INTERVIEW

LIPHLICH 「発明」

2016.10.18
10月19日にフルアルバム『発明』を発売するLIPHLICH。
タイトルに相応しいとんでもない12曲の“発明”を彼らはアルバムの中に描き出した。
リリース後には、LIPHLICH史上最大級のワンマンツアーもスタート!
ファイナルは久我新悟のバースデーも兼ね、12月10日に日本橋三井ホールで行われる。
とても嗜好の高い『発明』、さっそく4人の言葉を通して味わっていただこう。

取材・文:長澤智典
「そう名付けた以上は「発明しなきゃいけないね」という想いを持って作品を作りあげました」

――とんでもない発明品と言うべきアルバム『発明』が生まれました。 久我:とんでもない発明品ですか……。いや、生まれたと思います(笑)。
――アルバムを作るに当たっての狙い。まずは、そこから教えていただけますか? 久我:LIPHLICHは今年で活動6年目に突入して、これまでにもいろんなことをやってきたんですけど、ちょっとマンネリ化というか、2月10日に出した前アルバム『蛇であれ、尾を喰らえ』を作りあげ、少しネタ切れ感を覚えていたんです。それを挽回したい気持ちから、先に『発明』とタイトルを付けたんですけど、そう名付けた以上は「発明しなきゃいけないね」という想いを持ってこの作品を作りあげました。
――そこまでの覚悟を背負って臨んだわけだ。 久我:シングルでも良かったんですけど、10月23日からLIPHLICH史上最大級の本数を詰め込んだロングツアーが始まる計画も組んでいたので、「アルバムを手に各地をまわろう」という気持ちを持って、自分たちを追い込んでいきました。

