ViSULOG 2019年8月号 COVER ARTIST / 彩冷える
“完全復活”宣言が大きなニュースとしてシーンを駆け巡った彩冷えるが8月24日(土)に誰もが予想だにしなかったニューアルバム『辞するモラトリアム』をリリースする。
それぞれが別々に歩んだ道の先でまた再び巡り合った5人の“彩”がひとつに交わった今作について、夢人(Gt)、タケヒト(Gt)の2人に話を訊いた。

取材・文:二階堂晃
『僕たち自身としてはそもそも終わったつもりがなかった』 ――奇跡の再集結を果たした彩冷えるがニューアルバム『辞するモラトリアム』をリリースするまでに至った経緯から聞かせて下さい。 夢人:再集結した当初は、当時の楽曲たちを改めて演奏することの懐かしさや過去の曲を聴きたいと思ってライヴに集まってくれたファンのみんなの声に応えたいという気持ちを最優先してきましたけど、2年も経つと人はそれに飽きてしまう訳ですよ。 タケヒト:(笑)。 夢人:そこで、彩冷えるというバンドに新しい風を吹かせたいと思いつつの今ですね。(タケヒトに向かって)どう? 2年経って。 タケヒト:思い返すと2017年のZepp Tokyoのイベントで再結成する機会をもらったことが大きかったよね。実はその5年前も一度5人でライヴをした日があったんですけど、その日はまだ少しメンバー同士もファンとの間にもギクシャクした感じがあったような気がしていて。 ――そうだったんですね。 タケヒト:だけど5年経ってZepp Tokyoで再会した時には集まった時の空気感が自然なものになっていたと感じたんですよ。その雰囲気があったからこそ、そこから感謝祭ワンマンといった自分たち主導のライヴを組んでみようという話が進んでいって。もっと言えば、僕らは当時決して5人で彩冷えるというバンドをやり尽くしたという訳ではなくて、ちょっとしたすれ違いやボタンの掛け違いから続けたくても続けられない状況に直面したと思っていて。 ――確かに、当時彩冷えるというバンドの歩んだ道は大きな話題を呼びましたね。 タケヒト:そういう過去があったからこそ、また5人で動き始めるとしたらそれは「今」なんじゃないかと思えたんです。そこで、まずは東京で感謝祭ワンマンをして、次にその感謝の気持ちを持って東名阪を回るといった風にバンドを動かしていくことにしたんです。 ――そして、なんと言っても今年5月8日の15周年記念ライブで“完全復活”を宣言したことも記憶に新しいですね。 タケヒト:僕たち自身としてはそもそも終わったつもりがなかったから、“復活”という言葉を大々的に掲げるつもりもなかったんです。メンバーそれぞれの個々の活動も当時の彩冷えると地続きなものだと捉えていたんです。ところが、感謝祭ツアーが終わった後に、ケンゾ(Dr)が、ね(笑)。 夢人:そう、ケンゾが(笑)。 ――ケンゾさんがどうしたのですか? タケヒト:勝手にTwitterで“完全復活”宣言をしちゃったんです。僕たちも「お、おおう…そうですか」となって(笑)。 夢人:「そういうことなら、そういうことにしましょう。」みたいな(笑)。 ――そうだったのですか! 意外なようであり、自由人のケンゾさんらしいエピソードですね。 タケヒト:この先も彩冷えるとして進んでいこうという明確な意思はメンバー全員にあったんですよ。その僕らの決めた動きに対して、お客さんがどう捉えているかが大事なのであって、どう自分たちで打ち出していくかは大きな問題ではなかった。そんな中でのケンゾのあの意思表示があったので、「じゃあ、バンドとして“完全復活”とアナウンスしていきましょう」という流れになったまでなんです。 ――ライヴが終わった夜のケンゾさんの完全復活宣言ツイートを見て、「おお!そうなんだ!」と驚いたファンや関係者は多かったでしょうね。 タケヒト:僕たちも皆さんと全く同じ気持ちをリアルタイムで味わったんだと思います(笑)。 ――彩冷えるらしいですね。 タケヒト:そうですね。そういう個人個人の動きがバラバラな部分も含めて、自分たちらしいなと思いますね。 『バンドの運営に関わることは一度全部自分の手ででやってみようと決めたんです』 ――彩冷えるの活動において、タケヒトさんを中心にメンバー自らバンドを会社として運営していくことを明確にアナウンスしている点もとてもユニークだと感じていますが、そのヴィジョンは再集結当初からあったのでしょうか? タケヒト:当時を振り返った時に、メジャーで活動したこともあってレコード会社やプロダクションなどのメンバー以外の人間が活動に入ることで、バンドの熱量そのものがお客さんに伝わりづらくなっていたことへの反省があったんです。