COVER ARTIST / A9

ViSULOG 2019年2月号 COVER ARTIST / A9

INTERVIEW / A9

A9が昨年夏より制作していた全21曲の再録ベストアルバム『花鳥ノ調』『風月ノ詩』が、いよいよ2019年4月24日(水)にリリースされる。サウンド面でのバンドの屋台骨であるBa.沙我が中心となって完成したこの壮大なプロジェクトとこの春から始まるを今作のツアー経ることで、A9というバンドはまた新たな局面へと向かうことになりそうだ。
15年という歳月を今一度振り返りつつ、未来を見据える彼らのリアルな声をお届けしたい。

取材・文:二階堂晃
『ここでもう一度初期の楽曲と向き合いたいなと思った』 ――まず、全21曲の再録という大ボリュームのベスト盤『花鳥ノ調』『風月ノ詩』をリリースすることになった経緯から聞かせて下さい。 沙我:前作『PLANET NINE』をオリジナル・アルバムとしてリリースしてツアーを重ねる中で、次のリリースをどうしようか? という話が自然な流れで出てきたんですが、バンドのモードとして「新曲ではないな」という空気だったんですね。そこでここで一度A9の過去を振り返るのもいいのかもしれないと思って、今回ベスト盤という形でリリースをすることになりました。 ――今振り返ると、何故新曲のリリースというモードにならなかったと思いますか? :年に1回というペースでオリジナル・アルバムを出すと、枯渇してくるなと率直に思ったんですよね。 沙我:今思えば、僕たちの先輩バンド達もキャリアを重ねるごとにリリースのスパンが大きくなるのは何故だろうと思っていたんですが、今はその気持ちが分かりますね。ここまでキャリアを積み重ねてくると、迂闊にリリースを畳みかけるのではなく、本当に意味のある楽曲だけを世の中に発信することの方が大切だなと思うようになったんです。 ――沙我さんが冒頭で“過去を振り返る”とおっしゃいましたが、ベスト盤として当時のレコーディングした音源をパッケージし直すのではなく、全曲再録という形を取ったのには大きな覚悟が必要だったのではないでしょうか? 沙我:今回のベスト盤は結成5年目くらいまでの楽曲を中心に収録しているんですが、当時は右も左も分からないまま怒涛のスケジュールの中でたくさんの曲をリリースしてきて。もちろん全曲に思い入れと愛情がある上で、今思えば目まぐるしいスケジュールの中で1曲1曲と十分に向き合って来られなかったなとも思っていて。ライヴで大きく成長した曲もいくつもありますし、ここでもう一度初期の楽曲と向き合いたいなと思ったんです。 ――今回、メンバーセレクトによる合計21曲が収録されていますが、選曲はメンバー皆さんでされたのでしょうか? 沙我:実はミニアルバム『絶景色』をまるごと再録したらどうだろうというアイディアが出たことが、今回の再録ベストの出発なんです。そこから色々と話が進む中で、やはりベスト盤を作る流れに向かって行ったんですが、「再録」という元々のコンセプトは変わらずに。そして、今の自分たちに与えられた制作期間の中で形にし得る限界まで取り組めるのがこの21曲だった、ということです。 ――どういった基準で楽曲をセレクトされていったのでしょうか? :ライヴでアレンジされてきた曲を収録するという狙いが大きかったですね。例えば、「閃光」なんかは今のA9の代表曲の1つですけど、レコーディング当時のアレンジに納得しているから今回の選考からは外れています。 ――A9の代表曲といえば「春夏秋冬」もその1つですが、やはり収録されていないのはその意図からですか? 沙我:「春夏秋冬」こそ、あの当時の青臭い状態が完成形だと思ったんです。今のスキルで再構築したい気持ちももちろんありましたけど、そそうすることでハッピーになる人はきっといないんじゃないかなって。 ――まさしく今作にはオリジナル・リリース時から大きな変貌を遂げた曲が数多く収録されていますが、どのようなプロセスを経て制作されていったのでしょうか? :沙我くんが全体のプロデューサー兼アレンジャー兼ディレクターという形です。僕に関して言えば、ボーカリストとしての自分に専念出来ていますし、プロデューサーとやり取りをしながらレコーディングをしている感覚ですね。 ――同じくコンポーザーであるヒロトさんと虎さんも、ご自身の楽曲を一度沙我さんに委ねたという形ですか? :そうですね。今回は沙我くんを信頼してすべて任せました。 ――沙我さんとしてはこれだけの楽曲をこのクオリティに高める上でのイニシアチブを取る立場というのは、並大抵のことではありませんよね。 