ViSULOG 2020年4月号 COVER ARTIST / 摩天楼オペラ
もはや、新生だとか新体制と言う言葉を必要はなかろう。

約1年前に発表されたアルバム『Human Dignity』でもその圧倒的な底力をみせつけた摩天楼オペラが、ここに来てさらなる飛躍ぶりを音として具現化させたE.P.『Chronos』が、このたび4月22日に発表されることとなる。

よりラウドに、よりドラマティックに、そしてよりバンドとしてのグルーヴを強化した摩天楼オペラの、リアルタイムでハイクオリティなロックの在り方を、ぜひとも皆さまにはこの機に実感していただきたい。

もちろん、進化し続けていく摩天楼オペラの凛々しき姿は来たる[Chronos TOUR 2020]においても、存分に堪能することが出来るはずだ。

取材・文:杉江由紀
新しい摩天楼オペラの世界をより深めていくことになった ―このたびは約1年ぶりとなる音源としてE.P.『Chronos』が発表されることとなりましたが、摩天楼オペラとしてはバンドのどのような面をここで特に打ち出したい、と考えていらしたのでしょうか。 :前作(2019年2月発表の『Human Dignity』)ではJaYと響を迎えたこの5人で初めてアルバムを作って、その中では新しい摩天楼オペラというものを手探りしていくことにもなったんですけど、あそこでようやくあらたな1歩を踏み出せたところは確実にあったんですよね。今回の作品に関しては、その新しい摩天楼オペラの世界をより深めていくことになったと思います。新メンバーであるJaYと響の個性を全て理解したうえで、5人それぞれの色を混ぜながら音を仕上げていく作業をしていくことになりました。 JaY:あれ?僕、まだ“新メンバー”なんですか(苦笑) ―かれこれ、サポート期間も含めるとJaYさんはもう3年以上も摩天楼オペラでの活動をされていることになりますものね。 :そっか。正式に加入してからも、2年弱は経ってるんだった(笑) 5人の持っている個々の色が一番良く混ざり合った曲だったからですね(苑) ―響さんも、気付けば加入されて1年と少しが経ちますしね。いずれにしても、今回の『Chronos』ではバンドとしてより進化したところを、明確に具現化することが出来たのではありませんか? :そうですね。前の『Human Dignity』で進むべき方向が決まったんだとすると、今回はもっとそこから攻め込むことをしていきたかったんです。そして、それはJaYと響からの意見でもあったんですよ。 ―なるほど。では、JaYさんと響さんからの発せられたその意見について、もう少し詳しくお話をうかがいたいです。 :僕の場合、作曲自体はしていないので4人が作ってきたものに対してのドラムアレンジを考えるのが自分の仕事ではあるんですけど、今回JaYさんが持ってきた曲はいわゆるラウドロックの色合いが強かったんですね。僕は前にメタルコアのジャンルでやっていたのもあって、今回はそういうドラミングを活かせる場面が増えたんです。自分から発信したというよりは、自然とこの5人の中でそういう曲が生まれていくことになった、という言い方をした方が正しいかもしれません。あとは、音質が今回は前とかなり変わりましたね。僕が新しく紹介したエンジニアがラウド系に強い人なので、今回のE.P.に向けて出来た新しい曲たちとのマッチングが凄く良かったと思います。 ―確かに、この音像の印象は芯が太くて非常に新鮮です。一方、JaYさんからメンバーに向けて出した意見とはどのようなものだったのでしょう。 JaY:苑さんが作ってきた「Chronos」のメロディを聴いた瞬間に、それこそ響が言ってるラウド系の音が合うと思ったんで、今回はまずそこからイメージを拡げていって、言葉として意見を出すというよりは、それを音でかたちにしていく感じでしたね。