だから、今一度バンドを動かすにあたっては、出来るだけダイレクトにメンバーの意思がファンに届く形で活動していきたいという思いがありましたね。 ――彩冷えるがメジャー・シーンで活動していた時期から時代は変わり、メンバー主導でアーティストが活動することが現代ではやりやすくなっていますよね。 タケヒト:次またメンバーの誰かがいなくなるとかバンドがバラバラになるみたいなことは絶対にあり得ないんで。であれば、5人の人生を掛けてやっていこう、5人でひとつの会社を作って彩冷えるを動かしていこう、と僕からみんなに提案しました。 ――夢人さんをはじめ、メンバーの皆さんはそのタケヒトさんの思いを伝えられてどう思いましたか? 夢人:「乗るぜ!」って思いましたね。 タケヒト:メンバー5人とも思いは同じだったので、異論なくその考えでまとまりました。 夢人:メンバー全員が個々の活動の中で成長していたので、それぞれへの信頼関係が当時よりも強いものになっていたんです。「よくぞ言ってくれた!」と思って。タケヒトCEO(最高経営責任者)爆誕の瞬間ですよ。 ――まさしく、その点も面白いですよね。タケヒトさんがメンバーでありながら自分が社長であることを明確に打ち出したことも意外だなと感じました。 タケヒト:会社を運営するにあたって、登記や手続きなどの面でどうしても世の中に自分の名前を出さなくてはならない部分が出てくるじゃないですか。僕個人としては、調べれば僕がやっていることが分かる、くらいに止めておこうと思ったんですけど……。(夢人を指して)そこもMCとかで言っちゃうんですよ(笑)。 夢人:会社の代表であることは、タケさんにしか出来ない、タケさんのキャラクターの一つだと思っているんで、ガンガン押していきたいんですよ。 タケヒト:「お、おお……。言っちゃうんだ。」とここでもまた思って(笑)。 夢人:ホントにタケさんには感謝してるんです。会社の経営とか、僕なんかにはサッパリ分からないことだらけなんで。安心して音楽に専念出来る今の環境が本当に素晴らしいなと思ってるんですよ。タケさんが頑張ってくれているから、僕も支えたいし自分にやれることは何でもやろうって思えるんです。 ――そんなタケヒトさん、「社長業」というものは実際にいかがですか? タケヒト:会社を作ってからほぼ1年が経ちますけど、本当に大変でした。ホームページの作成やチケットの手配、通販の発送やグッズのデザインなど、バンドの運営に関わることは一度全部自分の手ででやってみようと決めたんです。この1年でおおよその仕組みを作ることが出来たので、これからは回りのスタッフに仕事を振って、自分自身をもう少しアーティスト、ギタリスト寄りにシフトしようと気持ちを切り替え始めているところです。 夢人:タケさん、本当に忙しいんです! アルバム曲のレコーディングの日なんて、片手でギターの音作りをしながら片手で経理の仕事をしてたくらいで。「アコギ弾きながら入金確認!」みたいな仕事ぶりですよ。 タケヒト:でも逆にレコーディングに関して言うと、僕のレコーディングした音を夢がしっかり音作りをしてくれたことでとてもいいものに仕上がったんですよ。昔はそういうことはなかったので。一緒に支えあってひとつのものを作れている手ごたえを感じていますね。メンバーそれぞれが自分の持ち場をしっかり守っていることで彩冷えるというバンドを全員で作っている感触があります。 『本当に、すべて無駄じゃなかったんだよ』 ――具体的にメンバーの皆さんそれぞれ、どんな役割分担なのでしょうか? タケヒト:夢は何気に一番メンバーの中で冷静に回りを見られる立場になったなと感じていますね。スタジオでリハーサルをしていてもいい感じに場の空気を和ませてくれるし、曲と曲のつなぎや締め方みたいな細かい部分も率先して意見を出してくれるんですよ。 夢人:前のバンドで僕が一番年上だったことが影響しているんじゃないですかね。もう彩冷えるの5人に何かのはずみで亀裂が走るようなことにはしたくないし、自分の存在を使ってメンバー間の空気が和むなら、どんなことでもやりたいなって。 タケヒト:夢のことは今一番頼りにしているかもしれませんね。葵くんに関して言えば、バンドの初期は今僕がやっているようなことを葵くんが担っていましたけど、今ではセットリストやステージの演出など、バンドの見せ方や表現に関してはすべてを葵くんに一任しています。 