FEATURE

Initial'L 「MOON LIGHT DOWN」

2016.11.22
ヴィジュアルシーンを席巻し、2015年11月6日の赤坂BLITZを最後に惜しまれつつ解散したLycaonが、1年経った同日2017年11月6日にニコファーレにて、Initial’L(イニシャルエル)としてついに始動した。
そんな彼らが、11月30日に待望のDebut Single『MOON LIGHT DOWN』をリリースする!
そんな始動したばかりのInitial’Lの5人に話を訊いた。

取材・文:山本貴也
「またバンドがやれるのもLycaonのおかげなので、そこだけは忘れないようにしよう」

――Initial’Lがついに始動しました。あらためてどういう経緯でまたこの5人が集まったのでしょうか? 悠希:Lycaonの解散が決まって解散ライヴがくるまでは、もうバンドをやめようと思っていたんですけど、いざライヴが終わると「人生をかけてやってきたものが何もなくなってしまったんだな……」って虚無感がすごくて、「俺って何なんだろ?」って思う部分がすごくあったんです。ストレートに言ってしまうと「またバンドやりたいな」って解散した瞬間に思ってしまって、絶対にいつか戻ってきてやるという気持ちとやるならLycaonを絶対に超えたいっていう気持ちが生まれて今に至ります。
――解散直後は一旦バラバラにはなった? 悠希:一旦はなりました。「こいつどっかのバンドから誘いがきてるんだろうな」とかそういう空気感もあったり(笑)。別にやりたきゃやればいいじゃんみたいな感じで強がってた部分もあったんですけど、不思議と心のどこかで“絶対にこいつは離れない”“俺ら以外のところにはいかない”っていう変な自信もあったんです。