自分自身がずっと聴いてきた音楽がそっち系やったんで、その要素を摩天楼オペラでどう表現すればいいかを考えた結果、けっこう良い具合に混ざり合ったんじゃないかと思います。 ―「Chronos」は今作のタイトルチューンでもあります。この曲をひとつの看板として今ここに摩天楼オペラとして掲げる理由があったとしたら、それは何ですか。 :それは、5人の持っている個々の色が一番良く混ざり合った曲だったからですね。僕の作ったメロディとかコード進行に対して、メンバー全員が“攻めてる”感じが良く出ているので、そこが今の摩天楼オペラとして最も伝えたかったところなんです。 音圧が前よりメチャメチャ上がってます(響) ―「Chronos」からは地に足の着いた勢いといいますか、腰の据わった頼もしいバンドサウンドを感じます。今しがた、苑さんからは“5人の持っている個々の色”という発言がありましたけれど、たとえば燿さんの場合この曲の中でベーシストとして特に重視されたのはどのような点でしたか。 :「Chronos」に限らずではあるんですけど、アレンジ的には今までやってきた3人と、JaYくん、響くんとのバランスが凄く良く取れてるものになったなと僕は感じてます。結局そのバランスっていうのがとても大事で、曲自体の雰囲気というのは今までにないような新しいものになっている反面、僕がやっていることそののもは敢えて前とは変えずにやっているところがあるので、そこが自分の色として反映されているんじゃないかと思いますね。 ―なるほど。では、彩雨さんの場合この「Chronos」に対しては、いかなるアプローチをとっていくことになりましたか。 彩雨:僕が意識していたのは、自分がその曲をどうしたいかということよりも、曲がどういうキーボードを入れて欲しいのか、ということでしたね。まぁ、聴いた人からするとわりとガツガツしたハードな印象の曲に聴こえるかもしれないですけど、実は僕からすると「Chronos」は春っぽいイメージが強かったんですよ。色にたとえるなら、白とかピンクとかのパステルっぽい感じというか。特にサビの部分にそういう雰囲気が漂っているように思ったので、自然と使う音も綺麗で軽やかなものになりました。 ―楽曲の彩りの部分を担っていらっしゃるのが彩雨さんであるということは、この音からとても良く伝わってきます。 彩雨:今までの摩天楼オペラの曲は、色で言うと基本的には黒っぽいイメージのものが多かったと思うんですけどね。「Chronos」に関しては、もっと柔らかい透明感のある音が似あうと思ったので、キーボーディストとしてはそこを意識しました。 ―そこが音楽の面白さですね。ボトムの太さと、ウワモノの軽やかさが絶妙に重なることによって、きっとあらたな相乗効果を生みだすことになったのではないでしょうか。 :全体的には今までよりもヘヴィな方に行ってるんですけど、パーツごとにみるとちゃんとそれぞれの個性が出てるんです。 :しかも、音圧が前よりメチャメチャ上がってます。 この曲、完成度はほんまに高いですね。(JaY) ―こちらの原曲は苑さんが作られたということでしたが、「Chronos」についてキー設定の部分で何か考慮をされたことはありましたか?曲ごとの個性という面もあるのだとは思いますが、これまでの楽曲と比較すると少しだけキーが低めになっているように聴こえたのですけれど、これは意図されてのことだったのでしょうか? :あぁ、それは意図しました。やっぱり、ヘヴィメタルの中でも今まではメロスピ要素が強かったですからね。そうなると、ハイトーンじゃないと(声が)抜けてこないというのがあったんですよ。でも、最近の僕の中でのブームはそことは違っていて、高く張り上げて歌うよりも歌としての表現力を活かしやすいトーンでしっかりとメロディを歌いたいという気持ちが強かったたので、このキー設定にしました。どうしてもメタル声でずーっと歌いっばなしというのは、なかなか感情を出しにくいですからね(笑) ―確かに。