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――「マンネリ化」「ネタ切れ感」という発言がありましたが、バンドとして現状を打破したかった面も強かったのでしょうか? 久我:それはありました。前アルバム『蛇であれ、尾を喰らえ』は、ドラムにこばやん(小林孝聡)が加入したばかりの時期に制作。メンバーが変わってすぐにレコーディングを行ったので、作品の完成度には満足しているんですけど、手探りな部分があったのも事実で、“4人で出している音楽を詰め込みたい”意識でアルバムを作りたいという想いがあったから、あえて短いスパンで制作に入ったところもありました。
小林:もう、攻め攻めです! 矢吹ジョーですよ!
――矢吹ジョーって。でも、決してノーガード戦法ではないですよね。 小林:そこはしっかり戦略を立てました。
――今回は、小林さんもいくつか楽曲を提供しています。個人的に、小林さんの作った『三原色ダダ』がお気に入りです。 小林:前アルバムの『蛇であれ、尾を喰らえ』では曲作りにまで参加は出来なかったけど、自分も作曲をするので、作曲面でもLIPHLICHの中へ血を注ぎたかった。今回の『発明』では、全員の曲が収録されたので、自分の中ではLIPHLICHの1stアルバムという感覚さえも覚えています。
「今まで以上に、各自のフィルターが1曲1曲の中へしっかり通った形で完成したのは間違いない」
――LIPHLICHの場合、全員が作曲できる。そこは、絶対的な強みとしてあることじゃない? 久我:いつしかそうなっていましたね。
新井:しかもみんな、好きな音楽もさまざまなんですよ。
――LIPHLICHの楽曲には、多用な音楽ジャンルの要素が詰め込まれています。 新井:各々が「これ、カッコいいだろ」っていう楽曲を持ってきては、メンバーであれこれ作り込んでいく。そうすると、面白いもので自然とLIPHLICHらしさというか、軸のしっかりとある音楽に仕上がるんですよね。たとえ、「これはバンド的にどうなんだろう?」と思う楽曲を持ってきても、このメンバーで作り込んでいくとすごくカッコいい曲に仕上がる。だからこそ、みんな何も恐れることなく、自由に柔軟にアイデアを出せるんです。
――アルバム『発明』にも、その自由度と柔軟性は遺憾なく発揮されています。 新井:今回、ものすごい発明をしましたからね。これまでにもデジタルサウンドを取り入れた楽曲は何曲かあるんですけど。それでも、アルバムの冒頭を飾った『発明家A』のようなデジタル要素を入れ込んだポップな楽曲アプローチは初めてで、すでにライヴでも演奏しているんですけど、自分たちもすごく良いテンションで演奏できるし、ファンたちのノリもいい。正に素晴らしい発明になりました。
進藤:『発明家A』のような楽曲は、これまでもなかったわけではないけど、今回収録した楽曲は、1曲1曲に対して各々のプレイ面やアイデアなど、メンバー一人一人のフィルターがしっかり通っているんです。自分の曲もそうで、楽曲を提出したときに、今まで以上に他のメンバーのアイデアが作品の中へ反映されていった。先にあげた『発明家A』はもちろん、タッキー(新井崇之)が持ってきた『この密室よりくちづけを』は、久我(新悟)くんを筆頭にメンバー全員のアイデアが次々と入って、ぜんぜん別の楽曲として生まれ変わったんです。それくらい、各自のフィルターが1曲1曲の中へしっかり通った形で完成したのは間違いないですね。
――ド頭から凄まじいスラップベースが炸裂、(進藤)渉さんの作った『SLAP TEA TIME』を聴いたときには発狂したオーケストラナンバーかと思うくらいの衝撃でした。 久我:その例え、いいですね。
進藤:『SLAP TEA TIME』も、いろんな人のエッセンスが加味されて完成した楽曲でした。私自身、納得した形で曲を提示したのですが、久我くんを筆頭にメンバーそれぞれの中から「もっとこうしたい」「ああいうことも出来る」などいろんなアイデアが生まれてきた。その成果が、収録した『SLAP TEA TIME』になりました。まさにその完成度は、今まで以上の高さです。
久我:一人が楽曲を作り込むのを抑えたことも、今回は大きかったね。
進藤:そう。これまでは作曲者が7、8割楽曲を完成させたうえで各メンバーに投げる形が多かった。でも今回は、3割程度の内容でデモ音源を提示して、そこへ各自のアイデアを反映させていった。だからこそ、どの楽曲にもメンバー全員のアイデアが反映している形になったんです。
――『SLAP TEA TIME』は、歌詞もシリアスじゃないですか? 小林:シリアスでシニカルで……。
久我:まあ、終末時計を題材にしているくらいだからね。
「早い段階から楽曲を共有しあうことで、自分の中には無かった発想が楽曲の中へ注入されていく。それは、80%の段階でデモ音源をもらっていたら生まれなかったと思う」
――1曲の中にさえ、いろんな音楽要素を詰め込みながら作り上げたように、どの楽曲も非常に色濃い表情だなと感じています。 久我:今は、本当にいろんな音楽があふれている世の中じゃないですか。それは、自分たちが活動しているヴィジュアル系というフィールドに限らないことで、しかも今は、世界中にあふれている音楽を気軽に聴けてしまう環境にもある。その中にいるからこそ「自分たちはどんな音楽を演るべきか!?」をいろいろ考えるようになった。みんな「自分たちだけの音楽を」と口にはするけど、それを本当に突き詰めていくのはそうそう甘いことではない。ヴォーカルなら、自分の声と歌詞を武器にそれを追求しなければいけない。楽器隊なら、それはもっと難しいこと。この4人が生み出す組み合わせでどれだけオリジナリティを出せていけるのか!? 今回の『発明』というアルバムは、それを突き詰めきった作品。結果、これだけの色濃いバリエーションになりました。
――先に渉さんの発言にもありましたが、あえて完成形をラフな段階にとどめ、そこへ各自のアイデアを詰め込んだことが、結果的に濃密な作品になったわけですよね。 久我:そうなりました。このメンバーの場合、全員がデモ音源にも関わらず80%は完成した形で持ってくる。そこへ、他のメンバーが20%の要素を加えて完成させていくのが、これまでのLIPHLICHの楽曲に多いパターンでした。そのスタイルでずっとやり続けていくと、個人個人の色の限界というか、どうしてもマンネリ化へ陥ってしまう。でも、30%の段階で楽曲を提示することで、「これ、こういうアイデアを加えると、こうなりそうな予感がする」というアイデアが、これまで以上に各メンバーの中から出るようになった。そのアイデアをもとに、提案した人が原曲を引き継ぎ制作をしたり、中には30%の時点で「これを煮詰めても今までと似たパターンになるから」とボツになる楽曲もある。そういう作り方をしたことで、これまで以上に楽曲に面白さや刺激、何よりも新鮮味が出たなと感じています。