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――5人でそういう話をしていたわけではないんですよね? 悠希:メンバーの前で初めて言いましたけど、各自が勝手にそう思ってたと思うんですよね。
一朗:会わなかった期間ってどれぐらいだっけ?
サトシ:1ヶ月は全く連絡とってなかったと思うんだけど、俺はその間にLAの行き方とかどういうところに行けば人がいるのかを調べてました。
ZERO:そういえばそんなこと言ってたよね。
一朗:でも行き方は調べなくてもわかるでしょ。
一同:(笑)。
――どうしてLAに行こうと? サトシ:LAでギター弾きたいなっていうのと行けば何かが変わるかなって思ったんですよね。
悠希:前はイギリスだったよね?
サトシ:そうそう。Lycaonに入る前にイギリスに行こうかなって考えてたんですけど、「暇つぶしでギター弾いてよ」って誘われてスタジオに入ったら、知らないうちにメンバーになってました(笑)。
緋遊:結局LAも行けなかったね(笑)。
――この1年間で少しはリフレッシュできました? 緋遊:誰も旅行すら行ってないと思いますよ(笑)。
ZERO:いざ野に放たれると何もできないし、音楽以外なにも好きじゃないってことに気づいてしまったんですよね……。
――あらためて5人が集まることになったのはどういうきっかけで? ZERO:誰も何も言ってないよね?
悠希:本当に自然な流れというか、誰も何も言わずに、「曲作ったんだけどちょっと聴いてよ」みたいな感じで連絡とりあったりしてたぐらい。
一朗:それに各々が「あ、いいじゃん」みたいな感じで反応したり、バンドもないのにそんなことばっかりやってました。
悠希:解散して1ヶ月後には曲作ってましたから、終わったはずなのに続いてるみたいなすごく不思議な感じでしたね。
――5人の中に共通した「バンドがやりたい」っていう気持ちがあったんですね。 ZERO:あったのかもしれないですね。
悠希:そのまま今日まできてますから、「バンドやろうぜ」とはまだ誰も言ってない。
一同:(笑)。
サトシ:本当に不思議な関係性だなって思いますね。
悠希:ライヴをやろうってこともなく、気づいたらこの5人が集まって結成してた。
――いつから動き出そうみたいな話しもなく? 一朗:なんとなくですけど、「やるなら1年後じゃない?」みたいな話しはしてたと思います。
緋遊:なんとなくって言うと聞こえが悪いですけど、なんとなくなんですよね(笑)。
――また同じ5人でやることになったわけですがLycaonではダメだった? 悠希:僕の中でLycaonは最終回を迎えて完結したので、別の物語しか考えてなかった。仮に2人とか3人だけ一緒で他が違うメンバーだったとしたら絶対にやってないし、全員違うか全員一緒かのどっちかしか考えられなかった。だっておかしくないですか?今までずっとやってきたのに1人だけいないとか2人だけいないって変な話ですよ。
――家族のようですね。 悠希:誰か1人いないって考えただけでもムカつくんですよ(笑)。長年やってきて感覚がおかしくなってるのかもしれないけど、仮に誰かが他でやりたいってなったら解散すると思います。
――バンド名はどうやって決まったんですか? 悠希:例えばですけど、僕がFRISKっていう新バンドを結成したとして「新バンドFRISKです」って言ったとするじゃないですか。「FRISKって言ってる悠希を見たくない」ってメンバーに言われてしまったし、同じメンバーで全然違うバンド名を名乗るのも嫌だねって。でもLycaonって付けるわけにもいかないし、全く変えるのも違うよねってことで、Lycaonから一文字とってInitial’Lにしたっていうだけのことです。
――Lycaon魂も残ってると? ZERO:それはもちろんあります。
悠希:何かしら名残を残しておきたいっていうのはありました。僕らがここまでやってきて、こういう関係性になってまたバンドがやれるのもLycaonのおかげなので、そこだけは忘れないようにしようって。
ZERO:名字を捨てられなかったんです(笑)。
「何も気にせずにカッコいい曲をやれるようになったというか、ちょっとした呪縛から解けた」
――楽曲も聴かせていただきましたけど、より幅が広がってよりロックバンドになった印象を受けました。 悠希:いろんな曲を作りまくってたっていうのもありますけど、この1年でミュージシャンとしてのレベルも上がったと思いますね。
サトシ:結局は音楽しかやってなかったし、やっちゃう自分がいたので。
――1枚目の作品ということでいろんな人がいろんな想像を膨らませてると思うんですけど、「MOON LIGHT DOWN」を最初のリリースに決めた理由は何だったんでしょうか? 悠希:この5人でやるなら今までありそうでなかったものが欲しかったし、何か変わってるんだけどどっか名残も感じられるものを作りたいというのが前提であって、それを考えた時に、「MOON LIGHT DOWN」には冷たさもあるけどどこか鋭くて、熱苦しさも見えるという他の曲にないものが詰まっていたんです。
サトシ:言葉ではずっと新しいものとか違ったことがしたいって言ってたんですけど、それを形にするのに「これだ」っていう曲がない中で出来て、初めて「これは面白いんじゃないか」という感覚がえられた曲でした。
悠希:音楽的に変わったのが、前まではお客さんのノリを気にして曲を作っていたんですけど、今はそれを全く考えなくなりました。やりたいことやってやりたいようにやって、好きにのってくれればいいと思えるようになったので、何も気にせずにカッコいい曲をやれるようになったというか、ちょっとした呪縛から解けましたね。だからこれから何をぶち込んでくるかは僕らもわからないんです。
――その呪縛から解けたのはどうして? 悠希:単純に解散したからだと思います。やっぱりやりたいことをやりたいっていうのがあったし、冷静に考えてみたら、折りたたみのリズムだとかモッシュだとかのパターンに縛られて曲を作るのはもう限界にきてるんじゃないかなと思ったんです。だったらそれを気にせずやった方が自由だし本当にカッコいいバンドになれると思ったんですよね。
ZERO:前は知らず知らずのうちにそういう枠の中で作ってしまってましたから。
サトシ:良くも悪くもだとは思いますけど、もしかしたらそういう枠でやった方がお客さんからしたら分かりやすいし、単純に楽しめるのかもしれないけど、お客さんとさらに上のステップにいくことができたらもっと面白いんじゃないかなって。8年間同じことを繰り返してきて、1年間はなれたらからこそ客観的に見れてやっと気づけたこともあって、もっとお互い新しいことに挑戦しようっていう気持ちも込めて曲を作っていたし、型にハマらずもっと自由に楽しめるのが理想だなって。
悠希:あのままやってたら全部が同じ曲に聞こえちゃうし、他のバンドでこんなのあったなっていう曲になってくると思うんですよ。いつまでたっても同じものしか出てこないと思ったからこそそこを変えなきゃいけないと思ったんです。
――いい意味でライヴの画が浮かばないのはそういう意識の変化だったんですね。 悠希:それは大きいと思いますね。サトシも言ったようにお客さんと一緒に進化できたらいいなって。
サトシ:また新しいことが形になってきたら今度はそれに縛られてくると思うんですけど、どこまでいっても僕らのやってることは茨の道だと思うので、それを1個1個ぶち壊して進んでいけたら面白いですよね。