緊迫感や高揚感はハイトーンで強調出来るとしても、より細かで豊かな感情表現にまで踏み込むにはこのアプローチが必要だったのですね。 :えぇ。自分にとっては、最も歌いやすいトーンで歌えました。語尾の細部にまでこだわりながら、自分が歌いたいように歌えたのが凄く気持ちよかったです。新しいエンジニアさんも、そういう領域までちゃんと聴かせたいというタイプの方だったのでやりやすかったですし。こんなに激しい曲なのに、ちゃんと細かい息遣いまで聴かせられる完成度の高い曲になったなと満足してます。 JaY:この曲、完成度はほんまに高いですね。ギターもこれは細部に渡って全てコピーしようと思ったら、プロじゃないとまず無理やろうなと思います。ぜひ、挑戦してみてください(笑) 曲それぞれの中でリンクしている歌詞のフレーズも入っていたりする(苑) ―それから、「Chronos」の歌詞についてもうかがいたいのですが…もしや、今回のE.P.は各曲の詞世界に相関関係があるのではありませんか? :そうなんです、繋がってます。収録してある5曲とも主人公は同じで、最初の「Chronos」は回想シーンなんですよ。まずは出会いの頃を思いだすところから始まって、そこから過去から現在に向かって恋愛をモチーフとした物語が進んでいくんです。 ―時系列に沿っていくわけですね。 :「Chronos」で出会って、「Kiss」が付き合い始めの楽しい時期、「Silence」ではちょっと影の部分がが出てきて、そこから「Reminiscenece」では別れてしまって、最後の「Anemone」は現在からまた過去を振り返りながらも、未来に向かっていくという流れになってます。 ―『Chronos』というE.P.自体のタイトルが時を意味するものになっているのは、そのためだったのですね。 :現在から過去を振り返った時の、物事が移り変わっていく感覚を表す象徴的な言葉として、ここには『Chronos』というタイトルをつけたんですよ。曲それぞれの中でリンクしている歌詞のフレーズも入っていたりするので、そこを聴いてくれる人たちが見つけてくれたら嬉しいです。 アレが無意識なんだとしたら、相当ヤバいよ(笑)(燿) ―せっかくですので、ここからは各曲についてもうかがって参りましょう。2曲目の「Kiss」を作っていらっしゃるのも苑さんですが、これは原曲の作成時点でストーリーとしての流れも見えていらしたのですか? :それはまだ見えてなかったですね。「Kiss」に関しては、「Chronos」とは逆にサッパリと何のストレスもなく聴ける、ザ・シンプルなメロディ曲を目指しました。誰だってカラオケで歌えるよ!っていうタイプの曲ですね(笑) ―とはいえ、この中で各メンバーが繰り広げているプレイは、やはり一癖も二癖もある妙味に満ちてもおります。 :そうですか?シンプルかつ短めな曲なので、自分としてはドラムもけっこうフレーズもシンプルにまとめたつもりなんですけど。 :いやいやいやいや!全然そんなことないでしょ(笑) :僕にとっては、得意だし無意識に叩けるフレーズばっかりなんですよ。 :あはははは!アレが無意識なんだとしたら、相当ヤバいよ(笑) ―この曲調で、あれだけキックの数を踏んでいるというのにも驚きました(笑) :ですよねぇ。あれは普通じゃないって。 ―もちろん、そこが面白みになっているわけなのですけれどね。 :だったら良かったです(笑) ―ちなみに、燿さんはこのドラムパートが決まってからベースのフレーズを練られたのでしょうか。 :基本的なビートが出来てからやりましたね。これは勢いのある曲だなという印象があったので、ベースでもそこを出していくようにした感じです。そういえば、これに関しては2A(2コーラス目の冒頭部分)だけフレーズを変えて欲しいっていうオーダーが苑くんからあったので、そこはちょっと凝ることになりましたね。 ―その部分にアクセントを付けたかった理由は、何だったのでしょうか。 :1Aとはコード進行自体が違うんです、2Aは。メロディは一緒なんですけどね。作曲段階から、そこは明確な差をつけたかったところで、要は1Aよりも2Aの方が切ない雰囲気のコードにしてあるんですよ。それで、ギターにはちょっと抜けてもらって、そのかわりベースで動いてもらいました。 ―JaYさんとしても、この曲では押し引きをしたことになるわけですね。 JaY:どうだったろう?どんな風に考えて弾いたのかは良く覚えてないんですよね。というのも、曲を聴いてパッと浮かんできたものを弾いただけだから。 :なんか、曲を渡した時は「この曲、パンクっすね!」って言ってたよ。 JaY:あー、じゃあその感覚で弾いてるはずです。でもこれ、普通のパンクロッカーにはなかなか弾けないかも(笑) ―非常に精緻なつくりではありますものね。それから、先ほど彩雨さんは「Chronos」について色のイメージのお話をしてくださっておりましたが、「Kiss」についても何かしらのヴィジョンは浮かんでいらっしゃいましたか? 彩雨:色のイメージはなかったですけど、苑さんがこれは切ない曲だということを言っていたので、僕もそういうモードで取り組んで行きましたね。ただ、当初は確かにパンク系の楽しいニュアンスを感じていたところもあったんですよ。そこは、途中で少し軌道修正をしてからストリングスをキーボードで入れて行くことになりました。アプローチの仕方としては、わりと昔の摩天楼オペラっぽい感じもあると思います。というか、いつもの摩天楼オペラと言った方がいいのかな(笑) ―らしい感じはありますね。 彩雨:昔からうちを聴いている人にとっては、ちょっとした懐かしさを感じる音かもしれないです。 僕の思う新しい摩天楼オペラをかたちにしたくて作ったのが、この曲(彩雨) ―3曲目の「Silence」は彩雨さんの作られた楽曲となりますが、こちらを想起されたきっかけは何だったのでしょう。 彩雨:僕の思う新しい摩天楼オペラをかたちにしたくて作ったのが、この曲ですね。ガツガツと強く攻めて行くところと、壮大なところが上手くミックスされているものにしたかったんです。沈むところはしっかり沈んで、走るところは走って、1曲の中でいろんな場面が展開していくドラマチックな音に仕上げていくようにしました。 ―劇的であるからこそ、なのか。この曲はギターソロも実にエモいですね。 JaY:あれは何時も通りの自分といえば自分なんですよ。ただ、彩雨さんが「ここはギタータイムだよ」って言ってきた無駄に尺が長い部分があったので(笑)、結果的にこういう感じになりました。 彩雨:「Anemone」なんかはギターソロが途中で展開してたりするんですけど、これは展開しないのに長いしね。そういう意味では、ここにソロをはめるのは大変だったと思いますよ。 JaY:ワンコードでずっと弾け、って言うんですもん(苦笑) 彩雨:だって、最近そういうのって意外となかったから。ここでそれをやらせたかったんですよ(笑) JaY:ギタリスト泣かせですよねぇ。 ―いやはや、見事に彩雨さんの要望に応えていらっしゃるJaYさんの手腕が光ります。 JaY:音楽的にいったら、だいぶいい感じになりましたね。けっこう凝ってるので、自分としてはこれってむしろエモーショナルではないんですよ。凝っちゃってるが故に、感情的というよりも「ここにこれを入れたら美味しいやろうな」っていうフレーズを、意図的に狙って詰め込んであるんです。 ―良い意味で、“あざとい”ギターソロであるということになりますか? JaY:まぁ、そうですね(笑) “美味しい”感動ポイントを持っていかせてもらいました(笑)(苑) ―ドラマーの立場からすると、「Silence」で大事にしたのはどんなことでしたか。 :これもわりとシンプルに叩いてます。