――楽曲によって共作クレジットになっているのは、そういう理由もあってのことなんですね。 久我:そうです。早い段階から楽曲を共有しあうことで、自分の中には無かった発想が楽曲の中へ注入されていく。きっとそれは、80%の段階でデモ音源をもらっていたら生まれなかったことだったと思う。
進藤:おかげで、各メンバーの中から制作していくうえでのマンネリは無くなりました。
――けっこうボツにした楽曲も多かったのでしょうか? 進藤:今回の作品を作るに当たって、全部で40曲近いデモ音源を作りました。
久我:ワンコーラスだけも含めてね。
小林:ただ、そのくらいでも分かるんですよ、これは化けるか化けないかというのが。
新井:前の楽曲との類似性もすぐに伝わるからね。
進藤:そこなんです。「この曲を煮詰めても、この間のアルバムに入っていたあの曲のようになってしまいそうだからやめておこう」と、すぐに判断していける。
久我:それでボツになった楽曲もけっこう多かった。
進藤:そうだね。「これどう思う?」と出したら、他のメンバーから「なし!」と即答されることもけっこうありました。
――それ、作った本人はショック大きくないですか? 新井:たまーにね。
久我:だけどそれも、『発明』というメンバー全員が納得のいくアルバムを作るためですから。誰かが興味のない楽曲を入れても良い作品にはならない。みんなが制作に燃えていく楽曲ほど面白い変化や進化を遂げていくわけですからね。
進藤:中には、逆のケースもありましたけどね。
――逆のケースですか? 進藤:「これはどうなんだろう? 一応出してみよう」と提示した楽曲に対して、他のメンバーが「これはいい!」と言い出し、「自分が持ち帰って形にする」とアレンジを任せ、結果収録した楽曲もいくつかありました。
久我:『この密室よりくちづけを』と『追憶』が、そう。
進藤:私としては、今回のテーマ的に『追憶』はないと思っていたところ、久我くんが……。
久我:これは絶対にいける、このアルバムに合う。そう思い、完成させました。結果、異国な情緒感を持った『追憶』が出来上がりました。
「LIPHLICHが一番最初に作り上げたアルバムの匂いを、この『発明』には感じてる」
――完成した『発明』というアルバム、それぞれどんな作品になったのか、その手応えや想いを聞かせてください。 久我:4人で作り上げた感覚を強く覚えています。ミックスも細かいように、その音質にも耳を済ませて欲しくて、今までの音源よりも尖った音に仕上げています。楽曲によっては7弦ギターを用いたんですけど、7弦ギターを使うと普通のヘヴィネスになってしまうので、あえてローを削り攻撃的な音に変えたりなど、音質面でもいろんな挑戦を詰め込んだアルバムになりました。
新井:今まで以上に各メンバーがアイデアを挟んでは個々の個性を発揮した作品になりました。それくらい、各自のフィルターを通したアルバムが、『発明』です。あまり好きじゃなかった7弦ギターをあえて使用し、LIPHLICHの楽曲へすごくいいエッセンスを与えられたのも個人的には大きな発見。ギタリストとして一つ自分の殻を破って新しい境地へと進めたアルバムにもなりました。
小林:個人的には、LIPHLICHが一番最初に作り上げたアルバム(自主製作盤「SOMETHING WICKED COMES HERE AGAINST YOU」)の匂いをこの『発明』には感じてる。各自が躍起になって新しい発明を模索しながら作った作品が、初期の香りをまとったアルバムになっていた。それって、LIPHLICHは最初からとんでもない“発明”をしていたってこと。そう思ったら、これからのLIPHLICHがますます面白くなってきました。これからのLIPHLICHの伸びしろはハンパない。そこにも期待したくなる作品に『発明』はなりました。
久我:1枚目のアルバムは完全に自主制作で、しかもライヴ活動を始める前に作ったものなんです。その頃はライヴで楽曲がどういう役割を担っているかなど何も想像出来なかった状態で、本当に好き勝手というか、初期衝動に身を任せるままに作りました。今でも、その作品が好きと言ってくれる人たちも多いので、そのときの感覚と『発明』には近いものがあるのかも知れないですね。
小林:あの時も、今回も感性の赴くままに発明してたってことなんでしょうね。
進藤:先にベーシスト的なところで言うと、攻撃的な音質を求めたいことから、今回はベースを弾いた11曲中6曲をピックで弾きました。それが私にとって初の試みであり、ベーシストとしての発明になったのかな。バンド的に見た場合は、今までとは違い1曲1曲にメンバーのアイデアが詰まった楽曲たちばかりが並んでいる。それこそが、何よりもの発明だったなと思っています。まさか、彼(小林孝聡)が歌うとは……。気がついたら『三原色ダダ』でツインヴォーカルまでやっていました。
――個人的に,久我さんの書く歌詞も好きなんです。『二人の事件』など、ラテン/スパニッシュな音楽の香りも含め、とても上質な物語楽曲だなと感じました。 久我:渇ききったカップルの歌ね(笑)。
進藤:倦怠期なカップルの……。
久我:あの曲は、『アイズ・ワイド・シャット』という大好きな映画のテーマ曲を自分なりに作った感覚なんです。
――『ロボトミー』もそうですか? 久我:『シャッター・アイランド』というロボトミーをテーマにした映画を見た影響が、無意識の中に出てきたのかもしれないですね。
「まずは地元のライヴハウスをソールドアウトさせたい」
――アルバム『発明』に収録した曲たちが、これから始まる全国ツアーを通しどんな表情として眼前に映し出されるのかとても楽しみになってきました。 新井:今回の全国ツアーは、LIPHLICH史上最も長い規模になります。LIPHLICHの場合、ライヴを通した刺激から楽曲をアレンジしていくことも多いので、ライヴを重ねるごとに『発明』に収録した曲たちがどんな風に進化したり、舞台上の演出に反映されてゆくのか!? そこは僕たちも楽しみにしています。
――今回のツアー中には、新井さん小林さん久我さんのバースデーライヴも用意しています。 小林:バースデーライヴは、各自の色が投影されますからね。渉さんだったら女装イベント、新井さんはヤンキー集会風など、今回もそれぞれのバースデーにどんな演出が施されるのかを楽しみにしていて欲しい。個人的には、11月25日の誕生日当日に生まれ故郷の三重県は四日市にあるCLUB CHAOSでやれるのが楽しみなんです。というのも、地元にいる頃はこの箱でライヴ活動をしていたし、上京する前の最後のライヴもここでやったんです。そこへワンマンとして凱旋公演が出来る。この日はドラム以外の楽器も披露する予定なので、地元のライヴハウスをソールドアウトさせたいですね。
久我:ファイナルはホール公演という形を取りますが、ホールならではの演出も施されるので、どんな風に映えたステージングになるのかも楽しみですね。『発明』というアルバムは、聞けば聞くほどに発見を覚える作品なので、そんな一番の自信作を持って全国各地をまわります。まだLIPHLICHに触れたことのない方々も、是非この機会に触れてほしいですね。




