2018.07.30(月)渋谷 TSUTAYA O-WEST「混ぜるな危険ツアー2018」

2018年7月30日(月TSUTAYA O-WESTにてアクメ、アンフィル、L.A.LEMMECA、レイヴ、Replyによるイベントツアー『混ぜるな危険ツアー2018』が開催された。
大人の事情やジャンルの垣根を超えた、この夏一番「危険」なツアーの全世界最速ライヴレポートをお届けしたい。


TEXT:二階堂晃
PHOTO:山本貴也(ViSULOG)

混ぜるな危険ツアー2018/LIVE REPORT

Re:ply
定刻と共に尖ったEDMサウンドと共にステージに躍り出たトップバッターはRe:ply。ステージ後方にはさながら危険毒物のラベルを思わせる『混ぜるな危険ツアー2018』イベントロゴのバックドロップがでかでかと掲げられた中、ライヴはスタート。普段はいわゆるヴィジュアル系シーンとは無縁の邦楽ロック・シーンで活動する彼らにも関わらずメンバー6人全員が大胆不敵な笑みをたたえての登場は、数々のライヴを潜り抜けてきた百戦錬磨の自信からだろうか。
一曲目は見事にロック・アレンジされたボーカロイドの定番曲「千本桜」。カヴァー曲をレパートリーに組み込むスタイルはヴィジュアル・シーンにおいては珍しいことではあるが、そんな文化の違いもなんのその。Vo.koyomiのハリのあるハイトーン・ボイスと楽器陣の飾らないストレートなサウンドが会場の熱を一気に熱く包み込む。「俺たちを知ってる人も知らない人も、楽しんでいこうぜ!!」というkoyomiの煽りと共に届けられたのは「太陽系デスコ」。ラップトップ・コンピューターを操るMani.8810は早くもステージ前方に繰り出し、koyomiと共に客席を扇動する。そんな彼らの熱いステージに、体を左右に揺らし笑顔でライヴを楽しむオーディエンス達。そんなポップなバンドのスタイルの中でも、Dr.闥也のメタル・ビートの迫力が際立つ。
「WEST、元気ですかー!?『混ぜるな危険』に混ぜてもらえたのは、CHISAくんに誘ってもらえたからです!」と、このツアー参加への経緯を飾らない言葉で伝えるkoyomi。
「バンドをやっていると楽しいことばかりじゃなくて、つらいこと苦しいことの連続だった。」と続け、「それでも夢を持ってしまって、心に火がついてしまったから、俺はここにいる。どんな時でも最後まで闘え!」と放たれたのはハードな「Fight till the end」。メンバー6人が音楽を通じてぶつけてくるストレートなメッセージが胸を打つ。「休む気はねえぞ!全部連れて行くぞ!」と間髪入れず畳みかけられた「Musication」では、Gu.あべち、Ba.sachiもステージ前面にせり出し、ますます熱を上げていく。
「俺たちの音楽を必要としてくれてる人たちの気持ちに必ず返事をする、そういう意味でRe:plyと言います!」という言葉と共にラストに届けられたのは切なくも力強い「決意の旗」。シンガロング・パートではフロントの5人が客席ギリギリまでオーディエンスを求め、ありのままの思いを一人一人に届けてゆく。飾ることのないその姿に胸を打たれたオーディエンスも多いことだろう。やり切った表情の汗だくのメンバーは満面の笑顔でステージを後にした。

