INTERVIEW
Special
始動から約半年、これまで「hypno」「morphe」と映像作品のみをリリースして きたMoreから、待望の1st MINI ALBUM『PARADIGMA』が3月16日にリリースされる。
彼らが次のシーズンに掲げたテーマは“THE CIRCUS OF PARADIGMA” 鍵となる『PARADIGMA』をめぐる緑の道化師たちとあなたの物語がいよいよ始まる。
多忙をきわめるメンバーの中から、今回はLokiとEn'yaに話しを訊くことができた。

取材・文:山本貴也
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「常識というものがひどく閉鎖されたものに感じられた」
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――今作『PARADIGMA』のコンセプトから教えてください。
En'ya:前作が“stray sheep”という目覚めをテーマとしたコンセプトだったんですけど、今作は、「衣装を含めたトータルアートとして表現していきたいよね」って話している中で、メンバーで出たのが“サーカス”というキーワードだったんです。そこから、セカンドシーズンのテーマとして“THE CIRCUS OF PARADIGMA”という主催イベントのタイトルにもなっているテーマをコンセプトに掲げて作っていきました。
――『PARADIGMA』とはどういう意味なんですか?
En'ya:“常識”という意味です。メンバーで話している時に、常識というものがひどく閉鎖されたものに感じられて、“サーカス”のダークサイドと言うか、サーカスの裏側の寂しさやわびしさに繋がる部分があると思ったのと、今の主流と言うか、今の当たり前みたいなものを「ぶち壊したい」っていうところからです。
Loki:その時々の常識。“考え方の枠組み”というか、単純な常識じゃなくて、変動しうるものっていう意味合いです。
――その当たり前というのは音楽的なことなのでしょうか?
Loki:主に音楽的なことであったり、バンド的な部分ですけど、それを含めて、本当に今の時代的なものっていう感覚ですね。
En'ya:M1「syntagma」で使ってる映像はタブレットで出しているんですけど、数年前にこんなに便利なものを普通に持ってることを誰が想像しただろうって。そういう現代社会のことをなぞらえている部分もあるので、我々的には攻めの作品かなと思っています。
――M4「琥珀」の先行配信が始まっていますが、どうしてこの曲を先行配信に?
En'ya:今までがずっと映像作品でやってきたので、今回も映像でいこうっていう考えもあったんです。でも、ファンの声だったり、今作のテーマを考えた時に、ある程度まとまった曲数で表現したかったので、すごく現実的なことを言うと、制作コストを考えるとまとまった曲数が出せないこともあり、まずは分かりやすい部分をピックアップしたかったんです。
――「琥珀」がリード曲というわけではないんですね。
En'ya:そうですね。特にこれがリード曲っていう扱いではないんですけど、導入としてはこの曲が分かりやすいかなって。
Loki:En'yaがどうしてもこれを映像にしたいって言うから……(笑)。
――見所を教えてください。
En'ya:イメージしたのが、「ファンタジックホラー」「モダンオカルト」「メルヘンホラー」だったので、そういうイメージは漠然とあったんです。そこからLokiに歌詞のイメージを聞いて作ってくのも良いかなと思ったんですけど、Lokiが、「歌詞は聴き手が自由に解釈していい」っていう考えが強かったので、それなら自分の解釈で進めていこうと思って作っていきました。主人公は、自分で操ってるようで操られていると言うか、翻弄しているようで実は翻弄されているんじゃないかっていうことをイメージして絵にしていきました。
――歌詞よりも、En'yaさんのイメージが強い作品なんですね。
En'ya:そうですね。スタジオの段階でもイメージの話はしていて、“琥珀”とか“珈琲”とかのキーワードから、“労働珈琲”という珈琲屋さんを作ろうかなとかも考えていたんですけど、衣装がスチームパンクよりの衣装だったりしたので、そんな人達が寂れた喫茶店にいてもおかしいよなとか(笑)。いろいろ考えた中で形にしていったらこうなりました。駆け引きをしているようで、操られているような感じが見受けられたというか、ちょっとゲーム的な方向に持っていって、白雪姫と七人の小人的な遊びも入れています。
Loki:自分が出した作品をどう解釈されるかっていうのは、好きにして欲しいというか、聴き手側にゆだねる姿勢なので、「ああ、こうきたか」「面白いな」って思いましたね。
――この曲はピアノが印象的ですね。
En'ya:やはりピアノを聴かせたいバンドではあるんですよね。ピアノの彼が面白いセンスを持ってるというか、元々、隼くんの原曲の時点で奇想天外で、突飛なところはあるんですけど、そこに欲しい音というか、一番大きく出したいようなフレーズを作ってきてくれるので、すごく刺激にもなるし、「ピアノってサポートなの?」って思われるくらい押し出しちゃってるかもしれないですね。
Loki:たまに物販もやってくれてます(笑)。
――Aメロの優しい雰囲気からサビとのギャップがすごく心地良いです。
En'ya:そうですね。そこの静と動みたいなものは見せたかった。
――歌詞についてはいかがでしょうか。
