」とひらめいたわけです。ストーリーについては、そこから後付け的に作ったものですね。簡単に言うと、これは擬人化した詞なんですよ。
――昨今、サブカルチャーの世界では戦艦やら刀やらいろいろなものが擬人化されていますけれど、アボカドを擬人化するというのも、なかなか大胆なアプローチです(笑)。 maya:まぁ、ここは普通に男女間の物語という風にも捉えてもらって良いし、バンドとファン、つまりLM.Cと仲間たちという構図で考えてもらっても良いんですけどね。そこにアボカドだっていう前提があると、詞の最後がオチとしてより活きてくるのかなと。というわけで、ここは少し前からの時代の流れに乗っかってみました(笑)。
――と同時に、従来のLM.Cが得意としてきたダンサブルな四つ打ち系の音を、より洗練させて進化させたのが「Avocado」の音像でもありますよね? maya:おそらく、この「Avocado」が入ることによって、『VEDA』はアルバムとしての振り幅をさらに拡げることになったんじゃないかと思います。
――それから、同じ踊れるタイプの楽曲でもこれまたLM.Cとして今までに無いあらたなアプローチをみせているのが、「GaMushaRa」なのではないでしょうか。 maya:この曲は、とにかく「カッコいいイントロが作りたいな」というところから始まった曲でした。いまだに自分の場合、大抵の曲は出だしの部分から作っていくんですけど、特にこの曲は最初の8小節なり16小節なりに、曲の持っているワクワクした感じを出来るだけ凝縮して封じ込めたかったんです。
Aiji:原曲の時点で、この世界はほぼ出来上がってたよね。俺としては、それをこれ以上は“いなたく”ならないように、シャッフルの感じを面白い方向に転がしていきました。ある意味、紙一重的な危うさがある曲だったとも言えます。
――紙一重だからこそのカッコよさ、という意味ではこの「GaMushaRa」というタイトルセンスも乙だなと感じます。 maya:そこはちょっと、自分の若さが出ちゃったところですかね。わざわざ表記に一手間を加えたこの感じが(笑)。
――もはや、普通だと不安になってしまうのは性(さが)なのでしょうねぇ。 maya:本当なら、10年も経ったんだから今回のアルバムでは落ち着きたかったんですよ。だから、最初は「Gamushara」で良いかな?とも思ったんですが、どうしてもガマン出来ませんでした。その結果、こういう一はハズカシイ感じになっちゃった(照笑)。
――それでいて、「GaMushaRa」の歌詞にはこれまた“釈迦力”といった単語が織り込まれていて、『VEDA』の主テーマに繋がるようになっていますからね。このあたりも含めて、実に巧妙なつくりだと思いますよ。 maya:ほかの曲たちと並べたときの見え方っていうのも、確かに考えてはいますね。ポジション的にも、この曲はアルバムの2曲目としての役割を効果的に果たすような曲になったと思います。
――かと思うと、一見あまり関係がなさそうな「Fight Club」にも、さらりと“煩悩”という言葉が入っていたり、“骨になれば大差は無いけれど”という表現がありますから、これも間違いなく『VEDA』の世界を構成するのにあたって、絶対的に必要不可欠な要素となっていますよね。 maya:このアルバムは、これまでの作品と比べても全曲が深いところで全てつながっているものになったと言えると思います。同じ人間が発信しているものだから、今までも根底では同じことを歌っていたところは多分にあるんですよ。だけど、これまではそこに異なるストーリーを持たせていたところがあったんです。今回のアルバムの場合は、むしろそこは一緒でいいと思っていたんですよね。楽曲のカラーとタイトルによって、それぞれ別個のものとして振り分けられてはいますけど、根本的にはおなじことを表現しているものなんです。
――すなわち、それはこれまでずっとmayaくんが貫き続けてきた“mayaイズム”と呼ぶべきものなのでしょう。たとえば、「Fight Club」にある“また この場所で逢おう”という一節などは、かつて「It's a Wonderful Wonder World」で歌われていた“生まれ変わるその度に こんな風に集まろう”というメッセージとも、どこかで響きあっているように感じます。 maya:そこはあんまり意識していなかったんですけど、言われてみるとそうかもしれない。「It's a~」のときは、もうちょっと具体的にライヴの場を指して言っていたところがあって、「Fight Club」の方はこの詞の内容に沿った場面を自分としては想定してはいたんですよ。とはいえ、ライヴでのちのちこれを歌っていくという風に考えると、着地点としては同じことになるのかな。
「過去最高にバランスの良いアルバムになった」(Aiji)
――生まれ変わりという概念については、様々な議論がございます。なんでも、仏教界でもいまだ輪廻転生に対する考え方は二分しているそうです。参考までに、mayaくんの場合は輪廻転生についてどのような見解をお持ちでしょう? maya:あったら良いな、と思ってます。でも、輪廻転生の先にあるとされている涅槃とかニルヴァーナっていうものに関しては、ちょっと自分的にはピンと来ないかな。もっとハッキリ言っちゃうと、生まれかわりとかも本当は無いと思ってますね。きっと無いと分かっているからこそ、あれば良いなと思うんでしょうね。ロマンティストなくせに、醒めたところがあるんですよ(笑)。