――Initial’Lの本質が分からないのもあえてのことなんですね。 悠希:ずっと分からないままだと思いますよ。決めたくないっていうものあったし、Initial’LはInitial’Lだという自信もあるし。
――各々のアレンジも細部まで考えられてますよね。 サトシ:解散してから少し時間があったので、あらためて音楽というものをしっかり見つめ直して、新しい知識を吸収しながら作ったら今までとは違う曲ができました。
ZERO:ずっと感覚でやってきたので、そこの意識の変化は大きかったですね。
一朗:おかげでかなり細かいところまでいろいろ指定されましたけど(笑)。
――「MOON LIGHT DOWN」は同じメロが続くのにどんどん展開していくのがすごく不思議な感じでした。 悠希:コードもずっと変わらずに進んでいくんだけど背景だけがどんどん展開して移り変わっていく感じです。
ZERO:音作りに対してもこだわっていて、重心は低いけど広がりを出せたので、レンジがかなり広がったと思います。
――縛りがなくなったことで歌詞も何か変わりました? 悠希:曲によってバラバラですけど、この1年間の出来事や思ったことを書いているだけですね。「MOON LIGHT DOWN」だったら、「皆が見えなかった1年間は何だったんだろう?」「何が起きてたんだろう?」って解散した日の夜のことを書いてますし、全体を通して1つのテーマがあるわけではなく、あくまでも悠希という人間が言っていることと捉えてもらえれば。
「前に見たかった景色をまだ見にいけてないので、お客さんと一緒に見にいきたい」
――それではお1人ずつカップリング曲の紹介をお願いします。 サトシ:俺はさっきの話しの流れから「毒女」ですね。これが音楽というものを考えて作ったというか、今までと違うコードを使ったりしています。新しいんだけど今までのニュアンスや曲の匂いも感じることができると思うし、歌詞もタイトルも面白い。
悠希:歌詞に関しては僕がその時に思ったことを切り取っただけですね。きっとちょっとムカついてたんだと思います(笑)。
緋遊:僕は一番変わった感があるし、「こんなのやっちゃうの?」っていう驚きがある「接吻〜くちづけ〜」ですね。昔の要素も入りつつガラッと変わった曲で、ベースラインがずっと動いてるのでレコーディングはすごく大変でした。
ZERO:ここまでベースが動くのは初めてだよね。
緋遊:しかも歯切れの良さを出すために全部ダウンピッキングなんですよ。
悠希:僕がメインで作ったんですけど、緋遊に挑戦状を叩きつけた感じですね。
緋遊:リズム隊に関しても、前は感覚でやってた部分が多かったんですけど、今回は細かいリズムやフレーズまできちんと作り込んでやれたのが大きいと思います。
一朗:僕は今までなかったような曲だし個人的にも好きなので「Pathos」ですね。歌詞も今後に向かって羽ばたいていくぞっていう決意が感じられます。
――サビの入りがすごく不思議なメロディーですよね。 悠希:転調しているので意味がわからないですよね(笑)。主線の歌メロに対する上と下のハモリの進み方が違うから変な感じがするんですけど、僕の中だけの正解かもしれない。
ZERO:その普通じゃないところがこの曲のおいしいところだよね。サビの入口でちょっと不安になることで、次の開ける感じに繋がっていくんです。
緋遊:1テイクで決めたというか、1回しか弾かせてもらえなかったベースソロもあります。
ZERO:ロックってそういうところだから(笑)。
――ZEROさんはいかがでしょうか? ZERO:僕は「おくり火」です。これはサトシじゃないですけど、僕なりにいろいろ知識を得た後に作った曲で、最後の最後までずっと漂っている感じをいかに残すかっていうのをすごく考えました。
悠希:ZEROが物悲しい雰囲気のデモを持ってきたので、その上に僕が不思議な音を足してリズムを作っていきました。
――これは何の音ですか? 悠希:ハサミの音とか紙をくしゃくしゃにする音とかいろいろですね。
――構成が複雑というかよく分からないまま漂ってる感じが迷子になったような感じがしました。 ZERO:一方通行で行ったきり戻ってこられない曲にしたかったんですよね。後半はここぞとばかりに展開していきますけど。
悠希:人生と同じで終わりに向かって一方通行なんですけど、3月11日にプリプロで歌を録ったから震災のことを書きました。
――「ラビリンス」はいかがでしょうか? 悠希:「ラビリンス」は切羽詰まった状況で、毎日毎日スタジオにこもってひたすら作った曲ですね。メロディーが多くて、リズムもちょっと変な感じなんですけど、この頃はR&Bにハマっていたので裏のリズムが多いです。
ZERO:本当にずっとスタジオにこもってたよね。
悠希:だから「ラビリンス」なんです(笑)。“僕はいつになったらこのスタジオから抜け出せるんだろう”って、完全にスタジオに迷い込んでました。
一同:(笑)。
――「ノスタルジア」はいかがでしょうか? 悠希:歌ものばっかり作っていて激しい曲がなく、このままじゃライヴできないなって時にZEROが持ってきました。
ZERO:昔の激しさを思い出そうって感じですね。
悠希:だから「ノスタルジア」なんです(笑)。過去の自分が恋しくなってしまって、昔の自分を思い出しながら書いています。だからちょっと懐かしい雰囲気があるんです。
――「MOON LIGHT DOWN」のMVの見所を教えてください。 悠希:Lycaonの解散ライヴで皆が光の中に消えていって終わったので、今度はその逆をイメージして、産まれたというか輪廻転生のように生まれ変わるイメージにしたかったんです。だから赤坂BLITZで解散の時と全く同じセットを組んで、同じ環境で立ってる自分たちだけが1年後の自分たちという状況を作って撮りました。
ZERO:完全にデジャブでしたけど、ストーリー性のある映像になっています。
悠希:解散ライヴで最後に立ったステージが赤坂BLITZで、Initial’Lで最初に立ったステージも赤坂BLITZなので、また同じステージに戻ってこれたんだなって。
ZERO:解散から1年を経て“変わったんだよ”っていう部分も感じ取れる映像になってると思います。
――まさか同じセットを組むとは思わなかったです。本当は1年前に撮ってたのかなって思ってしまったり……。 一同:(笑)。
悠希:もしかしたらそう思われるかもなっていうのはありました。
一朗:実は1年越しのストーリーでしたってね。
緋遊:冒頭に話したことが全部ウソになっちゃう(笑)。
――でも、この映像を観ることで気持ち的に整理がついて純粋な気持ちで応援できますよね。 ZERO:そう思ってくれたら嬉しいですね。
――それでは最後にViSULOGを見ている人にメッセージをお願いします。 一朗:前に見られなかった景色を見に行きたいっていう一心だけですね。
緋遊:前に見たかった景色をまだ見にいけてないので、どんどん進化してお客さんと一緒に見にいきたいなという気持ちです。
ZERO:当たり前ですけど今までとは違った部分の見所も多いので、その変化を探すのも面白いでしょうし、僕ら的には、その新しいものに対してお客さんがどう捉えてくれるのかなっていう面白みがあるところだと思うので、その辺をキャッチボールしながら、新しい景色を見にいくのと並行して、何か新しいものをオーディエンスの人とアーティストと一緒に作っていけたら本当の意味で新しいものになるんだろうなと思います。
サトシ:お前たちの常識をぶっ壊してやるぜ!
悠希:僕は新しい景色というよりかは、すでに頭の中に新しい景色が見えているのでそこに導いていくよ。