Loki:昔から曲を作った人間に歌詞を書く前にイメージを聞くんですよ。例えば“雨”とか“夏”とか“冬”とか季節でもなんでもいいから一言くれっていうのをずっとしてきたんですが、隼に関しては、こちらから聞いていなくても「この曲は……」ってたくさんイメージを伝えてくれる。それを完全に無視する場合もあれば、取り入れるときもあるんですが、この曲は隼が、珈琲と天使と悪魔だと言っていたので、そこから膨らませていきました。冒頭のギターカッティングは、隼の中ではきっとカフェをイメージしてたんじゃないかな(笑)。
En'ya:あの小洒落た感じ? だいぶ苦い方にいっちゃってるけどね(笑)。
Loki:“珈琲”って言葉は、今まで使ったことなかったんですけど、インパクトが強かったので、これを無視して書くのはなんだか負けたような気がして嫌だなって(笑)。そこまで言うなら「やってやるよ」っていうことで書いた部分もありました。
En'ya:だから「琥珀」になったんだよね。
Loki:「珈琲」って直接的な言葉を書くのが嫌だったから(笑)。ちょっとひねくれてるんです。
「全曲でテーマが共通してるってことに、今気がつきました(笑)」
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――M2「ashes to ashes, dust to dust.」は、すごくワクワクしてくる感覚がありました。
En'ya:これは我々の中では激しい部類に入る煽り曲です。
Loki:(笑)。
En'ya:SEがあるから2曲目なんですけど、導入にふさわしい楽曲かなあと思いますね。激しいだけではなく、民族音楽を取り入れているんですけど、そういうところが自分たちらしい。
――歪んだボーカルも良いですね。
En'ya:そうなんですよ、Lokiの声を歪ますのって合うなってことを再確認しました。
Loki:隼が曲を持ってきた時に、「面白い曲作るなあ」って思って、バリの「ケチャ」という民族音楽がテーマなんですよ。本当に彼は感性が豊かというか飛びつきが早いんですよね。これ面白いなって思ったらパッと飛び乗る男で、曲を持ってきたときも、「ケチャを活かした曲もってきたよ!」って。そこから「今度、新宿でケチャ祭があるから!」って、西新宿のビジネス街の一角で開催されたイベントをメンバーで見に行って、「これがケチャか」と(笑)。
En'ya:ケチャのガムランの響きの雰囲気だったり、男声合唱の感じだったり、呪術的な踊りの雰囲気だったりを取り入れて、音作りもそういう雰囲気になるように意識しました。Moreの曲って、テンポチェンジと転調はデフォルトなんですけど、それを考えるとこの曲はストレートな楽曲だと思います。
Loki:転調はしてるけど、構成はわりとシンプルだよね。
En'ya:でも、ケチャについては、お祭りに連れて行ってもらうまでは全然知らなくて、歴史も意外と浅いんですよね。
Loki:伝統民謡みたいなものなのかなって思ってたら、3、40年くらいの現代音楽らしいよね。
――ヴィジュアル系の歴史と同じくらいですね。
En'ya:たしかにそうですね! それがここにきてマッチしたと……。
Loki:同期だね(笑)。
――歌詞についても教えてください。
Loki:前からライヴでやっていたんですが、その時は歌詞がなくて、ノリというか、その時の流れで歌っていたんです。
En'ya:それこそ呪文みたいなね。
Loki:雰囲気的なものを重視して、変にイメージを固めずに、呪文的な感じでやっていたんですけど、「タイトルを決めなきゃいけない」ってことで、タイトルありきで書いていって、聖書の一説にある“earth to earth,ashes to ashes,dust to dust”(土は土に、灰は灰に、塵は塵に)というのがパッと浮かんできて、この曲名でいこうって。ケチャのイメージに“熱帯夜”というか、熱くて爛れた感じのイメージがあったので、そこから失楽園とかアダムとイヴのイメージが浮かんできたっていう流れですね。ベタですけど、男女の絡みとかのイメージをパッケージングしたらできたみたいな。基本的に歌詞を書く時に、外から物語性を持ってきて作るってことをあまりしないんですけど、「琥珀」にしても「ashes to ashes, dust to dust.」にしても珍しく外から持ってきたイメージを形にしています。
――M3「The Hanged Man」はいかがでしょうか。
Loki:タロットカードの“吊られた男”ですね。
En'ya:この曲はわりと最近の曲で、「次はこういうの作りたいよね」って話をした後に、隼くんが持ってきた曲です。最初に聞いた時は飛び道具的な曲だと思ったんですけど、この曲の持ってる異質さみたいなものがこのアルバムのキーになると思って、他の曲はライヴでやった後にレコーディングしたんですけど、この曲だけはライヴでやる前にレコーディングしました。それもMoreとしては始めてのことでしたね。
Loki:メロディーに関しては、隼が持ってきたメロディーもあったんですけど、どうもしっくりこなくて、1から全部作り直しました。
En'ya:メロディーの譜割りにすごくセンスを感じましたね。それで一気に景色が広がったというか、カチッとハマる瞬間があって、そこからやっと全貌が見えた感じはありましたね。
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――歌詞はどんなことを?