――ひとつには、来世どうこうではなくまずは今生を生き切りたい!という意識が強くあるのではないですか。 maya:それもあるんだろうし、前に誰かに言われたことがあるんですよね。自分は今生から始まっている人生だから、そもそもまず「前世が無い」って(笑)。動物、子ども、おじいさん、おばあさんにやたらと受けがイイのはそれが理由らしいです。
――Aijiくんは、輪廻転生の類いについてどのように思います? Aiji:どうだろう?俺はどっちでもイイっすかね(笑)。今から先のことなんて想像してもしょうがないし、輪廻転生があるのかもそんなの分からないけど、特別な縁みたいなものを感じたりすると、前世からの繋がりとか来世での繋がりがあるんだとしたら、それはそれで素敵なことだなとは思います。まぁ、結局のところは分かんないからね。今を一生懸命に生きるしかないんですよ。
――同感です。そして、まさにその“一生懸命に生きる”ことの意味を今作中にて力強く描いてあるのが、「CHAKRA」なる楽曲なのではないかと思うのですよ。 maya:上手いことつなげましたね(笑)。
――この歌は、“チャクラを開け”というフレーズで締めくくられていますけれど、ここで思い出したのはmayaくんのライヴでの姿にほかなりません。 Aiji:分かる。チャクラも開いてるかもしれないし、それこそガムシャラでもあるもんね。何があってもこの場面を絶対逃したくない、っていう気迫がmayaは毎回凄い。
maya:あぁ。最近は、特にそうかもしれないです。……と言いながら、この詞を書く場面においては無我の境地どころか、一番いろいろと考えながら書いたものになりましたね。
――それは理由があってのことでしたか。 maya:このところ、詞を書く時には「邪推しない・思考しない・推敲しない」という三原則を大事にするようにしているんですよ。でも、「CHAKRA」はアルバムの中だと一番最後に詞があがった曲になったので、結果的にかなり邪念が湧き上がってくる中で「本当にそれで良いの?」っていう、自問自答をしながら書いていったものになりました。
――そこでの邪念とは、アルバムの完成度を高めたいと思うがあまりに出てくる、いわゆる色気のことですね? maya:そうなんですよ。10曲中の9曲を自分としての理想的なかたちに出来た分、最後に書く「CHAKRA」で、ある意味このアルバムが決まるなとヘンに肩に力が入ってしまったところがあって、つい思考し過ぎな状態になっていたんでしょうね。「今のそれって、この10年で培ってきたテクニックから生まれた言葉でしょ」とか、「それじゃここまでのスタンスと違うじゃん」って、何回か自分にダメ出しをしながら書いていった中で、ある時点で自意識みたいなものを突破するポイントがあって、幸いそこからは何時もみたいに自然なかたちで言葉を生み出すことが出来るようになりました。
――試行錯誤の甲斐もあってか、における「CHAKRA」の存在感は、とても重要なものになっていると思います。 maya:まずは「THE BUDDHA」が出来て、ジャケットが曼荼羅になって、ヴィジュアルイメージも固まっていった中で、こういう仏教フレーバーは入るべくして入ることになっていった、と言えますね。中でも、チャクラという言葉はそれ自体が凄くキャッチーでもあるし、ある意味これはタイトルとして使いやすかったです。
――音の面も含めて、「CHAKRA」は攻撃力の高い楽曲になりましたね。 Aiji:これの原型自体は2年くらい前からあって、普段だと少なくともメロディーはそのまま使うことが多いんですよ。でも、この曲に限ってはよりハードエッジな感じにしたかったので、メロディーをあらためて作り直しちゃいましたし、アレンジもその方向で徹底的に詰めていきました。
――これもまた余談になりますが、mayaくんはライヴの時以外で“チャクラが開いた”ような感覚を得た経験はおありです? maya:仏教に興味を持ち出した頃、「ここはやっぱり瞑想をしておくべきだろう」と思って、やってみたことがあるんですよ。何回かやった中で、一回だけ「これは……!」と思うことがありました。
――どんなことが起きるのですか? maya:正解というのが分からないので、どうとも説明し難いところはあるんですけど、どうやら睡眠と覚醒の狭間で起こる意識の変化を、“チャクラが開く”という風に言うらしいんですよ。そういう意味で言うと、瞑想をしようと思って寝転んで眼を閉じていたら、自分の周りがふと光に包まれるような感じになった経験はあります。だからといって、そこで何か悟りを開いたということではないし、心が満たされたというわけでもないんですけどね。そのあとも瞑想は何回かしたものの、あの不思議な感覚を感じたのは、あれが最初で最後でした。
Aiji:睡眠と覚醒の狭間かぁ…。そういう人、山手線の中にいっぱいいそう(笑)。
――あはは(笑)。 maya:ところが、歌詞を書く時って実はそういう状況が多いんですよ。