沙我:地獄です(苦笑)。やり甲斐は大きいですけどもうやりたくはないですね(笑)。 『今思えばこの曲で表現していることは“水の中”なのか“宇宙の中”なのか、まだまだ曖昧なままだった。』 ――各パートのレコーディングに関してはいかがでしたか? Nao:A9を15年やってるんでね、そこで培ったスキルを沙我くんのアレンジに引き出してもらえたらなと思います。ドラマーとしての自分に専念出来た感覚はありますね。曲数が多いだけに、色々なドラムの音色を試してみたくて機材をたくさん買い足したら、破産しそうになったという15年目です(笑)。 :ギターに関しても、沙我くんがリアレンジの土台を担ったこともあって、ギタリストであればついつい手を抜いてしまいがちな部分も緻密にこだわったものを提示してもらえたので、改めてギターというものに向き合えるきっかけになったんですよね。「グラデーション」のタッピング・フレーズとか、激ムズなんですよ(笑)。 沙我:10年以上演奏してきた曲なので、虎さんがライヴでタッピングを弾きだしたタイミングからずっといいなと思っていたんです。自分が弾けないと話にならないから、まずはレコーディングしたいタッピングのフレーズを自分でひたすら練習しているうちに「俺はいったい何屋なんだろう……」とすら思いながら(笑)。 :そう、レコーディングのことだけを考えてアレンジするとそうはならないことも多くなりがちな中、沙我くんのフレーズってライヴで演奏する上でも現実的なフレーズなものを提示してくれるんですよ。 ヒロト:結成初期の勢いとパッションだけで形にしてきた曲たちが、沙我くんの力でやっと本来あるべき姿になったと思うんですよ。例えば「光環」は僕が当時ファーストフルアルバムを作る上で自分の中の理想の幕開けとして書いた曲でしたけど、今思えばこの曲で表現していることは“水の中”なのか“宇宙の中”なのか、ギターのアレンジひとつ取ってもまだまだ曖昧なままだった。それを本当に届けたい形が伝わるアレンジにしてもらえたなって。沙我くんは本当に頑張ってくれたなと思っています。 ――ヒロトさんの作曲といえば「FANTASY」のリビルドされ具合は大きな聴きどころだと感じました。 沙我:2~3年ほど前から今回のアレンジに近い形にリビルドはしていたんですけど、まだアジアツアーでしかガッツリ披露していないのでライヴでも楽しみにしていて欲しいですね。 ヒロト:もっと言えば、6年くらい前はさらにしっとりとしたアレンジで「FANTASY」は演奏していたので、今回原曲とのバランスという意味でも一番いい形に出来たのかなと思います。 ――作品全体を通じて、将さんのボーカリストとしての進化の目覚ましさも大きな聴きどころですね。 :結成したての頃はボーカリストとしてBRAHMANやTHE MAD CUPSULE MARKETSといった全身を使ったアタックの強い歌の影響が僕は大きかったので、そこからメジャー・レーベルを何社か渡り歩いたことで徐々にポップスの歌唱法が身についていったのかなと思いますね。21曲「歌をレコーディングする」という行為そのものが今回改めて自分を見つめ直すいい機会でしたし、沙我くんやNaoさんもプロデューサーやエンジニア目線で的確な意見をくれるようになったので、バンド全体のスキルアップに繋がりましたね。 『嫌でも手が動くんです。それでしかないですね』 ――皆さんそれぞれ特に思い入れのある曲はありますか? :僕らの最初の1曲である「タイムマシン」がついにリビルドされて、「やっとこの曲にこの日が来たか」と思いますね。当時、スクリーモみたいな曲を作りたくてこの曲を書いたはずだったので、結局何の曲か伝わりづらかったものが今回うまい具合にみんなに届く形でレコーディング出来たんじゃないかなって。 Nao:「虹彩」ですね。やっとバラードが自信を持ってちゃんと届けられるバンドになったんだぞ、っていうことが伝わると思います。A9のバラードはいいんだぞってことをガッツリ書いておいてください(笑)。 ヒロト:さっきも話した「光環」と「GEMINI」ですね。「GEMINI」は12分越えの大作ですけど、当時この曲を演奏するっていうのは富士山に登るような、大きなものに挑む感覚だったんです。それが今回リビルドされたことでさらにもっと大きな山に登るような感覚を覚えて。紆余曲折あったバンドの歴史をそのまま追体験しているような特別な気持ちを、同じ曲でさらに大きく味わえるってなかなかないことだなって思うんですよ。 :「Le Grand Bleu」ですね。