Loki:隼から“吊られた男”っていうキーワードだけもらって、俺が歌詞を書く上での原動力の1番が、自己批判というか、自分に対するシニカルさというか、「こうしたいのにこうできない!」みたいな自分の中の鬱屈を吐き出すことが多いんですけど、別に世の中に対する不満と言うわけでもなく、自己批判というか葛藤ですかね。吐き出したい欲求がかなり強く出た歌詞だと思います。
――自分自身を投影してる?
Loki:そうですね。
En'ya:吊るされた男ってこと?
Loki:そう。社会的な部分と、それを嫌だと思ってもやらざるを得ない状況に葛藤してるってことは俺に限らず世の中みんながそうだと思うんです。それでもそこをあきらめて「じゃあしょうがないや」ってならずに、その中であがいていくっていう気持ち。この歌詞に限らず、例えばバンドをやってる上でとか、仕事をしてる上で超えてはいけないラインというか、設定されたものの中で、「じゃあいいや」ってやるのと、その中でいかにギリギリのラインを超えずに楽しみながらやるっていうのがあると思うんですけど、俺は後者がすごく好きなんですよね。
En'ya:“PARADIGMA”をね。
Loki:バンドもそういうものだと思うんですよ。うちはフリーですけど、例えば事務所に入っていたらそういう何かしらの制限も付きまとってくる。だからといってそれが適当にやっていい理由にはならないし、その制限すら自分たちが選んだものなんですよね。むしろ全ての制限を拒絶したいのであれば趣味でやればいい話だし、それでやってこうって決めた中で、そういう気持ちが強く出た歌詞かなと。
――M5「廻る夢と激情と」はいかがでしょうか。サビがすごくキャッチーですね。
En'ya:これも例外なく作りが複雑ですけど、聴きやすいかなっていうイメージはあるんですよね。サビが印象的だなっていうのは僕も思っていて、どこか懐かしさもあって、サビの流れるような感じがすごく好きですね。
Loki:隼がこの曲を持ってきた時に、構成が複雑すぎて、「お前馬鹿じゃねえの?」って(笑)。
En'ya:3曲分くらいの構成があるよね(笑)。
Loki:「ボーカル1人でこれ歌わせるの?」っていうレベルでした。ドラマーで言うと、腕が6本ないと叩けないみたいな。
Loki:ラストのサビも急に転調するし、「馬鹿だなあ」って思いましたけど、メロディの流れ自体はすごく流麗で、メロディラインから水が流れるイメージが浮かんだんです。隼からは“涅槃(ねはん)”のイメージだと聞いたんですが、「涅槃じゃないだろ」って。なんだろうなって考えたときに、歌詞の中に出てくる“輪廻”のもっとごちゃごちゃした渦巻いた何かと、メロディラインの流麗さに水の流れるようなイメージが浮かんだんです。“輪廻”って、仏教的に言うと本来は抜け出さないといけなくて、悟りというのは“輪廻”の輪から外れて涅槃にいたるっていうものなんです。ようは生きていく上で修行が足りないから輪から抜け出せない。そこまで別に仏教に偏ってるわけじゃないですが、ようは前世の業だったりっていうのがありました。でやっぱりこれもサビで鬱屈を晴らすというか……。
En'ya:溜まってるねえ(笑)。
Loki:溜まってなきゃ歌わないよ。
一同:(笑)。
Loki:歌詞については、Bメロの歌詞は、中国の古典の「胡蝶の夢」を遊び心で入れ込んでみたりしたんですけど、サビでかなり悩んで、結果対照的に現実味を帯びる感じにしました。
En'ya:この曲こそスライドショー感があるというか、パッと場面が切り替わるよね。
Loki:そういう吐き出さざるを得ない気持ちが、サビの“誰がそこで笑い その裏で誰かが泣く”という部分で、この輪廻の渦っていうのは止められないのかって。そうやって考えると全曲でテーマが共通してるってことに、今気がつきました(笑)。
――歌いまわしがすごく難しいですよね。
Loki:最初は本当に歌えなくて、「何してくれてんの?」みたいな(笑)。付き合いがそこまで長くないわりには、「Lokiだったら出来るでしょ」って部分をうまくついてくるんですよね。そうやって言われたら、「おお、やってやるよ!」って。わりと腹が立つんですけどね(笑)。
En'ya:でも、間違いなくLokiが歌う体で作られた曲なんだろうなっていうのはすごく感じましたね。
