INTERVIEW
Special
摩天楼オペラのニューシングル『ether』は、映画『心霊写真部 劇場版』の主題歌。“光”をモチーフにした壮大でメロディックな楽曲は、摩天楼オペラの王道の進化形だと語ってくれた。
“劇的ロック”を掲げている彼らだが、そこに“ダークファンタジー”というコンセプトも加わった今回の作品は実にドラマティック。実力派バンドのキャパシティのデカさを証明するようなアプローチの異なる3曲が収録されている。2014年末に日比谷野外大音楽堂でのワンマンライヴを行ない、毎年、男性限定ライヴも行なっている彼ら。ヴォーカルの苑とキーボードの彩雨に楽曲制作のエピソードと、「ルールは自由」と言うライヴに対する想いを語ってもらった。

取材・文:山本弘子
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「人生の中で巡り会う光を見失わずに生きられたら……」
摩天楼オペラ
――ニュー・シングル『ether』は、まばゆい光が射しこんでくるようなスケール感があって力強い曲になりましたね。今回の作品を作るに当たってのコンセプトというのは?
:前回のアルバム『AVALON』の頃から掲げている“劇的ロック”と“ダークファンタジー”をテーマに作品を作りたかった。それが今回の3曲に共通しているところです。
――なるほど。「ether」はどんなふうに出来た曲なんでしょうか?
:映画『心霊写真部 劇場版』の主題歌というお話をいただいたのがキッカケで作った曲なんです。以前に公開された『心霊写真部』を見たら、ラストが現実に戻るような、あたたかい終わり方だったので、そこに“光”を感じたことがこの曲に繋がっていきました。最初はメロディとコードだけが決まっていて、それをメンバーに渡して、歌詞はあとから書いて。
彩雨:ウチのバンドはメロディ重視の曲が多いんですけど、「ether」はよりメロディが強い曲ですね。そういうことを念頭に置いてアレンジしていったので、自ずとアレンジもメロディを活かす形になりました。
――メロディを活かすために音色にこだわったとか、重要視したことは?
彩雨:キーボードの音色というより、フレーズにこだわりました。ヴォーカルとメロディを活かすことを心がけて、いつも通り取り組んでいきました。
――歌詞は憎しみの連鎖や際限のない欲望からは何も生まれないということを伝えたかったのかなとも思いましたが。
:歌詞に関しては映画の内容とリンクさせつつも、自分が思っていることを伝えられるものにしたいと思って書きました。『心霊写真部』に通じることで言えば、憎しみや恨みの感情が残るから幽霊になってこの世に現れるわけで、そういう気持ちを残したまま死なないような朗らかでいられる社会だったり、世界だったらいいのになと思ったんですよね。そのためには人との出会いや誰かを愛することだったり……そういう人生の中で巡り会う“光”を見失わずに生きられたら、憎しみを抱えたまま亡くなる人はいなくなるんじゃないかなと思ってこういう歌詞を書きました。
摩天楼オペラ
――“欲しがってばかりじゃ 安らかに眠れない”と表現しているのは“死”がモチーフにあったからなんですか?
:そうですね。
――ドラマティックな曲ですよね。“大地”や“陽”など自然をあらわす言葉が出てくるのはサウンドに触発された部分もありますか?
:音からというわけではないんですけど、生命力を表す言葉として使っています。さっき、話した“光”のことを考えていたら“地球”のイメージが浮かんだんですよ。生きていることが苦しいと思っている人も大地に立っていられているわけだし、考え方、見方を変えたら実は大地は味方になる。そんなことを考えて書いたんです。
――なるほど。「ether」というタイトルも“光”という意味なんですよね。
:調べてみたら“エーテル”にはいろいろな意味があるんですけど、ザックリと“光”、“天空”、“天界”という意味で使ってますね。
彩雨:確かバンドのミーティングで今後の話をしてるときに“じゃあ、この曲は「ether」にする?”みたいなこと言ってて。
:ああ、そうだ、そうだ(笑)。
彩雨:摩天楼オペラのこれからの展開に「ether」っていう単語が持っているイメージがドンピシャでハマったんです。僕はこの曲、勝手に「光の向こうへ」っていうタイトルになるんだろうなと思ってたんですけど(笑)。
:意味的には近いですね。
――“光の向こうへ”って繰り返されるところがライヴで大合唱になりそう。
彩雨:どうなるんでしょうね。
:確かに摩天楼オペラのライヴは大合唱になることが多いんですけど、曲のどの部分を歌ってくれるのかは僕たち自身、演ってみないとわからないんですよ。もしかしたら、僕の声だけ聴きたい人もいるかもしれないし。もちろん、みんなが歌ってくれたほうが嬉しいんですけど、蓋を開けてみないことには。
「オペラ座の怪人ちっくな要素を入れてみたかった曲」
摩天楼オペラ
――そこも楽しみですね。C/Wの「Round & Round」は踊れるビートのナンバーでもあり、幻想的な世界観を持つ曲でもありますね。
彩雨:曲を作った最初の段階ではミドルテンポでライヴで盛り上がれる曲で、サビで楽器隊が歌える曲にしたいなって思っていたんです。のちにバンドのミーティングで“劇的ロック”に加えて“ダークファンタジー”という言葉があがってきたので、そのキーワードを頭に置いてアレンジしていきました。自分の中ではAメロはスパイ映画のようなイメージ。それと「オペラ座の怪人」ちっくなフレーズを入れたいなと。
――歌詞に“オペラ座に隠れた怪人よりも妖艶な”という一節が出てきますね。
:そうですね。歌詞を書いたときにはもうアレンジが完成していたので、“オペラ座の〜”って歌った後にそういうサウンドが出てきたほうが心掴まれるかなって。この曲は最初に聴いたときからライヴで楽しくなりそうだなって思いましたね。フロアーでお客さんが揺れている絵が思い浮かんだので、それをひとりの人に置き換えて女性目線で書いた歌詞です。
――最初に浮かんだ情景は?
:妖艶に踊っている女性ですね。さっき(彩雨が)Aメロはスパイ映画のようなイメージって言ってたけれど、僕の中ではそういう絵が浮かんだんです。ふだんは誘惑したりしない女性が、この一夜だけはいちばん輝いて男性を誘うみたいな。