2016年11月06日(日)六本木ニコファーレ「プレミアムライヴ」ライヴレポート

2015年11月6日、Lycaonという一つのバンドが惜しまれながら解散した。
あれから1年後となる2016年11月6日・彼らはInitial'L(イニシャルエル)と名前を変え、初ライヴを六本木ニコファーレを舞台に完全招待制で行った。
この日は、ニコニコ生放送を通し生配信され、その雄姿を数多くの人たちが目にしていた。
その日の模様をここにお伝えしよう。
取材・文:長澤智典














時計の針が時を前へと進め出した。終焉からふたたび物語を始めるように悠希は優しく語りかけてゆく。彼の想いへ重なりあう演奏。絶望的なのになんて美しい楽曲なんだろう。
語りが進むごとに演奏も躍動を増してゆく。『THE END』に詰め込んだのは、Initial'Lが新しい物語を始めるまでに胸に抱いていた想いの丈!?
慟哭した心模様を晒すように悠希は歌いあげてゆく。心の叫びを現すような演奏に乗せて……。
Initial'Lの物語の幕開けは、とてもとても美しく悲嘆でドラマチックだった。

轟くギターの音を合図に、演奏は一気に走りだした。Initial'Lは絶望に落ちながらも、闇の中でつねに光を求めていた。
『Pathos』もまた、そんな葛藤の日々を投影した楽曲なのか!?
抑揚を持った歌声や演奏を通し、ここへ至るまでの心の葛藤をInitial'Lは歌いかけてきた。ここへ辿り着くまでの道のりを、そして、これから始まる未来へ向けての意志を力強く知らしめるように。

