INTERVIEW
Special
Dear Lovingの約2年ぶりのオリジナルアルバム『DOOR』のテーマは“心のドアを開いて愛を持って生きる”。クォリティの高い楽曲、メロディメーカーとしての才能に定評のある彼らだが、ロックに照準を当てて制作された本作は、愛や夢という、ともすれば使い古された言葉に輝きと深みを与える楽曲が素晴らしい。
結成23年目の彼らが今なお音楽の力を信じ、生きることにまっすぐに向き合っているからこそ、生まれた名盤である。
メッセージが伝わるメロディをとことん突き詰める完璧主義者のMASA(Vo)、ロックキッズ魂を持ち続けるYUKI(G)、スーパーポジティブなKURO(B)。バンドが続いてきた秘密がインタビューから自ずと伝わってきた。

取材・文:山本弘子
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「今が最高だとつねに胸を張れることが自分たちの信条」(MASA)
Dear Loving
――ニューアルバム『DOOR』は夢や愛の定義について歌っている1曲目の「Dreamer」から包容力があるメロディと歌詞でグッときました。結成23年目を迎えたDear Lovingですが、今回のアルバムはどんなモチベーションから生まれたんでしょうか?
MASA:僕ら、23年目とは言ってもやりたいことをただ続けてきただけなんですけど、1個だけルールを決めていて、今の自分たちがいちばんいいと思えるなら続けようという考えで今に至っているんです。前回の作品を超えられなかった時が自分らが終わる時。今が最高だとファンの人に対してつねに胸を張れることがテーマなんですね。今回は前回の作品が良かっただけに最初は焦りながら作ってました。「やばいな」って。
――今まで続けてきて、そういう局面もありましたか?
MASA:いつも核となる楽曲、その時の僕たちの代表曲ありきでアルバムの制作に入るんですけど、今回はそういう曲がない状態だったんですよ。
YUKI:まっさらだった(笑)。
――かなり追い込まれた中、制作に突入したんですね。
MASA:はい。完成した今となっては「次がやばいな」って(笑)。
――こんなアルバムを作ろうという話も3人でしなかったんですか?
YUKI:ざっくりとはありましたよ。「ロックに行こうぜ」って。
MASA:レーベルプロデューサーも含めて、「ロックアルバムを作ろう」っていう決め事だけはあったんですよ。それがイヤでね。
――(笑)なんでですか?
YUKI:うちのMASAくんは歌謡曲を聴いて育っているので弦楽器の僕らとは畑が違うんですよ。
KURO:うるさい曲って言いますから(笑)。
YUKI:ロックボーカリストなのにギターが歪んでたらうるさいって(笑)。そんなMASAくんが必死に作りました。
――アルバムの中に収録されている「for dear」という曲はDear Lovingのベスト盤にも入っていますよね。
MASA:ベストに唯一、収録されていた新曲で制作時の最新曲だったので入れたんです。この曲ができたことによってちょっとだけ未来が見えて「アルバム作ろうか」っていうことになったので、引き金になった曲です。
――MASAさんがメンバーに宛てて書いた曲なんですよね?
MASA:そうですね。
YUKI:そうなの?
MASA:僕、そういうことはメンバーに言わないので。
YUKI:マジで?ごめん(笑)。
――めっちゃ愛のあるメッセージの曲ですもんね。
MASA:だから表記も“君”と“キミ”にしてるんですよ。
KURO:今知る事実です。
YUKI:もう1回ちゃんと歌詞見とこう(笑)。
MASA:僕は今、バラされてすごく恥ずかしいです(笑)。「for dear」というタイトルは10年ぐらい前に思いついたものなんですけどもバンドが解散することが決まった時に最後の曲に付けようと思ってとっておいたんです。今回はさっき話したように制作に入る時期が自分的にはとても苦しかったのであえてこのタイトルをつけたっていう。もう何百曲も書いてきているから、「この曲を最後に俺は曲を書けなくなるかもしれない」と思ったりするんですよ。今(取材時)もマスタリングが終わったばかりなので、「もう書けないだろうな」と思ってます。
YUKI:カラッカラですよ(笑)。
MASA:つねに新しい曲がいいかどうかに賭けているんですよ。自分が書いた曲に自分が震えられるかどうか。そこに2人が震えるギター、震えるベースを弾いてくれるかどうかなので。
――今の話は「Dreamer」の歌詞の内容に近いですね。永遠に愛が続くことなんてないけれど、今一緒にいることを大事にしていくことを繰り返していけばきっと続いていくっていう。
MASA:だって、明日のことぐらいしか約束できませんからね。僕たちは毎年、七夕にワンマンライヴをやっているんですけど、ファンの人に「また来年も行きます」って言われたらすごく嬉しい。と同時に心のどこかで「来年のことはわからないよ」って思うんです。そのために超えないといけないものがたくさんあるからなんですけど、バンドってみんな、そうだと思うんですよ。恋愛に置き換えても「ずっと一緒にいよう」なんて言えないですからね。明日も一緒にいたいという気持ちが重なって、結局10年一緒にいたねっていうことはあると思いますけど。
