INTERVIEW
Special
12月3日(水)に新音源集『NERO』を発売するギャロ。この作品、まるで猟奇的な文学小説を音楽という形態を通して味わっているような内容だ。聴いた人の心に、「あなたは!?」といろんな想いを投げかけてゆくのが、この『NERO』という作品。
今回のインタヴューはライヴ前に実施。ギターのヒカルが会場を抜けられなかったことから、彼を除いた4人で取材は行った。

取材・文:長澤智典
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「ギャロを通して描いている事柄の多くが、『非現実的に見えるけど、じつは現実に起こっているようなこと』なんです」
ギャロ
――最新アルバム『NERO』に収録したのは、猟奇的/狂気的な行動に走り、みずからを滅ぼしてゆく心壊れた人たちの物語。歌詞を書いたジョジョさん自身が、その手の心の傾向を持っている方なのでしょうか?
ジョジョ:そういう物語や世界観を歌詞に記すのは大好きですけど、あくまでもそれは歌詞を通して描く世界観であって、決してプライベートでこの手の行動をしているわけではないです。それをやってしまったら……。
――犯罪者になってしまいますからね(笑)。むしろ、世の中にはびこる狂気的な事柄を、歌詞を通して風刺したり皮肉っていると言ったほうが正解なんでしょうね。
ジョジョ:そうですね。ギャロを通して描いている事柄の多くが、「非現実的に見えるけど、じつは現実に起こっているようなこと」。よく、「これは映画や本の中だけの世界だ」と思われていることでも、現実として同じようなことや、それ以上の事件が起きている。そういうノンフィクション的な事柄を、ギャロが作り上げる音楽の中へフィクションとして投影し続けています。
――陰惨なノンフィクションの世界へ強く惹かれてるということ?
ジョジョ:よく文献を通して感じるのが、今の感覚で捉えれば残酷や狂気的な世界観として見えてくるけど、100年ほど前には、それこそ、たった5、60年前までは、それが当たり前のことだったりする事柄も実際にあるという現実なんですよ。そこで惹かれたことを歌詞のモチーフにしていくことはあります。もちろん、猟奇的な事件を参考にしながらフィクションとして書いた物語も中にはあります。
――「市電拾七番系統売國奴轢死事件」では池袋が舞台に、「帝都四号魔水路」には神田川が登場。どちらも実在の場所を舞台にした狂気的な物語が描かれています。これらも実際にあった事件がモチーフになっているのでしょうか?
ジョジョ:実際の事件をモチーフにしたものではないですが、例えば、「市電拾七番系統売國奴轢死事件」に記した池袋という地名に関して言うなら、以前は池袋にも市電が走っていたように、実際に存在していた事柄を歌詞の中へ取り入れることで、歌詞に描いた物語にリアルさが出るような描写はしています。むしろ、想像の世界だけで終わらせるのではなく。たとえそれが想像の物語だとしても、そこに現実を重ねながらリアリティを持った内容にして書きました。
――と言うことは、「極東恋時雨・鼠」に記した、新宿日活名画座で浪漫ポルノ映画を見ながら股間膨らませている様もフィクションということなんですか?
ジョジョ:ポルノ映画館って実は行ったことがないんですよ。ただ、自分の性格的に、いろんな裏の世界を経験したい願望はあります。それを実践しようにも、その勇気がなかなか出ない(笑)。その辺は、意外と普通の人と同じ性格なんで(笑)。
――メンバーの皆さんも、実は至って真面目な良識人達なんですか?
ジョジョ:いや、みんないい感じでキレてますね。
ワジョウ:ポルノ映画を観たことはないですけど、ストリップは見に行ったことあります。それは、たまたま機会があって見に行ったんですけど。後ろのほうでひっそりと見ている程度でしたけど、思った以上に芸術的な世界だったんで、あまりエロスは感じなかったですね。
「『NERO』という言葉はイタリア語で『黒』という意味。そういう“黒い感情”や“人の心の中にある汚さ”をこの作品に書きました」
ギャロ
――ギャロは、ジョジョさん以外みなさん作曲も担当しています。作曲者側としては、ジョジョさんの描き出す、病んだ欲望まみれな世界観をどのように受け止め、曲制作を行っているのでしょうか?
カエデ:最初の頃こそ、歌詞の時代性に合わせ、歌謡曲チックだったり、時代背景的に似合うものを考えていたんですけど、綺麗な曲を書けば書くほど、歌詞は逆のほうを向いていくなど、常に曲調とは違う方にベクトルを向けた表現をジョジョがしてくるので、今やそういうのは何も気にしないでみんな書いてますね。ただ、昭和的なテイストなど、「何処か懐かしさを感じる曲世界が好きだ」という共通項はあるかも知れないです。
ワジョウ:どんな楽曲だろうと、何を表現しても、 ジョジョさんが歌えばギャロになるんで、僕もそこは気にしてないです。強いて言うなら、「歌を生かしながらも自分なりの味を出せればいいな」くらいですね。
アンディ:俺もそう。思いついた楽曲をポンと提供してるんで、今回の昨日にしても、そこのスタンスに変わりはないですね。
カエデ:『NERO』を作るに際して楽曲面では、あえてコンセプトを決めることなく作っていきましたから。
――歌詞に関しては、表現したい世界観が明確にあったのでしょうか?
ジョジョ:「その曲で言いたいことはひとつ」というように作りながら、アルバム全体を通しても、あまり伝えたい想いが散らからないよう統一感も大事にして書きました。
――それは、「人の心の弱さ」的な面なんですか?
ジョジョ:『NERO』という言葉はイタリア語で『黒』という意味。そういう“黒い感情”や“人の心の中にある汚さ”を書けたらなという気持ちをこの作品に書きました。中に、繰り返し出てくる言葉もあるんですけど、そこはあえて言葉を繰り返すことで、伝えたい思いを強調したかったからなんですよ。歌詞全体を捉えると、日常では経験出来ないようなことばかりなんですけど、歌詞の部分部分だけを切り取ると、「自分でも、そういう風に思ったことがある」みたいに、自分の経験にも当てはめて捉えていきやすかったりもするみたいな。
――どの楽曲にも、とてもリアルな描写を与えていますもんね。
ジョジョ:そこは聴いた人たちが情景を思い浮かべられるように表現しているので。
「『しょうもないことをやって飯喰ってる連中もいるな』という認識は、確かにあること」
ギャロ
――ジョジョさんの歌詞は、昭和の世界を舞台にした気狂った内容が多いですけど、なぜそこまで強く昭和という時代背景に惹かれてゆくのでしょうか?