でも、イントロと間奏でキックのパターンを変えてるので、そこは今までの摩天楼オペラだったら前者のパターンのまま行ってたところなのかな。あとは、「Chronos」でギターとのユニゾンになっているところがあるので、今回はこの曲でもやってしまおうと思って間奏で細かく踏んでますね。1Aも彩雨さんの作ってきたデモがハイハットとスネアが細かく使ったアレンジになってたので、単にそのまんまやったわけではないんですけど、自分としてはあんまりやったことがないパターンなので参考にさせてもらいました。基本的にはシンプルで、ところどころに緩急をつけた感じです。 ―燿さんにとっての「Silence」は、ベーシストとしてどのような役割を担う必要があった曲でしょうか。 :この曲は今回の5曲の中で、グルーヴを作るセクションと聴かせるセクションを一番分けて考えた曲だったかもしれないですね。特に聴かせるところについては、自分が目立つとかではなく聴いている人が「おっ!」っとなるようなフレーズにしたくて、それを入れてみたりとか。グルーヴを作るセクションに関しては、シンプルにそこに徹してます。 ―これだけドラマチックな曲になっている「Silence」は、必然的にヴォーカリストとしても腕の見せ所の多い楽曲だったのではありません? :この曲では、僕のリクエストを聞いてもらったんですよ。ラスサビの〈まだやれることはある 伝えなくちゃ座り込んでしまう〉というところの、最後の〈~しまう〉のところだけ彩雨の作ったメロディを変えさせてもらって、それに合わせてコードも変えてもらったんです。ここはねぇ、どうしてもそうしたくて。自分としては歌っていて一番切なく感じたし、ヴォーカリストとして“美味しい”感動ポイントを持っていかせてもらいました(笑) ―各メンバーの良質なプレイを横目に、ラスサビで全てをかっさらっていくスタイルですね(笑) 感慨深いですねぇ。遂に、その域まで来ましたか…(苑) JaY:でもあそこ、実は僕が勝手にコードを変えてたんですよ。 彩雨:そうだ、先に変えてたよね。 :ここがまさにバンドの醍醐味ですよ。変えて欲しいなって思う方向に、ちゃんと変えてくれてたっていう(笑) ―素晴らしい。阿吽の呼吸というやつではないですか。 JaY:そのメールが来た時、「そこは既に変えてますよ」って返しましたもん。 :感慨深いですねぇ。遂に、その域まで来ましたか… なんなら、俺の為に書いてくれたのかなって思ってますよ!(JaY) ―そうしたバンドとしての錬成ぶりは、もちろん「Reminiscenece」でもいかんなく発揮されておりますが、この曲はテーマ的にも音的にも今作の中では重めなものとなっている印象ですね。こちらはJaYさんの作られたものとなりますが、当初イメージしていたのはどのような情景だったのでしょう。 JaY:これはとにかく、歌詞が僕の中ではどストライクで。前の『Invisible Chaos』(2018年6月発表のシングル)にカップリングとして入ってた「孤独を知るには一秒も長すぎる」があって、それに対するアンサーソングが『Human Dignity』の中の「Cee」っていう曲だったんですけど、またここで持って来よった!と思いましたね。この「Reminiscenece」の詞も、メチャクチャ俺に響いちゃいました。 :LINEで「刺さりました!」って送ってきたよね(笑) JaY:そうそう。こういう言い方をするとアレやけど、曲を作った時点では正直そこまで強い思い入れとかは自分的になかったんですよ。でも、この歌詞がのったことで俺にとっては途端に血の流れる生き物もみたいな楽曲になってくれたなと感じましたね。最初に見た時はこの曲タイトルが全く読めなかったですけど(苦笑)、なにしろこの内容がほんまにヤバかったです。 :メンバーにここまで深く喜んでもらえるというのは、書いた側としても非常に嬉しいです(笑) JaY:なんなら、俺の為に書いてくれたのかなって思ってますよ!曲を書いたのは俺やし。