FEATURE

lynch. 「AVANTGARDE」

2016.09.20
ジャンルを超越した魅力、ロックの衝動性がストレートに伝わってくるニューアルバム『AVANTGARDE』をリリースしたばかりのlynch.。
自分たちで自分たちのジャンルを限定したくないという信条を貫き通し、ヴィジュアル系と呼ばれてもラウド系と呼ばれてもノープロブレム。
気づいたら、どこにも属していないバンドになっていたというlynch.の凜としたカッコよさがフィルターを通さずに反映されたのが今作と言っていいだろう。
アルバムを紐解くと共にlynch.というバンドの核心を5人に聞いた。


取材・文:山本 弘子
「今までの流れを汲みつつストレートなアルバムになった」(玲央)

――アルバム『AVANTGARDE』は衝動的で鋭角的、激しさもありつつ美しいメロディーの曲が収録されていて、色気のあるロックアルバムだと感じました。制作に入る前にみなさんで共有した部分はありましたか? 玲央:葉月からは「次はパンキッシュでストレートな感じですかね?」ってふわっとした感じで言われていたので、出来てきた楽曲を各自フレーズを考えてまとめていったんですけど、結果、単純なパンクアルバムかと言ったらそうでもないですね。みんなの要素が合わさってlynch.として形になった結果、今までの流れを汲みつつストレートなアルバムになったんじゃないかと認識しています。自ずとそうなったというか。
――パンキッシュな方向に持っていきたいと思ったのはなぜですか? 葉月:近年の激しい音楽と言われるラウド系は考え抜かれた激しさがあるというか、衝動的なものが少なくなっている気がしたんです。それで極力、難しいメタルっぽいリフは避けて勢いを重視しようというとことから、パンク、ハードコアというイメージがあったんですけど、実際、作り始めてみるとそういう曲ばかりではなく、例えば「PLEDGE」という曲には思いきりシンセが入っていますし、あくまで自分の中のヒントとしてのパンキッシュですね。