自分はボーカリストとしてこういうタイプの曲が一番歌っていて気持ちいいんだなと再確認できますし、何よりもこの曲を聴くと武道館でワンマンをした時のことを思い出せるから、もう一度上を目指そうという気持ちになれるんです。 ――二度目の武道館、いつか必ず実現して欲しいです。 :そうですね。諦めずにその気持ちはこれからも発信し続けていきたいと思いますね。 ――今作の一番のキーパーソンである沙我さんはいかがですか? 沙我:全曲になっちゃいますけどね。1曲リアレンジが完成するたびに工場から出荷する、みたいな感覚なので(笑)。その中でも特に「グラデーション」と「華一匁」ですね。「華一匁」は俺がアリス九號として最初に書いた曲だったので、それから15年経ってもう一度こうしてこの曲と向き合うことになるか、と思いました。当時この曲は自分が影響を受けていたNUMBER GIRLみたいな曲にしたいと思って書いたので「華一匁」という和風のタイトルを将くんが付けたことも意外だったし。 ――結成当初のバンド・コンセプトがまだメンバー間ではっきりと共有されていた訳ではない中の制作だったのですね。 沙我:そう。だから、今はこの曲が「華一匁」であることを踏まえて作業に臨めたのが良かったですね。唯一、楽しかったかもしれない。 ――今回の制作は喜びよりも苦しみの方が多かったと思うのです。一体何が沙我さんをここまで突き動かしたのでしょうか? 沙我:本当はこんな大変なこと、やりたくはないですよ。でも俺は(虎を指して)映像なんかこれっぽっちも作れないし、Naoさんみたいにエンジニアの知識がある訳でもないし。ただ単純に自分の得意なことが「音楽を作ること」だったのに尽きるんじゃないですかね。嫌でも手が動くんです。それでしかないですね。 『まずは一つ終わろうかなと』 ――『花鳥ノ調』『風月ノ詩』を完成させたことで、いよいよその先の新たなA9の音も見えつつあるのでしょうか? 沙我:なんと、春のツアーでは新曲を披露するとことをLINE LIVEでファンには宣言したんです。でもまだベスト盤の作業が残っているので、手を付けてすらいなくて(苦笑)。 :結成当初から進化してないです(笑)。 一同:(爆笑)。 沙我:さすがにデモ出しは済んでいてこの作業を完結させたらすぐに取り掛かる準備は出来ているので、ツアーでの新曲披露にも期待して欲しいですね。 ――そちらも楽しみですね。最後に、この15年の総まとめであり新しい始まりともいうべき「花鳥ノ調」「風月ノ詩」を完成させての、今後のA9への展望を聞かせて下さい。 Nao:「花鳥ノ調」「風月ノ詩」のツアーはそれぞれテーマが決まっているんです。まだ言えないんですけど、バンドにとって大きな意味を持つツアーになるので、各地はもちろんファイナルの日比谷野音で「その日」是非目の当たりにして欲しいと思います。 :まだまだ先があるなって思っています。自分は病気もあったんですが、それでも生きてるってことはまだやるべきことがあるんだなって。 ヒロト:個人的になんですけど、「この先のヴィジョン」みたいなものを今はあまり考えないようにしていて。ひとつの出会いでそれまでの流れが180度変わることの連続だったし、遠くの大きな目標みたいなものに縛られることで、今目の前にある大切な宝物を見落としてしまいくたくはないんです。A9はそういうものをちゃんと拾い上げる感度の高いメンバーの集まりだと思うし、歩みを止めずにこれからも進み続けていけば、まだまだこれからもっと大きなものに出会える運や縁を持ったバンドだと思うんですよね。 沙我:この夏にピークを持っていくべく春のツアーを回っていく訳ですけど、本当の意味での「原点回帰」をバンドとして図ろうと思っています。具体的にそれがどういうものなのか、今はまだ言えないですけど。新しい自分たちに出会うためにも、まずは一つ終わろうかなと。「終わり」という言葉がこの春のツアーの大きなテーマでもあるので、それがどういうものなのかは是非実際に見届けに来て欲しいですね。 :時代の変化と共にアーティストという存在に求められる価値観も変わってきていると僕は考えているんです。これまではアーティストが発信したものを一方的にお客さんが受け取るものだったのが、これからはお客さん自身が主人公になれるバンドとのファンの関係性を作っていきたいし、言わば「2.5次元のディズニーランド」と呼ぶべきものに僕たち自身をアップデートしていきたいと思っています。それがどういう形でなされていくのかは春のツアーで感じてもらえると思うし、ファイナルの日比谷野音ではその「クライマックス」を迎えたいと思っています。時代が変わる瞬間を見届けに来て下さい。