これは俺だけの為の曲です!!って言いながら、ギターソロはわざと弾かなかったりもしたんですよね。これはギターで歌わずに、苑さんだけに歌って欲しかったので。 :これの歌メロって、苑さんがつけてるんですか? :A、Bは俺でサビ、Cメロ、アウトロはJaY。 :へぇー、知らなかった。JaYさん、メロディいいっすね。これ。 JaY:ありがと。 :だからもう、これはメロディが際立ってるバラードなんでドラムは影です。 ―影ではありながらも、あの巧みなタム回しは絶品ですよ。 :そんなことないです、あれは純粋に曲を支えてるだけなんで。半年くらい前にドラムセットを変えて点数を増やしたから、それを活かせる場面であったのは確かですけどね。別にフィルも入れてないし、あっさりしたもんです。僕としては、ドラムのことはいいから歌を聴いててくれっていう感覚ですよ。 :ベースもこれはあっさり目です。歌メロを聴いてすっと浮かんできたフレーズをわりと素直に弾いてます。 JaY:俺、このベースめっちゃ好きですよ。 :そうなの?…あ、そういうことか。JaYくん、歌とかベースとか曲自体を聴きたかったから自分のギターは少なくしたのね?? JaY:それはありますね(笑) ―そうした中、彩雨さんがこの曲に加えていらっしゃるのは厚みや奥行きの部分になるでしょうか。 彩雨:ストリングスで重厚感を出してますね。久々にここまでシンフォニックなやつを作ったな、という実感はあります。何時もはチェロまでなんですけど、この曲はコントラバスまで使ってますし。冒頭と中間にはキーボードだけになる場面もあるので、特にそういうところでは低い音たちが映えました。 ―この贅沢なサウンドメイクは、摩天楼オペラならでは強みを最大限に引き出しているものだと感じます。 :確かにそうですね。 イントロの音圧で聴いている人たちを殺してやろうかなくらいの勢いで叩いてます(笑)(響) 苑さんが歌うことで、摩天楼オペラの曲として昇華出来てる(響) ―かくして、今作は「Anemone」で過去を経ての現在、さらには未来へとつながる物語によってしめくくられます。曲調としても、これは希望の光を感じられるような質感のものとして聴こえました。 :歌詞に関しては自分が叩いた時点ではまだなかったので、個人的にはイントロの音圧で聴いている人たちを殺してやろうかなくらいの勢いで叩いてますけどね(笑)。チューニングも低いし。 JaY:摩天楼オペラ史上、これは一番低いんですよ。最初のとことアウトロだけ。 :不思議なのは、これだけ今までにないようなことをやってる曲なのに、不思議と歌が始まると間違いなく摩天楼オペラになる、っていうのは面白いなと感じました。普通のラウドバンドだったら、あのイントロが来たらシャウトしちゃいますからね(笑)。苑さんが歌うことで、摩天楼オペラの曲として昇華出来てるんですよ。 ―この曲はクレジット的に苑さんとJaYさんの共作になるようですが、完成までのプロセスはどのような流れだったのでしょうか。 :これはJaYが全て作ったものを前提にしたうえで、サビメロに僕が少し色をつけたものですね。 JaY:この曲は、個人的にディープインパクトに向けて作りました。 ―先だって天国に行ってしまった、かの名馬の追悼曲なのですね。 JaY:曲を作っている時に、ちょうどテレビでドキュメントみたいなのをやってたんですよ。意外とパっと簡単に出来ました(笑) 彩雨:追悼曲なのに(苦笑) :まぁ、これも重い曲ではあるんだけど展開が多いからなのかそこまで重過ぎる感じにはなってない、っていうのはひとつの特徴なのかもね。なんやかんやで、自分的には一番アレンジに時間をかけた曲でした。重さと聴きやすさの共存を、ここで理想的に具体化出来たと思います。 彩雨:この曲は、ある意味「Chronos」と世界観が一緒っていうのも大きいかな。だから、僕にとってはこれも春のイメージでしたね。