COMMENT MOVIE

RELEASE

NEW ALBUM「発明」
2016.10.19 Release!!
【TypeA】
CD+DVD
MSLP-039 / ¥3,240(税込)
[CD]
01. 発明家A
02. Give me Chill me Killing me
03. メランコリー
04. この密室よりくちづけを
05. 二人の事件
06. SLAP TEA TIME
07. 追憶
08. ロボトミー
09. アナグラムシティ
10. 三原色ダダ
11. 星
12. 星の歯車

[DVD]
発明家A MUSIC VIDEO


【TypeB】
CD
MSLP-040 / ¥2,700(税込)
[CD]
※収録曲はTypeAと同じとなります。

LIVE INFORMATION

LIPHLICH ONE MAN TOUR 2016『発明』

10.23(日) 東京club asia
10.29(土) 京都MUSE
10.30(日) 梅田Shangri-La
11.01(火) 南堀江knave ※Acoustic公演
11.02(水) 名古屋HeartLand ※Acoustic公演
11.03(木祝) 名古屋ell.FITS ALL
11.05(土) 新横浜 NEW SIDE BEACH!!
11.06(日) HEAVEN'S ROCK さいたま新都心
11.09(水) 水戸LIGHT HOUSE
11.12(土) 柏Thumb Up
11.13(日) HEAVEN'S ROCK 宇都宮
11.16(水) 札幌COLONY
11.17(木) 札幌COLONY
11.19(土) 仙台HooK
11.20(日) 郡山 CLUB #9
11.22(火) 前橋 DYVER
11.23(水祝) 高崎clubFLEEZ ※新井崇之Birthday
11.25(金) 三重CLUB CHAOS ※小林孝聡Birthday
11.27(日) 神戸VARIT.
11.28(月) 姫路Beta
11.30(水) 高松TOONICE
12.01(木) 岡山PEPPER LAND
12.03(土) 広島Cave-Be
12.04(日) 福岡DRUM SON

Tour Final
12.10(土) 東京 日本橋三井ホール
※劇場公演/久我新悟Birthday

After Show

12.17(土)沖縄output ※Acoustic公演
12.18(日)沖縄output ※Acoustic公演

LIPHLICH Xmas Eve Show 2016 ~聖歌が街にやってくる~

12.24(土)東京ドームシティ ラクーアガーデンステージ

えんそく/LIPHLICHカップリングツアー『This is a 大計画』

01.19(木)福岡DRUM SON
01.21(土)OSAKA MUSE
01.22(日)三重M'AXA
01.27(金)松本Alecx
01.28(土)HOLIDAY NEXT NAGOYA
01.29(日)山梨KAZOO HALL
02.10(金)川崎Serbian Night
02.12(日)仙台HooK
02.17(金)高崎CLUB FLEEZ
02.18(土)渋谷Star lounge


11.07(月)高田馬場AREA
12.25(日)横浜O-SITE
01.07(土)TSUTAYA O-WEST

LIPHLICH PROFILE


  • Vocal:
    久我新悟
    Birth:
    12.10
    Blood:
    -

  • Guitar:
    新井崇之
    Birth:
    11.23
    Blood:
    -

  • Bass:
    進藤渉
    Birth:
    08.02
    Blood:
    -

  • Drums:
    小林孝聡
    Birth:
    11.25
    Blood:
    -



DISCOGRAPHY

アーティストタグ

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