[SET LIST]
01. 千本桜
02. 太陽系デスコ
03. Fight till the end
04. Musication
05. 決意の旗
レイヴ
2番手は5月30日に『メンブレさん通ります。』をリリースして以来、精力的にライヴを重ねているレイヴ。
オレンジのスーツに身を包んだDr.凪、Ba.悠、Gu.nisaがゆらゆら登場した後、完全に挙動不審な立ち振る舞いでVo.レンがステージに踊り出し、レイヴならではのポップさと不気味さの同居した独特の雰囲気に包まれる会場。軽快な曲調にネジれた歌の対比が印象的な「オヒトリセレナーデ」からライヴがスタートする否や、みるみる異様な空気に染められるオーディエンス。Ba.悠のベースソロを筆頭に各パートの見せ場では演奏と共にしっかりと個々のキャラクターをアピールする姿ものっけから会場に焼き付けていく。そして、冒頭から極悪ヘヴィネスを叩きつける2曲目「サイコキラー」でさらにライヴは加速。ラウドなリフの中でぴょこぴょこと飛び跳ねるレンの姿とのギャップは、何気ない日常のふとした瞬間に曝け出される心の底の狂気そのもの。目を背けたいのに、どうしても覗きたくなってしまう。そんな相反する感情を掻き立てられるのがレイヴのライヴの魅力だ。「頭振れる人ー??」というレンの煽りに全力のヘッドバンキングで応えるオーディエンス。「ちょっとずつでいいよ」と優しさを見せたかと思いきや、とたんに「頭頭頭頭頭ーーーー!!!」と痙攣しながら絶叫するレン。そんな彼の危うい魅力に飲み込まれながら、会場全体が一心不乱に頭を振り続ける。
MCなし、静寂のみが空気を支配した短いインターバルの後、届けられたのは切ないミディアムバラードの「嘘」。曲のさなかでは「照明さん、どうもレイヴです。お客さんを照らしてもらっていいですか?」と客席を照らし、先程までの自分自身にどこまでも深く潜り込むかのようなステージとは対照的に、オーディエンスとの心の距離をぐっと縮めるレン。
そして、「さあ、終幕に向かおうか!!」とライヴは後半戦に突入。「終わりの始まりだ!!」と絶叫するレンに先導され、“皆さんアンチを大切に”とのシニカルなメッセージが突き刺さる高速ナンバー「アンチメランコリック」が叩きつけられた。ここまでに披露されたナンバーでももちろんのことだが、この曲でもまた、nisaの滑らかなタッチのギターソロには酔いしれてしまう。オーディエンスもますます上がるボルテージに合わせてタオルを振り乱す。「ラスト行こうか!!」と放たれた最新シングルのリードトラックでもある「「転んだ。」」では、より一層激しさを増すレンの奇妙なパフォーマンスと一心不乱に音を叩き出す楽器陣の対比も相まって、会場は毒々しいカオスに包まれる。誰もが感じるであろう「生きづらさ」と正面から向かい合い、心の闇をこれでもかと吐き出すレンは曲が終わってもなお何度も「叫べ!」とオーディエンスの熱を求め続け、「今日ここ(O-WEST)を選んだお前らは勝ち組です」と言い捨て、レイヴの4人は飄々と去って行った。

[SET LIST]
01. オヒトリセレナーデ
02. サイコキラー
03. 嘘
04. アンチメランコリック
05.「転んだ。」
L.A.LEMECCA
オープニングSEなし、潔くドラムのカウントから幕を開けたのは3番手L.A.LEMECCA。元カメレオVo.HIKARU.によるソロ・プロジェクトとあって、第一声から納得の歌唱力が会場の空気を彼ならではの色に染め上げていく。HUKARU.をサポートするのは同じく元カメレオDr.Takeshi、Takeshiと共にユニットGTBでも活動するギガマウスBa.Seiya、様々な現場で活動するGu.TERUYAの3名。HIKARU.を含めたこの4人でのL.A.LEMECCAの世界観を打ち出すカラフルな衣装での統一感も相まって、バンド感に溢れたステージを展開していく。歌心を貫きながらも、彼のバンド時代およびプロジェクトのポップなイメージからは意外なほどラウドなバンドサウンドが印象的な「誰も悪くない」で会場を包み、「今日はMC無しでやっちゃおうと思います!」と、今日という日にかける熱い思いをぶちまけるHIKARU.。続くデビュー曲「SLUMP」では、高速でタオルを振り回す斬新なアプローチを見せ、この曲でもまたL.A.LEMECCAならではのラウド・ミュージックを存分に提示してみせた。そんなHIKARU.に触発されたのか、Takeshiもドラム台から立ち上がり重厚なビートを叩き出す。
公言通り、短いインターバルを挟んだ後に届けられたのは「バカ…バカ…バカ…」。先程とは一転して、しっとりとクールかつファンキーな楽曲なこともあり、改めてHIKARU.のシンガーとしての魅力が存分に引き出された一曲だ。先程まで誰よりもロックに暴れ狂っていたSeiyaも、丁寧に粘りのある繊細なプレイで心地よいグルーヴを生み出していた。
「まだまだノンストップで行くぜ!!」と畳みかけ、「オレンジ色のハット」では他にない珍しい変拍子のフレーズでのモッシュのノリを見事に導き切るHIKARU.。この新しいノリは必見だ。「『混ぜるな危険』とは言え、俺たちは音楽で繋がってる。」というメッセージと共に届けられたのはL.A.LEMECCA最新リード曲の「MUSIC」。パワフルなビートと突き抜けるメロディーが会場を熱くHAPPYな空間へ染め上げていく。
“MUSIC 最高 YEAH”というHUKARU.からのシンプルだが決して見失ってはならないメッセージを受け止め、オーディエンスはひとつになった。
そしてラストは前代未聞の暴れ曲「犬」。「最後に皆さんとアホになりたいんですけど、いいですか!?」と叫び、無数の犬のぬいぐるみがステージにフロアに乱れ飛ぶ、最高にシュールな光景が繰り広げられた。HIKARU.と言えば先程までの巧みなボーカリゼーションはどこへやら、犬のように吠えまくりステージを駆け巡りのやりたい放題。しまいには自ら犬の被り物をかぶり、お立ち台でポーズまで決める始末とあって、このパーティー感は一度見たらクセになる。思う存分に己の信じる音楽を叩きつけ「ありがとう、またね。バイバイ!」と残し、L.A.LEMECCAのステージは幕を閉じた。