音遣いは違いますけど、方向性は同じというか。そこに花のタイトルがついたっていうのもより春っぽくていいなと。 ―アネモネは、2月から5月にかけて咲く春の花でしたっけ。そして、歌詞に出てくる赤いアネモネの花言葉は“君を愛す”。…完璧ですね、これは。 :摩天楼オペラとしては「ローンデイジー」、「Freesia」に続く花シリーズの第3弾です(笑) JaY:これがまた、詞の最後が凄く良いんだよなぁー。 :ありがと(笑)。多分、今回の詞って自分がリアルタイムな当事者だったら歌詞にいろいろと吐き出していたところもあったと思うんですよ。でも、自分にとってのこの物語はあくまで昔の話なので、当時よりも大人になった自分が物事を俯瞰で捉えながら詞を書くことが出来ていたのが良かったのかな。根本的な部分では、時間に逆らうことは出来ないにしてもね。 ―つくづく含蓄のあるお言葉です。「Chronos」から始まって、「Anemone」までの全5曲。アルバムほどの曲数ではないにも関わらず、E.P.『Chronos』は5章からなる、一冊の小説かのような秀逸な作品へと仕上がりましたね。 :聴いてくれる人たちにとって、どの曲がリアルタイムなのか?っていうところが、けっこう聴こえ方にも影響あるのかな?って僕としては思ったりもするんですよ。JaYみたいに感じる人もいれば(笑)、わたしはこっちの曲の方に思い入れが持てるとかね。 ファンの皆のことも巻き込みながらライヴの場で証明していきたい(苑) ―これらの楽曲たちを、今後[Chronos TOUR 2020]の場でさらに生き生きとしたものとして感じることが出来ることにも、期待していたいと思います。 :今は状況的にいろいろある時期でもありますけど、去年12月までのツアーが成功のうちに終わったので、バンドとしてはその勢いを崩さずに臨んでいきたいですね。夏のファイナルが終わっても、今年後半に向けてさらにスピードを増していけるように。 :自分たちとしては、去年一年間でようやくこの5人での土台が固まったなと感じることが出来たので、いよいよここからが本格的な勝負なんじゃないかと思ってます。開催出来ることを心から祈りたいです。 彩雨:スケジュール的に、2週間とかずっと出るようなツアーは久しぶりですし。バンドマンとしては、そこもツアーらしい雰囲気を満喫出来そうで楽しみですね。 JaY:一応まだヴィジュアル系バンド・摩天楼オペラのギタリストとしては新人な感じなんで(笑)、同じく新人の響と一緒に新しい音を各地で炸裂させていきたいです。というか、必ず勝ってきます!! :現状ではこの音源が出来上ったばかりですし、まだライヴに向けての演奏とかもほとんどしていないので、今はとにかく実際に生のステージで『Chronos』の曲たちを皆に早く届けたいな、という気持ちが強いですね。今まさに、生の声や音を響かせることが出来る空間が失われつつあるという恐怖にさらされている分、自分たちも皆も安心してライヴを楽しめるような日がやってくることを願っていますし、実際にその日がやってきたら摩天楼オペラの進化はこんな風に始まっていますよ、ということをファンの皆のことも巻き込みながらライヴの場で証明していきたいです。ぜひ、開催された際には皆さん体感しに来てください!

2020年4月22日 RELEASE / NEW ALBUM
『Chronos』

収録曲
[CD]
01.Chronos
02.Kiss
03.Silence
04.Reminiscence
05.Anemone

[CD-2](初回限定盤のみ)
01.紅
02.PHOENIX
03.The WORLD
04.Mammon Will Not Die
05.Psychic Paradise
06.SHINE ON
Live Recorded at CHELSEA HOTEL,
on February 14, 15th, in 2020.