――でも、その緊張感をキープして続いてきたのはスゴイことですね。痛快なロックチューン「Fighting Road ~1㎜にも満たない小さな、それでいて大きな一歩〜」では“あと何回歌えるのだろう? あと何回君に会えるだろう?”と歌う曲でDear Lovingのことを歌ったのかなと思いました。
MASA:まさにそういう曲ですね。今回のアルバムでは自分の思想や葛藤、迷いも全部、歌詞にしているんです。何年かたって聴いたら、きっと今の自分を抱きしめたくなるんやろうなって。
――ということはいつも以上に生々しい気持ちを曲や歌詞に落とし込んだ?
MASA:そうですね。「Fighting Road〜」にしてもそうですが「これは一生、自分が歌う曲だ」と思えるものを毎回ギリギリまで追い込んで書いてますね。
――では、各自、完成したアルバム『DOOR』についての手応えと特にプッシュしたい曲について教えてください。
YUKI:今回、曲を完成させていく中、メンバーの中の共通のテーマとして、カッコいいフレーズや良いメロディを思いついても、その1つ先を行こうというのがあったんです。自分が思う向こう側を探っていく作業というか。だから、リフひとつとってもジャッジのハードルが高くて、考えてもなかなかMASAくんがOK出さないから、いつも舌打ちしてて(笑)。
――(笑)1曲に何パターンものギターリフを考えるんですか?
YUKI:考えますね。サウンドのアプローチにしても「まだあるんじゃないか」って模索して。僕、頑張りました。自分で自分を抱きしめたいです(笑)。
――みんな自分を抱きしめたいんですね(笑)。ハグしあうんじゃなくて?
YUKI:それは気持ち悪いです(笑)。押し曲というか、自分がいちばんタイプの曲は自分が曲を手がけた「運命のコンシェルジュ」ですね。
――ハードロックテイストのナンバーですね。
YUKI:そうですね。すごく気持ちいい曲になりました。確か映画音楽にインスピレーションを受けてギター持ってワーッて作った曲だと思います。
MASA:イントロとAメロを持ってきてくれたんですよ。自分がサビを作って合わせていった感じですね。歌詞もさっきYUKIくんが言ってたみたいにギリギリまで向こう側を探していって書きました。“コンシェルジュ”って“管理人”っていう意味があるんですけど、誰もが自分の運命を管理できるし、道標は自分の中にあるから、どこにでも行けるんだって想いを込めて書きました。
「自分の中の閉じていた部分を開いた曲が『Door』」(MASA)
Dear Loving
――Dear Lovingはメッセージや歌メロを大事にしつつも、サウンドも主張していてお互いに活かしあっているところがいいですよね。
YUKI:ありがとうございます。
MASA:僕の押し曲は「Door」ですね。それでいてアルバムの最後の曲が「愛してるを叫ぼう」で終わっているのが好きなところです。自分と戦って理想に向かって進むけど、最終的に愛を叫ぶところが気に入ってます。
――「Door」はさまざまな年齢、さまざまなシチュエーションの人に刺さってくる切ないバラードですよね。
MASA:あの、僕、対人恐怖症なんですよ。
――子供の頃からですか?
MASA:20代前半ぐらいからですかね。それまではゴリゴリのジャイアンみたいだったんですけど(笑)、ありのままの自分でいられなくなったからなのか大人になるにつれて人が苦手になっていったんですよ。この曲では自分の中のデリケートな部分について書いています。ファンも人づきあいが苦手だったり、自分が思うことをうまく伝えられなかったりする人が多くて、だから自分の書く歌詞に共鳴してくれるんじゃないかと思うんですけど、今回はそういう不器用な自分の内面を隠さずに書こうと思ったんです。人としゃべっても言葉の裏を読んでしまったりするので、何も考えずに人の懐にスッと入って仲良くなれる人がうらやましいんですよね。
YUKI:俺のことな(笑)。
MASA:そう。自分のいろんな壁をなくして、なりたい自分になりたいと思っている心境を描いた曲ですね。メンヘラソングみたいなのを狙って書いたわけではなく、普通に感じていることを綴っただけなんですけどね。
――“自分のことさえも愛せないのに”というフレーズが出てきますが「Door」に限らず、自分を愛するということの大切さがアルバムのところどころで描かれていますよね。
MASA:難しいことだけど、それが大切なんだろうなって。心のドアを開いて愛を持って生きることがアルバムを通してのテーマです。
――だからアルバム自体のタイトルが『DOOR』なんですね。
MASA:そうです。ずっと閉じていたところを1つ開いた曲が「Door」です。
――じゃあ、2人も「Door」の歌詞には驚きました?
YUKI:全然(笑)。
KURO:ははははは。
YUKI:彼は闇深い人間なので。
KURO:僕は基本、広く開いているタイプなんですよ。