妖しい香りを振りまきながら『毒女』が舞い踊りだした。それは、艶めくも汚れた毒女へ魅了されてゆく想い!?彼らが以前から魅力にしていた妖艶でサイケな音楽性を、ふたたび『毒女』を通しInitial'Lは描きだした。あの妖しい魔力に触れたら、その官能な刺々しさから離れられなくなる。

画面には「おかえり」の文字が踊ってゆく。「1年ぶりにステージに立って泣きそうになりました」「自由にInitial'Lを楽しんでいってください」と悠希は語りかけてきた。

「1年間彷徨い続けてきましたが、みなさん存分に暴れて……」。身体を直撃してゆくラウドな音。ミドルヘヴィな『IMMORTAL』が連れ出したのは、闇に支配された妖しく官能的な空間。艶やかな声や仕種で歌う悠希。彼のエロティシズムに黒く色を塗りたくってゆく演奏。楽曲は転調も挟みながら、ダークでラウドでシンフォニックなドラマを作り上げてゆく。

サイテゲリックで激しくて、でも艶かしくて……。『接吻~口づけ~』が観客たちを妖しく悩ましい宴の中へ引きずり込んでゆく。その誘いに誰もが溺れていた。ねっとりとした刺激に心をとろけさせていた。その触れ合いは痛い快楽を与えてくれるかのように……狂った輪舞曲に身を委ねるかのように……。

「お前ら、声を聞かせろー!」
熱を上げた演奏が連れ出したのは、轟音の中へ抱かれることで得る快楽と恍惚。『ノスタルジア』が気持ちに熱を注ぎ込んでゆく。情熱を抱いた歌と演奏は、彼らの滾る感情を具現化した叫びのよう。狂ったように嘆く叫びは、触れた人たちの気持ちへ熱狂の中で欲情することを求めていた。なんて荒ぶるドラマチックな楽曲だ。その熱狂にもっと溺れたかった。

ZEROのギターが爪弾いた、優しく抱きしめるような音色。悠希が語りだした、「誰にも見えない場所で、ずっと僕らは毎日毎日5人で過ごしてました。物語を無理矢理美化しようとするのはあまり好きじゃない。だけど音楽を、バンドをやっているとね、どうしても恰好をつけたくなるときもある。でも本当の意味で僕は、この5人は美しいなと思いました。この1年間、5人でいろんな景色を見て、いろんな音楽を5人で作って楽しくやってきた。その瞬間瞬間を、僕は今ここで、切り取った想いとして歌ってます。今日ここで歌ったものはすべて、そのときに感じたものをそのまま曲にしています」。

悠希はファルセットヴォイスを用いながら、今にも壊れそうな感情のまま声にならない声で歌いかけてきた。バラード『おくり火』を彼らは、心の中に支配していた悲しみを解き放つように場内へ響かせていた。触れたとたんに崩れそうな脆い心模様が、とてもとても美しく響いてきた。画面には「涙が止まりません」という書き込みも。それくらい『おくり火』は魂を揺さぶる命を携えていた。後半で一気に表情を広げてゆく演奏。なんてドラマを描いた壮麗な楽曲だ。ずるいねこの美しさは、とても罪なくらいに感動的だったよ……。

演奏は、ふたたび熱を帯びだした。秘めた心模様をゆっくり優しく増幅してゆくように『合言葉』が響きだした。「愛しても届かぬ心ばらばらに砕け散ってゆくんだね」、嘆く悲しさを悠希は、想いを請うように歌いかけてきた。Initial'Lはなんて罪なバンドだ。触れた人の琴線や涙腺をねっとりチクチクと突き刺してゆく。
その請いする想いに触れたら、恋してしまわないわけがない。でも、それが嬉しかった。

サトシのギターが迷宮へ連れ出すように怪しげな旋律を奏でだした。激しく絡む演奏陣。艶かしい声色を持って悠希は歌いかける。「僕らは迷ってる」「この世の終わりを見届けよう」と。
『ラビリンス』が作り上げた官能的な熱狂に心が嬉しく酔っていた。こんな素敵な迷宮なら、いくらでも迷い続けていたい。「僕が生きる場所へ導くから」と悠希は歌いかけてきた。彼らは確かに、迷いの扉を開け、新しい舞台へその一歩を踏み出していた。Initial'Lは未来へ歩むため、この日奏でた曲たちを記憶や意志として刻むように、この1年間闇に身を潜め作り続けていたのかも知れない。