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――実際、いろいろな要素がありますね。ラウドでもありパンク、ハードコアでもあり、ロマンティックでもある。ライヴと直結する曲も多いですが。 葉月:ライヴは意識しました。より楽しめるようコール&レスポンスの部分も多く取り入れて、お客さんが参加できる曲が非常に多いと思います。
――では、完成した『AVANTGARDE』を各自、どう捉えていますか? 晁直:ドラムのアプローチもパンク、ハードコアの要素を取り入れた曲ばかりではないですね。楽器の絡みはみんなで緻密に考えながらやっていくので、そういう点はいつも通りです。
――激しくて且つ緻密なバンドアンサンブルという点では変わっていない? 晁直:変わっていないと思います。前回のアルバム『D.A.R.K.-In the name of evil-』がとげとげしい印象だったのに対して今回は激しさがありつつ、より聴きやすい仕上がりになっていると思うし、そういう点で非常に満足しています。歌が聴きやすいアレンジというのも以前から変わっていないところです。
玲央:よりストレートなアルバムを作ったらどうだろうというところからスタートして、結果、僕らの色をちゃんと出せたと思います。lynch.はローチューニングのバンドなので音は自ずと重くなっていくんですが、重さ=鈍さではなく、勢いと重さを両立できたことによって曲が激しく速く飛んでいくような感覚がある。その音に乗っかる言葉もみんなにすごく届くんじゃないかと思っていますね。今まで試していなかったアプローチができた。
――激しいけどソリッドですよね。物理的にテンポが速いという意味ではないスピード感があります。 玲央:まさにそうですね。新たな形のローチューニングでのアプローチがパンキッシュに通じていると思います。
――アルバムの中で玲央さんがアヴァンギャルドだと思う曲を挙げるなら? 玲央:一般的な意味での“前衛音楽”ではなく、今までの僕たちの中で前衛的、革新的という意味ですけど、アルバムの中ではサウンド的な部分でいうと「DAMNED」が際立ってるかなと。さっき葉月も言っていたように最近のラウド系のバンドとは一線を画す音の構築の仕方をしている曲であり、シンプルでソリッドで勢いがあってストレートという意味で、アヴァンギャルドを象徴している楽曲だと思います。
「どんなバンドとも本気で戦えるアルバム」(明徳)
明徳:まず全体としてはアルバムが完成して、真っ先にライヴをやりたいと思ったし、lynch.が好きな人にはもちろん、いろんな人に聴いてほしいと思いましたね。核にはlynch.サウンドがありつつ、いろいろな要素が入っているので、どんなバンドとも本気で戦えるアルバムができたと思ったし、さらにいろいろなジャンルの人たちとライヴで共演したいという気持ちになりました。アヴァンギャルドだと思う曲は全てですけど、あえて挙げるなら「KILLING CULT」ですね。僕らがいちばんロックに影響を受けた1990年代後半〜2000年初頭の雰囲気がある曲なんですけど、得意でありながらやっていなかったことを今のlynch.の技術とサウンドでやったら面白いかなって。今の若い人たちにとっては斬新に響く曲なんじゃないかと思います。
晁直:僕も同感ですね。グランジとかそういう要素を汲んだ曲はあまりなかったからlynch.としても新しいと思うし。
――葉月さんはどんなことを感じていますか? 葉月:最近(取材時)、「F.A.K.E.」のミュージックビデオが解禁されたんですけど、Twitterで今までにないぐらい誉められてるんですよ(笑)。「最高です!」みたいな声がすごく多いので「ひょっとしてlynch.売れるのか?」って心配してます。
――(笑)心配しなくてもいいと思いますが。 葉月:(笑)もちろん嬉しいんですけどね。 「ライヴに行きたいっていう声が多くて『でしょ?』って」(葉月)
――映像への反応が大きいんですか? それとも楽曲? 葉月:曲への反応が多いですね。間奏で思いきり転調してヘヴィーになるんですけど、僕としては「F.A.K.E.」のそこを聴いてほしかったんですよ。「ライヴ行ってみたいです」とか「早くツアーに行きたい」って声が多くて「でしょ?」っていう。
――「F.A.K.E.」はlynch.のことを歌った楽曲なんですよね?“毒の華”だったり、“孤毒の歌”というフレーズも自分を指している?
葉月:そうです。“みやびな FAKE”という言葉もそうですし、全て自分のことを指しています。ただ歌詞に関してはこれを伝えたいから、こう聴いてくれっていう気持ちはないんですね。聴いた人それぞれの景色を思い浮かべてほしいと思っているので。
――想像にまかせたいというか。 葉月:そうですね。アルバムの中では「EVIDENCE」がいちばん直接的な歌詞ですかね。最近、バンドの解散や活動休止が多いので、それを受けて書きました。タイトルは“証拠”という意味なんですが、好きなバンドがなくなって、大切な人を失ってその穴が埋められなくても、それでいいんじゃないかって。その嘆きも共に時間を過ごした証なので、穴は開けっぱなしでいいんじゃないですか? って伝えたかった。
――“忘れられないまま 生きてきゃいいだろう”と歌ってますもんね。 葉月:はい。ここ最近すごく感じていたことを書きました。“泣いてたキミ奪いたい”という言葉が東名阪の無料ライヴにも繋がっているんです。バンドが解散したことを機にライヴを見ていた人たちがシーンからいなくなっていくのは寂しいので、「いっぺんlynch.見てもらっていいですか?」っていう強い想いもありましたね。
――lynch.はやり続けるという意思表明の曲でもありますもんね。悠介さんは『AVANTGARDE』をどう感じていますか? 悠介:前作をリリースしてツアーを廻る中でバンドに勢いや力がついたのを感じたし、波に乗れたなという想いがあったんですけど、そこで得たものが今回のアルバムには詰め込まれていると思うし、僕ら自身をさらに加速させてくれるんじゃないかと期待しています。さっき明徳も言っていましたけど、いろいろな場所で戦える強い武器を手に入れられた感覚もあるので、lynch.がスゴイことになってほしいなという願望もあります。そういう作品が作れたという自信もありますね。