――この曲は摩天楼オペラにとって新境地ですか?
彩雨:この曲はそうかもしれないですね。
:ダンサブルな曲は今までもあったことはあったけど、バンドではやってないんですよね。
彩雨:バラード寄りのミドルテンポが僕らの得意分野なんですね。しっとり壮大に聴かせる曲が多くて、それは持ち味でもあるんですけど、ちょっと違うアプローチの曲を作りたいなというところから始まったので自分的には新境地ですね。
摩天楼オペラ
――これもまたライヴで見える景色が楽しみですね。
:そうですね。おそらく“Round & Round”っていうところはみんな歌うんじゃないかと思うんですよ。踊ってくれたら嬉しいですね。
――3曲の中で最も激しい曲が「蟻の行進」で歌い方もアグレッシブで。
:いちばん荒めというか、ハードロックな歌い方ですね。“ザ・ロック”っていう感じの曲を作りたかった。
――勢いのある曲で攻めたかった?
:そうです、そうです。なおかつ、メタルではなくハードロックの激しさや渋さがある曲にしたかったんです。
彩雨:弾いていても爽快感がありますね。キーボードはひねりを加えたくて、イントロの激しいギターリフの裏で弾いているフレーズは変化球。普通のマイナースケールじゃなく、ドリアンスケールにしているんです。そうすることによって、ファンタジー要素がプラスされるというか、例えば『ドラゴンクエスト』の音楽もちょっと普通とはスケールが違うんですけど、そういうテイストを加えることによって広がりを持たせてます。音色的な広がりじゃなくて、音楽的広がり。そこはこだわりポイントでしたね。
――間奏もジャムセッションのような雰囲気がありますもんね。
彩雨:激しいギターソロはいろんな曲でやってきたんですけど、これは遊び心がありますね。たぶん、ライヴになったら僕もギターのAnziくんもアドリブでそのときに思い浮かんだフレーズを弾くと思うんですけど、音源のフレーズはかなり練っていて笛の音色を使ってるんです。最初は民族楽器的なのが、だんだんキーボードのフレーズっぽく変化していって、最後はキーボードリードみたいな弾き方をしてるけど、音は笛っていう。
――そこもチャレンジですね。蟻のように働く毎日を歌いつつ“気が進まないね”とも歌っている歌詞は聴く人に向けている? それとも自分自身に向けて?
:どちらも、ですね。自分自身のことでもありますし、この歌詞のように思って毎日、働いている人もいるだろうし、切羽詰まっている状況の中、聴いたら少し呼吸が楽になるんじゃないかなって。「僕だけがこういう感情を持っているんじゃない」「私だけが頑張ってるんじゃない」って、曲を通して共有できるんじゃないかと思ったんですよね。最後には“ワタシに幸あれ”って歌っているんですけど、自分の人生だから自分の幸せを望んだっていいんだよ、っていうのがこの曲のメッセージですね。
「ツアーは次の摩天楼オペラの展開も見せられる内容になると思う
摩天楼オペラ
――5月6日からスタートする全国ツアー『The Fifth Element TOUR』は今回のシングルをひっさげて廻る内容となりますか?
:まずは今回の3曲を披露して、それともう新曲たちがどんどん出来上がってきているので、次の展開も見えるツアーにしたいと思ってます。ただシングルを既存曲の中にぶちこむというよりは、ちゃんと3曲を持ってツアーをやる意味を持って臨みたいですね。
――摩天楼オペラには男性ファンも多く、男性限定ライヴも行なっていますよね。同性のファンが増えていることに関しては?
:もちろん嬉しいです。こういうジャンルで男性のファンを増やすのは、なかなか難しいことでもあると思うし。
彩雨:でも、僕がいちリスナーだったら、間違いなくウチのバンドのファンだったと思うんですよ。
――10代でまだバンドを始める前だったら?
彩雨:大ファンだったと思います(笑)。ヴィジュアル系のライヴは女の人が多いから僕も行ったことはなかったんですけど、僕みたいに思っている男のコっていっぱいいるんじゃないかと思うんですよね。そういう人たちがライヴに来てくれるのはすごく嬉しいですよね。
――男性限定ライヴは空気感も違いますか?
:SEの時点から暑いです(笑)。空気が振動してますもん。楽器隊が演奏する中、それを超える勢いで合唱がウワーッって来るみたいな。いつものライヴでは頭の上を転がってる人はいないんですけど、男性限定のときはフロアーから足だけ見えてたり(笑)。
――遠慮なく暴れられるんでしょうね。
:そうですね。女性がケガしちゃうと大変だし、みんな優しいんですよね。
――楽器陣も手元とか観察されそうですね。どうやって弾いてるんだろうって。
彩雨:(笑)あるかもしれないですね。
――ライヴは3割ぐらいが男性ファンなんですか?
:そうですね。このまま女性を減らさずに(笑)、男性ファンが増えてくれたら。
――では最後にViSULOGの読者にメッセージをお願いします。
彩雨:僕らはCDをそのまま再生するライヴはしないので。もちろん、ちゃんと演奏するんですけど、どうなるかはその日、その瞬間にしかわからないので、1度、体感してほしいなと思いますね。それと合唱する曲は“ラララ”でも大丈夫です。
――歌詞を覚えてなくても声を出してくれれば?
:それもルールではないし、僕らからは“こうしてほしい”って言ったことはないんですよ。もう自由にやってくれ、って言ってますね。今、8年目ですけど、ライヴにはいろいろな層のお客さんが見に来てくれていて……。
――世代が幅広いんですね。上の方は何才ぐらい?
彩雨:親子で見にきてくれたりとか。
:3世代っていう方もいらっしゃるので。
彩雨:そうですね。僕らの親の世代の方とか。
――QUEEN聴いてましたっていう世代の方とか?(笑)。
:いらっしゃるかもしれないですね。なので、怖いっていうのはまず、ないし、ノリについていけるかな? って迷っている方も心配いらないと思います。同じ空間で同じ音楽を共有することであったかい空気が生まれるんですよね。摩天楼オペラはそういうライヴができていると思うので、身構えずに会場の扉を開けてほしいなと思います。
RELEASE
8th Single 「ether」
2015.04.08 Release!!