ジョジョ:単純に好きなんでしょうね。そのぶん勉強もしてるんですけど、ただし、「すげぇ好きか?」と言ったら、そこまでではなくて、要は歌詞に投影したいモチーフを選ぶに当たって、昭和という時代がすごく刺激的に見えてくるという理由からなんです。それこそギャロの初期は、「日本へ異文化が溶け、和洋折衷な文化が生まれだした明治から大正にかかる時代を舞台に表現していこう」と思っていたんですけど、今、好んで表現している戦前や戦後の時代に比べてとにかく情報が少なかった。それもあって、自然と情報を多く得やすい戦前戦後の時代背景に流れていった感はあります。
――歌詞にも出てくる表現ですが、ギャロとしては、今の時代やシーンの中、いかに“異端”であるかがポイントにもなっているのでしょうか?
カエデ:とくに「はみ出したい」というわけじゃないけど、良い意味で他とは違う面を押し出したい意識は持っていることですね。
――「大日本黒鶏主義者聯盟行進曲イ単調」の中でも、今のバンドたちに対して“個性が欠落した似非音楽主義者”と痛い言葉を浴びせています。やはり、そう感じることも多いのでしょうか?
カエデ:これまでにも「大日本黒鶏主義者聯盟行進曲」シリーズでは、ホ短調と嬰ヘ短調を作りあげ、今回のイ短調で3作品目になるんですけど、そこはね……。
ジョジョ:これをガチでやってしまうのは違うというか、そこは、聴いた人たちに皮肉っぽく聞こえればいいかなというレベルでのこと。
ギャロ
カエデ:それをガチでやって活動が出来なくなったら困るのは自分たちのように、そこは何とも言えないところですけど、「しょうもないことをやって飯喰ってる連中もいるな」という認識は確かにあること。だからこそジョジョもこういう歌詞を書いたわけだし、その歌詞に対して共感も出来る。ここに書いたような感情的な部分は、確かにあるとは思います。
――アンディさんも、「世の中のバンドは糞だ!」と叫んでしまいたい人?
アンディ:いえ、世の中のバンドが糞だなんてことはないと思います。むしろ、みんな頑張ってるなと思います。
――でも、「俺らは媚びずにやってるぞ」という意識もあったり?
アンディ:そこまでは思わないですね。僕個人に至っては、割と普通なんで(笑)。
ワジョウ:僕なんか、謙虚謙虚で、思いきり媚びへつらって活動しているような存在ですから(笑)。
カエデ:バンド内での意志の統一が……(笑)。
――でも、ここまで言い切ってしまうと、痛快さも感じるんじゃないですか?
ワジョウ:痛快さは感じてますね。愉快痛快に……。
カエデ:貴方は、何を言ってるの?(笑)。
「ギャロは、ユニクロみたいな音楽を求めているわけじゃなく、如何に異端でいられるか。『誰にも出せない色をどう出していくのか?』が大切なこと」
ギャロ
――ジョジョさん自身、完成した『NERO』に対して、どんな印象を抱いてます?
ジョジョ:個人的に言うなら、『GALLO』『NERO』という納得のいく2枚のアルバムを作れたからこそ、「また別の切り口で次に行けるかな?」という感じですね。
カエデ:確かに、満足感と同時に「まだまだこういう表現も出来そうだ」とも思えているからこそ、早く次の作品を作りたい願望も生まれるわけで。ただ、『NERO』に収録した曲たちをライヴで表現することで、またいろいろ見えてくる気もしていれば、聴いた人それぞれが、1曲1曲の中へ入り込んで楽しんでもらえる。そんな予感も覚えています。
――昨今のヴィジュアル系シーンって、自殺願望や死にたい的な病んだ表現をしていくバンドも多ければ、そこへ共鳴してゆくファンたちも多いじゃないですか。でもギャロは、そういう病み方ではない。もっと心の暗部をグサッとドス黒く抉る形で表現していますよね。だからこそ、より文学的な香りも感じてしまえば、グッとのめり込んでしまうのかなとも思ってしまいます。
ジョジョ:その辺の表現って、みんな書いてることは一緒なんで。むしろ、「そういう表現はもういいんじゃないの?」「何十年そんなことをやってんの?」みたいな気持ちになりますからね。それよりも、もっと違うアプローチをしていけた方が表現面では面白いんじゃないですかね?
――それは感じます。『NERO』に収録した曲たちって、1曲1曲が芯となるテーマ性を明確に持った短編映画たち。表現は異なれど、芯の部分で一つ共通項を持った短編映画を10本集めたのが『NERO』という印象を受けましたからね。
ジョジョ:どの楽曲も繋がりは大切にしています。曲調は違えど、まったく別物の作品の集合体にしたくはなかったんで。
――まさにこの『NERO』。猟奇的な短編映画や文学小説を、音楽という形で味わっているような感覚にも思えます。
ジョジョ:自分らとしては、常にそれくらいの気持ちで表現しているんですけど、聴くほうは、「こうだから」と意識して聴いてほしくはないというか、その人なりに自由に受け止めてもらいつつ、素直に曲たちを楽しんでもらえたらそれでいいなと思ってる。
――1曲1曲の世界観が際立っているように、きっと好き嫌いもハッキリ出て来そうな気もしています。
ジョジョ:それくらい賛同や拒絶反応があったほうがいいと思うんですよ。世の中、奇抜なものに対して拒絶反応を起こす人はいっぱいいる。だからこそ、評価する人には高く評価もされてゆく。ギャロは、みんなに受け入れられる、それこそユニクロみたいな音楽を求めているわけじゃないように、如何に“異端”でいられるか。「誰にも出せない色をどう出していくのか?」という気持ちでみんな活動しているんで。
カエデ:むしろ、異端とされた世界観に賛同する人たちが増えていき、それが今度は王道になったら面白いなと思ってる。そうなったらなったで、またうちらは王道から外れ、いかに異端を求めていくかを追求していくんだろうから。もちろん、支持されることも不可欠な要素のように、そういう動きは今後もしていくつもりですけどね。
ワジョウ:でも、今のギャロが表出している異端さには、誰もついてこれないと思いますよ。
アンディ:うちらに関しては、異端であること自体がもはや普通のことなので。
カエデ:来年1月には、大阪と名古屋での単独公演もあれば、3月30日にはTSUTAYA O-WESTでのワンマンも決定しているように、まずは3本のワンマンを制覇してやります。
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RELEASE
2nd ALBUM「NERO」
2014.12.03 Release!!