MASA:スーパーポジティブですからね。
KURO:だから伸び伸び。扉は全開です。
YUKI:オマエは扉自体がどこにあるかわからない(笑)。
――ははは。「Door」はアンプラグド・ヴァージョンも収録されていますね。
MASA:魂の一発録りです、
YUKI:その時限りの温度感がいいね。
――ではKUROさんはどうでしょうか?
KURO:僕はもともとハード系のロックが好きなので、特にアップテンポの曲ではレコーディング中もテンション上がって、ライヴを想定して演奏していました。前から外国人になりたいという願望があるんですよ。
YUKI:ははははは。
――外国人ってどこの国の人になりたいんですか?
KURO:欧米人とか(笑)。
YUKI:ざっくりしてるな。
KURO:向こうの人って音楽にしろ遊びにしろ大胆で振り幅がデカいじゃないですか。そういうところに憧れているんですね。なのでYUKIくんはスラッとしていますが、隣でイカついギタリストが弾いているつもりで全力で魂込めてベースを弾いています。押し曲は「GOLD RUSH」ですね。歪ませたベースで始まる曲なんですけど、海外のロックを聴いていても最近はベース始まりの曲が少ないので、斬新なんじゃないかなと。ライヴで楽しんでほしい曲です。
――歌詞はこんなイメージにしてほしいとかMASAさんに伝えたことはあったんでしょうか?
KURO:歌詞はいつもお任せしているので。
YUKI:イメージがあるわけないです(笑)。
MASA:(笑)ウチのメンバーはいつもリフだけ持ってくるんですよ。
YUKI:「俺のリフを聴け。ここから感じることあるやろ」って(笑)。
MASA:「あとは任せた」って言われるんです。「GOLD RUSH」はタイトルのとおりなんですけど、バンドって一攫千金を狙っているようなものだと思うのでそういうことを書いています。
「2人の考えたリフが曲のドアを開けてくれる」(MASA)
Dear Loving
――なるほど。リフから発展させて形にしていくということですが、2人の趣向性を汲み取った歌詞になっていますね。
MASA:そうですね。曲のドアを開けてくれるのがリフだったりするんですよ。ホントにカッコいいリフ以外は採用しないですけどね(笑)。でも、コイツらはめげないんですよ。前の選曲会で落ちた曲を1年後に平気で持ってきたりして、「相当、この曲、やりたいんだな」って(笑)。
YUKI:そろそろ、曲の魅力に気づくかなって(笑)。
――打たれ強い2人なんですね。
MASA:鋼のハートですね(笑)。
――(笑)ガラスのハートと鋼のハートがDear Loving。
MASA:そうですね。
――アルバムには励まされる曲もあるし、癒される曲もあるし、シェルターみたいな作品だなと思いましたよ。伝えたいことがまっすぐに届いてくる。
MASA:届けたいメッセージがいちばん伝わるメロディをずーっと探していくのが僕の作曲方法なんですよ。言葉がメロディを連れてくるというか。
――わかります。「Dreamer」に“俺ならこう言うよ”という歌詞が出てきますがメロディによっては押し付けがましく響くと思うんですよ。でも、MASAさんのメロディと声で歌われるとグッとくる。アルバムにはそういうマジックが散りばめられています。
MASA:ありがとうございます。それが唯一の自分の才能なんです。
「激しい曲でも歌メロが聴きやすいのが僕たちの醍醐味」(KURO)
――では間近に迫っているワンマンツアーのメッセージをお願いします。
YUKI:自分の限界の先まで突き詰めて頑張りすぎたのでライヴが怖いです(笑)。練習あるのみ。僕、頑張るので確認しに来てください。
KURO:Dear Lovingの醍醐味は激しい曲であっても歌メロが聴きやすいところだと思うので聴いてもらったら純粋にいいと思ってもらえる自信があります。ライヴでは良さが倍増すると思うので、YUKIくんがギターをカッコよく弾けるか、僕がアメリカ人みたいにベースを弾くか見にきてほしいですね(笑)。
MASA:このアルバムは日本のロック史に残ってほしいと思ってるんです。Dear Lovingにとっても20年に1枚の傑作と思えるぐらいの自信があるので聴いてほしいんですよね。僕らヴィジュアルシーンでバンドをやっていた時代があってそこから方向転換してポップスのフィールドに行ったんですけど、もう1度ロックに戻った『DOOR』はどの時代の自分たちも肯定できるアルバムになったと思っているんです。ヴィジュアル系の時代がなかったらここには辿り着いていないし、もっと遡ったら僕、Janne Da Arcさんのローディをしてた時期があるんですけど、そういう先輩がいなかったら辿り着いていないし、ポップスの時代がなければこのサウンド、歌や歌詞には辿り着いていない。自分を嫌いな部分があったり、“こうなりたい”という理想があったり、何かと戦っている人たちが扉を開けるキッカケになる1枚だと思うので、聴いてぜひライヴに来てほしいですね。
RELEASE
NEW ALBUM
「Door」
2016.08.10 Release!!