[SET LIST]
01. 誰も悪くない
02. SLUMP
03. バカ…バカ…バカ…
04. オレンジ色のハット
05. MUSIC
06. 犬
アンフィル
ここまでの多彩な出演バンドのパフォーマンスで、すっかり熱を帯びた会場。トリ前は、今月ワンマンツアーを終えたばかりのアンフィルの登場だ。ハートフルにきらめくサウンドと共に「olympos」で幕を開けたアンフィルのライヴ。Gu.yukito、Gu.未月、Ba.棗、Dr.ハルの織りなす繊細なアンサンブルにVo.翔梧の伸びやかなハイトーンボイスが溶け込み、会場は一気にドリーミーな空間へ。翔梧のボーカルと未月の生コーラスのハーモニーも温かく心地よい。翔梧は軽快にステップを踏みながら、会場に駆け付けたファンを愛おしそうに見つめている。彼らの生み出す空間は、そこにいる誰しもに幸せな時間を約束してくれる。と思いきや、続く「鑰孔の続 -カギアナノゾク-」では鋭くステージ前面に繰り出し、オーディエンスの声を求めるメンバー。このギャップにときめいてしまうオーディエンスも多かったことだろう。シャッフル・ビートのセクシーな雰囲気に色を変えていく会場。

MCでは「今日から始まる『混ぜるな危険ツアー』キケンなツアーにしようぜ!!」と会場の熱を煽り、改めてこのツアーへの感謝を述べる翔梧。MC中のファン・サービスでおどけてみせる未月を弄りつつ、「大切な東京に、何一つ小細工の無いアンフィル直球ド真ん中見せてやるよ!!」と力強く煽り、「KiLLER GOURMET」からアンフィルのライヴは後半戦へ突入。「切断してやるよ!」と先程の宣言通り、ヴィジュアル系ならでの危うい魅力が詰まった楽曲だ。尖った演奏と激しいシャウトがザクザクとオーディエンスを突き刺し、アンフィルの黒い部分をこれでもかというほどに叩きつける。さらにダメ押しの「determination」へと雪崩込み、ドッシリとした説得力のある演奏とパフォーマンスから、バンドとしての大きな進化をさらなる飛躍の予感がまざまざと感じられた。「お前らこんなもんじゃないよな!?」とオーディエンスに投げかける翔梧は、何度も「楽しもうか!!」と熱を求める。

そして最後にアンフィルから届けられたのは「迷い姫」。「混ざることにまだ迷っている人はいますか?もしいるなら、俺が連れて行ってやるよ!」という頼もしい翔梧の言葉に、オーディエンスは身も心も委ね、文字通り「混ざりあう」モッシュを繰り広げ、満面の笑みでその光景を噛み締めるメンバー。「混ざりあうってこうだ!!」と、ライヴそのものをもって、アンフィルはこのイベントへの思いを証明したのだった。