ギャロ
CD
EMR-006
¥3,240(税込)
[CD]
01. 大東亜魔方陣
02. 市電拾七番系統売國奴轢死事件
03. 極東恋時雨・鼠
04. 帝都四号魔水路
05. 腐食
06. 夢葬
07. 流星
08. 芥子
09. 極東裁判-黒鶏-
10. 大日本黒鶏主義者聯盟行進曲イ短調


SCHEDULE
ギャロ単独公演『黒鶏ホ号作戦』
-アンディ生誕祝賀公演-

12月18 (木) 池袋エッジ

ギャロ新音源集発売記念単独公演
『黒鶏維新-大阪篇-』
01月23 (金) 心斎橋ファンジェイ
『黒鶏維新-名古屋篇-』
01月25 (日) 名古屋車道3スター
『黒鶏維新-東京篇-』
03.30 (月) TSUTAYA O-WEST

ギャロ×SCAPEGOAT
合同周年記念企画カップリングツアー

03.13 (金) 大阪ルイード
03.14 (土) 名古屋ホリデーネクスト
04.15 (水) 新宿ReNY



11.28 (金) 高田馬場エリア
12.05 (金) 池袋ブラックホール
12.08 (月) 新宿バース
12.11 (木) 宇都宮ハロードーリー
12.28 (日) 池袋エッジ
01.31 (土) 柏サンブアップ
02.04 (水) 新宿バース
02.18 (水) 新宿バース
02.20 (金) 大阪ルイード

PROFILE
ギャロ

ギャロ Vo:ジョジョ
Birthday: 06.05
Blood type: B
ギャロ Gu:ヒカル
Birthday: 02.26
Blood type: B
ギャロ Gu:ワジョウ
Birthday: 09.14
Blood type: 和
ギャロ Ba:アンディ
Birthday: 12.18
Blood type: A
ギャロ Dr:カエデ
Birthday: 09.07
Blood type: A
オフィシャルサイト

DISCOGRAPHY

アーティストタグ