――アヴァンギャルドだと個人的に思う楽曲は? 悠介:「UNELMA」の歌詞ですね。季節を色濃く感じるという意味でもそうですし、lynch.をやっていて“夏模様”や“向日葵”という言葉が聞けるとは思わなかったので新しい方向に振り切ったなと。そういう意味で革新的だと思いますし、聴いてくれる人に響くと思います。
――ちなみに悠介さんが書いた曲「PHANTOM」や「FAREWELL」はメロディアスで美しい曲ですが、意識してしっとりとした曲を書いてるんですか? 悠介:このバンドで激しい曲を作っても葉月くんには絶対に勝てないので、そこで無理に競おうとは思っていないのと、ふだん自分が聴いているのがわりとしっとりした音楽が多いので、自然とそういう方向性になるんですね。「PHANTOM」に関しては僕のバックボーンはUKロックなんですが、あえてアメリカンハードロック的なズッシリとした感じの曲にしてみたんです。「UNELMA」の仮タイトルが「AMERICA」だったこともあって、そっちの方向に持っていってみようかなというのもあったし、今までは探り探り曲を作っていたんですが、経験を積んでやっと僕が作った曲がlynch.に馴染んできたなという感覚があります。
「カッコいいと思ったら、どんな人たちともやりたい」(玲央)
――ちなみに『AVANTGARDE』を作ってみて改めてlynch.の特性について考えたことはありますか? ラウドシーン、ヴィジュアルシーンと守備範囲が広いバンドでもありますよね。 葉月:よりどこにも属せなくなりましたね。「lynch.って何系なんですか?」ってよく聞かれるんですよ。「決めなきゃいけないのかな」って気にもなってきて、誰かに決めてほしいです(笑)。
玲央:自分たちで“こうです”って名乗っちゃうと、まわりはそういう目で見るじゃないですか。それによって活動とか制作も制限されるというか、自分たちで暗示にかかっちゃう気がするんですよね。例えば「lynch.はハードロックバンドです」って仮に言ったとしたら面白いことをやっても「それハードロックじゃありませんよね」って言われるじゃないですか。だから言わないんです。いろいろなことがやりたいから。イベントでも共演相手を選ぶようになるだろうし、選ばれるようにもなるだろうし。カッコいいと思ったらどんな人たちでも一緒にやりたいというスタンスは結成当初から変わらないので。
――そこは一貫してるんですね。 玲央:だからまわりの方から「ヴィジュアル系ですね」って言われたら「そうかもしれないですね」って言うし、「ラウド系ですね」って言われたら「そうかもしれないですね」って。「J-POPですね」って言われたら「歌入ってるしな」みたいな(笑)。こうしてViSULOGさんに声をかけていただくと「まだヴィジュアル系として認識していただいてるんだ」と思うし、1人でも多くの人の目に触れ、耳に触れる環境があるに超したことはないんです。限定しないのがこだわりかもしれないです。
――それにしてもヴィジュアル系の雑誌からROCKIN’ ON JAPANのような雑誌まで出るって簡単なことじゃないと思うんですけどね。特に日本のシーンはジャンルで限定する傾向があるので。 玲央:カテゴライズしたほうがパッケージしやすいですもんね。ただ、僕らの場合、自ずと環境が今のようになっていったという面はあります。結成当初から変わらないスタンスだったから、時間はかかったけど、みなさんに理解してもらって広まって浸透していったのかなと。だから、今はフットワークが軽くなったし、活動の幅も広がりましたね。
「歌モノが映える会場が多いから楽しみでもあり試されるツアー」(葉月)
――そういう想いが根底にあっての完全無料東名阪ライヴなんですね。 玲央:そうですね。とにかく、いろいろな人に見てもらいたい。ちょっと興味があって見てみたいという人にとってはチケットの料金って安いものではないと思うんですよ。無料ライヴはメジャーのシーンで5年やらせてもらって「支えてくれてありがとう」という感謝の気持ちとより多くの人に見てもらいたいという気持ちです。このインタビューを読んで「こんなバンドがいるんだ」と思った人はぜひ豊洲PITに見に来ていただけたら。
――この記事がアップされるタイミングでは最後の1本を残すのみとなってしまいますが、無料ライヴを踏まえて10月16日からスタートするツアー「THE NITE OF AVANTGARDE」に向けてぜひ意気込みを。 悠介:ライヴを意識して作ったアルバムのツアーで、『AVANTGARDE』を聴いてもらえたら声を出す部分やノリ方が伝わると思うので、自分たちも反応を期待して各地を廻りたいですね。内容的にも満足してもらえる自信があるので一緒に同じ時間を共有して楽しい空間を作っていきたいです。
葉月:激しい曲はいつもの感じだと思うんですが、今回のツアーはスタンディングの会場が広いので、「PLEDGE」や「UNELMA」のような歌モノが映えるんじゃないかと思います。個人的にもそこが楽しみだし、歌唱力が試されると思うので今からカラオケで練習しようかなと(笑)。
――そういう意味でも挑戦ですね。 葉月:ヴォーカリスト的にはめちゃめちゃチャレンジ。今回、キーが高めなので歌が難しいんですよ。
明徳:今、歌は難しいって言ってましたけど、曲はストレートだったり衝動的だったりするので、自然と楽しめるツアーなんじゃないかと。新しさもありつつ、自分たちが得意としているフレーズであり、ノリなので僕らも考え込まずにやれば一発でいい空気が出せるんじゃないかと。
――スラップのベースソロが盛り込まれている曲もあるし。 明徳:そうですね。そこは難しいです(笑)。
玲央:葉月が言ったように歌モノが映える会場でありつつ、小さめのライヴハウスでやっている時のような熱量をどれだけ出せるかが僕たちにとってのチャレンジでもあり、メリハリのついた完成したステージにする使命感とワクワク感が混ざりあっていますね。セットリストも『AVANTGARDE』を中心に今まで作ってきたコンセプチュアルな楽曲も演奏するので。
――暴れられるし、叫べるし、一緒に歌えるし? 玲央:ゆっくり見たい人は後ろで見てもらっても、それはそれでいい景色が見せられると思います。
晁直:ハコが大きいので今まで見せられなかったlynch.を見せられると思うし、とにかく無料ライヴでいろいろな人に見てほしいですね。
――無料ライヴでlynch.の洗礼を受けて、ツアーに足を運んで――。 玲央:そういうことです。