[SET LIST]
01. olympos
02. 鑰孔の続 -カギアナノゾク-
03. KiLLER GOURMET
04. determination
05. 迷い姫
アクメ
そして、ついに本日の大トリであるアクメの出番がやってきた。

8月8日にリリースされる待望のファーストアルバム『絶唱謳歌』のきらびやかな和装でまずステージに躍り出たのはDr.HAL、Ba.RIKITO、Gu.将吾の3人。アクメの登場を待ちわびたオーディエンスは3人の求める手拍子にのっけから全力で応え、臨戦態勢は万全だ。そしてひときわ華やかな出で立ちに身を包んだVo.CHISAがステージに登場するや否や、「混ざり合おうぜ!!」と叫び、「マグロ解体チェーンソー」からアクメのライヴの火蓋は切って落とされた。

『混ぜるな危険ツアー2018』への意気込みからだろうか、心なしかさらに勢いを増した歌と演奏にヒートアップした会場にこの曲定番のカラフルな扇子が舞い踊る。すると、まだ一曲目にも関わらずステージ袖からL.A.LEMECCA HIKARU.とアンフィル翔梧が乱入。CHISAも「二人にカッコいいとこ見せようぜ!!」と力強くシャウトし、それに全力の折り畳みで応えてみせるオーディエンス。続く、エモさ全開の「Trick×Trap」では「もっと混ざっちゃおう!なんでもいいよ、お前なりのやり方でぶつけてくれ!!」と、『混ぜるな危険ツアー2018』に込めた「あらゆる垣根を越えてひとつに混ざり合いたい」というイベントへの思いをどのバンドよりも強く投げかけるCHISA。そんなCHISAと共に極上のテクニカル・ラウドを編み出すリズム隊であるRIKITO、HALの天然っぷりもアクメの大きな魅力のひとつ。本日もハイテンションでCHISAのMCの後ろで自由にしゃべりまくり、このツアーをいかに楽しみにしていたかが伺い知れる。「なんでもカレーと混ぜたら美味しくなるでしょ?そういうツアーにしたいんだよね。」と告げ、「アルバムから新曲やります!」と届けられた本邦初公開の新曲「罵詈雑言」。アクメらしいラウドさ満載かつ、トレンド最先端なトラップ・ミュージックの要素もあるこの曲は、初披露とは思えない一体感をフロアに生み出し、彼らのニューアルバムへの期待がより一層高まる盛り上がりとなった。そして、コアかつソリッドな「ROTTEN ORANGE」をこのイベントのトリに相応しい貫禄の中で畳みかけた後、「ラスト行けんのか!?」と放たれたのは彼らの最新リードトラックである「絶唱謳歌」。彼らの掲げるコンセプトの一つである“ジャパニーズカルチャー”の名の通り、超ハイテンションな和風パーティー・ロックにダンスフロアへと化す会場。CHISAの伸びやかなハイトーン、将吾の野生児のようなエモさ、RIKITOの超絶技巧プレイ、HALの轟音ビートがオーディエンスの熱と文字通り“混ざり合い”、会場は本日最高潮のボルテージへと高まる中、アクメの本編は終了した。

そして彼らがステージ袖へ戻るや否や「まだまだ混ざり合いたい」とでも言わんばかりの湧き上がるアンコールに呼び戻され、アクメの4人が再登場。「今日は(衣装のアウターを)脱ぐ予定じゃなかった」とCHISAに言わしめたのは、彼らとしても想定外の盛り上がりだったということだろう。そして、「呼んだからには思いっきり楽しめるんだろうな!?」と彼らのデビュー曲である「SENKOU」を叩きつけるアクメ。

そんな狂乱のさなか、この夏もっとも危険なイベントツアー『混ぜるな危険ツアー2018』初日の幕は閉じたのだった。続く大阪名古屋の2公演でも、さらなる危険な混ざり合いが繰り広げられたことだろう。

[SET LIST]
01. マグロ解体チェーンソー
02. Trick×Trap
03. 罵詈雑言
04. ROTTEN ORANGE
05. 絶唱謳歌
EN.1 SENKOU