Dear Loving
CD
PPR-10009
¥3,000(税抜)
[CD]
01. Dreamer
02. I'm here
03. CHANGE!!
04. Door
05. タイトル未定
06. Fighting Rord
07. 手の甲にキス
08. GOLD RUSH
09. SOS
10. タイトル未定
11. 愛してるを叫ぼう
+ボーナストラック
12. Door(バラードVer)
※曲順変更可能性あり

SCHEDULE
Dear Loving TOUR2016『Door』
08.13(土)福岡DRUM SON
08.14(日) 長崎DRUM BE-7
08.20(土)名古屋ハートランド
番外編 YUKIバースデー記念 360度LIVE!
08.22(月)枚方Shing Hall
08.27(土)仙台SPACE ZERO
08.28(日)新潟GOLDEN PIGS BLACK STAGE
TOURファイナル
09.03(土)大阪RUIDO
追加公演
09.09(金)渋谷REX

結成24周年記念LIVE
01.22(日)新宿ReNY


08.07(日)TSUTAYA O-WEST
10.25(火)TSUTAYA O-WEST

PROFILE
Dear Loving

Dear Loving Vo:MASA
Birthday: 04.04
Blood type: A
Dear Loving Gu:YUKI
Birthday: 08.25
Blood type: O
Dear Loving Ba:KURO
Birthday: 07.12
Blood type: AB
オフィシャルサイト

DISCOGRAPHY

アーティストタグ

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