RELEASE

New Album「AVANTGARDE」
2016.9.14 Release!!
【初回限定盤】
CD+DVD
KICS-93415 / ¥3,333(税別)
[CD]
01.AVANT GARDE
02.EVIDENCE
03.PLEDGE
04.F.A.K.E.
05.DAMNED
06.UNELMA
07.PHANTOM
08.KILLING CULT
09.PRAYER
10.NEEDLEZ
11.THE OUTRAGE SEXUALITY
12.FAREWELL

[DVD]
「F.A.K.E.」Music Video収録

[封入]
スペシャルパッケージ仕様・スペシャルイベント応募ハガキ封入

【通常盤】
CD
KICS-3415/ ¥2,778(税別)
[CD]
01.AVANT GARDE
02.EVIDENCE
03.PLEDGE
04.F.A.K.E.
05.DAMNED
06.UNELMA
07.PHANTOM
08.KILLING CULT
09.PRAYER
10.NEEDLEZ
11.THE OUTRAGE SEXUALITY
12.FAREWELL

[封入]
初回プレス分のみスペシャルイベント応募ハガキ封入

LIVE INFORMATION

MAJOR DEBUT 5TH ANNIVERSARY 「THE RECKLESS MANEUVER」 -完全無料東名阪-

09.20(火) 豊洲PIT

TOUR'16「THE NITES OF AVANTGARDE」

10.16(日)新潟 LOTS
10.20(木)梅田 CLUB QUATTRO
10.22(土)鹿児島 CAPARVO HALL
10.23(日)福岡 DRUM LOGOS
10.26(水)京都 MUSE ※SOLD OUT
10.29(土)高松 MONSTER
10.30(日)広島 CLUB QUATTRO
11.03(木・祝)浜松 窓枠 ※SOLD OUT
11.04(金)横浜 Bay HALL
11.08(火)札幌 PENNY LANE 24
11.09(水)札幌 PENNY LANE 24
11.12(土)仙台 Rensa
11.15(火)渋谷 CLUB QUATTRO ※SOLD OUT
11.17(木)名古屋 CLUB QUATTRO ※SOLD OUT

葉月単独公演「奏艶」

12.11(日) 品川INTERCITY

SHADOWS ONLY12th Anniversary Premium Live「THE IDEAL」

12.30(金) 名古屋BOTTOM LINE

Countdown Live「2016-2017」

12.31(土) 名古屋BOTTOM LINE


10.02(日)名古屋BOTTOM LINE
10.08(土)TSUTAYA O-EAST ※SOLD OUT
10.10(月・祝)新木場STUDIO COAST
10.14(金)幕張メッセ
11.25(金)Zepp Tokyo
11.26(土)Zepp Tokyo

lynch PROFILE


  • Vo:葉月
    Birth:04.29
    Blood:A

  • Gu:玲央
    Birth:11.03
    Blood:a

  • Gu:悠介
    Birth:05.10
    Blood:?

  • Ba:明徳
    Birth:11.17
    Blood:O

  • Dr:晁直
    Birth:07.12
    Blood:A



DISCOGRAPHY

アーティストタグ

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