――えっ?! maya:睡眠と覚醒の狭間は脳が一番活性化している状態だとされていて、自分が歌詞を書く時はよくそこを利用しているんです。それはだから、もう神秘的な話というよりは脳科学的な次元の話になってきますよ。
――いずれにしても、全てはモチーフであって宗教や瞑想そのものについて描いているわけではない、ということですよね。 maya:「THE BUDDHA」とか「CHAKRA」って並べてあるのをみると、大層なことを伝えようとしているように感じるかもしれないですけど、どれもmaya的なエンターテイメント性を含んだひとつの喩え(たとえ)だと思ってください。
――そして、瞑想的な要素に関しては音の面で言うと「phobia」にも少し相通ずるものを感じるところがあります。 Aiji:これはシューゲ(※シューゲイザー。英国発祥のノイジーかつサイケデリックな音楽スタイルのひとつ)をやろう、というところから作り出した曲です。もともと、俺は音楽としてシューゲイザーって好きだったんですけどね。でも、LM.Cのイメージとは合わないかな?というところで、これまでは特に触れてこなかった部分ではあるんですよ。
――それがここで解禁になったと。 Aiji:ここまでの過程によって、やれるようになった曲ということだと思います。『PERFECT RAINBOW』の「キミヨサラバ」とか、『PERFECT FANTASY』の「monologue」とか、ああいう曲をLM.Cとしてやって来た中で、今ならこういうのも似合うかもという確信が持てたんでしょうね。
maya:10年前のLM.Cだったら、曲としてもこういうものはやっていなかったろうし、曲に「phobia」というタイトルをつけることも無かったと思います。
――そういう意味では、このアルバムのラストを飾る「Kiss me?」での粋でブルジーな展開も、10年前いえ5年前のLM.Cでもありえなかったものだと言えるでしょう。聴いていて、痺れました。 maya:これもね、純粋にふとしたひらめきから生まれた曲だったんですよ。特にこういうジャンルの音楽を聴いて育ってきたわけでもないのに、何故か自然にするっと出て来たというか(笑)。だから、あくまで“なんちゃって”な感じでなんですけどね。それだけに、曲の成り立ちとしては最も理想的なかたちだったと言えます。
――「Kiss me?」は、またあの少し渋めなギターフレーズが素晴らしいです。 Aiji:ムードとしては、最初からもう原曲がああいう雰囲気だったんですよ。それを、これも「GaMushaRa」と同じく、いかに“いなたく”なり過ぎないようにするかというところで、アレンジをしていきました。
――そんな「Kiss me?」の歌詞は一見ラヴソングのようでいて、“宇宙”や“慈悲”といった言葉を含む、人生の奥深さを描いた普遍的な歌になっているように感じます。『VEDA』のラストを締めくくるのに、ふさわしい深淵がここにはありますね。 maya:インタビューのこの場で、どこまで言葉で説明しようか?と少し悩んだところはあるんですが……。これは、人に死が訪れる瞬間を描いた歌なんですよ。
――『VEDA』と掲げる以上、そこは避けては通れない部分だったのかもしれません。 maya:病室で寝ている自分のすぐそこには死神がいて、隣には自分の愛する人がいて。これは、そこでの「Kiss me?」という場面なんですよね。LM.Cでは以前「Love me?」という曲を発表していまして、タイトル的にはそれと表記は合わせました。内容的にはあの2人の後を描いた続編というわけではないですけど、でもまぁ人と人の行く末という意味では通ずる点もあるのかもしれないし。そこはタイトルを寄せることによって、何周か回った時に同じLM.Cの作品としての関連性を持っていくことになればいいな、と思っているんです。
――全ては巡り、廻っている。聖典を意味する『VEDA』の世界は深いですね。 maya:ちょうどツジツマがあったんですよ。アルバムのタイトルも、これまでのLM.Cだったらつけないようなものが良かったし、遡って考えるならばこのアルバムに入っている曲に限らず、これまでLM.Cとして作ってきた全ての曲が“VEDA”であるとも考えられるし、という点でも。
――それに、よくLM.Cのおふたりは、取材にて「そんなに深くは考えていないですよ。たまたまこうなりました」だとか「ひらめいたんですよ。自然とこうなっていましたね」といったようことを、よく口にされますけれども。“VEDA”という言葉には、天啓という意味もあるのだそうですよ。だとすると、LM.Cの生み出すものは全て天啓あってのものだとも言えそうです。 maya:あー、そういうことか。
Aiji:ソレでいきましょう!(笑)
maya:我々の作るものは全て天啓です、っていうね(笑)。でも、実際そういうところも無いわけじゃないし。『VEDA』って、今のLM.Cにとってはそういったことも全て含んだニュアンスの言葉だし、全てを叶えているタイトルになったと思います。
Aiji:結果、過去最高にバランスの良いアルバムになったよね。
maya:天啓って、言い切っちゃっても良いのかもしれないです(笑)。