摩天楼オペラ
KICM.1588
¥1,111+税

[CD]
01. ether
02. Round & Round
03. 蟻の行進
SCHEDULE
全国ツアー『The Fifth Element TOUR』
05.06(水・祝)HEAVEN'S ROCK さいたま新都心 VJ-3
05.10(日)仙台 darwin
05.12(火)札幌 cube garden
05.15(金)長野 CLUB JUNK BOX
05.17(日)梅田 CLUB QUATTRO
06.02(火)LiveHouse 浜松窓枠
06.04(木)広島 Cave-Be
06.05(金)福岡 DRUM Be-1
06.07(日)名古屋 Electric Lady Land
06.13(土)新横浜 NEW SIDE BEACH!!
06.17(水)赤坂BLITZ



05.31(日)川崎・クラブチッタ

PROFILE
摩天楼オペラ

摩天楼オペラ Vo:苑
Birthday: 12.18
Blood type: O
摩天楼オペラ Gu:Anzi
Birthday: 02.24
Blood type: B
摩天楼オペラ Ba:燿
Birthday: 10.30
Blood type: A
摩天楼オペラ Dr:悠
Birthday: 07.29
Blood type: O
摩天楼オペラ Key:彩雨
Birthday: 08.28
Blood type: B
オフィシャルサイト

”The Elements”コンセプトサイト

”ether” 特設サイト


DISCOGRAPHY

アーティストタグ

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