「尖るんだったらいっそのこと尖り切ってしまいたい」
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――こうしてたくさんの曲が並ぶことで、よりMoreの世界観がはっきりと出たなという印象を受けました。
Loki:サーカスって閉鎖されつつも、その中に色々内包しているじゃないですか。ピエロがいたり、猛獣使いがいたり、綱渡りがいたり。そういう閉塞感をあえて逆に出しているというか、前のインタビューでもお話しましたが、“More”というバンド名の上で、あえて閉塞的なものをイメージしてきたので、それがいい意味で形になりましたね。外から見たら、わりと器用なことやってるバンドって思われるかもしれないですが、自分たちは逆にこれしかできない。
――なんでも出来そうなイメージがありますけどね。
Loki:爽やかなポップスとかはさすがに歌えないかな……(笑)。
En'ya:次はどうなってるか分からないですけどね。
Loki:めっちゃ笑顔で歌ってるかもしれない。
――『PARADIGMA』は、Moreにとってどんな1枚になりました?
Loki:今更ながら、Moreという名詞がより形にできたかなって思います。
En'ya:前作とは角度が違うけど、入りやすい作品になったかなと思いますね。
Loki:より鋭角で、本当に攻撃的な音源になりました。
――3月20日には、『More主催【the Circus of Paradigma Vol.1】』が開催されます。
Loki:やっぱりライヴに関しても出演してもらうバンドさんもそうですけど、尖るんだったらいっそのこと尖り切ってしまいたいので、それがどんどん現実的な形になっている上で、衣装もそうですが、それがちゃんと出るのはその日が最初なので、尖り切っていきたいですし、それを皮切りに更に尖っていきたい。
En'ya:当たりまえなんですけど、主催なのでより色濃く作りこめるので、世界観をより感じ取りやすいんじゃないかなと思うので、是非遊びに来てほしいです。
――ViSULOGを見ている人にメッセージをお願いします。
Loki:新たなスタート地点でもあるので、これを見逃す手はないと。「ここからこう来たか!?」っていうのをこれからどんどん展開していくので、ベタですけど片時も目を離さずに全部見ていて欲しいですね。
En'ya:いつでも見れるバンドではいたいと思っているんですけど、毎回毎回見逃せないライヴをやっているし、やっていくので、乗り遅れずにしっかりと付いてきてほしいです。
RELEASE
1st MINI ALBUM
「PARADIGMA」
2016.03.16 Release!!

More
DVD
GNTZ-008
¥2,600(tax-in)
[CD]
01. syntagma
02. ashes to ashes, dust to dust.
03. The Hanged Man
04. 琥珀
05. 廻る夢と激情と

SCHEDULE
More主催【the Circus of Paradigma Vol.1】
03.20(日)高田馬場AREA



04.02(土)高田馬場AREA
04.08(金)アメリカ村 DROP
04.09(土)HOLIDAY NEXT NAGOYA
04.16(土)仙台 spaceZero
05.08(日)高田馬場AREA
05.15(日)Music Club JANUS他全6会場
05.16(月)HOLIDAY NAGOYA

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More Vo:Loki
Birthday: 12.22
Blood type: B
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Birthday: 02.13
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Birthday: 10.07
Blood type: B
More Dr:由寧
Birthday: 02.07
Blood type: B
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