RELEASE

New Album「VEDA」
2016年12月21日 Release!!
【完全生産限定盤】
2CD+Blu-ray+DVD+スペシャルブックレット
VBZJ-34 / ¥14,500(税別)
[CD1]
01. The BUDDHA
02. GaMuShaRa
03. MONROEwalk
04. Fight Club
05. Avocado
06. 阿修羅
07. CHAKRA
08. Phobia
09. レインメーカー
10. Kiss me-

[CD2]
01. The BUDDHA -Instrumental-
02. GaMuShaRa -Instrumental-
03. MONROEwalk -Instrumental-
04. Fight Club -Instrumental-
05. Avocado -Instrumental-
06. 阿修羅-Instrumental-
07. CHAKRA -Instrumental-
08. Phobia -Instrumental-
09. レインメーカー-Instrumental-
10. Kiss me- -Instrumental-

[DVD]
Go to the 10th Anniversary TOUR FINAL
☆★☆★☆Rock the WONDERLAND☆★☆★☆
「The BUDDHA」Music Video


【通常盤】
CD
VBCJ-60006 / ¥3,000(税別)
[CD1]
01. The BUDDHA
02. GaMuShaRa
03. MONROEwalk
04. Fight Club
05. Avocado
06. 阿修羅
07. CHAKRA
08. Phobia
09. レインメーカー
10. Kiss me-


LIVE INFORMATION

LM.C TOUR2017 「VEDA」

2017年02月19日(日) TSUTAYA O-EAST
2017年03月11日(土) HEAVEN'S ROCK さいたま新都心VJ-3
2017年03月14日(火) HEAVEN'S ROCK 宇都宮VJ-2
2017年03月18日(土) HEAVEN'S ROCK 熊谷VJ-2
2017年03月19日(日) 甲府 Conviction
2017年03月22日(水) 水戸LIGHT HOUSE
2017年03月25日(土) 高崎club FLEEZ
2017年03月26日(日) 川崎セルビアンナイト
2017年03月28日(火) 広島SECOND CRUTCH
2017年03月30日(木) 神戸VARIT.
2017年04月01日(土) ESAKA MUSE
2017年04月08日(土) 札幌KRAPS HALL
2017年04月09日(日) 札幌KRAPS HALL
2017年04月11日(火) 山形MUSIC SHOWA Session
2017年04月13日(木) 郡山HIPSHOT JAPAN
2017年04月15日(土) 金沢AZ
2017年04月16日(日) 富山MAIRO
2017年04月18日(火) 長野CLUB JUNK BOX
2017年04月20日(木) KYOTO MUSE
2017年04月22日(土) 福岡DRUM Be-1
2017年04月23日(日) 熊本B.9 V2
2017年04月25日(火) 岡山IMAGE
2017年04月28日(金) 高松DIME
2017年04月29日(土/祝) 松山サロンキティ
2017年05月01日(月) 名古屋Electric Lady Land


2017年01月29日(日) 新木場STUDIO COAST

LM.C PROFILE

LM.C

  • Vocal:
    maya
    Birth:
    07.30
    Blood:
    不明

  • Guitar:
    Aiji
    Birth:
    11.17
    Blood:
    A



DISCOGRAPHY

アーティストタグ

LM.C | 関連INTERVIEW

関連インタビューはありません。

LM.C | 関連CONTENTS

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