夢人:メンバーのグループLINEで何かを決める時にも、いきなりすごい長文で意見をまとめてくれたりして。僕ら以上にめちゃくちゃ彩冷えるのことを考えてくれているんだなって思いますよね。 ――葵さんはソロアーティストとして活動していたこともあり、回りの人に自分のヴィジョンを伝える力がより強くなったのだと思います。 タケヒト:ああ、その通りですね。バンドに対してこれまで以上に明確なものを指し示してくれるようになったと思います。 夢人:本当に、すべて無駄じゃなかったんだよな……。 ――リズム隊のインテツさん、ケンゾさんに関してはいかがですか? タケヒト:インテツはカメラマンや映像監督として活躍していることもあり、バンドマンでは経験できない裏方の仕事をしていることが大きいですね。色々なアーティストと関わってきただけに、5人でアイディアを出し合っていても僕らには絶対に出てこないようなぶっ飛んだ案を出してきてくれるのが面白いなと思っていて。例えは、「ミュージックビデオをフィンランドに行って撮りたい。」とか、普通に言ってきますからね。 夢人:サラっとね。 タケヒト:そう、サラっと(笑)。それに今の彩冷えるのMVの撮影もインテツ自身がやってくれていますね。 夢人:ずっとメンバーを観てきたし、自分もメンバーだから、メンバーのいい表情を知ってるんですよ。自分のバンドのことだから手を抜くことも絶対ないと分かっているからヴィジュアル面に関しては安心して任せられますね。 タケヒト:そしてケンゾは、たくさんの大御所アーティストのサポートを務めてきたこともあって、ミュージシャンとして本当に先を行っているなと思います。サポートの現場で一流のレコーディングを何度も経験しているので、音源制作に関しては今はケンゾが指揮を執って進めていますね。そこは昔と比べて大きく変わったなと思いますね。 『ここからは新たにバンドして進化していかなくてはならない』 ――そんな今の5人による待望のニューアルバム『辞するモラトリアム』が8月24日にリリースされます。 夢人:アルバムを作ることを決める前からインテツくんやケンゾはデモを持ってきていたんです。2人の今新しくやりたいことがすごく伝わってきたので、僕はそれを踏まえた上で「彩冷えるらしい」曲をバンドに出せたので、今僕らが彩冷えるとして世に出すべき理想のバランスのアルバムが出来たんじゃないかなって。 ――葵さんが命名したという、『辞するモラトリアム』というタイトルそのものにも興味をそそられますね。 タケヒト:まず、15周年ワンマンの『彩、冷めた頃に』というタイトルのアンサーになる言葉を秋のツアーで掲げようという思いからスタートしたんです。そこで葵くんが「一皮むけて成長した姿で新たな決意とともに進んでいく」という意味を込めてこのタイトルを付けてくれたんです。 ――“また5人で彩冷えるとして歩むことに覚悟を決める”という解釈でいいのでしょうか? タケヒト:まさしく、その通りです。ここからは新たにバンドして進化していかなくてはならないですからね。 ――アルバムはもちろん、作品を引っ提げての秋ツアー『辞するモラトリアム』も絶対に見逃せませんね。 夢人:5人が別々で活動していた彩冷えるの空白の時間が新曲を演奏することでやっと埋めていけると思うんですよ。やっと今の自分たちのプレイでファンのみんなの前に立てることが本当に楽しみですね。 タケヒト:今回の葵くんの歌詞、今までの彩冷えるからは想像もできないくらい攻撃的なんです。それは今のバンドの攻めの姿勢がそのまま形に現れたものだと思うし、バンドとして進化した姿でツアーを回れることが本当に嬉しいですね。 ――当時とは回りの状況も大きく変わった今の時代に舞い戻った彩冷えるとしての、今後の展望を聞かせて下さい。 タケヒト:時代の変化とともにバンドの在り方も変わっていますけど、そこは自分たちが柔軟に対応していけばいいだけの話ですから。周囲がどんなになろうとも、最終的にかっこいいことをやっているアーティストだけが残ることだけは間違いないので、自分たちを信じて5人の思いを貫いていきたいですね。 夢人:当時出来なかったことや、叶えられなかったことを全部やりたいです。まさか自分が彩冷えるの新曲を書く日がもう一度やってくるなんて思いもよらなかったですから。 タケヒト:うん、本当にそうだよね。ここからもう一度5人で頑張っていこう。