詳細
【初回限定プレス盤(CD2枚組)】
¥2,800(tax out)
収録曲
[CD]
01.Chronos
02.Kiss
03.Silence
04.Reminiscence
05.Anemone

詳細
【通常版】
¥2,000(tax out)

摩天楼オペラ 2020 oneman tour
『Chronos TOUR 2020』

2020年05月06日(水・祝) 東京 キネマ倶楽部
OPEN 16:45 / START 17:30
[問] DISK GARAGE 050-5533-0888
2020年05月16日(土) 札幌 BESSIE HALL
OPEN 17:00 / START 17:30
[問] WESS 011-614-9999
2020年05月17日(日) 札幌 BESSIE HALL
OPEN 17:00 / START 17:30
[問] WESS 011-614-9999
2020年05月30日(土) 西川口 Hearts
OPEN 17:00 / START 17:30
[問] サイレンエンタープライズ 03-3447-8822
2020年05月31日(日) 新横浜 NEW SIDE BEACH!!
OPEN 17:00 / START 17:30
[問] サイレンエンタープライズ 03-3447-8822
2020年06月13日(土) 沖縄 桜坂セントラル
OPEN 17:00 / START 17:30
[問] PM AGENCY 098-898-1331
2020年06月14日(日) 沖縄 桜坂セントラル
OPEN 16:00 / START 16:30
[問] PM AGENCY 098-898-1331
2020年06月20日(土) 仙台darwin
OPEN 17:00 / START 17:30
[問] ニュース・プロモーション 022-266-7555
2020年06月21日(日) 盛岡CLUB CHANGE WAVE
OPEN 17:00 / START 17:30
[問] ニュース・プロモーション 022-266-7555
2020年06月25日(木) 大阪MUSE
OPEN 18:30 / START 19:00
[問] 夢番地大阪 06-6341-3525
2020年06月27日(土) 福岡DRUM Be-1
OPEN 17:00 / START 17:30
[問] BEA 092-712-4221
2020年06月28日(日) 熊本B月9 V2
OPEN 17:00 / START 17:30
[問] BEA 092-712-4221
2020年06月30日(火) 岡山IMAGE
OPEN 18:30 / START 19:00
[問] 夢番地岡山086-231-3531
2020年07月02日(木) 京都MUSE
OPEN 18:30 / START 19:00
[問] 夢番地大阪 06-6341-3525
2020年07月04日(土) 名古屋JAMMIN'
OPEN 17:00 / START 17:30
[問] ズームエンタープライズ 052-290-0909
2020年07月05日(日) 静岡Sunash
OPEN 17:00 / START 17:30
[問] ズームエンタープライズ 052-290-0909
2020年07月11日(土) 新潟 LiveHouse柳都SHOW!CASE!!
OPEN 17:00 / START 17:30
[問] FOB 025-229-5000
2020年07月12日(日) 松本Sound Hall aC
OPEN 17:00 / START 17:30
[問] FOB 025-229-5000
2020年07月24日(金・祝) 新宿BLAZE
OPEN 16:45 / START 17:30
[問] DISK GARAGE 050-5533-0888
摩天楼オペラ
摩天楼オペラ

摩天楼オペラとは=メトロポリスの持つ“モダン・エッジ”なドライさと、美しく絡み合うクラシカルな旋律。
それら二つの”顔”を持ち合わせる摩天楼オペラ。激しくも優しいサウンドを彩り、
心を剥き出しにしたストレートな「苑」の”言葉”は同世代の心が織りなす、
幾つもの複雑な感情を表現してゆく叙情的な詩であり味わい深さがある。こんな時代だからこそ
多くの人の心に共鳴する新触感的「symphonic modern rock opera」(シンフォニック・モダン・ロック・オペラ)が 摩天楼オペラである。

苑 ~sono~ (Vocal) | 摩天楼オペラ
JaY (Guitar) | 摩天楼オペラ
彩雨 ~ayame~ (Keyboards) | 摩天楼オペラ
燿 ~yo~ (Bass) | 摩天楼オペラ
響 ~hibiki~ (Drums) | 摩天楼オペラ
苑 ~sono~
(Vocal)
JaY
(Guitar)
彩雨 ~ayame~
(Keyboards)
燿 ~yo~
(Bass)
響 ~hibiki~
(Drums)