RELEASE

2019年04月24日(水) RELEASE!!
A9 15TH ANNIVERSARY BEST ALBUM 「花鳥ノ調」/「風月ノ詩」


【FC限定豪華盤】※受注終了
¥15,000
<DISC1:CD>
[花鳥ノ調]
01. タイムマシン
02. 華一匁
03. グラデーション
04. H.A.N.A.B.I.
05. 銀の月 黒い星 ※シングルF+IX=YOU収録
06. 無限の花
07. 平成十七年七月七日
08. 光環
09. ヴェルヴェット
10. FANTASY

<DISC2:CD>
[風月ノ詩]
01. NUMBER SIX.
02. -Dice-
03. 虹彩
04. RAINBOWS
05. CROSS GAME
06. the beautiful name
07. Waterfall
08. Le Grand Bleu
09. GEMINI -0-eternal
10. GEMINI -I-the void
11. GEMINI -II-the luv

<DISC3:DVD>
2018年12月24日「ALICEMAS 2018~A9 with ORCHESTRA」at 品川プリンス ステラボール
01. PLANET NINE -INVITATION-
02. I.
03. 闇ニ散ル桜
04. 九龍 -NINE HEADS RODEO SHOW-
05. ASYLUM
06. birth in the death
07. UNDEAD PARTY

<DISC4:DVD>
2019年1月6日 「絶対〝黒〟領域」at なんばHatch
01. PLANET NINE -INVITATION-
02. ヴェルヴェット
03. RAINBOWS
04. ROYAL BLOOD
05. MEMENTO
06. -Dice-
07. Heart of Gold

15TH ANNIVERSARY BEST ALBUM「花鳥ノ調」
NINE-0024 / ¥2,500
01. タイムマシン
02. 華一匁
03. グラデーション
04. H.A.N.A.B.I.
05. 銀の月 黒い星 ※シングルF+IX=YOU収録
06. 無限の花
07. 平成十七年七月七日
08. 光環
09. ヴェルヴェット
10. FANTASY

15TH ANNIVERSARY BEST ALBUM「風月ノ詩」
NINE-0025 / ¥2,500
01. NUMBER SIX.
02. -Dice-
03. 虹彩
04. RAINBOWS
05. CROSS GAME
06. the beautiful name
07. Waterfall
08. Le Grand Bleu
09. GEMINI -0-eternal
10. GEMINI -I-the void
11. GEMINI -II-the luv

LIVE SCHEDULE

BEST OF A9 TOUR「ALIVERSARY」CASE OF 花鳥

2019年04月26日(金) 高田馬場AREA 〜NUMBER SIX月限定公演〜
2019年05月04日(土) TSUTAYA O-EAST 〜ヒロト生誕祭〜
2019年05月10日(金) HEAVEN'S ROCK さいたま新都心VJ-3
2019年05月12日(日) 柏PALOOZA
2019年05月18日(土) 山形ミュージック昭和Session
2019年05月19日(日) 盛岡CLUB CHANGE WAVE
2019年05月25日(土) 岐阜CLUB ROOTS
2019年05月26日(日) 京都FAN J
2019年05月28日(火) 高松DIME
2019年05月30日(木) 山口 LIVE rise SHUNAN
2019年06月01日(土) 宮崎SR BOX
2019年06月02日(日) 鹿児島CAPARVO HALL
2019年06月08日(土) 甲府CONVICTION
2019年06月09日(日) 長野CLUB JUNK BOX

BEST OF A9 TOUR「ALIVERSARY」CASE OF 風月

201年06月15日(土) 金沢Eight Hall
201年06月16日(日) 奈良NEVER LAND
201年06月22日(土) NEXS NIIGATA
201年06月23日(日) 郡山HIPSHOT JAPAN 〜沙我生誕祭〜
201年07月06日(土) 福岡DRUM LOGOS 〜将生誕祭〜
201年07月07日(日) 長崎DRUM Be-7
201年07月13日(土) 仙台RENSA
201年07月15日(月) 札幌PENNY LANE24
201年07月18日(木) 滋賀B-FLAT
201年07月20日(土) 松山サロンキティ
201年07月21日(日) 岡山CRAZYMAMA KINGDOM
201年07月26日(金) 名古屋ボトムライン
201年07月28日(日) 大阪BIG CAT 〜Nao生誕祭〜

BEST OF A9 TOUR「ALIVERSARY」FINAL A9 15TH ANNIVERSARY

2019年08月10日(土)
OPEN 16:30 / START 17:15
日比谷野外大音楽堂

A9 vs BugLug 2MAN TOUR 狼煙 -TOO FAST TO LIVE TOO YOUNG TO DIE-

2019年04月05日(金) 新宿BLAZE

EVENT

2019年04月13日(日土) 立川タヒチビーチ
YOUSAY SONIC

PROFILE

A9
Gu. 虎
Birth:09.17
Dr. Nao
Birth:07.31
Vo. 将
Birth:07.05
Gu. ヒロト
Birth:05.04
Ba. 沙我
Birth:06.24