2019年08月24日 RELEASE / NEW ALBUM
『辞するモラトリアム』

販売形態
【音楽配信ver.】
8月24日より下記サービスにて全世界へ配信開始。

iTunes Store / Apple Music / amazon / amazon music / レコチョク / music. jp / LINE MUSIC / Google Play / 他

【CD製品ver.】
・7月16日(火)21時~8月31日(土)23時59分までの期間限定でレコチョク運営「WIZY(ウィジー)」にて受け付け開始。

・「辞するモラトリアム」ツアーファイナル、9月26日(木)赤坂BLITZ公演のライブ映像が5曲見られるダウンロードコード付きプランもあり。

【M Card(ダウンロードカード)ver.】
・8月24日より彩冷える公式アプリにて通販開始。

・カードデザインは各メンバーver.の全5種類(ランダム封入)

・アルバム音源9曲(10月上旬に「辞するモラトリアム」ツアーファイナル、9月26日(木)赤坂BLITZ公演のデジタルライブ写真集が追加でダウンロード可能。)

・価格3000円(税抜)

彩冷える全国ツアー
『辞するモラトリアム』

2019年09月06日(金) 名古屋Electric Lady Land
2019年09月08日(日) 福岡 DRUM Be-1
2019年09月14日(土) 岡山 YEBISU YA PRO
2019年09月16日(月・祝) 大阪 umeda TRAD
2019年09月19日(木) 札幌 cube garden
2019年09月20日(金) 札幌 cube garden
2019年09月23日(月・祝) 仙台 CLUB JUNK BOX
2019年09月26日(木) マイナビBLITZ AKASAKA

A9 主催フェス
『Beautiful Beast Fest. ~美しき漢の集い~』

2019年08月24日(土) 新木場STUDIO COAST

Gu. タケヒト | 彩冷える
Ba. インテツ | 彩冷える
Vo. 向日 葵 | 彩冷える
Dr.ケンゾ | 彩冷える
Gu. 夢人 | 彩冷える
Gu. タケヒト
Ba. インテツ
Vo. 向日 葵
Dr.ケンゾ
Gu. 夢人