グリッターな音の刺激に頭がトリップしそうだ。彩色派手な音色へ触れたとたんに魅了された歌が、ずっと胸から離れない。いつしか『Stop My Heart』に心が、意識が奪われていた。間奏ではサトシのフリーキーなギターが炸裂。相変わらずブッ飛んでいるね。
その熱を浴び、何時しか場内には飛び跳ねてゆく大勢の人たちの姿が……。

「お前らの好きな曲を用意したから」。『Punishment』はライヴで頭振り乱し狂うに相応しい攻めの表情を描き出した楽曲だ。荒れ狂う演奏に身を預け身体を折り畳んでゆく観客たち。まさに暴欲という言葉が相応しい、激しくイカせてゆく楽曲だ。

「まだ夢見ているような気分。今日ここに立っていられるのはLycaonというバンドが存在したからで、僕の中ではとても、みんなにとっても大事な大事な母のような存在です。だけど、バンドをやるのなら絶対にLycaonを超えたい。そのために今日から、またこの場所から僕は飛んでいくよ。止まることなくこのまま夢に向かって走っていくんで」

「1年前の夜、思ったことを歌います」。最後に届けたのが、11月30日に発売する1stシングルの表題歌『MOON LIGHT DOWN』だ。悠希の歌からの幕開け。その歌は心の慟哭にも似ていた。ヘヴィファンクな楽曲の上で語られる想いはとてもとても儚く悲しく、でも、そこには確かな力が漲っていた。「僕はまたここから飛んでいく、羽を広げ」。

Lycaonの解散からInitial'Lに至るまでの1年間という月日を、彼らは数々の歌に投影しながら届けていた。今は、その沈黙の日々を開放してゆくことが必要な時期。月夜の中「舞い上がるよ」と未来へ向かい羽ばたこうとする『MOON LIGHT DOWN』が本当に光を放ったときに、Initial'Lの歌たちがどんな意味を持って異なる表情を見せてゆくのか、今が、これからが、何よりも未来が楽しみになってきた。
そう、物語はまだ扉を開いたに過ぎない。踏み出した二歩目からが、物語にはいろんな新しい歴史という装飾が施されてゆくのだろう。
それを楽しみにしていたい。


◆セットリスト
01. THE END
02. Pathos
03. 毒女
04. IMMORTAL
05. 接吻~口づけ~
06. ノスタルジア
07. おくり火
08. 合言葉
09. ラビリンス
10. Stop My Heart
11. Punishment
12. MOON LIGHT DOWN

RELEASE

1stシングル「MOON LIGHT DOWN」
2016年11月30日 Release!!
【TypeA:初回限定盤】
A5サイズブックレット20P+CD
BCRL-69001 / ¥2,000(税抜)
[収録曲]
01. MOON LIGHT DOWN
02. Pathos
03. おくり火


【TypeB:通常盤】
ジュエルケース
BCRL-69002 / ¥1,500(税抜)
[収録曲]
01. MOON LIGHT DOWN
02. 毒女
03. ラビリンス

【TypeC:通常盤】
ジュエルケース
BCRL-69003 / ¥1,500(税抜)
[収録曲]
01. MOON LIGHT DOWN
02. ノスタルジア
03. 接吻~くちづけ~

LIVE INFORMATION

「FEST VAINQUEUR 2MAN TOUR 「東西V合戦」NANIWA編 」

2017年01月13日(金) OSAKA MUSE

「FEST VAINQUEUR 2MAN TOUR 「東西V合戦」EDO編 」

2017年02月5日(日) 高田馬場AREA

「FEST VAINQUEUR 2MAN TOUR 「東西V合戦」TOUR FINAL」

2017年03月15日(水) TSUTAYA O-EAST


2016年12月13日(火) TSUTAYA O-WEST
2016年12月20日(火) 名古屋E.L.L
2016年12月28日(水) OSAKA MUSE
2017年02月25日(日) 大阪BIG CAT
2017年02月26日(日) 名古屋E.L.L
2017年03月11日(土) TSUTAYA O-EAST

Initial'L PROFILE


  • Vocal:
    悠希
    Birth:
    02.08

  • Guitar:
    サトシ
    Birth:
    10.04

  • Guitar:
    ZERO
    Birth:
    12.22

  • Bass:
    緋遊
    Birth:
    07.30

  • Drums:
    一朗
    Birth:
    07.15



DISCOGRAPHY

アーティストタグ

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